私の大好きな騎士さま

ひなのさくらこ

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38. 永遠の愛を君に②

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「あっ、あっ、あっ、あっ、んんんんっ」
「く……っ」

寝室へ足を進めるごとに奥を刺す。一度放ったことで多少の落ち着きを取り戻していたはずのウィリアムは、強烈な締め付けにまた我を忘れそうになった。寝台までの道のりが果てしなく遠い。

「いや、いャっ!ウィル、だめ、もうだめっ!」

あと数歩で寝台というところでレオノアが叫んだ。見ればポロポロと涙を流し、かぶりを振っている。

「……っな、んで?」
「だって、わたし、死んじゃう!だめぇ。もう、ダメなのっ。だから、もう、ぬいて!おねがいぃ……」

しゃくりあげながら懸命に訴える。澄んだ緑の瞳は涙の膜で覆われ、次々と新しい涙で洗われていく。濡れた頬は熟れた桃さながらに色づき、瑞々しさを伝えてくる。開かれた下唇は震え、下がった口角に乱れた髪が一筋絡んでいた。

「……ウィル…?」

濡れたまつ毛の瞬き。

ずっと愛してきた。ただ一人だけ。ようやく妻とすることができて満たされたはずの心は、それでもまだ足りずに求め続けている。この思いそのままに喰らってしまえば――愛する者を腹の中に収めてしまえば、この飢えは満たされるのだろうか。

貪りたい欲に囚われたまま、天啓のようにウィリアムは悟った。己の行く先を。どれだけ時を経ても……子を生し老いたとしても、この激情が薄れる日は来ないのだと。穏やかな愛情で相手を見守る日々など永遠に来ない。これから先ずっと、レオノアは俺の腕の中だけで生きていく。閉じられた檻の扉が開かれ、執着という名の枷が外れることはない。喉の奥から笑いがこみ上げた。

「ウィル……?どうしたの……?」

笑顔になったウィリアムに、怯えた声でレオノアが言う。わずかに首を傾げじっと見つめていたウィリアムは、その角度のまま顔を近づけ、唇の表面だけを触れ合わせた。

「愛してるよ、レオニー」
「……………!!!!」

深く口づけながら両腕でヒップを持ち上げ、抜け出る直前で落とした。腰を突き上げながら。何度も繰り返す。立ったまま脳天まで犯す勢いで揺さぶった。重力と、下から勢いをつけて腰を振ることで、今まで入ったこともないほど深い場所に刺さっている。嬌声は全てウィリアムが飲み込んだ。ぷしゃ、と腹が濡れた。レオノアが痙攣しながら潮を吹いている。強烈な締め付けに目の前が白く染まった。ああ……!

口の中の舌までも痙攣させるレオノアを突きあげながら寝台まで歩いた。いつもより乱暴な仕草で横たえ、今度こそ遠慮なく腰をつかう。自分で両脚を抱えさせたいが、今日のレオノアには無理だろう。達しすぎて半ば自失した状態で、それでも微肉は変わらず剛直を締めあげている。ウィリアムは唸りながら両脚を肩に乗せ、放出へ向けて激しく動いた。

「あー……………っ…………!」
「ハ……っ、レオノア、お前は……俺の、…………ずっと、これから先もずっと、俺だけの………っ!」

うわ言のように口にする。永遠に焦がれる相手が妻なのだ。誰はばかることなく愛でて貪ればいい。ウィリアムの中にある、愛を求める器。すぐ空になるそれには、レオノアが愛を注いでくれるだろう。俺の妻。俺の、俺だけの……。

「く…………っ、ぁ………っ!…………ハ……っ」

一度目と変わらないほど長く吐き出した精をかきまぜるように腰をゆるく振った。また漲ってきた雄に苦笑しながらレオノアを見れば、完全に気を失っている。一旦抜いて身を清めてやろう。続きはそれからだ。

そっと腰を引けば、小刻みに震える襞が離したくないと縋り付いてくる。たまらなくなって思わず一突きすると、ぴゅっと小さく潮を吹いた。……かわいい。気を失ってなお、全身で愛を伝えてくれる。このままもう一度、という邪念を押さえ引き抜いた。用意していた湯と布で足先まで清めてから、乾いた上掛けで包む。

レオノアの隣で肘をつき、片手で髪を撫でながら飽きることなく見つめ続ける。何度も呪った運命も…………今では必然だったと、ようやくそう思えた。儀式の際に手にしたアレキサンドライト。手のひらで色を変えたあの宝石から、何かが流れ込んできたことを思い出す。前世の自分の中にあった後悔や焦燥、嫉妬と疑心……。そういったものが今、レオノアに触れる指先から霧散し消えていくのが分かった。

「永遠の愛を誓うよ。魂が消え失せてもなお、君だけを愛すると」

ウィリアムは微笑むと、愛する妻の唇にそっとキスをした。




胸もとにすり寄る温かい気配に瞼を開く。レオノアが額をウィリアムの裸の胸にこすりつけていた。上掛けの下を抜けた温かい空気が鼻先をくすぐる。二人の肌と、かすかに残る欲望の匂い。

