35 / 60
第四章
侯爵邸の舞踏会③
シガールームへ向かう広い背中が見えなくなるのを、クラリスは心細く見守った。
煙草が紳士の嗜みとなって久しいが、どちらかというと社交場としての意味合いが強い。アレクシスとしては、男しかいない場所に彼女のような見た目の従者を連れていけば目立って仕方ないと考えてのことだったが、クラリスは自分が役立たずの烙印を押されたようでしょんぼりしていた。
徐々に客が増え、椅子も埋まってくる。それなのにクラリスの周囲には誰も腰掛ける者はおらず、快適さよりもそわそわとした落ち着かなさを味わった。
実際は、ハリントン男爵家に出入りする一流テイラーの手による礼服――アレクシスに倣いごくシンプルなもの――に身を包んだ彼女のことを、どこの貴公子だろうかと遠巻きにしていただけなのだが、もちろんクラリスは気づいていない。早くアレクシスが戻らないかときょろきょろしていたクラリスは、ある女性に視線をとめた。
二十代前半と思しき美しい女性だ。高く結った髪に薔薇色のドレス。耳には重たげなダイヤモンドのイヤリングがついている。
豪華に装っているが、それは会場にいる他の女性たちと同じだ。それなのに気になったのは、彼女の顔色が青く足元もふらついていたからだった。
間の悪いことに、給仕たちは増えた客に飲み物を配りにいってしまっている。さらにクラリスの斜め横に立つ騎士からは、女性の後ろに立つ男性が死角になっているらしく、誰も彼女の顔色の悪さに気づいていないようだ。
――あっ、あぶない!
ぐら、と女性が大きく姿勢を崩したとき、クラリスは椅子から飛び降りて女性に駆け寄った。きゃ……と小さな悲鳴が上がる。頽れた女性をクラリスが辛うじて抱きとめたことと、手に持っていたグラスが床に落ちて割れたことが原因だった。
――……お、重い……っ。
ドレスや宝石で着飾った女性の重量は予想以上だ。細い腕に力を込めて支えていると、ようやく気づいた騎士が慌てて近寄り一緒に支えてくれた。
幸いなことに、女性はすぐに意識を取り戻したようだ。クラリスはさっきまで自分が座っていた椅子に腰掛けさせると、ハンカチで顔を煽いで風を送った。
「……もう、大丈夫ですわ。ご迷惑をおかけしました。私、セリーナ・ノークスと申します」
ようやく彼女がそう言ったのは、しばらく経ってからだった。顔色はまだ青いが目の焦点は合っている。クラリスは重たげなイヤリングと結い上げた髪、コルセットで締め上げられた細い腰を眺めた。夜会に出席する女性の大変さは身をもって知っている。
クラリスはポケットの中から手帳と鉛筆を取り出して「私はフレディと申します」と書き、それを女性に向けた。
「あなた、口が……?」
驚いた顔の女性に頷いてみせ、もう一度手帳に鉛筆を走らせる。それを覗き込んでいたセリーナは、また大きく目を見開いた。
「まあ……! ハリントン男爵様に仕えていらっしゃるの?」
頷いたクラリスの全身をまじまじと見る。不快に思わないのは、セリーナの視線に悪意がないからだろう。納得した様子のセリーナは、クラリスを見つめながら声に賛嘆の響きを込めた。
「そう。ではハリントン男爵様は本当に今日の舞踏会へいらっしゃっているのね。しかも、こんなに素敵な従者を連れて。やっぱり無理してでも参加してよかったわ。滅多に姿を現さない男爵様が来られるとあって、招待状は争奪戦だったのですって。私はちょっと、特別な方法でそれを手に入れたのだけれど。何人もの友人から譲ってくれと頼まれて、本当に困ってしまったのよ」
セリーナは楽しそうに説明した。話しているうちに、少しだが頬に血色が戻ってきたようだ。クラリスはホッとして、手帳に「飲み物はいかがですか」と書いた。
「いただこうかしら。あ、でも自分で……」
立ち上がろうとするのを手で制し、クラリスは軽食と飲み物が並ぶテーブルに向かう。先ほど壊してしまったグラスは跡形もない。申し訳なく思っていると、経緯を見ていたのか側にいた給仕が「こちらはオレンジを絞ったジュースです」と勧めてくれる。
まだアルコールが入っていないもののほうがいいだろう。クラリスは笑顔を浮かべてそれを受け取り、急いでセリーナに渡そうと振り返ったのだが――。
「……!」
「おいっ、何をするんだ!!」
真後ろに近づいていた男性に気づかず、クラリスは顔面からその男にぶつかった。しかも、手に持っていたグラスからジュースが零れ、相手の袖口を濡らしてしまう。
――しまった!
サッと顔を上げ、男の顔を見た。
まだ若い男だ。黒に近い茶の髪に、紫の縞のベスト。上着は鮮やかな紺色の非常に上質なものだ。泡立つように白く見事なレースが袖口から覗いている。クラヴァットピンの意匠は金色の鳥で、ひと目で金をかけていることが分かる出で立ちだ。クラリスにかけられたジュースのオレンジ色だけが、酷く異質なものに見えた。
青くなったクラリスは慌てて頭を下げたが、相手の男は気が済まないようだ。額に青筋を立てながら大声で怒鳴った。
「どうしてくれる! レースが台無しじゃないか!」
何度も頭を下げるクラリスに男が詰め寄ってくる。何事かと遠巻きにしながらも集まりつつある客の視線が痛い。
騒ぎを聞きつけた従僕が宥めようと近づくが、男は片手を上げてそれを遮った。
「何とか言ったらどうだ! 名を名乗れ!」
クラリスはポケットから手帳を取り出したが、何もかも気に喰わないらしい男はクラリスの手ごとひっぱたいてそれを弾き飛ばす。小さな手帳は床を滑り、すぐに見えなくなった。
――あっ!
「何をもたもたしているんだ! さっさと名前を言え!」
口の利けないクラリスにとって、手帳は唯一といっていい意思表示の方法だ。これがなければ謝罪もままならない。咄嗟に声を出そうとしたクラリスだが、当然のごとく漏れるのは空気の音だけだ。クラリスは唇を噛んだ。
激高した男を前になす術もないクラリスが、それでも必死に口を動かしていた時、凛とした声が二人の間に割って入った。
「そのお方はフレディ様と仰います。ハリントン男爵様にお仕えしている方ですわ」
セリーナだった。ややふらつきながら立ち上がった彼女は貴族令嬢の気品に溢れており、その声は興奮に支配されかけていた空気を鎮める効果があった。
「ハリントン男爵だと……? では、このちびはアレクシス・ハーヴェイの使用人なのか」
やや鼻白んだ様子だった男が、じろじろとクラリスを眺める。やがて何か思いついたような顔でにやりと笑った。
「――そうか。ではフレディ。本来、使用人の不始末は主の責だが、私は寛大な男だ。お前自身に責任を取らせてやろう」
そう言って、自分が手にしていたワイングラスを高く掲げた。
「これをお前にかけて、それで終いにしてやる。私のレースとは到底引き合わないが、これであいこだ」
見上げたクラリスの視線の先で、濃い赤紫の液体が揺れていた。
あれをかけられたら、せっかく用意してくれた衣装が汚れてしまう。男爵家の皆がどんなにがっかりするだろう。考えただけで悲しくて情けなくて涙が出そうだ。従者の役を果たせないどころか、ハリントン男爵の名に傷をつけてしまった。
それだけではない。もしワインを頭からかけられてしまえば………。
――きっとセリーナ様たちから布で頭や顔を拭かれるわ。そうしたら髪粉が落ちて、本当の色がばれてしまう。どうしよう、どうしたらいいの……!
グラスは無常にも傾いていき、最初の一滴がグラスの縁から零れ落ちるのが見えた。
――ああ!
