英雄の平凡な妻

矢野りと

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26.復讐~騎士団長視点~③

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『王家は王女の罪を明らかにして本当に罪を償わせてくれますか?』

『答えは半分イエスで半分ノーだ。王女の罪は公には裁けない、あれでも王族だからそれが露見しては色々と不都合が生じる。
だから表面上は幸せな人生を歩ませる。
だが被害者と同じように苦しませる事は約束しよう。
これで罪の償いとはなるか?』

きっと第一王子の言葉に嘘はないだろう。王族の罪が裁かれたとしてもそれは秘密裏であって、公にされないはずだ。信用はできるが、それだけじゃ、エマの痛みを思い知らせることは出来ない。

『………』

『表面上は何も罰を受けないのでは足りぬか…、まぁそうだろうな。
では王女を捕らえる時に不幸にも王女が右手首を負傷してしまう、そんながあるかもしれないな。…どう思う?』

『ええ、私もそんな事はよくあると思います』

こうして俺はキアヌ第一王子の配下として裏で働きアイラ王女の犯罪の証拠を押さえる機会を待っていた。



そして騎士団長になり、いつまでも王女の証拠が見つからず歯がゆい思いをしているそんな時に、英雄となったエドワード・キャンベルを利用すると知らされた。
本当は巻き込みたくはなかったが、最近王女絡みで子供まで不幸な事故で亡くなり、どうにかしてこの不幸の連鎖を止めたかった。

それに王女に目を付けられたエドワードはきっと王女からの要求を突っぱねて最悪の結果になってしまう可能性が高い。それならば巻き込んで近くで見守る方が余程いい。

---許せ、エドワード。
俺は彼なら王女に籠絡されることはないと信じ、上の言う通り強引に巻き込んだ。

ただ彼が大切にしている家族だけは絶対に守ると心に誓い、キアヌ第一王子の影と言われている者達と一緒に密かに護衛はしていた。『第一王子の懐刀』である彼の義兄も王女の案件で動いているので、家族が実際に害される事態など絶対に起きないだろうが…。

だが念には念を入れておきたい。あの王女は何で刺激されるか分からないから。
妻の時は、ただ『刺繍が自分のドレスより素晴らしかった』それだけであんな目にあった。

---もうこれ以上犠牲者を出して堪るかっ!

俺はエドワードが日に日に焦っているのが分かっていたが、何もしなかった。

アイラ王女に籠絡されている者は騎士団の中にもいることは分かっている。それが誰かは分からないので下手に動いて王女を刺激し突発的に家族に怒りが向けられ、対応できない事が一番不味い。

だから危険を避ける為、彼が書いた妻への手紙さえも渡さなかった。
どこに王女の目があるか分からないなか、下手に刺激し彼の家族を危険に晒すことは絶対にさせない。
『家族への予定外の危険は減らせ』それは上からの命令でもあった。

馬鹿な王女には俺達の目の届く範囲で踊ってもらわなくては意味がない。

犠牲者はもういらない。

---すまない、もう少しだけ耐えてくれ。

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