「レオニー」
「起きたの?」
「ああ……、いや、目を閉じていただけだよ。レオニーは?疲れた?」

ぽっと頬を赤らめた。

「ウィル、本当にひどいわ!私、あんなに抜いてってお願いしたのに」
「うん?ちゃんと抜いたよ。今入ってないだろう」
「もう!すぐそんなこと言うんだから」

握ったこぶしでぽかぽかと胸を叩いてくる。あまりの可愛らしさに進んで負けを認めたくなり、早々に白旗を掲げた。

「ごめんごめん。つい」
「つい、じゃないもの!死んじゃうかと思ったんだから!」
「死ぬって、どうして?」
「どうして、って……」
「ん。どうして?言ってごらん」
「………またいじわるするの?」
「ふはっ。かわいいなレオニーは」

じとりと上目で見るレオノアの頭を抱き込んだ。たくさんのキスを額に、瞼に、頬に。唇にも。くすくす笑いが伝染して二人とも笑顔になった。

「あ!そうだわ!」

レオノアがパッと顔を離す。

「わたし、ウィルに聞いてみたいことがあったの」
「なんだい?」
「あのね、ウィルは私のことが好きでしょう?」
「もちろんそうだね」
「それで私も、ウィルのことが大好きじゃない」
「ありがとう、うれしいよ。それで?」
「私たちと同じくらい好きあってる二人なのに、どちらかが別の人と抱き合っていたり、キスしたりすることがあるとしたら、それはなぜだと思う?」
「……………この質問の意味は何だろう」

話しの行く末が見えず警戒するウィリアムに対し、レオノアはきょとんとした瞳で見返した。

「んー……何かしら。何となく、聞きたくなって」
「念のために確認するけれど、レオノアが私以外の男と抱き合ったり、キスしたり……そういう話じゃないんだね?」
「やだ!そんなことあるわけないじゃない!たとえ話よ」
「それならよかった。無暗に死体を積み上げたくはないからね。……そうだな。あくまでもたとえ話として、もし私が――こんなにレオノアのことを愛している私がそんなことをするとしたら。それは相手に弱みを握られているとしか考えられない」
「弱み?」
「そう。今の私の弱みはレオノア、君だけだ。他の何も私を傷つけることも、ためらわせることもない。だが…………」
「……ウィル?」
「昔の私は、違った。親や家名を……自分の役割に縛られていて、それを盾にされたなら……一度だけの口づけや抱擁で済むのなら。そう思ったかもしれない」
「……心変わりじゃないの?」
「変わりようがないよ、レオニー。昔も今もずっと、私には君しかいないんだから」
「………………」
「レオニー?」

どこかぼんやりとしていたレオノアは、目をのぞき込まれてハッとしたように瞬きをした。

「ううん、なんでも……ないの。きっと」
「本当かい?やっぱり疲れたんじゃない?」
「大丈夫。すっかり目が覚めたもの」
「そう?よかった。それなら……」

互いに裸のままで、隠しようもない昂りをぐり、と押し付ける。

「もう少し身体を動かしたら、ぐっすり眠れるかもね。付き合ってくれる?」
「あ、ま、まって!それはもう、あした、明日にしましょう!」
「どうして?疲れてもいないし目も覚めたんだろう?」
「そ、そうだけれど……、あ、あんんっ」
「いい子だレオノア。さあ、膝の裏に手を回して。そう、抱えてごらん。脚を開いて。…………ああ、いいね。とてもかわいいよ。ここを舐めて綺麗にしてあげよう。……うん?もう垂らしてるな」
「ああっ、ちが、ちがうのぉ!」
「違わないよレオノア。触ってもいないのに、どんどん溢れてくるじゃないか」
「あ……!だ、めっ!いきなり吸っちゃ…………ああーーーっ!」

蜜月を実に気分よく開始することができたと満足の笑みを浮かべながら、ウィリアムはかぐわしい香りを漂わせる白い脚の間に顔を埋めた。





神話の国リングオーサはこの後も長く栄え、独立した不可侵国家として名を馳せることになる。
女神の娘と言われた王女は初恋を実らせ、幸せな生涯を送った。

レオノアが二人の娘と一人の息子をもうけたことも
娘がレオノアにそっくりで、即位し王となったエドワードが姪を溺愛したことも
ウィリアムの髪が徐々に黒くなり、それにあわせて魔力が元に戻ることも
まだ少しだけ、先のおはなし。




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お読みいただきありがとうございました。ようやく完結とすることができました。
初めてのことで、大変拙く未熟な文章を晒してしまい申し訳ありませんでした。
気軽に(何も考えず行き当たりばったりで)投稿し、これはまずいと気づいた時には後の祭りで……。一読して何だこれは、と思われた方々にはご容赦くださいとしか申し上げられません。。

そんな中で、お時間を割き読んでくださった方、手を動かしてお気に入り登録をしてくださった方、何よりコメントをお寄せくださった方には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。少しでもお気に召していただけたら嬉しいです。

次こそは、もっと準備して書けたらいいなと思います。どこかでお目にかかれることがあったら、またよろしくお願いいたします。
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