6 / 9
第六章
世界が動いた日
しおりを挟む
ある日、そんな彼が休日の寒い日、出先で花を買っていた。
彼女は1年近くずっと一緒に居たはずなのに、いつの間に彼女が出来たのかと、少しザワつく心を押し込めて、いつも通り彼の物に憑いて行った。
よく晴れた寒い日、昨日の雪が残って、白くキラキラと反射をしていた。目が眩む思いがした彼女は思わず目を閉じた。
次に目を開けると、彼女は一人で観覧車に乗っている彼の隣にいた。
「男が一人で観覧車とか不審者じゃん。」と思わず言ってしまったが、彼にはもちろん届くことはなかった。透明でもいいことあるねと言いながら、彼の隣に座りなおす。彼の手には、いつの間にか手に持っていた花束はない。
「分かった!告白失敗したのか!」
そんな失礼極まりないことさえ言ったって彼にはもちろん届かない。
そんなことはとっくの昔から分かっていて、彼女はわざと目の前で言っているのだった。
…ただ彼の視界に入りたくて。
どんな子が好きなの?
その子はどんな子だった?
その子はなんで君を選ばなかったの?
君はこんなにもいい人なのに…
と彼女は彼の向かい側に座りなおす。すると、いつも黙っている彼がふと
「全てに意味があるんだよ」と声を震わせ、静かに呟いていた。
彼は家に帰り、彼女が憑いてから初めてお酒を飲んでいた。お酒が弱い彼は買ってきたチューハイを二缶出し、一缶飲みきった。
「お酒強くないんでしょ?二缶目も飲める?大丈夫?」
そんなことを言う彼女の横を通り過ぎ、彼は本棚から何かを取り出し開いた。淡白で変化のない彼との生活で新しいものが出ることはほとんどない。新しい物にわくわくした彼女は彼の背後から覗き込んだ。
「っ…!」
そこには彼女と彼が写っていた。
「私…?」
お酒、観覧車、仏壇、カバン、ミサンガ、ネクタイ…
「全て私だ。」
忘れていた記憶がまるでその忘れていた時間を取り戻すかのように、一気に押し寄せてくる。
彼女は1年近くずっと一緒に居たはずなのに、いつの間に彼女が出来たのかと、少しザワつく心を押し込めて、いつも通り彼の物に憑いて行った。
よく晴れた寒い日、昨日の雪が残って、白くキラキラと反射をしていた。目が眩む思いがした彼女は思わず目を閉じた。
次に目を開けると、彼女は一人で観覧車に乗っている彼の隣にいた。
「男が一人で観覧車とか不審者じゃん。」と思わず言ってしまったが、彼にはもちろん届くことはなかった。透明でもいいことあるねと言いながら、彼の隣に座りなおす。彼の手には、いつの間にか手に持っていた花束はない。
「分かった!告白失敗したのか!」
そんな失礼極まりないことさえ言ったって彼にはもちろん届かない。
そんなことはとっくの昔から分かっていて、彼女はわざと目の前で言っているのだった。
…ただ彼の視界に入りたくて。
どんな子が好きなの?
その子はどんな子だった?
その子はなんで君を選ばなかったの?
君はこんなにもいい人なのに…
と彼女は彼の向かい側に座りなおす。すると、いつも黙っている彼がふと
「全てに意味があるんだよ」と声を震わせ、静かに呟いていた。
彼は家に帰り、彼女が憑いてから初めてお酒を飲んでいた。お酒が弱い彼は買ってきたチューハイを二缶出し、一缶飲みきった。
「お酒強くないんでしょ?二缶目も飲める?大丈夫?」
そんなことを言う彼女の横を通り過ぎ、彼は本棚から何かを取り出し開いた。淡白で変化のない彼との生活で新しいものが出ることはほとんどない。新しい物にわくわくした彼女は彼の背後から覗き込んだ。
「っ…!」
そこには彼女と彼が写っていた。
「私…?」
お酒、観覧車、仏壇、カバン、ミサンガ、ネクタイ…
「全て私だ。」
忘れていた記憶がまるでその忘れていた時間を取り戻すかのように、一気に押し寄せてくる。
0
あなたにおすすめの小説
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た
青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。
それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。
彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。
ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・
ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる