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1.別れ
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---二年前---
今日は素晴らしい記念日になる事だろう。やっと妻と別れることが出来るのだ。
いつの間にか俺の妻の座に納まっていた忌々しい女、どんなに離縁しようとしても首を縦に振らなかった女。それどころか、俺の愛する人に危害まで加えようとしていたとは。彼女が勇気を出して俺に相談してなかったらと考えるとゾッとする。
最初はなんとか穏便に別れようと考えていたが、そんな甘い態度は妻を増長させるだけだとやっと気づいた。
俺の女神を傷つけようとしたんだ、その報いはしっかりと払ってもらおう。
手続きを依頼している弁護士だけではなく公爵の父と公爵夫人の母も証人として今日は呼んである。これから妻もこの部屋に来るだろう。
そしたら始めよう。
コンコンコン。扉が控えめにノックされ陰気臭い顔をした妻が部屋へと入ってきた。部屋にいるのが俺だけではなく父母や弁護士もいることに怪訝な表情をしているが、大人しくしソファに座って誰かが話し出すのを待っている。
どうしてこの女と俺が結婚したのかよく覚えていないが、父母はこの結婚に賛成はしてなかったようだ。俺が女と離縁をするつもりだと言ったら、父は反対しなかったし母は賛成をしてくれた。あの女は子爵家出身で元から俺とは釣り合いが取れていなかった。
本当になんで結婚をしたのか不思議で仕方がない。大方酒に酔った勢いで過ちでも犯して責任を取らされたのだろう。今となってはどうでもいい事だが。
俺は前置きもなく話を切り出した。
「サラ、お前とは別れることにした。これが書類だ、ここに署名をしろ」
「嫌です、私は決して離縁はしません。貴方は今、正常な状態ではないわ」
「何を勘違いしている。離縁ではなく、これは婚姻無効の書類だ」
「えっ!何を言ってるの?婚姻無効?どういうことなの」
妻が驚いた表情で俺をや両親を見てくるが、誰もそんな表情には騙されない。お前のしたことはもうばれているんだ。
同席している弁護士が事務的に説明を始めた。
「一年前の婚姻の書類は偽造されていました。よってこの婚姻は無効となります。偽造書類を提出したサラさんは公爵家に慰謝料を払う必要があります」
「私は偽造なんてしてないわ。何を言ってるの」
「これをご覧ください。マキタ様の名前がサラさんの筆跡で書かれています。貴女が偽造した証拠です。それにこの婚姻届をサラさんが書いていたのを公爵夫妻が見ていました。偽造の証人も揃っています。言い逃れは出来ませんよ」
「あの時マキタが利き腕を怪我していたから私が代わりに書いてあげたのよ。いい思い出になるって笑ってたじゃない。勝手に書いわけではないわ、それはお義父様もお義母様も知っていることよ」
妻は必死に弁解しているが、公爵夫妻は黙ったまま嫁であるサラに冷たい視線をおくるだけだった。
妻はこの場に自分の味方がいない事を悟ったようだ。この女の唯一良いところは頭の良さだ、一を聞いて十を知るので話が早い。
「今、署名をしないなら、公爵家として訴えを起こす準備をしています。そうなればサラさんの実家の子爵家も跡継ぎの弟さんも大変なことになりますよ、いいんですか」
「………」
「さぁ、署名をお願いします」
弁護士が畳みかける様に妻に署名を促すが、なかなかペンを取らない。俺がイライラし始めると、やっと口を開いた。
「分かったわ。でも貴方はきっと婚姻無効にしたことをいつか後悔をするわ。それでもいいの?私は貴方を苦しませたくない」
「後悔はこの結婚自体だ、それにお前と婚姻関係が続くのが苦しみなんだ」
俺の言葉を受け、妻は愕然とした表情をしてる。
『大した女優だ』俺の気持ちなど知っていただろうに。
「…分かった、貴方がそれで幸せになるのなら…」
サラは涙を浮かべながら真っ直ぐと見つめてきたので、俺は憎悪の宿った目で睨み返してやった。
そしたら、やっと諦めて震える手で婚姻無効の書類に署名をした。
「私は貴方を愛しているわ。こんな形でお別れなんて信じられないけど、これが貴方が選んだ道だから尊重するわ。本当は永遠の愛を誓った貴方と生涯を共にしたかったけど…。
さようなら、今まで有り難う」
最後にしおらしい挨拶をしてサラは身一つで家から出て行った。
これで晴れて自由の身だ、人目を気にせず愛する人と思う存分愛を語り合える、俺は久しぶりに心が弾むのを感じた。
婚姻無効の書類はなんの不備もなかったので正式に受理された。離縁ではなく婚姻無効が成立した。これで俺とあの女とは最初からなんの関係もなかったことになった。
俺の汚点が消えてなくなった。
