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3.離宮で愛される
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シルビアが離宮の中へと入ると、左右にずらりと使用人達が並んでいた。ずらりと並んでいると言っても、その数20人前後…。正妃が住む離宮の使用人としては少なすぎる。
それに人数を少しでも多く見せるために、本来なら表に出てこない料理人や庭師や御者が並んでいる。
(うん?御者?さっきまで一緒に馬車にいたわよね?)
御者は顔を真っ赤にして、ゼイゼイと肩で息をしている。このシルビアの出迎えに加わる為、全力で走り、裏にある使用人通用口から入ってきたのである。御者トト爺、御年70歳、死を覚悟した猛ダッシュをみんなに披露した。
彼はゼイゼイと息をするごとに揺れる体を小さくして、目立たないようにしているようだ。
でもその仕草が叱られる前の子供のようで、却って目立っている…。
(((イヤイヤ、一番目立っているから…)))
使用人一同の意見が一致した。
シルビアは挨拶も忘れ、おもわず心配そうに御者1人を凝視してしてしまった。そんなシルビアの様子に誰も気づかない。
当然である、他の使用人達も今にも死にそうなトト爺に目が釘付けだったから。 特に『みんなで出迎え指令』を出した侍女頭は顔面蒼白になっている。自分が殺人犯になるかもしれないのだから。
(((なんとか踏ん張れ、天国に行かないで~)))
みんな心の中で声援を送ること、10分。なんとかトト爺は落ち着いて息をし始めた。
(((神様、トト爺を連れていかないでくれて有り難うございます!)))
シルビア含めみんな神に感謝しまくった。
安堵してみんながシルビアに視線を向けると、シルビアは柔らかい微笑みを浮かべ声を発した。
「本日から離宮で暮らす正妃シルビアです。
獣人国についてはまだまだ勉強中の身ですから、迷惑を掛けることもあると思います。早くこの国に馴染み、公務に取り組みたいと思っていますのでよろしくお願いします」
頭こそ下げていないが、使用人に対するシルビアの丁寧な挨拶に彼らはびっくりした。
そもそも離宮の使用人に立候補した者はいなかった、誰も冷遇される者の下で働きたくないのは当然であるから。
そこで訳ありの者などが宰相から指名され、離宮専属使用人となったのである。
指名された時はみんな、
(((そんな殺生な~)))
と心の中で叫んでいたが、訳ありの彼らには断るという選択肢はない。
「「「はい、承知いたしました」」」
と答えるしかなかったのである。
そんな使用人達はお飾りの正妃に期待などしていなかった。でもシルビアの挨拶を聞き、自分達の未来が少しだけ明るいものになるのではと感じていた。
******************************
使用人への挨拶を終えたシルビアは、サーサに部屋へと案内された。
離宮の中のシルビアの部屋は素晴らしいの一言だった。南に面し日当たりが良く、広々としている。
白を基調とした内装に、繊細な装飾品が適度に配置されている。落ち着いた雰囲気だが、可愛らしさもある。
豪華な外観に、素敵な内装。
お飾りの正妃を大人しくさせるのが目的なのは分かっていたが、シルビアは予想とは真逆な部屋に満足していた。
「こんな素晴らしい部屋を有り難う」
と満面の笑みで告げる。
その微笑みに、サーサは不覚にも顔を真っ赤にしてしまった。
(シルビア様、女神なの!あんなの反則だわ。同性なのにドキドキが止まらないー)
臣下に対する態度や言葉遣い、そしてこの微笑み。シルビアはプライドの高い王女ではない、噂とは違うと確信した。サーサはシルビアに臣下として誠心誠意仕えることを決めた瞬間であった。
侍女として真っ赤な顔をさらし続けるわけにはいかないと、
(平常心、大切!平常心、大切!)
と唱えること三回…、なんとか侍女の顔に戻ること成功し、シルビアに今後の予定を尋ねた。
「厨房…でございますか?」
「ええ、厨房に案内をお願い」
普通、高位の者は厨房に行くことはない。
シルビアの真意が分からないが、サーサはとりあえず厨房に案内することにした。
厨房は食材が悪くならないように一階の北側にある。
日当たりが悪く、普段は使用人しかいない場所なので料理人達もワイワイと話しながら仕事を進めていた。
そこに主人であるシルビア登場である。
…厨房にいる料理人三人は固まった。シルビアが厨房にいる現実を理解出来ない…いや、拒否している。
「シ、シルビア様、いかがいたしましたか?」
料理人三人のなかで一番偉いコック長が恐る恐る尋ねた。お喋りをしていたことを𠮟責されるのか、または獣人国料理が口に合わないからどうにかしろと言われるのかと内心ビクビクしながら。
「お仕事中にごめんなさいね。あなたがコック長かしら?」
「はい、コック長のアートンでございます」
アートンはクマ獣人特有の大きな体を小さくしながら答える。
「王宮のコック長はあなたの親戚かしら?」
「はい、私の父でございます。父がいかがしましたか?」
アートンは王宮コック長の父と比べられることが多く、その度に『父と比べて息子はパッとしない』と嫌な思いばかりしてきた。
なのでまたなのかと思った、ここでも比べられるのかと。
「ふふふ、王宮のコック長には花婿代理をしてもらったの。でも結婚式後ちゃんとお礼を言えなかったのよ。私は離宮にいるから、なかなか会うこともないでしょう、あなたからお礼を伝えてもらえるかしら?」
「はい。父に会ったら伝えます」
ただの伝言でホッとしていると、
「ああそれと、肝心な用件を伝えなくてわ。
部屋に置いてあった焼菓子はとても美味しかったわ、素晴らしい腕前ね」
父の料理を褒め称える言葉はいつも聞かされるが、自分の料理に対して直接お礼を言われたことは初めてだった。
自分の存在が認められてるようでアートンは嬉しかった。
わざわざ厨房に来て、言ってくれたことに心が熱くなるのを感じた。
「ありがとうございます!!」
「これからも美味しい料理やお菓子を楽しみにしているわ」
シルビアはアートン達料理人三人に微笑んだ。
コック長アートンはシルビアのために一生懸命美味しいものを作ると心に決めた!
もちろん他の二人も同じ決意である。
それから厨房ではシルビアを交えて、好きな食材や好きな味付けなどで話が盛り上がった。最初こそ遠慮がちに話していた料理人やサーサであったが、シルビアの気さくな態度に五人で大爆笑するほど打ち解けていった。
「へ~。シルビア様の国ではカエルも食べるんですか?!我が国では食べたことはありませんや」
見た目がグロテスクなカエルを食べるなど人族は悪食かとびっくりしている。
「私は食べたことあるけど、ニギ国の文化ではないから普通食べないわよ 味はまぁまぁだけど身が少ないから、捕る労力に比べて割に合わないわよ~」
「「「いやいや、そうじゃないだろう(でしょう)!」」」
平然と言うシルビアに、おもわず四人はつっこんだ。
(((見かけによらず逞しいーー)))
シルビアに対する評価に新たな項目が追加された。
厨房を後にする時には、
「シルビア様、これ新鮮な苺です。小腹が空いた時に食べてくださいや」
と籠一杯の苺を渡された。
「うふふ、ありがとう。部屋で食べるわね」
大好きな苺を手にご満悦のシルビアであった。
(この短時間で使用人の心を次々に掴んでいくとは、恐るべしシルビア様!)
