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12,(エロ)
王子が深いキスを落としてくる。
上から唾液を流し込むように口内を舌で撫で回されて、ぐちゃぐちゃ音が響くようなキスだ。
「っ……何度もこの場所で君を愛することを空想したよ。……続けてもいいかい?」
そ、外ですけど……と思うのに切ない顔で求められて胸がキュウっとなる。もう、俺の心臓王子に恋してから酷使され過ぎてムキムキになってるんじゃないか?
「はい……その代わり、今だけは俺のことだけ見て下さい。」
「いつも君しか見てないよ。」
軽く言われて少し悲しくなる。
「嘘はいいです。貴方が好きな人のためにアモルとの結婚をやめたことは忘れてませんから。」
切なくて胸が痛い。
「何の話だい?」
「リー・ベルガ男爵のことが好きなんでしょう?だからアモルを……」
男爵は地方に根差す貴族で、更に上の階級の貴族と主従関係を結んで領地支配を代行している事が多い。
リー・ベルガ家もザーハルツ家の所領であるトーリアに土着の貴族でうちと長年主従関係にある。今の当主、バルハルドさんは特に優秀と評判だ。
王子は以前西海の直轄領を視察した帰りに、土砂崩れで自領の街道が使えなくなってトーリアを通ったらしい。それで道中領内にあるうちの城に泊まったらしく、そこで領地を代理統治してるベルガ男爵に会ったそうだ。
王子からその時の話を聞いたけど、何も事情を話してないのに朝になったら侵入しようとした暗殺者2人と連れ合いに潜んでたスパイ1人を証拠付きで捕縛してくれていたそうだ。王子も存在は気付いていたけど何かやらかしたら捕まえるつもりで放っていたらしい。けど男爵の鮮やかな手腕に惚れ惚れしたと目を輝かせて言っていた。
そして、話ぶりからその人が多分王子の好きな人なんだと思う。
だから、王子は彼のために彼が忠誠を誓っているアモルとの婚約を破棄してトーリアに向かわせた。
それはそれでこれまでに色々あったんだけど……
「確かにバルハルドの事は出来れば直臣にしたいくらいだけどね。」
やっぱりそうなんだ。本当は男爵を側に置いておきたいんだな。
直接気持ちを聞くとさらに胸が痛い。
「俺、それでもいいです。」
「ねぇ、何か誤解があるみたいだ。私が好きなのはフェン、君だよ。」
額同士をくっつけ、じっと目を見つめて言われた。
しばらくその意味を理解し損ねる。
……は?え?
「嘘でしょ?え、いつから?」
「毎日どんどん好きになってるけど、強いて言うなら初めて会った時かな。最初はね、単に適当な理由を付けてアモルとの結婚を断るだけのつもりだったんだけど、君がどうしても欲しくなった。まだあの時のこと怒ってるかい?」
王子が鮮やかな手際で俺のベストとシャツをくつろげ、甘えるように首筋や鎖骨に吸い付いてくる。
そうされると直ぐにゾクゾクして体温が上がっていった。
「っん……怒って、ません……ふぁっ……」
更に前を開かれて、晒された乳首に王子の指が触れる。
優しくくにくに指先で揉まれるとじわじわ気持ちよくなって来た。
「大丈夫?私にこうされて嫌じゃないかい?」
嫌どころか、もっと触って欲しい。
俺はふるふる頷いた。
王子が俺のこと好きで、エッチしたいって思ってくれてる、そう考えるだけで嬉しくてぎゅうっと胸が苦しくなる。本当俺の心臓過労死しそう。
「そう、……じゃあこれは?」
きゅっ、と王子が乳首をつまむ。そのまま徐々に絞るように力を込められた。
「いっいたっ……」
敏感な場所を抓られる痛みに思わず眉をしかめる。
王子はそんな俺の表情を薄い笑みを浮かべてじっと見て来た。
ちょ、何か、王子こわくない……?
「……い、痛いのは、嫌なので……優しくして下さい。」
困惑しながらお願いして乳首を抓る手をやんわり制すと手はあっさり離れていった。
「そうだね。すまない。君が嫌な事は嫌と言ってくれて嬉しいよ。」
王子が戯れるように頬についばむキスをしてくる。
それが優しくて嬉しくて、余計に少し混乱する。
「はぁ、どうしたらいいんだろう。君が嫌がる事はしたく無いのに、君を支配して屈服させたいとも思うんだ。君の足が痺れた時の歪んだ顔が忘れられない。」
王子が俺の首に顔を埋めて悩ましげに言った。
ひぃ、やっぱりあんた隠れSだったか。
キラキラ爽やかな裏で中々に拗らせとるわけだな。
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