ギュッと目を瞑ったクラリスだったが、いつまで待っても液体がかかる様子がない。恐る恐る目を開けると、そこには見慣れた大きな背中があった。
「……久しぶりだな、グリーンハウ=スミス」
アレクシス愛用の香水がふわりと香る。クラリスはその背にしがみつくのを懸命に堪えた。
煙草が紳士の嗜みとなって久しいが、どちらかというと社交場としての意味合いが強い。アレクシスとしては、男しかいない場所に彼女のような見た目の従者を連れていけば目立って仕方ないと考えてのことだったが、クラリスは自分が役立たずの烙印を押されたようでしょんぼりしていた。
徐々に客が増え、椅子も埋まってくる。それなのにクラリスの周囲には誰も腰掛ける者はおらず、快適さよりもそわそわとした落ち着かなさを味わった。
実際は、ハリントン男爵家に出入りする一流テイラーの手による礼服――アレクシスに倣いごくシンプルなもの――に身を包んだ彼女のことを、どこの貴公子だろうかと遠巻きにしていただけなのだが、もちろんクラリスは気づいていない。早くアレクシスが戻らないかときょろきょろしていたクラリスは、ある女性に視線をとめた。
二十代前半と思しき美しい女性だ。高く結った髪に薔薇色のドレス。耳には重たげなダイヤモンドのイヤリングがついている。
豪華に装っているが、それは会場にいる他の女性たちと同じだ。それなのに気になったのは、彼女の顔色が青く足元もふらついていたからだった。
間の悪いことに、給仕たちは増えた客に飲み物を配りにいってしまっている。さらにクラリスの斜め横に立つ騎士からは、女性の後ろに立つ男性が死角になっているらしく、誰も彼女の顔色の悪さに気づいていないようだ。
――あっ、あぶない!
ぐら、と女性が大きく姿勢を崩したとき、クラリスは椅子から飛び降りて女性に駆け寄った。きゃ……と小さな悲鳴が上がる。頽れた女性をクラリスが辛うじて抱きとめたことと、手に持っていたグラスが床に落ちて割れたことが原因だった。
――……お、重い……っ。
ドレスや宝石で着飾った女性の重量は予想以上だ。細い腕に力を込めて支えていると、ようやく気づいた騎士が慌てて近寄り一緒に支えてくれた。
幸いなことに、女性はすぐに意識を取り戻したようだ。クラリスはさっきまで自分が座っていた椅子に腰掛けさせると、ハンカチで顔を煽いで風を送った。
「……もう、大丈夫ですわ。ご迷惑をおかけしました。私、セリーナ・ノークスと申します」
ようやく彼女がそう言ったのは、しばらく経ってからだった。顔色はまだ青いが目の焦点は合っている。クラリスは重たげなイヤリングと結い上げた髪、コルセットで締め上げられた細い腰を眺めた。夜会に出席する女性の大変さは身をもって知っている。
クラリスはポケットの中から手帳と鉛筆を取り出して「私はフレディと申します」と書き、それを女性に向けた。
「あなた、口が……?」
驚いた顔の女性に頷いてみせ、もう一度手帳に鉛筆を走らせる。それを覗き込んでいたセリーナは、また大きく目を見開いた。
「まあ……! ハリントン男爵様に仕えていらっしゃるの?」
頷いたクラリスの全身をまじまじと見る。不快に思わないのは、セリーナの視線に悪意がないからだろう。納得した様子のセリーナは、クラリスを見つめながら声に賛嘆の響きを込めた。
「そう。ではハリントン男爵様は本当に今日の舞踏会へいらっしゃっているのね。しかも、こんなに素敵な従者を連れて。やっぱり無理してでも参加してよかったわ。滅多に姿を現さない男爵様が来られるとあって、招待状は争奪戦だったのですって。私はちょっと、特別な方法でそれを手に入れたのだけれど。何人もの友人から譲ってくれと頼まれて、本当に困ってしまったのよ」
セリーナは楽しそうに説明した。話しているうちに、少しだが頬に血色が戻ってきたようだ。クラリスはホッとして、手帳に「飲み物はいかがですか」と書いた。
「いただこうかしら。あ、でも自分で……」
立ち上がろうとするのを手で制し、クラリスは軽食と飲み物が並ぶテーブルに向かう。先ほど壊してしまったグラスは跡形もない。申し訳なく思っていると、経緯を見ていたのか側にいた給仕が「こちらはオレンジを絞ったジュースです」と勧めてくれる。
まだアルコールが入っていないもののほうがいいだろう。クラリスは笑顔を浮かべてそれを受け取り、急いでセリーナに渡そうと振り返ったのだが――。
「……!」
「おいっ、何をするんだ!!」
真後ろに近づいていた男性に気づかず、クラリスは顔面からその男にぶつかった。しかも、手に持っていたグラスからジュースが零れ、相手の袖口を濡らしてしまう。
――しまった!