この先に地獄の苦しみが待っていることを知らず、俺は明るい未来に祝杯をあげていた。
今日は素晴らしい記念日になる事だろう。やっと妻と別れることが出来るのだ。
いつの間にか俺の妻の座に納まっていた忌々しい女、どんなに離縁しようとしても首を縦に振らなかった女。それどころか、俺の愛する人に危害まで加えようとしていたとは。彼女が勇気を出して俺に相談してなかったらと考えるとゾッとする。
最初はなんとか穏便に別れようと考えていたが、そんな甘い態度は妻を増長させるだけだとやっと気づいた。
俺の女神を傷つけようとしたんだ、その報いはしっかりと払ってもらおう。
手続きを依頼している弁護士だけではなく公爵の父と公爵夫人の母も証人として今日は呼んである。これから妻もこの部屋に来るだろう。
そしたら始めよう。
コンコンコン。扉が控えめにノックされ陰気臭い顔をした妻が部屋へと入ってきた。部屋にいるのが俺だけではなく父母や弁護士もいることに怪訝な表情をしているが、大人しくしソファに座って誰かが話し出すのを待っている。
どうしてこの女と俺が結婚したのかよく覚えていないが、父母はこの結婚に賛成はしてなかったようだ。俺が女と離縁をするつもりだと言ったら、父は反対しなかったし母は賛成をしてくれた。あの女は子爵家出身で元から俺とは釣り合いが取れていなかった。
本当になんで結婚をしたのか不思議で仕方がない。大方酒に酔った勢いで過ちでも犯して責任を取らされたのだろう。今となってはどうでもいい事だが。
俺は前置きもなく話を切り出した。
「サラ、お前とは別れることにした。これが書類だ、ここに署名をしろ」
「嫌です、私は決して離縁はしません。貴方は今、正常な状態ではないわ」
「何を勘違いしている。離縁ではなく、これは婚姻無効の書類だ」
「えっ!何を言ってるの?婚姻無効?どういうことなの」
妻が驚いた表情で俺をや両親を見てくるが、誰もそんな表情には騙されない。お前のしたことはもうばれているんだ。
同席している弁護士が事務的に説明を始めた。
「一年前の婚姻の書類は偽造されていました。よってこの婚姻は無効となります。偽造書類を提出したサラさんは公爵家に慰謝料を払う必要があります」
「私は偽造なんてしてないわ。何を言ってるの」
「これをご覧ください。マキタ様の名前がサラさんの筆跡で書かれています。貴女が偽造した証拠です。それにこの婚姻届をサラさんが書いていたのを公爵夫妻が見ていました。偽造の証人も揃っています。言い逃れは出来ませんよ」
「あの時マキタが利き腕を怪我していたから私が代わりに書いてあげたのよ。いい思い出になるって笑ってたじゃない。勝手に書いわけではないわ、それはお義父様もお義母様も知っていることよ」
妻は必死に弁解しているが、公爵夫妻は黙ったまま嫁であるサラに冷たい視線をおくるだけだった。
妻はこの場に自分の味方がいない事を悟ったようだ。この女の唯一良いところは頭の良さだ、一を聞いて十を知るので話が早い。
「今、署名をしないなら、公爵家として訴えを起こす準備をしています。そうなればサラさんの実家の子爵家も跡継ぎの弟さんも大変なことになりますよ、いいんですか」
「………」
「さぁ、署名をお願いします」
弁護士が畳みかける様に妻に署名を促すが、なかなかペンを取らない。俺がイライラし始めると、やっと口を開いた。
「分かったわ。でも貴方はきっと婚姻無効にしたことをいつか後悔をするわ。それでもいいの?私は貴方を苦しませたくない」
「後悔はこの結婚自体だ、それにお前と婚姻関係が続くのが苦しみなんだ」
俺の言葉を受け、妻は愕然とした表情をしてる。
『大した女優だ』俺の気持ちなど知っていただろうに。
「…分かった、貴方がそれで幸せになるのなら…」
サラは涙を浮かべながら真っ直ぐと見つめてきたので、俺は憎悪の宿った目で睨み返してやった。
そしたら、やっと諦めて震える手で婚姻無効の書類に署名をした。
「私は貴方を愛しているわ。こんな形でお別れなんて信じられないけど、これが貴方が選んだ道だから尊重するわ。本当は永遠の愛を誓った貴方と生涯を共にしたかったけど…。
さようなら、今まで有り難う」
最後にしおらしい挨拶をしてサラは身一つで家から出て行った。
これで晴れて自由の身だ、人目を気にせず愛する人と思う存分愛を語り合える、俺は久しぶりに心が弾むのを感じた。
婚姻無効の書類はなんの不備もなかったので正式に受理された。離縁ではなく婚姻無効が成立した。これで俺とあの女とは最初からなんの関係もなかったことになった。
俺の汚点が消えてなくなった。
この先に地獄の苦しみが待っていることを知らず、俺は明るい未来に祝杯をあげていた。
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