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3.真実
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俺は療養地から乗って来た馬車ですぐさま公爵家当主が住む邸宅へと向かった。
前触れも出さずに乗り込んでいったが、父母は無礼を咎めることなく、俺の帰還を手放しで喜んでくれた。
「マキタ、よく戻ったな。療養で無駄にした一年を取り戻すため、これからより一層精進しなさい」
「ああ、魅了が解けて本当に良かったわ。これから、」
「父上、母上。まずは聞きたいことがあります。サラが出て行ったようなのです、詳しい事は執事も教えてくれませんでした。何があったのか教えてください」
俺は焦りから母の言葉を遮り、サラが出て行った理由を知ることを優先させた。それほど切羽詰まっていたのだ。
「まあ、そんな事どうでもいいでしょう。あの人とはもう何の関係もないのだから忘れなさい」
「関係がない…。サラは俺の妻です。結婚に反対をしていたのは承知していますが、そんな言い方はどうか、」
「もうお前の妻ではない」
今度は父上が俺の言葉を遮り、衝撃な内容を話し出した。
「二年前お前は自ら妻に離縁を迫ったがサラが離縁を拒んだので、強引な手段で婚姻無効の手続きをしたんだ。だからお前に妻は今も昔も存在しない。戸籍も綺麗なままだ」
「えっ。俺が離縁を望んだそんな馬鹿な…。それに婚姻無効ってなんですか!正式な婚姻を無効になんて出来ないはずです!」
「サラが婚姻届のお前の署名を偽造していたのが認められ、正式に婚姻は無効になった」
「なっ、あれは俺が手を怪我してたからサラに代筆を頼んだだけですよね!父上も母上もその場にいて事情はよくご存じではないですか」
「だが二年前のあの時、お前は私達に偽造の証人になる事を求めた。だから私達はサラがお前の署名を書いたことの証人になった、余計な事は何も言わずにな。嘘はついておらん」
「なっ…。父上達は、なんて馬鹿な事をしてくれたんですか!」
「あら、可愛い息子の味方をするのは親として当然でしょ。子爵家の娘なんかが我が公爵家に嫁いできたのが間違いだったのよ。それよりマキタに素敵な縁談の申込みがあるのよ、ぜひ今度会って、」
ガッシャーン。
俺はテーブルの上に飾ってある花瓶を床に叩きつけた。
「あの時の俺は魅了されていて正常な状態ではなかった…。父上も母上も俺の様子がおかしいと感じませんでしたか!」
「もともと私達はサラとの結婚に反対していた。お前が私達よりの考えになったのに、賛成すれど反対する理由はないだろう」
「そうよ。あの時の貴方は他の女に夢中だったけど、それは愛人を持つことが許される貴族にはよくあることでしょ。ちっともおかしなことではないわ」
父母は色々と言い訳をしているが、この二人は俺の行動に違和感を感じていたが敢えて便乗したのだろう。俺がサラと別れて、公爵家により有利な条件の相手と婚姻を結ばせるために…。
サラは裏切ってなどなかった。俺が裏切り、家から追い出していたのか…。道理で執事が自分の口からは言えないというはずだ。こんな酷い事を貴方自身がしてましたと主人である俺に言えるはずもない。
最愛の人を自ら捨てた、それが二年前の別れの真実だった。
これは俺が思い出してない記憶の一部でしかない、思い出していない罪はまだあるのだろうか。きっとまだまだあるはずだ。こんな俺がサラを取り戻せるだろうか、いや何としても取り戻してみせる。
『サラすまない、今どこにいるんだ…。
君に会いたい、そしてやり直したい。
許してくれなくてもいい、ただ君の側に居させてほしい』
前触れも出さずに乗り込んでいったが、父母は無礼を咎めることなく、俺の帰還を手放しで喜んでくれた。
「マキタ、よく戻ったな。療養で無駄にした一年を取り戻すため、これからより一層精進しなさい」
「ああ、魅了が解けて本当に良かったわ。これから、」
「父上、母上。まずは聞きたいことがあります。サラが出て行ったようなのです、詳しい事は執事も教えてくれませんでした。何があったのか教えてください」
俺は焦りから母の言葉を遮り、サラが出て行った理由を知ることを優先させた。それほど切羽詰まっていたのだ。
「まあ、そんな事どうでもいいでしょう。あの人とはもう何の関係もないのだから忘れなさい」
「関係がない…。サラは俺の妻です。結婚に反対をしていたのは承知していますが、そんな言い方はどうか、」
「もうお前の妻ではない」
今度は父上が俺の言葉を遮り、衝撃な内容を話し出した。
「二年前お前は自ら妻に離縁を迫ったがサラが離縁を拒んだので、強引な手段で婚姻無効の手続きをしたんだ。だからお前に妻は今も昔も存在しない。戸籍も綺麗なままだ」
「えっ。俺が離縁を望んだそんな馬鹿な…。それに婚姻無効ってなんですか!正式な婚姻を無効になんて出来ないはずです!」
「サラが婚姻届のお前の署名を偽造していたのが認められ、正式に婚姻は無効になった」
「なっ、あれは俺が手を怪我してたからサラに代筆を頼んだだけですよね!父上も母上もその場にいて事情はよくご存じではないですか」
「だが二年前のあの時、お前は私達に偽造の証人になる事を求めた。だから私達はサラがお前の署名を書いたことの証人になった、余計な事は何も言わずにな。嘘はついておらん」
「なっ…。父上達は、なんて馬鹿な事をしてくれたんですか!」
「あら、可愛い息子の味方をするのは親として当然でしょ。子爵家の娘なんかが我が公爵家に嫁いできたのが間違いだったのよ。それよりマキタに素敵な縁談の申込みがあるのよ、ぜひ今度会って、」
ガッシャーン。
俺はテーブルの上に飾ってある花瓶を床に叩きつけた。
「あの時の俺は魅了されていて正常な状態ではなかった…。父上も母上も俺の様子がおかしいと感じませんでしたか!」
「もともと私達はサラとの結婚に反対していた。お前が私達よりの考えになったのに、賛成すれど反対する理由はないだろう」
「そうよ。あの時の貴方は他の女に夢中だったけど、それは愛人を持つことが許される貴族にはよくあることでしょ。ちっともおかしなことではないわ」
父母は色々と言い訳をしているが、この二人は俺の行動に違和感を感じていたが敢えて便乗したのだろう。俺がサラと別れて、公爵家により有利な条件の相手と婚姻を結ばせるために…。
サラは裏切ってなどなかった。俺が裏切り、家から追い出していたのか…。道理で執事が自分の口からは言えないというはずだ。こんな酷い事を貴方自身がしてましたと主人である俺に言えるはずもない。
最愛の人を自ら捨てた、それが二年前の別れの真実だった。
これは俺が思い出してない記憶の一部でしかない、思い出していない罪はまだあるのだろうか。きっとまだまだあるはずだ。こんな俺がサラを取り戻せるだろうか、いや何としても取り戻してみせる。
『サラすまない、今どこにいるんだ…。
君に会いたい、そしてやり直したい。
許してくれなくてもいい、ただ君の側に居させてほしい』
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