29 / 62
28.狩猟大会の始まり
しおりを挟む
狩猟大会当日の朝。
狩猟の場となる王室が所有する領地に到着すると、すでに貴族令息令嬢の姿がたくさん見受けられた。大会が始まるまであと一時間ほど余裕があるのに、待ちきれなかったのだろう。
私はそんな彼らの横を素通りして魔法士達の姿を捜した。中央に集合することになっているけど、なかなか見つからない。いつもと違って漆黒の制服を纏っていないので紛れてしまっているのだ。
あっ、いた……。
私が最初に見つけたのは紫銀の髪だった。駆け寄ろうとして足を一歩踏み出したところで、ぎこちなく動きが止まってしまう。
どんな顔で挨拶すればいいのか――というよりも、この緩んでしまった顔をなんとかしないと……。
私は頬に手を当てて、筋肉に刺激を与える。
でも、焦れば焦るほど、昨日の記憶が鮮明に蘇ってくる。にやけた顔を周りの人に見られまいと顔を伏せていると、誰かの靴先が私の目に映った。
「リディ、おはよう」
「ひゃっ! お、おひゃよう……ございまする」
「くっくく、なんだその言葉使いは。でも、良かった。昨日のことは忘れていないようだな」
ルークライはいつもと同じように笑顔を見せてきた。私と違って余裕があるのが羨ましい。
彼の肩には白がとまっている。でも、漆黒ではなく灰色がかった白を基調としたシンプルな服なので、周囲からは濡れ鴉だという声は聞こえてこない。
それでも、彼に秋波を送る令嬢はあとを絶たない。以前なら相変わらずモテるなで終わっていたけれど、今はモヤモヤしてしまう。だって、私には焼きもちを焼く権利がある――と思うと、嬉しくもあった。
口元は緩んでいるのに目は少しだけ鋭い、そんな変な顔をする私。ふと、彼を見れば同じような顔をしている。
「リディの可愛い姿を、他の奴が邪な目で見ると思うと許せないな。片っ端から射殺してしまいそうだ」
ルークライが真顔で冗談を言うと、後ろから誰かが口を挟んでくる。
「射殺すとは穏やかではありませんね。魔法士の評判を落とされては困るので、できたら覆面でもして闇討ちでお願いしますよ、ルークライ」
颯爽と登場したのはタイアンだ。
彼は今日、魔法士としてではなく王弟としてこの場にいるので、王族に相応しい綺羅びやかな衣装を身に着けている。
「ただの冗談です、タイアン魔法士長」
「はっはは、そんな顔してよく言いますね。大丈夫ですよ、他言などしませんから。それはそうと、リディ。どうやら嫌われる勇気を出せたようですね。おめでとうございます、でいいですか?」
「ほへぇ?!」
こんな変な声を出したのは初めてだった。まるで彼は、私とルークライに昨日何があったのか分かっているような口ぶりで。
私は横に立っているルークライをパッと見た。
「ルーク、もう話したの?」
いつかは報告するべきだと思っていたけれど、昨日の今日とは思わなかった。だが、返事をしたのは彼ではなく、タイアンのほうだった。
「ふたりの様子から察しただけですよ、リディ。彼は大切なことは私に話しません。ね? ルークライ」
「タイアン魔法士長、個人的なことに他人が口を出すのはやめてください」
「それは失礼しました。余計なお節介が過ぎましたね。では、この話は終わりにしましょう。そろそろ、主催者の挨拶が始まるようですし」
タイアンは私達から離れて、中央に設けられた壇上に向かっていく。壇上の上にはすでにザラ王女の姿があった。
狩猟大会の主催は年若い王族が担うのが慣例となっている。実際に準備をするのは家臣なので王族は名前だけ。今年成人したばかりの王女でも十分に務まるのだ。
彼女が纏っているドレスは、昨日見たものとは違っていた。遠目から見てもその光沢から高級な布地を使用していると分かる。叔父であるタイアンに嫌われたくなくて、本来用意したものを着たのだろう。
私とルークライが他の魔法士達と合流すると、ちょうどザラ王女が壇上で挨拶を始めた。
「お集まりの皆さま。今日は待ちに待った狩猟大会です。ご存知の通り、ただ狩るのが目的ではありません。どうぞ、この機会に人脈を広げてくださいませ。そして、素敵な出逢いを見つけてくださいませ。それがこの国を支えることに繋がっていくのです」
威風堂々とした王女に参加者達から拍手喝采が起こる。王族としての教育の賜物だろうけど、出来れば外面だけでなく内面もこうであって欲しかった。
周囲に合わせては私も手を叩いていると、ルークライが耳打ちしてきた。
「暫く俺達の仲は伏せておこう。王女が――」
「分かってる、ルークに夢中なんでしょ。タイアン魔法士長から聞いたわ」
「すまない。しつこくてな……」
「平気よ。タイアン魔法士長も私達の味方だから」
そう言うと途端に彼の眉間に皺が寄る。
この顔、誰かに似ている? そうか、タイアンに似ているのだ。ルークライとタイアンはまったく容姿に共通点はないのに、ふとした表情が似る時がある。
飼い主と犬が似るように、上官と部下も似ることがあるようだ。
