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25.復讐~騎士団長視点~②
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それは妻が親戚筋のお茶会に参加した日。
普段下位貴族のお茶会になど参加しない第二王女がなぜか飛び入りで参加していたらしい。その時の王女は王都一の職人が刺した刺繍がある豪華なドレスを身に纏い、皆から『素晴らしいですわ』と話題の中心にいた。
だがある令嬢がふと妻のドレスの刺繍を見て大層褒めてくれた。その刺繍が妻本人が施したものだと知り、周りから『なんて繊細で素晴らしい刺繍なのかしら』と大絶賛された。
そして王女からも『貴女の右手は魔法の手のようね。怪我などしないように大切になさってね』とお言葉を頂いたそうだ。
ただそれだけなのだが、何かが引っ掛かった。
---右手が褒められた後に、その右手だけが執拗に潰された。
これは本当に偶然なのか…?
俺は独自でアイラ王女の周辺を調べ始めた。すると王女が関係するとははっきり言えないが、不可解な出来事がいくつか浮かび上がってきた。
決定的な証拠は何一つないが、空いたそこに王女の存在を当てはめると出来上がるパズルのような不可解な出来事…。
---王女が介入していると考えればすべて辻褄が会うな…。
あの王女は限りなく黒に近いぞ、クソッたれがっ。
俺の勘も『黒』と告げてくるがそれだけではただの推測でしかない。
だがある日、夜会で警備をしている時に取り巻き達と王女の何気ない雑談を聞いてしまった。
『以前王都一の刺繍職人よりも素晴らしい刺繍を刺す女性がいたのよ。でもその者は二人の男に襲われて大切な右手が潰れてしまったみたい。もう二度と刺繍は出来ないでしょうね、可哀想だわ』
妻が右手が潰された事件は知っていてもおかしくはない。だが犯人は男とだけ公表されていて、二人の男に襲われたことは公になっていない情報だ。王女が下位の貴族を気に掛けて調べるとも思えない、そんなお優しい王女では決してない。
だとしたら知っている理由はただ一つ。
---王女がやはり黒幕だったのか。
ギリッ、なんでだ!
妻がお前に何をしたというんだ!
エマにしたことを絶対に許しはしない!
同じ目に合わせてやるっ!
それからは俺は家庭では妻を大切にし平穏に過ごしていたが、王女に復讐する機会を探っていた。
---ただ責めても白を切られ、不敬罪で捕まるのがオチだ。何か決定的な証拠が必要だ。
クソッ、俺にもっと力があれば。
そんな時、キアヌ第一王子に声を掛けられた。
『お前、第二王女を密かに探っているな』
『………』
『そう警戒するな。私もお前と同じであれの動きを監視している。だが籠絡した男達を上手く利用しているのかなかなか尻尾が掴めない。どうだ俺の手足となって王女を追い詰めないか?それが望みだろう』
キアヌ第一王子は俺の事は調査済みのようで全て把握していた。そのうえで俺が決して裏切らないと思い声を掛けてきたのだ。
そうだ、俺は妻を苦しめた王女を断罪する為ならなんでもする。でも肝心なのは王族を信用できるかだ。
普段下位貴族のお茶会になど参加しない第二王女がなぜか飛び入りで参加していたらしい。その時の王女は王都一の職人が刺した刺繍がある豪華なドレスを身に纏い、皆から『素晴らしいですわ』と話題の中心にいた。
だがある令嬢がふと妻のドレスの刺繍を見て大層褒めてくれた。その刺繍が妻本人が施したものだと知り、周りから『なんて繊細で素晴らしい刺繍なのかしら』と大絶賛された。
そして王女からも『貴女の右手は魔法の手のようね。怪我などしないように大切になさってね』とお言葉を頂いたそうだ。
ただそれだけなのだが、何かが引っ掛かった。
---右手が褒められた後に、その右手だけが執拗に潰された。
これは本当に偶然なのか…?
俺は独自でアイラ王女の周辺を調べ始めた。すると王女が関係するとははっきり言えないが、不可解な出来事がいくつか浮かび上がってきた。
決定的な証拠は何一つないが、空いたそこに王女の存在を当てはめると出来上がるパズルのような不可解な出来事…。
---王女が介入していると考えればすべて辻褄が会うな…。
あの王女は限りなく黒に近いぞ、クソッたれがっ。
俺の勘も『黒』と告げてくるがそれだけではただの推測でしかない。
だがある日、夜会で警備をしている時に取り巻き達と王女の何気ない雑談を聞いてしまった。
『以前王都一の刺繍職人よりも素晴らしい刺繍を刺す女性がいたのよ。でもその者は二人の男に襲われて大切な右手が潰れてしまったみたい。もう二度と刺繍は出来ないでしょうね、可哀想だわ』
妻が右手が潰された事件は知っていてもおかしくはない。だが犯人は男とだけ公表されていて、二人の男に襲われたことは公になっていない情報だ。王女が下位の貴族を気に掛けて調べるとも思えない、そんなお優しい王女では決してない。
だとしたら知っている理由はただ一つ。
---王女がやはり黒幕だったのか。
ギリッ、なんでだ!
妻がお前に何をしたというんだ!
エマにしたことを絶対に許しはしない!
同じ目に合わせてやるっ!
それからは俺は家庭では妻を大切にし平穏に過ごしていたが、王女に復讐する機会を探っていた。
---ただ責めても白を切られ、不敬罪で捕まるのがオチだ。何か決定的な証拠が必要だ。
クソッ、俺にもっと力があれば。
そんな時、キアヌ第一王子に声を掛けられた。
『お前、第二王女を密かに探っているな』
『………』
『そう警戒するな。私もお前と同じであれの動きを監視している。だが籠絡した男達を上手く利用しているのかなかなか尻尾が掴めない。どうだ俺の手足となって王女を追い詰めないか?それが望みだろう』
キアヌ第一王子は俺の事は調査済みのようで全て把握していた。そのうえで俺が決して裏切らないと思い声を掛けてきたのだ。
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