ライト文芸に挑戦

春秋花壇

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いやいやえん、入園!

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第1話:いやいやえん、入園!

「おはようございます」

布団と仲良ししてたいのに、がんばって登園しました。

年配の優しい先生に、名前を呼ばれて返事をする。

「お顔洗った?」

「ううん」

「歯、磨いた?」

「ううん」

「朝ごはん食べた?」

「ううん」

「お弁当持ってきた?」

「ううん」

「あらあら、あれれれー」

先生は困った顔で、私の頭をポンポンと撫でた。

「大丈夫、今日は先生と一緒にできるからね。」

優しい声に、少しだけ心が温かくなる。

先生に手を引かれて、洗面所に行く。

「お顔洗うよ、お水は冷たいかな?」

「つめたーい!」

冷たい水に顔を洗うと、目が覚めるような感覚がした。

歯磨きも、朝ごはんも、先生の助けを借りながらなんとか済ませる。

お弁当は、先生のお弁当を少し分けてもらう。

「いただきます!」

みんなで手を合わせて、お祈りする。

「おべんとう、おいしい!」

先生の作ってくれたお弁当は、いつもより美味しく感じた。

「お片付けも、みんなで一緒にね。」

食べ終わったお弁当箱を、先生と一緒に片付ける。

「はい!」

先生の言葉に、元気よく返事をする。

外で遊んだり、お絵描きしたり、楽しい時間はあっという間に過ぎた。

「もうおしまい?」

帰りたくない気持ちで、先生にしがみつく。

「お家の人、待ってるからね。」

先生の言葉に、涙が溢れてくる。

「また明日、遊ぼうね。」

先生にぎゅっと抱きしめられて、ようやく気持ちが落ち着く。

「バイバイ!」

先生に手を振って、お家へと帰る。

「おかえりなさい。」

玄関で、お母さんが笑顔で迎えてくれる。

「今日は、楽しかった?」

「うん!」

初めての一日だったけど、先生や友達のおかげで、楽しい思い出がたくさんできた。

「明日も、また行きたいな。」

そう思いながら、私は眠りについた。

第2話:物置小屋の秘密

次の日、私は再び幼稚園へと登園した。

昨日よりも、少しだけ気持ちが軽やかだった。

「おはようございます!」

先生に元気よく挨拶をする。

「昨日は、ありがとうね。」

先生は、私の頭を優しく撫でた。

「今日は、みんなで物置小屋に行くんだよ。」

「物置小屋?」

私は、初めて聞く言葉に、興味を持った。

「物置小屋には、幼稚園のお宝が隠されているんだって!」

先生の言葉に、ワクワクする気持ちが高まる。

みんなで手をつなぎ、物置小屋へと向かう。

物置小屋は、園庭の奥まったところにひっそりと建っていた。

古びた木の扉を開けると、中は薄暗い。

「わー!」

物置小屋の中には、たくさんの物が積み重なっていた。

古いおもちゃ、壊れた遊具、埃まみれの絵本。

「これが、幼稚園のお宝?」

私は、少しだけ期待外れだった。

「宝物を見つけるには、探すことが大切なんだよ。」

先生は、そう言って私に微笑んだ。

私は、物置小屋の中をくまなく探してみた。

埃まみれの箱、壊れた椅子、古びた木の板。

「あった!」

ようやく、私は宝物を発見した。

それは、小さな木製の箱だった。

箱を開けてみると、中には美しい宝石が輝いていた。

「わー、きれい!」

私は、宝石に見とれた。

「これが、幼稚園の本当の宝物なんだ。」

先生は、優しく私の頭を撫でた。

「この宝石は、みんなが仲良く遊んだり、助け合ったりすることで輝くんだって。

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