王女の挨拶が終わると、続いて文官達の説明が始まった。例年ルールは同じだけど、初めて参加する者のために行うのだ。
狩猟大会と言っても、本当に殺傷するわけではない。これは安全な娯楽。
この森には狼竜という珍しい生き物が生息している。その見た目から厳つい名前がついているが、とても穏やかな性格をしていて襲ってこないし逃げもしない。
でも、それだと狩りにならない。なので、この日のために事前に捕獲して興奮作用のある食事を与えたあと放つのだ。のろのろと逃げ回わる狼竜を、参加者達は歩いて追いかけ弓で射る。と言っても、殺傷能力はなく毛に色をつけるだけ。最後に色を数えて優勝者が決まるのだ。
貴族令息令嬢のお遊びに付き合わされる狼竜はいい迷惑である。
「では、それぞれ指定された場所へ行ってください。健闘を祈ります」
文官がそう告げると、ぞろぞろと参加者達が移動を始める。
王女を筆頭に令嬢達はみな華やかなドレスを着ている。でも、動きやすいように、いつもより丈が短くボリュームも押さえ気味だ。
魔法士達も彼らに紛れて、それぞれの配置場所へと移動する。誰かを警護するわけではないので、定められたエリアをひとりで巡回するような形で任務につく。
何かあったら各自の判断で対応することになっているが、過去を遡っても問題が発生したことはないらしい。
この森は周りをぐるりと荒野に囲まれており、ぽっかりと浮かんだ島のようだった。騎士達が取り囲むように警備しているので、外部からの侵入を許したことはない。
参加者は素性が確かな令息令嬢のみなので、問題が起こりようがないのだ。みな輝かしい自分の将来を潰す気などない。
魔法士は本当にいるだけという感じであった。
私が配置されたのは北東よりのエリアだった。中央から離れているけれど景色が一番美しい場所だ。そこを目指して歩いている令嬢のなかに義妹がいた。
厳密に言えば私服の今日は王宮の鴉ではない。だから、私は声を掛けた。
「待って、シャロン」
「シャロンお姉様、あら、その服……」
振り返った彼女は気まずそうな顔をしている。どうやら、私の予想は当たっていたようだ。
狩猟の場となる王室が所有する領地に到着すると、すでに貴族令息令嬢の姿がたくさん見受けられた。大会が始まるまであと一時間ほど余裕があるのに、待ちきれなかったのだろう。
私はそんな彼らの横を素通りして魔法士達の姿を捜した。中央に集合することになっているけど、なかなか見つからない。いつもと違って漆黒の制服を纏っていないので紛れてしまっているのだ。
あっ、いた……。
私が最初に見つけたのは紫銀の髪だった。駆け寄ろうとして足を一歩踏み出したところで、ぎこちなく動きが止まってしまう。
どんな顔で挨拶すればいいのか――というよりも、この緩んでしまった顔をなんとかしないと……。
私は頬に手を当てて、筋肉に刺激を与える。
でも、焦れば焦るほど、昨日の記憶が鮮明に蘇ってくる。にやけた顔を周りの人に見られまいと顔を伏せていると、誰かの靴先が私の目に映った。
「リディ、おはよう」
「ひゃっ! お、おひゃよう……ございまする」
「くっくく、なんだその言葉使いは。でも、良かった。昨日のことは忘れていないようだな」
ルークライはいつもと同じように笑顔を見せてきた。私と違って余裕があるのが羨ましい。
彼の肩には白がとまっている。でも、漆黒ではなく灰色がかった白を基調としたシンプルな服なので、周囲からは濡れ鴉だという声は聞こえてこない。
それでも、彼に秋波を送る令嬢はあとを絶たない。以前なら相変わらずモテるなで終わっていたけれど、今はモヤモヤしてしまう。だって、私には焼きもちを焼く権利がある――と思うと、嬉しくもあった。
口元は緩んでいるのに目は少しだけ鋭い、そんな変な顔をする私。ふと、彼を見れば同じような顔をしている。
「リディの可愛い姿を、他の奴が邪な目で見ると思うと許せないな。片っ端から射殺してしまいそうだ」
ルークライが真顔で冗談を言うと、後ろから誰かが口を挟んでくる。
「射殺すとは穏やかではありませんね。魔法士の評判を落とされては困るので、できたら覆面でもして闇討ちでお願いしますよ、ルークライ」
颯爽と登場したのはタイアンだ。
彼は今日、魔法士としてではなく王弟としてこの場にいるので、王族に相応しい綺羅びやかな衣装を身に着けている。
「ただの冗談です、タイアン魔法士長」
「はっはは、そんな顔してよく言いますね。大丈夫ですよ、他言などしませんから。それはそうと、リディ。どうやら嫌われる勇気を出せたようですね。おめでとうございます、でいいですか?」
「ほへぇ?!」
こんな変な声を出したのは初めてだった。まるで彼は、私とルークライに昨日何があったのか分かっているような口ぶりで。
私は横に立っているルークライをパッと見た。
「ルーク、もう話したの?」
いつかは報告するべきだと思っていたけれど、昨日の今日とは思わなかった。だが、返事をしたのは彼ではなく、タイアンのほうだった。
