36 / 62
35.今できること
しおりを挟む
私が目覚めたのは狩猟大会から二日後だった。
左腕の二の腕から手首にかけて狼竜の爪に酷く抉られていたけど、それ以外は全身にかすり傷を負っているだけ。
――ルークライが守ってくれたのだ。
応援が到着したとき、三頭の狼竜は動かない何かを爪で嬲っていたという。
魔法士と騎士達は力を合わせてまず三頭の狼竜を何かから引き離し、防御の盾の中に閉じ込めた。そして、その何かが、泥と血に塗れたルークライと私だと気づいたらしい。
病室で目覚めたばかりの私に、タイアンは推測ですがと前置きしてからこう告げた。
『リディアが魔力の枯渇で意識を失ったあとも、ルークライは暫く意識を保っていたのでしょう』
『どうしてそう思うのですか?』
『彼はまだ微かに残っていた魔力で防御の盾を発動したんだと思います。自分の身を盾にするようにあなたを抱きしめ、そして、覆えなかったリディアの背中を盾で守ったのではないでしょうか。……そうでなければ、あなたはルークライと同じような状態だったはずです』
『同じようなって、ルークはどこですか? 彼の怪我は?』
病室には私が横たわっているベッドしかなかった。興奮する私を見て医者が何かを飲ませようとしてきたので、私は動かせる右手を振り回して拒んだ。動かない左手にはしった激痛が、起きたばかりでぼんやりしていた頭を覚醒させてくれた。
『いや、ルークに会わせて!』
『落ち着いてください、リディア。そんなに動いたらまた出血します。今から彼のところに連れて行ってあげます。大人しくできるならですが。どうしますか?』
『お願いします!』
タイアンは私を車椅子に乗せて、彼がいる病室へと連れて行ってくれた。ベッドに横たわった彼は全身に深い裂傷を負っていて、右足の膝から下を失っていた。
『まだ心臓は動いています』
そう告げたのは、彼の横に立っていたお医者様。絶望を必死で隠している、そんな顔をしていた。タイアンを見れば、彼もまた悲痛な表情を浮かべて、動かないルークライをじっと見つめていた。
『……起きて、ルーク。お願い……ひとりぼっちにしない……で…』
◇ ◇ ◇
目覚めない彼に縋って泣きじゃくったあの日から五日が過ぎた。
――ルークライはまだ目覚めない。
左手を三角巾でつった私は車椅子に乗って、時間が許す限り彼のもとに通っている。歩いていくと申し出たけど、それなら会うのを許可しないと言われてしまったから。
医者が曰く、左腕の裂傷は深く予後次第では腕自体を失うらしい。
……腕なんてどうでもいい。
でも、彼に会えないのは耐えられない。
車椅子を押してくれるのは看護士が殆どだったけど、たまにタイアンが押してくれる時もあった。
私とルークライはともにまだ面会謝絶だったけど、タイアンは王弟という立場で面会を許されていたからだ。
そして、私がルークライに面会出来るのは「彼女は患者の婚約者です」と、タイアンが口添えしてくれたから。
今日は看護士が私をルークライの病室に連れてきてくれた。彼女は「一時間後に迎えに来ますね」と部屋から出ていった。
「おはよう、ルーク」
眠ったままの彼の唇に自分の唇をそっと重ねる。こうすると手を繋ぐよりも魔力を浸透させやすいと気づいたからだ。
少しづつ回復している魔力を私は彼に渡している。お医者様には内緒。バレたら「無茶をして腕を失ってもいいのですか!」と面会を禁じられるから。
……腕なんか惜しくない。
魔力は回復を助けるけど、他人のそれが回復に役立つのかは分からない。でも、魔力が害を及ぼすことはないから続けている。それに彼が感じているであろう苦痛を少しでも減らしてあげたい。
「心地いいでしょ?」
彼は答えない。
「結婚式の話の続き早くしたいな」
彼の目は閉じたまま。
「紫銀の髪の子が欲しいな」
彼は頷いてくれない。
独り言のような会話をしていると、廊下を歩く足音が近づいて来て病室にタイアンが現れた。
「おはようございます、リディア、ルークライ。顔色は……変わりませんね。ですが、悪くもなっていないから良い兆候でしょう」
タイアンは医者と違って、ルークライにもちゃんと話し掛けてくれる。彼もまた奇跡という名の希望を捨てていないのだ。私にとって心強い同志。
「おはようございます、タイアン魔法士長。それから、白も」
「……ヵ」
白に会えたのは、あの日以来今日が初めて。タイアンが扉を開けたときにすっと入って来たのだ。
撫でようと右手を伸ばしたけれど、さっと避けられてしまった。俺様を触る資格はないと言わんばかりの態度で。この鴉はもう少し謙虚になったほうがいい。
……でも、生きていてくれてありがとう、白。
ルークライもきっと喜ぶ。
「この子は飼い主にしか懐きませんね。餌をあげているのに私の髪を毟ってくるんですよ。本当に恩知らずな鴉です」
そう告げるタイアンの肩に白が自らとまったのを見て、私は息を呑んだ。
