政略結婚の相手に見向きもされません

矢野りと

文字の大きさ
14 / 44

12.ギルアの依頼

最近の王宮はなぜか雰囲気がいい。
以前は一年中財務課から殺伐とした空気が流れ出ていて、それが全体に広がりピリピリした雰囲気だった。それが今はない、財務課の仕事の簡素化・合理化が成功しスムーズに事が運ぶようになったのである。

「最近の王宮はいい!明るくなって女の子達に声が掛けやすいよなー。ワッハッハ」
「王宮はナンパするところではありません。もっと仕事に励みなさい」
相変わらずのガロンに釘を刺す宰相、いつもの光景である。
「ガロン、お前に悩みはないのか…」
「ないない!」
即答のガロンを横目に、はぁ~と深いため息を吐きながら机に顔を埋める国王ギルア。
「どうでもいいですが仕事はしてくださいね」
悩んでいる内容を知っているので、宰相は相手にせず新たな書類を机に置いている。冷徹ウサギここにあり!
「俺で良かったら悩み聞くぜ、誰かに話すだけで心が軽くなるもんだ」
たまには真っ当な事を言うガロン、彼はこれでも国王ギルアの兄貴分的存在でタメ口を許されるほど信頼されている。
「俺の願いは2つだ
①側妃達と自然消滅という角が立たない形で別れたい 
②番を見つけて結婚したい」
「ワッハッハ、そりゃあ無理難題だな。王宮のなんでも相談箱に匿名で投函してやる」
なんの解決にもなっていない…、そもそも相談箱に投函した内容はアドバイス付きで掲示板に貼り出される。こんな内容では誰が相談したか一目瞭然、後宮を持つ人物はギルアだけなのだから。
「お前に相談した俺が馬鹿だった…」
これ以上落ち込むと仕事に支障をきたすと判断した宰相は解決策を教えることにした。
「シルビア様に公務として依頼してはどうですか?」
「??? どういうことだ?」
「最近、王宮内の仕事が円滑に運んでいるのには気づいてますよね。これもシルビア様が財務課の問題点を洗い出しその解決策を提示したからです。財務課の仕事は全ての課に影響を及ぼします、今回のシルビア様の解決策は王宮内文官全体に改革を起こしたといっていいものです」
そんな正妃の能力を活かして解決しろと宰相は言うが、ギルアにもプライドがある。
(即決出来ない----)
狼獣人は即決即行動の種族だが、『敵』認定したシルビアに頼むのは気が重い。ヘタレ狼ここにあり。 
「まあ、無理に解決せず流れに身を任せればいつの間にか解決する時もあるぜ」
ガロンのくせに、なんだか奥深い言葉を言ってきた。いつもと違うガロンの言葉に縋ろうと思った時、
「数年後には側妃達にそっくりなガキがポコポコ生まれて、諦めの境地に辿り着けるって~。ワッハッハ」
ギルアは利き手である右の拳を使い、無言でガロンを床に沈めた。
(一瞬でもガロンバカ犬を信じた俺が馬鹿だった!やはり冷徹だが宰相を信じるべきだ!)

「宰相、明日正妃を執務室に呼んでくれ。後宮問題解決を公務として依頼する!」
「承知しました、英断ですギルア様」
自分の幸せのために恥を捨て、シルビアと手を組む覚悟をしたギルアは吹っ切れた顔をしている。

(本当にギルア様はまだまだ手が掛かりますね~。でもこれで上手く事が運ぶ予感がしますよ)
宰相の尻尾がなぜか今ピコピコしている…?これは何か企んでワクワク感を隠せない行動なのだが、ギルアからは尻尾が見えていなかった。



あなたにおすすめの小説

好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~

こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。 ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。 もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて―― 「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」 ――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。 ※小説家になろうにも投稿しています

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました! レジーナブックス様から書籍が4月下旬に発売されます!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ
恋愛
 10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。  多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。  もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

【完結】あなたの隣に私は必要ですか?

らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。 しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。 そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。 月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。 そんな状況で、アリーシアは思う。 私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。 * 短編です。 ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。