【過去作まとめ】アホエロ短編集

ナイトウ

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ドMのピンチを助けたら

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イケメン変態ドM大学生攻め、硬派不良お人好し高校生受け、ソフトSM、拘束、足コキ、電マ責め、攻めフェラ、攻めイラマ


俺はただ自分が正しいと思う事をして生きていたいだけなのに、世間の正しいと俺の正しいはどうやら違うらしい。

自分勝手な理屈を押し付けて従わせようとして来る大人が嫌で、歯向かう姿を迷惑だと排除して来る子供が嫌で、一回殴って対抗してみたら最後。
自分の周りには暴力ばかりが溢れる事になった。

でも、喧嘩で解決するのは嫌いじゃなかった。
強ければ、自分が正しいと思う事を通せる。弱い奴が何を言ったって誰も気にしゃしない。

俺は相対する男の掴みかかって来るのを左にかわすと、右の拳を突き上げて差し出された相手の顎を下から殴打した。
脳震盪を起こすように、狙って頭蓋に響くように顎の骨を叩き上げたので少し拳が痛い。
しかしおかげで男は倒れ込んだ。その背中の肺のあたりを狙って体重をかけて踏みつける。肋でも折れてくれたら意識が戻ってももう大した戦力にはならないからだ。
踏みつけた男を台にして高さを稼ぐと、飛び上がってさらに後ろにいた別の男に向かって蹴りを繰り出す。
やっぱり脳を狙ってこめかみに踵を回し蹴りで叩きつけると、狙い通りそいつも気絶した。
案外あっさり勝ててよかった。別に痛めつけること自体が好きなわけじゃない。自分には一番早い方法だから選んでるだけで。

俺は、最後に残った男を見た。
地面で伸びている二人の男が、目の前にいる彼を無理やり連れてきただろうこの場所は、夜は人通りも明かりも少ない街中の空き地だから彼の表情はよくわからない。
それでも大きな目がまん丸になって俺を見ているのと、その目玉がついた顔がちょっとびっくりするくらい整っているのは分かった。

「あんたさ、何があったか知らないけどこんな危なさそうな奴らに絡まれたらノコノコついていかないで逃げなよ。」
そう声をかけて立ち去るように出口の方に顎をしゃくる。
自分は適当な場所の金網に寄りかかってタバコに火をつけた。元々バイト終わりにゆっくり吸いたかったからここに来たのだ。なのに変な先客がいたからお預けを食らっていた。肺いっぱいに煙を吸い込んで鼻と口から吐き出す。喧嘩で昂ぶった気持ちが少し落ちついた。

「な……で……。」
なかなか立ち去らない男が何か呟く。
何でって言ったのか?

「何で邪魔したんだ!」

暗いけど、こちらを睨む彼が怒っているのは分かった。
何だ?カツアゲだと思ったのは俺の勘違いだったのか?
いや、でも「痛い目にあいたくなきゃ持ち金全部だしな」って、テンプレセリフ言われてたろ?

「せっかく袋叩きにしてもらおうと思って絡まれたのに!君が現れてめちゃくちゃだよ!挙句そんなクズどもにばっかりご褒美あげてさぁ!」

こいつが何を言ってるかわからない。けど、多分関わっちゃいけない類の奴だ。多分。
俺は携帯灰皿に吸いかけのタバコを押し付けた。

「あぁ!消すなら僕の手に押し付けて消してくれたらよかったのに!」

やっぱり何言ってるのかわからん。早く逃げよ。
そう思って歩き出そうとした時、がっしりと腕を掴まれた。
見ればいつの間にか間合いが詰められて腕を捉えられている。全然気がつけなかった。
掴んだ手を振りほどこうとしても、力が強い上に振りほどかれ辛い掴み方をしていて叶わない。
こいつ、多分結構強い。
何でおとなしく絡まれてたんだろう。

「責任とって君が殴ってくれよ。ほら。」

そうだった。殴られたがってんだった。
向こうが近づいてきたせいで、今まで見えなかった細かい表情まで見えるようになっていた。
遠目で見たとおりの綺麗な顔。頬が赤くて目が潤んでいる。ねっとりとした視線が絡みついて来るようだ。
なんかカツアゲされるやつがする表情じゃない。
俺は背筋が寒くなったが、逃げる術が思いつかなかった。