あの日、兄の案内によって岩洞に向かっていた応援部隊は途中で白に遭遇したらしい。その後から白は気まぐれにタイアンと行動を共にすることもあると聞いていたけど。
……まさかという思いが頭を過ぎる。
「個人的なことをお聞きしてもいいですか?」
「いいですよ。ですが、まずは座ってください。立ったままでは傷に障ります。あなたに何かあったら、ルークライに殺されそうです」
タイアンは物騒なことを口にしながら微笑んでいる。彼は以前『もう十分嫌われていますから』と告げたときもどこか嬉しそうだった。
どんなに子供に嫌われても、親は子供を嫌ったりしませんと言っていたのは誰? ……そう、タイアンだ。
ずっと立ったままだと目眩がしてしまうので、私は差し出された車椅子に座った。壁際にあった椅子を私の前に置いて、彼もまた腰を下ろした。
私はひと呼吸置いてから向き合う。
「ルークライの父親はあなたでしょうか?」
「彼から聞いたんですね。そうです、私があの子の父親です。彼に信用されているあなたが羨ましいですよ。私は信用されていないどころか憎まれていますから」
……やはりそうなのだ。
「どうして憎まれているのか聞いてもいいですか?」
興味本位で聞いたわけでない。ルークライは絶対に目覚める。もしタイアンが彼の言う通り最低の父親なら、彼に近づけさせたくない。
もし左腕が腐って落ちたら、それを顔に投げつけて追い払ってやるから。
考えていることが顔に出ていたのだろう、タイアンは私を見ながら力なく笑った。
「これから真実を話しますが、軽蔑してくれて構いません」
「はい」
「……容赦ない返事ですね」
「はい」
言われなくとも最低な父親なら軽蔑するし、ルークライの為ならそれ以上だってするつもりだ。彼は私をずっと支えてくれた。今度は私が彼を支える。
私は尊敬するアクセル・タイアンに初めて厳しい眼差しを投げつけた。
左腕の二の腕から手首にかけて狼竜の爪に酷く抉られていたけど、それ以外は全身にかすり傷を負っているだけ。
――ルークライが守ってくれたのだ。
応援が到着したとき、三頭の狼竜は動かない何かを爪で嬲っていたという。
魔法士と騎士達は力を合わせてまず三頭の狼竜を何かから引き離し、防御の盾の中に閉じ込めた。そして、その何かが、泥と血に塗れたルークライと私だと気づいたらしい。
病室で目覚めたばかりの私に、タイアンは推測ですがと前置きしてからこう告げた。
『リディアが魔力の枯渇で意識を失ったあとも、ルークライは暫く意識を保っていたのでしょう』
『どうしてそう思うのですか?』
『彼はまだ微かに残っていた魔力で防御の盾を発動したんだと思います。自分の身を盾にするようにあなたを抱きしめ、そして、覆えなかったリディアの背中を盾で守ったのではないでしょうか。……そうでなければ、あなたはルークライと同じような状態だったはずです』
『同じようなって、ルークはどこですか? 彼の怪我は?』
病室には私が横たわっているベッドしかなかった。興奮する私を見て医者が何かを飲ませようとしてきたので、私は動かせる右手を振り回して拒んだ。動かない左手にはしった激痛が、起きたばかりでぼんやりしていた頭を覚醒させてくれた。
『いや、ルークに会わせて!』
『落ち着いてください、リディア。そんなに動いたらまた出血します。今から彼のところに連れて行ってあげます。大人しくできるならですが。どうしますか?』
『お願いします!』
タイアンは私を車椅子に乗せて、彼がいる病室へと連れて行ってくれた。ベッドに横たわった彼は全身に深い裂傷を負っていて、右足の膝から下を失っていた。
『まだ心臓は動いています』
そう告げたのは、彼の横に立っていたお医者様。絶望を必死で隠している、そんな顔をしていた。タイアンを見れば、彼もまた悲痛な表情を浮かべて、動かないルークライをじっと見つめていた。
『……起きて、ルーク。お願い……ひとりぼっちにしない……で…』
◇ ◇ ◇
目覚めない彼に縋って泣きじゃくったあの日から五日が過ぎた。
――ルークライはまだ目覚めない。
左手を三角巾でつった私は車椅子に乗って、時間が許す限り彼のもとに通っている。歩いていくと申し出たけど、それなら会うのを許可しないと言われてしまったから。
医者が曰く、左腕の裂傷は深く予後次第では腕自体を失うらしい。
……腕なんてどうでもいい。
でも、彼に会えないのは耐えられない。
車椅子を押してくれるのは看護士が殆どだったけど、たまにタイアンが押してくれる時もあった。
私とルークライはともにまだ面会謝絶だったけど、タイアンは王弟という立場で面会を許されていたからだ。
そして、私がルークライに面会出来るのは「彼女は患者の婚約者です」と、タイアンが口添えしてくれたから。
今日は看護士が私をルークライの病室に連れてきてくれた。彼女は「一時間後に迎えに来ますね」と部屋から出ていった。
「おはよう、ルーク」
