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26.踏み出す勇気②
俯いたままの私にルカ様が声を掛けてくる。
「シシリア、こっちを見て」
その言葉に頭を上げると、彼は私の目をまっすぐ見てくる。決断できない私に苛立っている様子はない。
どんなことにも彼は動じないのだろう。未熟な私とは違って…。
「君の妹は悪くない。だからといって君が全てを背負う必要もない。魔術によって成り立っている現状が間違っているんだ。間違っていることを正そうとすることは、客観的に見て正しい選択だ。
魔術を解くことは本来の形に戻すだけのことだ」
ルカ様が言っていることは正しい、反論する余地などない。
「分かっています!でもどうしても考えてしまうのです。妹のことを…」
人には感情がある、最善の選択がなにか分かっていても常にそれを選べる訳ではない。
術が解けたらすべてが元に戻る。つまりガイアは私の婚約者になるということ。
妹は自分の魔力と想いが術に関わっていたと知ったうえに、愛する人を失うのだ。
壊れてしまうかもしれない。
「君が妹を大切に思っているのは理解している、だから君が悩む気持ちも否定はしない」
彼は頷きながら優しくそう言い、少し間をあけてから再び話し出した。
「今回のことは本当に特別なことだ。だが人生において困難なことは誰にだってある。
君にだって、私にだって、君の妹にだって。
周りが助けてくれることもあるし、躓くことだってあるだろう。
君の妹は被害者だが、関わっているのは事実。直接責任はなくても、向き合わなくてはならない。
理不尽だろうと、人生はそんなものだ。
そして君は今回は妹の代わりになれない」
彼はきっぱりと言い切った。
『妹の代わりになれない』
そうだ、あの子は大切な妹。
私の一部ではない。
今まで頼まれたら代わってあげていた。
でも守るではなく、見守るに変えていく時なのかもしれない。
「…私、勘違いしていたんですね」
あの子が転ぶ前に石を退けてばかりいたのかもしれない。
『お姉さま、助けて…』と泣きながらそう言う妹を姉として見捨てられなかった。
幼かった頃はそれでも良かったかもしれない、でももう妹は子供ではない。
「それは違う。シシリア、君は妹を大切にしていたんだ」
彼は寄り添うように私に言葉を紡いでくれる。
私を責めもせず、ただそこにいてくれる。
私の心を揺さぶり考えさせ、踏み出せないでいる私の背をそっと押して、私が罪悪感を抱かないようにしている。
…彼はどこまで先を見通しているのだろう。
「ルカ様。私、ルーシーに全てを話します。
そして歪んだものを正します。術が解けて、苦しんでいる人がいたらその時は…寄り添ってあげることにします」
迷いはなくなってはいない、でも踏み出そうと思う。自分のために、大切な人達のために。
まっすぐと彼の目を見つめ返すことができていた。
彼は私に右手を差し出してくる。
「決心してくれてありがとう。
これから魔術を一緒に解いていこう」
「はい!ルカ様、よろしくお願いします」
温かい彼の手を強く握り返し、前に進むことを誓った。
「シシリア、こっちを見て」
その言葉に頭を上げると、彼は私の目をまっすぐ見てくる。決断できない私に苛立っている様子はない。
どんなことにも彼は動じないのだろう。未熟な私とは違って…。
「君の妹は悪くない。だからといって君が全てを背負う必要もない。魔術によって成り立っている現状が間違っているんだ。間違っていることを正そうとすることは、客観的に見て正しい選択だ。
魔術を解くことは本来の形に戻すだけのことだ」
ルカ様が言っていることは正しい、反論する余地などない。
「分かっています!でもどうしても考えてしまうのです。妹のことを…」
人には感情がある、最善の選択がなにか分かっていても常にそれを選べる訳ではない。
術が解けたらすべてが元に戻る。つまりガイアは私の婚約者になるということ。
妹は自分の魔力と想いが術に関わっていたと知ったうえに、愛する人を失うのだ。
壊れてしまうかもしれない。
「君が妹を大切に思っているのは理解している、だから君が悩む気持ちも否定はしない」
彼は頷きながら優しくそう言い、少し間をあけてから再び話し出した。
「今回のことは本当に特別なことだ。だが人生において困難なことは誰にだってある。
君にだって、私にだって、君の妹にだって。
周りが助けてくれることもあるし、躓くことだってあるだろう。
君の妹は被害者だが、関わっているのは事実。直接責任はなくても、向き合わなくてはならない。
理不尽だろうと、人生はそんなものだ。
そして君は今回は妹の代わりになれない」
彼はきっぱりと言い切った。
『妹の代わりになれない』
そうだ、あの子は大切な妹。
私の一部ではない。
今まで頼まれたら代わってあげていた。
でも守るではなく、見守るに変えていく時なのかもしれない。
「…私、勘違いしていたんですね」
あの子が転ぶ前に石を退けてばかりいたのかもしれない。
『お姉さま、助けて…』と泣きながらそう言う妹を姉として見捨てられなかった。
幼かった頃はそれでも良かったかもしれない、でももう妹は子供ではない。
「それは違う。シシリア、君は妹を大切にしていたんだ」
彼は寄り添うように私に言葉を紡いでくれる。
私を責めもせず、ただそこにいてくれる。
私の心を揺さぶり考えさせ、踏み出せないでいる私の背をそっと押して、私が罪悪感を抱かないようにしている。
…彼はどこまで先を見通しているのだろう。
「ルカ様。私、ルーシーに全てを話します。
そして歪んだものを正します。術が解けて、苦しんでいる人がいたらその時は…寄り添ってあげることにします」
迷いはなくなってはいない、でも踏み出そうと思う。自分のために、大切な人達のために。
まっすぐと彼の目を見つめ返すことができていた。
彼は私に右手を差し出してくる。
「決心してくれてありがとう。
これから魔術を一緒に解いていこう」
「はい!ルカ様、よろしくお願いします」
温かい彼の手を強く握り返し、前に進むことを誓った。
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