言われたとおり殴って逃げるのは、何か出来ない。
何か絶対喜ぶし気持ち悪い。
かと言ってこの場で男を言いくるめるだけの機転なんて俺には効かせられるわけもなかった。

「は、離せよ気持ち悪い。」
俺は決してビビってない。声が震えたのは気持ち悪くて顔が引きつってたからだ。

「はぁ、もっと言って。そんな嫌そうな目で見て……。」

俺は思わず男から見えなくなるように顔を背けた。

「ああ!そんな嫌そうに顔を背けて……!堪らない…」

どうしろってんだ!!
今まで誰の助けもいらないと思って生きてきたけど、今ばかりはちょっと誰かに何とかして欲しい。

「はぁ、はぁ。君、最高だよ。何もかもが僕の理想だ。我慢出来ない。一緒に来て……。」

俺は引きずられるように奴と一緒に空き地を出て街へ戻ると、あっという間に近くのラブホテルの一室に連れ込まれた。

いかにもな部屋に放り込まれ、一緒に入った男に扉の前に立って出入り口を塞がれてしまう。
来るまでも散々暴れたけど俺より全然力が強くてやっぱり振りほどけなかった。騒ぐ俺たちは人目についたけど、俺はどう見てもチンピラで相手は見た目だけはマトモだから誰も助けてくれない。俺からも変態に絡まれて困ってます助けて下さいなんてプライドをかけて言えなかった。

「っくっそ。退けよ。こっから出せ。」
無駄と分かってもガンを飛ばす。

「出たかったらほら、僕を殴りなよ。それで唾を吐きかけて、罵って、ちんぽを踏みつけて欲しい。『咥えろ』って言って君のデカちんぽを僕の口にガンガン突き込んで、ザーメンぶっかけて、あ、その目で見下ろして……」

あーもー全然話が通じないし言うことが気持ち悪い。
何で俺がこんな目に遭うんだ。俺はため息をついた。

「悪かったよ。よくわかんねぇけど、あんたの邪魔しちまったんだろ。ほんとよくわかんねぇけど。」

俺は素直に謝罪した。謝らなきゃいけないことをしたつもりは無いが、こいつには迷惑だったんだろう。俺だって今まで他人に理解されないことは山ほどあった。

「そう思うならほら、僕をたくさん苛めてよ。」
敵は中々引き下がらない。

「悪りぃけど、俺は理由なく人を痛めつけたくねぇよ。あんた綺麗だしさ、俺じゃなくてもあんたの言うこと聞く奴なんていっぱいいるだろ。」

「いないよ。誰も僕の望むことはしてくれない。僕は酷くされたいのに、みんなガラスでも触るように扱って来る。」

悲愴な顔してるけど、いや、あの、それって良いことじゃねぇの?でもそうか。こいつはそれを望んで無いんだもんな。

「うーん。何かそういうサービスの店だったらしてくれんじゃねぇの。SMクラブみたいなさ。」

「無駄だよ。見せてあげる。」

そういうと彼はどこかに電話をかけた。

「あ、すみません。S嬢1人、すぐ来れる子で。あ、3Pでお願いします。こっち男二人います。1人Sなんで、S2人M1人でのプレイ希望です。」

おいおい何て電話かけてんだ。
「何だよ今の」

「あ、ごめん。こっちの人数はちゃんと言うのがマナーだと思って。でも、どうせうまくいかないから心配ないよ。はぁ、どうせなら上手くいって2人から滅茶苦茶に責められたいけど……。」

だから俺はやらねえって!と心で突っ込む。言ったところで通じないだろうから。
嬢を待ってる間に名前を聞かれた。もう帰りたかったけど出口は塞がれている。名前くらいいいかと思ってアキトと名乗った。男の名前はミチヒロというらしい。都内の大学3年生。俺より3個上だった。学校は、俺でも日本で一番だって知ってるとこだ。俺はもう直ぐ高校卒業するところだと話した。大学や専門は行くつもりなくて、フリーターやるつもりだってのも。まあ、聞かれたからついでに。
俺みたいな不真面目な奴なら何しても誰も気にしないが、ミチヒロくらい頭も顔も良くて変な趣味があると中々大変なのかもしれない。
俺は少しだけミチヒロに同情した。

さっきまで苛めてくれと言われて引いていたのが嘘みたいに普通の世間話をしてるとドアがノックされた。
嬢が来たらしくて、入り口に陣取っているミチヒロが必然的に応対する。
開けて二言三言話すと、

「抱いて!!」
と嬢はミチヒロに抱きついた。
結局、ミチヒロはうっとり見つめて来る嬢にキャンセル料を払って帰してしまった。

「そんな落ち込まなくても。」
ラブホのベッドに横並びに座って、肩を落とすミチヒロを慰める。もう隙を見て帰れそうだけど、シュンとしてるのを置いていくのも何か後味が悪い。

「分かっていたけど何度目にしてもやっぱり凹むよ。あーあ。僕はやっぱり性的に満たされることが生涯決してないんだ。」

「何かごめんな。せっかく痛めつけられるチャンスだったのに邪魔して。」
我ながら変なことを言ってるが、俺は今度は本心で謝った。少し話してみれば悪いやつじゃないことがわかったからだ。癖がすこし、かなり、変わってるだけで。

「アキト」
気がつけばミチヒロが俺の直ぐ近くまでにじり寄ってきていた。見つめてくる瞳がうるうるとして揺れている。めちゃくちゃ綺麗な顔だから、何か童貞みたいに動揺してしまう。

「僕、やっぱりアキトに苛めて欲しい。」
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