眠ったままの彼の唇に自分の唇をそっと重ねる。こうすると手を繋ぐよりも魔力を浸透させやすいと気づいたからだ。
少しづつ回復している魔力を私は彼に渡している。お医者様には内緒。バレたら「無茶をして腕を失ってもいいのですか!」と面会を禁じられるから。
……腕なんか惜しくない。
魔力は回復を助けるけど、他人のそれが回復に役立つのかは分からない。でも、魔力が害を及ぼすことはないから続けている。それに彼が感じているであろう苦痛を少しでも減らしてあげたい。
「心地いいでしょ?」
彼は答えない。
「結婚式の話の続き早くしたいな」
彼の目は閉じたまま。
「紫銀の髪の子が欲しいな」
彼は頷いてくれない。
独り言のような会話をしていると、廊下を歩く足音が近づいて来て病室にタイアンが現れた。
「おはようございます、リディア、ルークライ。顔色は……変わりませんね。ですが、悪くもなっていないから良い兆候でしょう」
タイアンは医者と違って、ルークライにもちゃんと話し掛けてくれる。彼もまた奇跡という名の希望を捨てていないのだ。私にとって心強い同志。
「おはようございます、タイアン魔法士長。それから、白も」
「……ヵ」
白に会えたのは、あの日以来今日が初めて。タイアンが扉を開けたときにすっと入って来たのだ。
撫でようと右手を伸ばしたけれど、さっと避けられてしまった。俺様を触る資格はないと言わんばかりの態度で。この鴉はもう少し謙虚になったほうがいい。
……でも、生きていてくれてありがとう、白。
ルークライもきっと喜ぶ。
「この子は飼い主にしか懐きませんね。餌をあげているのに私の髪を毟ってくるんですよ。本当に恩知らずな鴉です」
そう告げるタイアンの肩に白が自らとまったのを見て、私は息を呑んだ。
あの日、兄の案内によって岩洞に向かっていた応援部隊は途中で白に遭遇したらしい。その後から白は気まぐれにタイアンと行動を共にすることもあると聞いていたけど。
……まさかという思いが頭を過ぎる。
「個人的なことをお聞きしてもいいですか?」
「いいですよ。ですが、まずは座ってください。立ったままでは傷に障ります。あなたに何かあったら、ルークライに殺されそうです」
タイアンは物騒なことを口にしながら微笑んでいる。彼は以前『もう十分嫌われていますから』と告げたときもどこか嬉しそうだった。
どんなに子供に嫌われても、親は子供を嫌ったりしませんと言っていたのは誰? ……そう、タイアンだ。
ずっと立ったままだと目眩がしてしまうので、私は差し出された車椅子に座った。壁際にあった椅子を私の前に置いて、彼もまた腰を下ろした。
私はひと呼吸置いてから向き合う。
「ルークライの父親はあなたでしょうか?」
「彼から聞いたんですね。そうです、私があの子の父親です。彼に信用されているあなたが羨ましいですよ。私は信用されていないどころか憎まれていますから」
……やはりそうなのだ。
「どうして憎まれているのか聞いてもいいですか?」
興味本位で聞いたわけでない。ルークライは絶対に目覚める。もしタイアンが彼の言う通り最低の父親なら、彼に近づけさせたくない。
もし左腕が腐って落ちたら、それを顔に投げつけて追い払ってやるから。
考えていることが顔に出ていたのだろう、タイアンは私を見ながら力なく笑った。
「これから真実を話しますが、軽蔑してくれて構いません」
「はい」
「……容赦ない返事ですね」
「はい」
言われなくとも最低な父親なら軽蔑するし、ルークライの為ならそれ以上だってするつもりだ。彼は私をずっと支えてくれた。今度は私が彼を支える。
私は尊敬するアクセル・タイアンに初めて厳しい眼差しを投げつけた。
2,214
あなたにおすすめの小説
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
『紅茶の香りが消えた午後に』
柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。
けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。
誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。
私だけが家族じゃなかったのよ。だから放っておいてください。
鍋
恋愛
男爵令嬢のレオナは王立図書館で働いている。古い本に囲まれて働くことは好きだった。
実家を出てやっと手に入れた静かな日々。
そこへ妹のリリィがやって来て、レオナに助けを求めた。
※このお話は極端なざまぁは無いです。
※最後まで書いてあるので直しながらの投稿になります。←ストーリー修正中です。
※感想欄ネタバレ配慮無くてごめんなさい。
※SSから短編になりました。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる