ギリシャ神話

創作

黄河の龍と青空の娘

黄河の龍と青空の娘

はるか昔、黄河のほとりに広がる大地には、古代の文明が芽生えていた。豊かな土壌は人々に豊作をもたらし、黄河の水は命の源として大地を潤していた。この地を守護するのは龍神・黄龍（ホワンロン）であり、その雄大な姿は天と地を結ぶ存在として崇められていた。黄龍は、力強くも慈悲深い神であり、彼の鱗は黄金に輝き、その目は星のように澄んでいた。

その黄龍には、空に住む美しい娘がいた。彼女の名は碧空（ビーコン）。彼女は青い空と清らかな風の化身であり、その姿は透き通るような青衣をまとい、風に乗って大地を駆け巡っていた。黄龍と碧空は長い年月をかけて、空と大地の間に深い絆を育んでいた。

＊　＊　＊

ある日、黄河の水が急に濁り、大地は渇き、作物が枯れ始めるという異変が起こった。人々は困り果て、黄龍に助けを求めた。黄龍はすぐにその原因を探るため、黄河の源に向かった。

すると、黄河の上流には、かつて追放された邪神・赤霧（チーウー）が潜んでいた。赤霧は、かつて天界を乱したために封印されていたが、その封印が解かれたことにより、再びこの地に災いをもたらそうとしていたのだ。

「黄龍よ、久しぶりだな。お前がこの大地を守護する間、私は暗黒の地で孤独に耐えていた。だが、もうその時代は終わりだ。この地も、そしてお前も、私が支配する！」

赤霧は笑いながら、黄河の水をさらに濁らせ、大地に毒を撒き散らそうとした。その姿は赤い霧に包まれ、触れるもの全てを腐らせる恐ろしい力を持っていた。

しかし、黄龍は恐れなかった。彼はその黄金の鱗を輝かせ、力強く立ち向かった。

「この大地を穢すことは許さぬ。お前の悪意に、この大河は屈しない！」

二つの力は激しくぶつかり合い、大地は揺れ、空には稲妻が走った。黄河は怒涛のように荒れ狂い、その水しぶきは天にまで届いた。

＊　＊　＊

その時、天界から碧空が風に乗って降りてきた。彼女は青い衣をなびかせながら、黄龍の周りに降り立ち、その強さに寄り添った。

「黄龍、あなた一人で戦う必要はないわ。私もこの大地を愛する者の一人。共に立ち向かいましょう」

碧空はその優しい風で赤霧の毒を払おうとし、その清らかな力は黄河を再び澄み切らせた。二人の力が一つになると、その勢いは倍増し、ついに赤霧を追い詰めた。

「ぐっ……！お前たちが手を組むとは……しかし、私は滅びはしない。いずれ再び、この地を呑み込むだろう！」

赤霧はそのまま地の底へと追いやられ、再び封印されることになった。

黄龍と碧空は互いに微笑み、穏やかな川の流れと澄んだ空を見上げた。人々はその光景に感謝し、二人の勇気と愛に祈りを捧げた。

「ありがとう、碧空。君がいてくれたから、この大地は再び息を吹き返した」
「黄龍、私はあなたと共にある限り、この空を永遠に清らかに保ち続けるわ」

その後、黄龍と碧空は大地と空を共に守り続け、その愛は黄河の流れと共に永遠に語り継がれたという。