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しおりを挟む殆どの女なんてバカで劣った存在で、相手にする価値もない。
中三でクラスのそこそこ仲が良かったはずの女子に陰でチー牛と呼ばれていたことを知った俺は、以後女のことをそう思うようになった。
大半の女はどうせこちらがまともに扱ってやったって、見た目で気に入らなければ悪口を言うのだ。
本当に卑しい存在である。
けど、きっと見た目じゃなくて中身で判断して俺を好きになってくれる、優しくて清楚な黒髪ロングの美少女がいつか現れるはずだ。
それまでは、つまらない女なんて相手にせず、アマネとトレーディングカードゲームでもやっている方がよほどか楽しい。
だから俺はいつも大学の講義の後アマネが1人で住むマンションに入り浸り、トレカしたりFPS対戦したりして過ごしていた。
「ね、ね、ノリちゃん見て!このレアカード。父さんのツテで安く買えちゃった。」
アマネが得意そうに、フリマサイトでうん十万はするカードを見せてくる。
「へー。じゃあ、今日はそれを賭けて勝負だな。」
「やだぁ!いつも負けるし。」
アマネが庇うようにカードを抱きしめるのを見ながら、ニヤリと笑って手にしたカード束をシャカパチと鳴らした。
アマネは中学から一緒の、いわゆる腐れ縁の友達だ。こいつがまた、漫画みたいにハイスペな奴だったりする。イケメンだし、背が高いし、頭も良い。実家は有名な企業グループの経営者一族だ。
そのハイスペ度がどれくらいかというと、なんと俺と付き合うくらいだ。
アマネが中学時代あまりに女にモテ過ぎてつきまといとか日常生活にまで支障を来していたから、ゲイで俺と付き合っている事にしてやっと平穏を取り戻したのである。
つまり、本当は俺たちが付き合っているなんて嘘なんだけど、身勝手な女共のせいでアマネはこんな嘘を大学生になった今までずっと吐かなくてはいけなくなっている。
アマネだって中身は俺と同じゲーム好きのただのオタクなのに、本当に女って奴は物事の表面しかみない浅はかな存在だ。
当然俺だって周りからはゲイと思われていて今まで彼女の一人も出来た事はない。けど、俺の伴侶になるような娘はきっとこんな嘘見抜いて俺だけを好きになってくれるはず。
アマネから彼氏の振りをしてくれと頼まれたときにそんな風に説得され、それもそうだと思って今に至る。
「はぁぁぁ……やっぱり負けた……。」
アマネが机に広がるカードの上に突っ伏して呻いた。なぜ、こんなに弱いのに懲りずにレアカードを賭けて俺と勝負するのか。
いい加減に学習した方がいいと思う。
「残念だったな。じゃあ、たまに貸して貰うから。」
流石にこんだけレアなやつを巻き上げるのは可哀想だから、慈悲をくれてやることにする。
「トゥンク……ノリちゃん優しい……。抱いて!」
「げぇ、きっも!ほら、次はバロラすんぞ。」
次の遊びとして最近2人ではまっているFPSゲームを提案すればアマネも直ぐに乗ってくる。
結局適当に買ったコンビニ飯やお菓子を食べながら深夜まで対戦して、風呂や身支度もそこそこに部屋の広さの割には狭いベッドでぎゅうぎゅうになって寝た。
スマホの着信音で目が覚めた時、殆ど昼に近い時間だった。
あー、二限ぶっちになったな、と思ったけど、出欠はほぼ影響しない単位だし、それより着信がうるさい。
俺のスマホは静かだから、アマネのやつだ。
「おい、起きろ。電話。」
「んんっ……やぁ……」
背後から俺に抱きついて寝ているアマネが抵抗するように俺の首筋に額を押しつけてくる。
まじで毎度人を抱き枕にすんのやめろ。そしてもっとデカいベッドを買え。
「鳴ってるから電話出ろって!あ、ほら、母ちゃんだぞ。」
アマネのスマホを手にすれば、ディスプレイにはアマネの母親の名前。そのまままだうにうにしているアマネの薄くひげが浮いた寝起きな頬に押しつける。
「もしもし?あのさぁ、邪魔しないで……え……?」
急にアマネの声のトーンが変わって、何かがあったと察した。
「わかった、すぐ帰る。」
短く会話した後に通話を切ったアマネがこっちを向いた。まじめな顔をしていると、めちゃめちゃな身だしなみでも何かかっこよく見える。流石アマネだ。
「ノリちゃん、ごめん。お祖父ちゃんが倒れたから、俺すぐに出なきゃ。」
アマネの祖父と言えば、有名企業グループの会長だ。これはアマネの家にとって一大事だと俺でも分かる。
すぐに簡単に身支度を整えて、一緒にマンションを出た後「しばらく会えなくなるけど絶対毎日メッセージ送ってね!」と念を押してくるアマネと別れたのだった。
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