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14.愚かな… サラ視点②
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すぐに私は裏ルートを使って公爵家の動きを調べ始めた。
私には家族が知らない裏の顔があった。貧しい子爵家の娘が未婚の母になり子供を育てるには綺麗事だけではすまない。子供の将来の為にお金が必要だがそんな余裕は実家にはない。弟の留学費用だけで手一杯な両親にこれ以上の苦労を掛けたくなかった。
なので私は自分から父の事業を手伝い、そのうち商才を開花させた。そして必ず商売には裏の道が存在する、いつしか私は裏社会でも顔が効くようになっていたのだ。
私が懇意にしている裏ルートからの報告は迅速で【公爵夫妻が人を雇い子供を攫う計画】がある事を知った。報告を持って来た裏稼業の人から計画を潰すかと持ち掛けられたが少し考えてから断った。
『これはチャンスだわ。このまま公爵夫妻に犯罪を犯させ捕まえよう。それなら二度と子供に手を出せないわ』
私は計画を知りながら、そのまま放置する事に決めた。公爵夫妻は子供を欲しがっているので子供の身に危険は及ばない、それなら実際に犯罪を遂行させ証拠を揃えてから捕まえようと考えていたのだ。
だから報告に来た裏稼業の人に『近々私と子供が隣国へ行く』と噂を公爵夫妻に流すよう依頼をした、彼らを煽って犯罪を犯すよう仕向けたのだ。
『予定外の事が起こった時は裏稼業の人達を動かして事に当たればいいわ』
私は慢心していたのだ、裏ルートを使っていつでもこの計画を止められる力がある事に。
まさかあんな事になるとは思いもしなかった…。
裏ルートからの報告は迅速だったが正確ではなかった、計画の後半部分『私と両親を殺害する』という重要な報告が欠けていたのだから。
『私が両親を死に追いやった…。あの時私が公爵夫妻を嵌めようとしないで、事前に計画を防いでいたらこんな結果にならなかったのに。私が優しかった両親を殺した」
それからはよく覚えていない。
気づいたら、公爵夫妻が事故死していてマキタが公爵家当主になっていた。
そして彼は私に結婚の申込みをしていた、それは選択肢のない申込みだった。大切な両親を失い、そのうえ弟まで茨の道を歩ませる選択など私には出来なかった。彼もその事を承知のうえで申し込んでいるのだ。本当に愚かでずるい人だった。
『はい、お願いします』
私はマキタに微笑みながら、最善の道を選んだ。
彼もその返事を素直に喜んでいる。
---なんて滑稽な茶番だろう。
いつから間違っていたんだろう。最愛のマキタと別れを決意した時か、それとも彼が迎えに来てくれた時に自分の気持ちに蓋をして拒絶した時だろうか。やはり私が人を嵌めようとした時か…。
考えても答えはでない、私の全てが間違っていた気もする。
彼は隣にいる私を愛おし気に見つめているが、私は彼を信じることは二度と出来ないだろう。
昔も今も私にとって彼が最愛な人なのは事実。
彼の幸せを望んでいる気持ちに嘘はない。
だけど彼のした事は許せないし忘れない。
愛おしいが憎んでいる。
人の心は不思議だ、憎いのに愛している、信じられないのに側にいたい、こんな感情があるなんて。
こんな私が彼を幸せにする事なんて出来るのだろうか…。きっと私も彼も幸せにはならない。幸せな家族を演じ続けるだけになる。
この選択は私を一生苦しめるだろう、でも私はこの道を選ぶことを決めた。
『私と彼以外にとっては最善の選択だから』
両親を死に追いやり、ささやかだけど確かにあった穏やかな幸せを捨てたのは私自身だ。
私が決めたことによって起こった過去を変える事なんて出来ないのだから、これからは罪を背負って生きていこう。そして愚か者同士傷つけあって生きていく先に幸せはあるのだろうか。
『愚かな私は幸せを捨てた…』
私には家族が知らない裏の顔があった。貧しい子爵家の娘が未婚の母になり子供を育てるには綺麗事だけではすまない。子供の将来の為にお金が必要だがそんな余裕は実家にはない。弟の留学費用だけで手一杯な両親にこれ以上の苦労を掛けたくなかった。
なので私は自分から父の事業を手伝い、そのうち商才を開花させた。そして必ず商売には裏の道が存在する、いつしか私は裏社会でも顔が効くようになっていたのだ。
私が懇意にしている裏ルートからの報告は迅速で【公爵夫妻が人を雇い子供を攫う計画】がある事を知った。報告を持って来た裏稼業の人から計画を潰すかと持ち掛けられたが少し考えてから断った。
『これはチャンスだわ。このまま公爵夫妻に犯罪を犯させ捕まえよう。それなら二度と子供に手を出せないわ』
私は計画を知りながら、そのまま放置する事に決めた。公爵夫妻は子供を欲しがっているので子供の身に危険は及ばない、それなら実際に犯罪を遂行させ証拠を揃えてから捕まえようと考えていたのだ。
だから報告に来た裏稼業の人に『近々私と子供が隣国へ行く』と噂を公爵夫妻に流すよう依頼をした、彼らを煽って犯罪を犯すよう仕向けたのだ。
『予定外の事が起こった時は裏稼業の人達を動かして事に当たればいいわ』
私は慢心していたのだ、裏ルートを使っていつでもこの計画を止められる力がある事に。
まさかあんな事になるとは思いもしなかった…。
裏ルートからの報告は迅速だったが正確ではなかった、計画の後半部分『私と両親を殺害する』という重要な報告が欠けていたのだから。
『私が両親を死に追いやった…。あの時私が公爵夫妻を嵌めようとしないで、事前に計画を防いでいたらこんな結果にならなかったのに。私が優しかった両親を殺した」
それからはよく覚えていない。
気づいたら、公爵夫妻が事故死していてマキタが公爵家当主になっていた。
そして彼は私に結婚の申込みをしていた、それは選択肢のない申込みだった。大切な両親を失い、そのうえ弟まで茨の道を歩ませる選択など私には出来なかった。彼もその事を承知のうえで申し込んでいるのだ。本当に愚かでずるい人だった。
『はい、お願いします』
私はマキタに微笑みながら、最善の道を選んだ。
彼もその返事を素直に喜んでいる。
---なんて滑稽な茶番だろう。
いつから間違っていたんだろう。最愛のマキタと別れを決意した時か、それとも彼が迎えに来てくれた時に自分の気持ちに蓋をして拒絶した時だろうか。やはり私が人を嵌めようとした時か…。
考えても答えはでない、私の全てが間違っていた気もする。
彼は隣にいる私を愛おし気に見つめているが、私は彼を信じることは二度と出来ないだろう。
昔も今も私にとって彼が最愛な人なのは事実。
彼の幸せを望んでいる気持ちに嘘はない。
だけど彼のした事は許せないし忘れない。
愛おしいが憎んでいる。
人の心は不思議だ、憎いのに愛している、信じられないのに側にいたい、こんな感情があるなんて。
こんな私が彼を幸せにする事なんて出来るのだろうか…。きっと私も彼も幸せにはならない。幸せな家族を演じ続けるだけになる。
この選択は私を一生苦しめるだろう、でも私はこの道を選ぶことを決めた。
『私と彼以外にとっては最善の選択だから』
両親を死に追いやり、ささやかだけど確かにあった穏やかな幸せを捨てたのは私自身だ。
私が決めたことによって起こった過去を変える事なんて出来ないのだから、これからは罪を背負って生きていこう。そして愚か者同士傷つけあって生きていく先に幸せはあるのだろうか。
『愚かな私は幸せを捨てた…』
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