サーサはシルビア様を慕う仲間が増えたことが嬉しく、侍女にあるまじき顔でニンマリとしていた。
こうしてシルビアは味方のいない獣人国で、無意識に味方を増やしていく。
王族でありながら臣下に対して丁寧で優しい態度、そしてあの女神の微笑み。
人族への偏見もなんのその、みんな次々にやられていった。
気付けば離宮の少ない使用人達は【シルビア様を愛する会】なるものを裏で結成していた。
それに人数を少しでも多く見せるために、本来なら表に出てこない料理人や庭師や御者が並んでいる。
(うん?御者?さっきまで一緒に馬車にいたわよね?)
御者は顔を真っ赤にして、ゼイゼイと肩で息をしている。このシルビアの出迎えに加わる為、全力で走り、裏にある使用人通用口から入ってきたのである。御者トト爺、御年70歳、死を覚悟した猛ダッシュをみんなに披露した。
彼はゼイゼイと息をするごとに揺れる体を小さくして、目立たないようにしているようだ。
でもその仕草が叱られる前の子供のようで、却って目立っている…。
(((イヤイヤ、一番目立っているから…)))
使用人一同の意見が一致した。
シルビアは挨拶も忘れ、おもわず心配そうに御者1人を凝視してしてしまった。そんなシルビアの様子に誰も気づかない。
当然である、他の使用人達も今にも死にそうなトト爺に目が釘付けだったから。 特に『みんなで出迎え指令』を出した侍女頭は顔面蒼白になっている。自分が殺人犯になるかもしれないのだから。
(((なんとか踏ん張れ、天国に行かないで~)))
みんな心の中で声援を送ること、10分。なんとかトト爺は落ち着いて息をし始めた。
(((神様、トト爺を連れていかないでくれて有り難うございます!)))
シルビア含めみんな神に感謝しまくった。
安堵してみんながシルビアに視線を向けると、シルビアは柔らかい微笑みを浮かべ声を発した。
「本日から離宮で暮らす正妃シルビアです。
獣人国についてはまだまだ勉強中の身ですから、迷惑を掛けることもあると思います。早くこの国に馴染み、公務に取り組みたいと思っていますのでよろしくお願いします」
頭こそ下げていないが、使用人に対するシルビアの丁寧な挨拶に彼らはびっくりした。
そもそも離宮の使用人に立候補した者はいなかった、誰も冷遇される者の下で働きたくないのは当然であるから。
そこで訳ありの者などが宰相から指名され、離宮専属使用人となったのである。
指名された時はみんな、
(((そんな殺生な~)))
と心の中で叫んでいたが、訳ありの彼らには断るという選択肢はない。
「「「はい、承知いたしました」」」
と答えるしかなかったのである。
そんな使用人達はお飾りの正妃に期待などしていなかった。でもシルビアの挨拶を聞き、自分達の未来が少しだけ明るいものになるのではと感じていた。
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使用人への挨拶を終えたシルビアは、サーサに部屋へと案内された。
離宮の中のシルビアの部屋は素晴らしいの一言だった。南に面し日当たりが良く、広々としている。
白を基調とした内装に、繊細な装飾品が適度に配置されている。落ち着いた雰囲気だが、可愛らしさもある。
豪華な外観に、素敵な内装。
お飾りの正妃を大人しくさせるのが目的なのは分かっていたが、シルビアは予想とは真逆な部屋に満足していた。
「こんな素晴らしい部屋を有り難う」
と満面の笑みで告げる。
その微笑みに、サーサは不覚にも顔を真っ赤にしてしまった。
(シルビア様、女神なの!あんなの反則だわ。同性なのにドキドキが止まらないー)
臣下に対する態度や言葉遣い、そしてこの微笑み。シルビアはプライドの高い王女ではない、噂とは違うと確信した。サーサはシルビアに臣下として誠心誠意仕えることを決めた瞬間であった。
侍女として真っ赤な顔をさらし続けるわけにはいかないと、
(平常心、大切!平常心、大切!)
と唱えること三回…、なんとか侍女の顔に戻ること成功し、シルビアに今後の予定を尋ねた。
「厨房…でございますか?」
「ええ、厨房に案内をお願い」
普通、高位の者は厨房に行くことはない。
シルビアの真意が分からないが、サーサはとりあえず厨房に案内することにした。
厨房は食材が悪くならないように一階の北側にある。
日当たりが悪く、普段は使用人しかいない場所なので料理人達もワイワイと話しながら仕事を進めていた。
そこに主人であるシルビア登場である。
…厨房にいる料理人三人は固まった。シルビアが厨房にいる現実を理解出来ない…いや、拒否している。
「シ、シルビア様、いかがいたしましたか?」
料理人三人のなかで一番偉いコック長が恐る恐る尋ねた。お喋りをしていたことを𠮟責されるのか、または獣人国料理が口に合わないからどうにかしろと言われるのかと内心ビクビクしながら。
「お仕事中にごめんなさいね。あなたがコック長かしら?」
「はい、コック長のアートンでございます」
アートンはクマ獣人特有の大きな体を小さくしながら答える。
「王宮のコック長はあなたの親戚かしら?」
「はい、私の父でございます。父がいかがしましたか?」
アートンは王宮コック長の父と比べられることが多く、その度に『父と比べて息子はパッとしない』と嫌な思いばかりしてきた。
なのでまたなのかと思った、ここでも比べられるのかと。
「ふふふ、王宮のコック長には花婿代理をしてもらったの。でも結婚式後ちゃんとお礼を言えなかったのよ。私は離宮にいるから、なかなか会うこともないでしょう、あなたからお礼を伝えてもらえるかしら?」
「はい。父に会ったら伝えます」
ただの伝言でホッとしていると、
「ああそれと、肝心な用件を伝えなくてわ。
部屋に置いてあった焼菓子はとても美味しかったわ、素晴らしい腕前ね」
父の料理を褒め称える言葉はいつも聞かされるが、自分の料理に対して直接お礼を言われたことは初めてだった。
自分の存在が認められてるようでアートンは嬉しかった。
わざわざ厨房に来て、言ってくれたことに心が熱くなるのを感じた。
「ありがとうございます!!」
「これからも美味しい料理やお菓子を楽しみにしているわ」
シルビアはアートン達料理人三人に微笑んだ。
コック長アートンはシルビアのために一生懸命美味しいものを作ると心に決めた!
もちろん他の二人も同じ決意である。
それから厨房ではシルビアを交えて、好きな食材や好きな味付けなどで話が盛り上がった。最初こそ遠慮がちに話していた料理人やサーサであったが、シルビアの気さくな態度に五人で大爆笑するほど打ち解けていった。
「へ~。シルビア様の国ではカエルも食べるんですか?!我が国では食べたことはありませんや」
見た目がグロテスクなカエルを食べるなど人族は悪食かとびっくりしている。
「私は食べたことあるけど、ニギ国の文化ではないから普通食べないわよ 味はまぁまぁだけど身が少ないから、捕る労力に比べて割に合わないわよ~」
「「「いやいや、そうじゃないだろう(でしょう)!」」」
平然と言うシルビアに、おもわず四人はつっこんだ。
(((見かけによらず逞しいーー)))
シルビアに対する評価に新たな項目が追加された。
厨房を後にする時には、
「シルビア様、これ新鮮な苺です。小腹が空いた時に食べてくださいや」
と籠一杯の苺を渡された。
「うふふ、ありがとう。部屋で食べるわね」
大好きな苺を手にご満悦のシルビアであった。
(この短時間で使用人の心を次々に掴んでいくとは、恐るべしシルビア様!)
サーサはシルビア様を慕う仲間が増えたことが嬉しく、侍女にあるまじき顔でニンマリとしていた。
こうしてシルビアは味方のいない獣人国で、無意識に味方を増やしていく。
王族でありながら臣下に対して丁寧で優しい態度、そしてあの女神の微笑み。
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気付けば離宮の少ない使用人達は【シルビア様を愛する会】なるものを裏で結成していた。
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