「ふたりの様子から察しただけですよ、リディ。彼は大切なことは私に話しません。ね? ルークライ」
「タイアン魔法士長、個人的なことに他人が口を出すのはやめてください」
「それは失礼しました。余計なお節介が過ぎましたね。では、この話は終わりにしましょう。そろそろ、主催者の挨拶が始まるようですし」
タイアンは私達から離れて、中央に設けられた壇上に向かっていく。壇上の上にはすでにザラ王女の姿があった。
狩猟大会の主催は年若い王族が担うのが慣例となっている。実際に準備をするのは家臣なので王族は名前だけ。今年成人したばかりの王女でも十分に務まるのだ。
彼女が纏っているドレスは、昨日見たものとは違っていた。遠目から見てもその光沢から高級な布地を使用していると分かる。叔父であるタイアンに嫌われたくなくて、本来用意したものを着たのだろう。
私とルークライが他の魔法士達と合流すると、ちょうどザラ王女が壇上で挨拶を始めた。
「お集まりの皆さま。今日は待ちに待った狩猟大会です。ご存知の通り、ただ狩るのが目的ではありません。どうぞ、この機会に人脈を広げてくださいませ。そして、素敵な出逢いを見つけてくださいませ。それがこの国を支えることに繋がっていくのです」
威風堂々とした王女に参加者達から拍手喝采が起こる。王族としての教育の賜物だろうけど、出来れば外面だけでなく内面もこうであって欲しかった。
周囲に合わせては私も手を叩いていると、ルークライが耳打ちしてきた。
「暫く俺達の仲は伏せておこう。王女が――」
「分かってる、ルークに夢中なんでしょ。タイアン魔法士長から聞いたわ」
「すまない。しつこくてな……」
「平気よ。タイアン魔法士長も私達の味方だから」
そう言うと途端に彼の眉間に皺が寄る。
この顔、誰かに似ている? そうか、タイアンに似ているのだ。ルークライとタイアンはまったく容姿に共通点はないのに、ふとした表情が似る時がある。
飼い主と犬が似るように、上官と部下も似ることがあるようだ。
王女の挨拶が終わると、続いて文官達の説明が始まった。例年ルールは同じだけど、初めて参加する者のために行うのだ。
狩猟大会と言っても、本当に殺傷するわけではない。これは安全な娯楽。
この森には狼竜という珍しい生き物が生息している。その見た目から厳つい名前がついているが、とても穏やかな性格をしていて襲ってこないし逃げもしない。
でも、それだと狩りにならない。なので、この日のために事前に捕獲して興奮作用のある食事を与えたあと放つのだ。のろのろと逃げ回わる狼竜を、参加者達は歩いて追いかけ弓で射る。と言っても、殺傷能力はなく毛に色をつけるだけ。最後に色を数えて優勝者が決まるのだ。
貴族令息令嬢のお遊びに付き合わされる狼竜はいい迷惑である。
「では、それぞれ指定された場所へ行ってください。健闘を祈ります」
文官がそう告げると、ぞろぞろと参加者達が移動を始める。
王女を筆頭に令嬢達はみな華やかなドレスを着ている。でも、動きやすいように、いつもより丈が短くボリュームも押さえ気味だ。
魔法士達も彼らに紛れて、それぞれの配置場所へと移動する。誰かを警護するわけではないので、定められたエリアをひとりで巡回するような形で任務につく。
何かあったら各自の判断で対応することになっているが、過去を遡っても問題が発生したことはないらしい。
この森は周りをぐるりと荒野に囲まれており、ぽっかりと浮かんだ島のようだった。騎士達が取り囲むように警備しているので、外部からの侵入を許したことはない。
参加者は素性が確かな令息令嬢のみなので、問題が起こりようがないのだ。みな輝かしい自分の将来を潰す気などない。
魔法士は本当にいるだけという感じであった。
私が配置されたのは北東よりのエリアだった。中央から離れているけれど景色が一番美しい場所だ。そこを目指して歩いている令嬢のなかに義妹がいた。
厳密に言えば私服の今日は王宮の鴉ではない。だから、私は声を掛けた。
「待って、シャロン」
「シャロンお姉様、あら、その服……」
振り返った彼女は気まずそうな顔をしている。どうやら、私の予想は当たっていたようだ。
1,845
あなたにおすすめの小説
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
私だけが家族じゃなかったのよ。だから放っておいてください。
鍋
恋愛
男爵令嬢のレオナは王立図書館で働いている。古い本に囲まれて働くことは好きだった。
実家を出てやっと手に入れた静かな日々。
そこへ妹のリリィがやって来て、レオナに助けを求めた。
※このお話は極端なざまぁは無いです。
※最後まで書いてあるので直しながらの投稿になります。←ストーリー修正中です。
※感想欄ネタバレ配慮無くてごめんなさい。
※SSから短編になりました。
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる