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11.助言①
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あれから何も変わらず時間だけが過ぎている。
私とエディは会うこともままならないうえ、偶に彼が帰宅しても仕事に関する話題は完全に避けられている。
それ以外の会話なら成立するのだが、そもそも問題がなにも解決していないのでお互いにというか私がギクシャクして溝は広がるばかりだ。
焦るばかりでもどかしい日々が続いている。
---これからどうなるのだろうか…。
ルイと一緒に庭を散歩しながら悶々とした気持ちで考え事をしていると、私に抱かれて後ろを見ていたルイがいきなり『キャッキャッ。ジージー』と喜びの声を上げた。
後ろを振り返るとそこには兄であるジェームズ・アークの姿があった。
「お兄様、お久し振りですね」
「キャサリン、いきなり訪ねてすまないな。ちょっと可愛いルイに会いたくなってな!
よお、ルイ~。元気にしていたか。そうかそうか俺に会えて嬉しいのかー。さすがは俺の自慢の甥っ子だな、見る目があるぞ。うん、お前は天才だな!俺にそっくりだ」
本当に我が兄ながら、呆れるほど甥であるルイに甘い…。
「お兄様、ルイはエディに瓜二つだと言われていますよ。私にさえ似ていないのにお兄様に似ている訳はありません」
「まあ百歩譲って見た目はエドかもしれないが、中身は完全に俺に似ているぞ。賢い所がそっくりだからな!なぁルイ、そうだよな~」
---お兄様は賢いというより腹黒ではありませんか…。絶対に似ていません!これから似ることもありません!
「ジージー。あぶぅ、あぅあぅう!」
兄は私からルイを抱き取ると、『たかい、たかーい』と言いながらルイを何度も上に持ち上げ喜ばせている。
ルイも「たーい、たーい。ジージー』と兄の真似をして?一生懸命におしゃべりをしているつもりのようだ。
---ふふふ、ルイってば天使だわ。
そんな甥っ子の言葉を聞き、兄はちょっと難しそうな顔をして
「なあキャサリン。ルイは俺のこと『じいじ』って呼んでないか…?おいルイ、伯父さんはまだ独身で若いんだぞ。年寄り呼びは勘弁してくれ。
ほら、『じいじ』じゃなくて『ジェームズ叔父さん』だぞ!ジェ・ーム・ズ!」
赤ん坊に真剣な表情で話し掛ける兄が面白かったのか、ルイの高い笑い声が響き渡る。
キャッキャッキャー!
「ジイージ。キャーーー!ばぶぅ」
「……もっと年寄り感が増しているように感じる…。俺って老けて見えるのかな…。
キャサリン、遠慮はいらん、正直な意見を聞かせてくれ」
兄は難しい問題に取り組んでいるような真剣な表情で私に聞いてくる。まったくこの兄は…。
---はい。お兄様がとても馬鹿に思えますわ…。
「もう、ルイはまだ一歳なのよ。馬鹿なことを気にして落ち込まないでちょうだい。
最近は可愛いルイとの時間だけが私にとって癒しなのだから」
思わず言ってしまった言葉の意味を兄は悟り、素早く反応して見せた。
叔父馬鹿の一面もあるが、流石やり手の文官だ、裏で『第一王子の懐刀』と呼ばれているだけはある。
きっと兄の耳にも様々な噂と真実が入っているのだろう。
「キャサリン、ちょっと話そうか。今のお前には相手を貶める事しか考えない奴らからの言葉より、ちゃんとお前のことを大切に想っている人と話すことが必要だぞ。
つまりはお前を心から大切に想っている、このジェームズお兄様と会話を楽しめ、可愛い妹よ」
「お、お兄様…。ありが…と‥う」
兄は優しい眼差しを向けながら茶化したことを言って、静かに涙を零す私をルイごと強く抱き締めてくれた。
私とエディは会うこともままならないうえ、偶に彼が帰宅しても仕事に関する話題は完全に避けられている。
それ以外の会話なら成立するのだが、そもそも問題がなにも解決していないのでお互いにというか私がギクシャクして溝は広がるばかりだ。
焦るばかりでもどかしい日々が続いている。
---これからどうなるのだろうか…。
ルイと一緒に庭を散歩しながら悶々とした気持ちで考え事をしていると、私に抱かれて後ろを見ていたルイがいきなり『キャッキャッ。ジージー』と喜びの声を上げた。
後ろを振り返るとそこには兄であるジェームズ・アークの姿があった。
「お兄様、お久し振りですね」
「キャサリン、いきなり訪ねてすまないな。ちょっと可愛いルイに会いたくなってな!
よお、ルイ~。元気にしていたか。そうかそうか俺に会えて嬉しいのかー。さすがは俺の自慢の甥っ子だな、見る目があるぞ。うん、お前は天才だな!俺にそっくりだ」
本当に我が兄ながら、呆れるほど甥であるルイに甘い…。
「お兄様、ルイはエディに瓜二つだと言われていますよ。私にさえ似ていないのにお兄様に似ている訳はありません」
「まあ百歩譲って見た目はエドかもしれないが、中身は完全に俺に似ているぞ。賢い所がそっくりだからな!なぁルイ、そうだよな~」
---お兄様は賢いというより腹黒ではありませんか…。絶対に似ていません!これから似ることもありません!
「ジージー。あぶぅ、あぅあぅう!」
兄は私からルイを抱き取ると、『たかい、たかーい』と言いながらルイを何度も上に持ち上げ喜ばせている。
ルイも「たーい、たーい。ジージー』と兄の真似をして?一生懸命におしゃべりをしているつもりのようだ。
---ふふふ、ルイってば天使だわ。
そんな甥っ子の言葉を聞き、兄はちょっと難しそうな顔をして
「なあキャサリン。ルイは俺のこと『じいじ』って呼んでないか…?おいルイ、伯父さんはまだ独身で若いんだぞ。年寄り呼びは勘弁してくれ。
ほら、『じいじ』じゃなくて『ジェームズ叔父さん』だぞ!ジェ・ーム・ズ!」
赤ん坊に真剣な表情で話し掛ける兄が面白かったのか、ルイの高い笑い声が響き渡る。
キャッキャッキャー!
「ジイージ。キャーーー!ばぶぅ」
「……もっと年寄り感が増しているように感じる…。俺って老けて見えるのかな…。
キャサリン、遠慮はいらん、正直な意見を聞かせてくれ」
兄は難しい問題に取り組んでいるような真剣な表情で私に聞いてくる。まったくこの兄は…。
---はい。お兄様がとても馬鹿に思えますわ…。
「もう、ルイはまだ一歳なのよ。馬鹿なことを気にして落ち込まないでちょうだい。
最近は可愛いルイとの時間だけが私にとって癒しなのだから」
思わず言ってしまった言葉の意味を兄は悟り、素早く反応して見せた。
叔父馬鹿の一面もあるが、流石やり手の文官だ、裏で『第一王子の懐刀』と呼ばれているだけはある。
きっと兄の耳にも様々な噂と真実が入っているのだろう。
「キャサリン、ちょっと話そうか。今のお前には相手を貶める事しか考えない奴らからの言葉より、ちゃんとお前のことを大切に想っている人と話すことが必要だぞ。
つまりはお前を心から大切に想っている、このジェームズお兄様と会話を楽しめ、可愛い妹よ」
「お、お兄様…。ありが…と‥う」
兄は優しい眼差しを向けながら茶化したことを言って、静かに涙を零す私をルイごと強く抱き締めてくれた。
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