サッと顔を上げ、男の顔を見た。
まだ若い男だ。黒に近い茶の髪に、紫の縞のベスト。上着は鮮やかな紺色の非常に上質なものだ。泡立つように白く見事なレースが袖口から覗いている。クラヴァットピンの意匠は金色の鳥で、ひと目で金をかけていることが分かる出で立ちだ。クラリスにかけられたジュースのオレンジ色だけが、酷く異質なものに見えた。
青くなったクラリスは慌てて頭を下げたが、相手の男は気が済まないようだ。額に青筋を立てながら大声で怒鳴った。
「どうしてくれる! レースが台無しじゃないか!」
何度も頭を下げるクラリスに男が詰め寄ってくる。何事かと遠巻きにしながらも集まりつつある客の視線が痛い。
騒ぎを聞きつけた従僕が宥めようと近づくが、男は片手を上げてそれを遮った。
「何とか言ったらどうだ! 名を名乗れ!」
クラリスはポケットから手帳を取り出したが、何もかも気に喰わないらしい男はクラリスの手ごとひっぱたいてそれを弾き飛ばす。小さな手帳は床を滑り、すぐに見えなくなった。
――あっ!
「何をもたもたしているんだ! さっさと名前を言え!」
口の利けないクラリスにとって、手帳は唯一といっていい意思表示の方法だ。これがなければ謝罪もままならない。咄嗟に声を出そうとしたクラリスだが、当然のごとく漏れるのは空気の音だけだ。クラリスは唇を噛んだ。
激高した男を前になす術もないクラリスが、それでも必死に口を動かしていた時、凛とした声が二人の間に割って入った。
「そのお方はフレディ様と仰います。ハリントン男爵様にお仕えしている方ですわ」
セリーナだった。ややふらつきながら立ち上がった彼女は貴族令嬢の気品に溢れており、その声は興奮に支配されかけていた空気を鎮める効果があった。
「ハリントン男爵だと……? では、このちびはアレクシス・ハーヴェイの使用人なのか」
やや鼻白んだ様子だった男が、じろじろとクラリスを眺める。やがて何か思いついたような顔でにやりと笑った。
「――そうか。ではフレディ。本来、使用人の不始末は主の責だが、私は寛大な男だ。お前自身に責任を取らせてやろう」
そう言って、自分が手にしていたワイングラスを高く掲げた。
「これをお前にかけて、それで終いにしてやる。私のレースとは到底引き合わないが、これであいこだ」
見上げたクラリスの視線の先で、濃い赤紫の液体が揺れていた。
あれをかけられたら、せっかく用意してくれた衣装が汚れてしまう。男爵家の皆がどんなにがっかりするだろう。考えただけで悲しくて情けなくて涙が出そうだ。従者の役を果たせないどころか、ハリントン男爵の名に傷をつけてしまった。
それだけではない。もしワインを頭からかけられてしまえば………。
――きっとセリーナ様たちから布で頭や顔を拭かれるわ。そうしたら髪粉が落ちて、本当の色がばれてしまう。どうしよう、どうしたらいいの……!
グラスは無常にも傾いていき、最初の一滴がグラスの縁から零れ落ちるのが見えた。
――ああ!
ギュッと目を瞑ったクラリスだったが、いつまで待っても液体がかかる様子がない。恐る恐る目を開けると、そこには見慣れた大きな背中があった。
「……久しぶりだな、グリーンハウ=スミス」
アレクシス愛用の香水がふわりと香る。クラリスはその背にしがみつくのを懸命に堪えた。
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました
由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。
そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。
手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。
それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。
やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。
「お前に触れていいのは俺だけだ」
逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。
これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
わたしさえいなければ、完璧な王太子だそうです。
ふらり
恋愛
人並外れた美貌・頭脳・スタイル・武勇を持つウィンダリア王国の25歳の王太子は、完璧な王太子だと言われていた。ただし、「婚約者さえいなければ完璧な王太子なのに」と皆が言う。12歳の婚約者、ヴァイオレット・オルトニーは周囲から憐みの目を向けられていた。
「私との婚約は、契約で仕方なくなのかい? もう私に飽きてしまっている? 私は今でも君にこんなに夢中なのに」
13歳年下の婚約者少女に執着溺愛する美貌も能力も人間離れした王太子様と、振り回される周囲のお話です。小説家になろうにて完結しております。少しずつこちらにもあげていくつもりです。ファンタジー要素はちょっぴりです。
愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!
香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。
ある日、父親から
「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」
と告げられる。
伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。
その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、
伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。
親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。
ライアンは、冷酷と噂されている。
さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。
決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!?
そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。