15 / 44
13.話し合い
しおりを挟む
----翌日----
国王の執務室には、ギルア・宰相・ガロン・シルビア・トト爺・サカトが揃っている。
みんな揃ってテーブルに着き、人数分の紅茶が並べてある。本来は臣下である宰相・側近ガロン・トト爺・護衛騎士サカトは後ろに控えて立っているべきだが、『何だか腰が痛いの~』というトト爺の呟きをウサギ獣人である宰相は聞き逃さなかった。すぐに臣下の分の椅子と紅茶を追加し、トト爺に着席を促した。『なんかすまんの。ホッホッホ』と言いながらちょこんと椅子に座る。
いったい何の弱みを握られているのかと宰相を見るが、聞くなと言わんばかりに目を逸らす。通りで国王の予定が漏れるはずである。
国王に呼び出されたシルビアは微笑みを浮かべて国王ギルアの言葉を待っている…待っている…。
---いつまでもあると思うな時間と金! by シルビア
いい加減どうしてやろうかと思っていると、またしてもトト爺が呟く、
「早く話さんかの~」
今度はギルアがびくりと反応する。…オーサン国の食物連鎖の頂点は草食動物で間違いないようだ…。
「正妃よ、財務課での改革を評価して新たな公務を頼みたい。その公務が終了するまでは財務課の仕事は一旦休んで構わん」
「正妃としての公務ならお受けしますので、内容をお願いします」
(上から目線は気に入らないけど、公私混同はしないわよ)
「後宮問題を解決する策を見つけてくれ」
「……」なんだか幻聴がする…。
「側妃達と自然消滅という角が立たない形で婚姻解消を望んでいる……」
「……」ここに馬鹿がいる。
(呆れてものが言えない!後宮を勝手に復活した挙句、側妃達が気に入らないから離婚したいだぁ~。寝言は寝て言え!)
シルビアは極上の微笑みを披露し無言を貫く、ギルアも己の非が分かっているので強くは言えない。
誰も何も言わずにいると、『ズズズー』トト爺が紅茶を一気飲みしてから口を開いた。
「随分と勝手な言い分じゃな。それを解決したところでシルビア様に何のメリットがある?大方、ガーザの入れ知恵だろうな~。二人とも覚悟は出来ているんか……」
トト爺のつぶらな瞳が細められる、『仏のトト』出現である。トト爺の裏の顔を実体験で知っているギルアとガーザは覚悟は出来て…いないようだ、フサフサの尻尾と丸い尻尾はこれでもかと股の間に隠れている。
…誰が国王なのか、もはや謎である…。
頭の中で算盤を弾いていたシルビアの考えが纏まり、この公務を受けるメリットを見出した。
『時間稼ぎ有り難う!』シルビアは、考える時間が取れるように脅しを掛けてくれていたトト爺にこっそりウインクをする。
「この公務お引き受けします。ただし条件があります」
「言ってくれ」
「後宮問題の解決策を見つけますが、実行する努力はご自分でして下さい」
(人を当てにばかりしないで自分で汗水垂らせ!)
「勿論だ!」
(なるべく頑張る…)
「でも後宮から側妃が居なくなったら、後宮は廃止され番様と結婚出来なくなりますがよろしいのですか?」
(後宮何のために復活させたか思い出せ!番のために復活させた後宮を潰したら意味ないじゃん、お分かり!)
「………っあ!」…忘れてた…。
「そこで提案です! 後宮を廃止した後に番様と結婚出来るようにしましょう♪」
「「「出来るのか(んですか)?!」」」
「出来ます。私と離縁すればいいのです!白い結婚が1年間続いた場合オーサン国では、女性側から離縁を申し出る事が出来ると聞きました、そうですね?」
「ああその通りだ」
「後宮廃止された暁には、私がその権利を行使して離縁します。なのでその後に番様との結婚は可能です。ただ離縁後もオーサン国に住む許可と商会を立ち上げる資金をお願いします」
(これでお互いウィンウィンよ、悪くない提案でしょ。さあ、即決して頂戴♪)
「……分かった条件をのむ。公務をよろしく頼む」
「かしこまりました♪」
とんとん拍子に話が纏まり上機嫌のシルビアは、トト爺やサカトと作戦成功と喜びながら部屋を出ていった。
一方ギルアは、意外な方向に話がいったが希望通りの結果に喜びを感じ…るはずなのに、感じていない。
それどころか、自分と離縁する事を喜んでいるシルビアを見ると複雑な気持ちになってくる。なんかモヤモヤしているが、この気持ちの意味は分からない。
ガロンに胸がモヤモヤすると話すと
「それは飲み過ぎだな~。昨日一緒に今日の交渉成功の願掛けで浴びるほど飲んだろう。ワッハッハ」
ギルアに芽生えたかもしれない小さな恋心をバカ犬が踏み潰していくのであった。
****************************
----話し合い後の腹黒同士----
「トト爺やってくれましたね?」
「何のことやらじゃ~」
「シルビア様の能力はオーサン国の宝ですのに、それを離縁など…!
何とか二人を近づけて名実ともに夫婦とする予定でしたのに…」
宰相がギルアに正妃への依頼を進めたのは問題解決の為ではない、正妃に見向きもしないギルアに接点を持たせるためだ。そして距離を縮めさせ、媚薬でも使って既成事実を作り、正妃の地位を盤石にさせようと考えていたのだ。
「お前さんの考えは宰相として正しい判断じゃ。だがな儂をはじめ離宮の者達はシルビア様の幸せの為に動くぞ~」
『仏のトト』に牽制されては、宰相も迂闊な事は出来ない。
「今のギル坊には、シルビア様は勿体無いでな~」
「ですがっ…」
トト爺の睨みに黙るしかない宰相。
「わしも鬼ではない。ギル坊が成長しシルビア様に相応しい男になったら邪魔はせんの~」
「………」
「亀の甲より年の劫じゃ~。ホッホッホ」
『ウサギ獣人の突然変異』VS『仏のトト』はトト爺に軍配が上がった。
国王の執務室には、ギルア・宰相・ガロン・シルビア・トト爺・サカトが揃っている。
みんな揃ってテーブルに着き、人数分の紅茶が並べてある。本来は臣下である宰相・側近ガロン・トト爺・護衛騎士サカトは後ろに控えて立っているべきだが、『何だか腰が痛いの~』というトト爺の呟きをウサギ獣人である宰相は聞き逃さなかった。すぐに臣下の分の椅子と紅茶を追加し、トト爺に着席を促した。『なんかすまんの。ホッホッホ』と言いながらちょこんと椅子に座る。
いったい何の弱みを握られているのかと宰相を見るが、聞くなと言わんばかりに目を逸らす。通りで国王の予定が漏れるはずである。
国王に呼び出されたシルビアは微笑みを浮かべて国王ギルアの言葉を待っている…待っている…。
---いつまでもあると思うな時間と金! by シルビア
いい加減どうしてやろうかと思っていると、またしてもトト爺が呟く、
「早く話さんかの~」
今度はギルアがびくりと反応する。…オーサン国の食物連鎖の頂点は草食動物で間違いないようだ…。
「正妃よ、財務課での改革を評価して新たな公務を頼みたい。その公務が終了するまでは財務課の仕事は一旦休んで構わん」
「正妃としての公務ならお受けしますので、内容をお願いします」
(上から目線は気に入らないけど、公私混同はしないわよ)
「後宮問題を解決する策を見つけてくれ」
「……」なんだか幻聴がする…。
「側妃達と自然消滅という角が立たない形で婚姻解消を望んでいる……」
「……」ここに馬鹿がいる。
(呆れてものが言えない!後宮を勝手に復活した挙句、側妃達が気に入らないから離婚したいだぁ~。寝言は寝て言え!)
シルビアは極上の微笑みを披露し無言を貫く、ギルアも己の非が分かっているので強くは言えない。
誰も何も言わずにいると、『ズズズー』トト爺が紅茶を一気飲みしてから口を開いた。
「随分と勝手な言い分じゃな。それを解決したところでシルビア様に何のメリットがある?大方、ガーザの入れ知恵だろうな~。二人とも覚悟は出来ているんか……」
トト爺のつぶらな瞳が細められる、『仏のトト』出現である。トト爺の裏の顔を実体験で知っているギルアとガーザは覚悟は出来て…いないようだ、フサフサの尻尾と丸い尻尾はこれでもかと股の間に隠れている。
…誰が国王なのか、もはや謎である…。
頭の中で算盤を弾いていたシルビアの考えが纏まり、この公務を受けるメリットを見出した。
『時間稼ぎ有り難う!』シルビアは、考える時間が取れるように脅しを掛けてくれていたトト爺にこっそりウインクをする。
「この公務お引き受けします。ただし条件があります」
「言ってくれ」
「後宮問題の解決策を見つけますが、実行する努力はご自分でして下さい」
(人を当てにばかりしないで自分で汗水垂らせ!)
「勿論だ!」
(なるべく頑張る…)
「でも後宮から側妃が居なくなったら、後宮は廃止され番様と結婚出来なくなりますがよろしいのですか?」
(後宮何のために復活させたか思い出せ!番のために復活させた後宮を潰したら意味ないじゃん、お分かり!)
「………っあ!」…忘れてた…。
「そこで提案です! 後宮を廃止した後に番様と結婚出来るようにしましょう♪」
「「「出来るのか(んですか)?!」」」
「出来ます。私と離縁すればいいのです!白い結婚が1年間続いた場合オーサン国では、女性側から離縁を申し出る事が出来ると聞きました、そうですね?」
「ああその通りだ」
「後宮廃止された暁には、私がその権利を行使して離縁します。なのでその後に番様との結婚は可能です。ただ離縁後もオーサン国に住む許可と商会を立ち上げる資金をお願いします」
(これでお互いウィンウィンよ、悪くない提案でしょ。さあ、即決して頂戴♪)
「……分かった条件をのむ。公務をよろしく頼む」
「かしこまりました♪」
とんとん拍子に話が纏まり上機嫌のシルビアは、トト爺やサカトと作戦成功と喜びながら部屋を出ていった。
一方ギルアは、意外な方向に話がいったが希望通りの結果に喜びを感じ…るはずなのに、感じていない。
それどころか、自分と離縁する事を喜んでいるシルビアを見ると複雑な気持ちになってくる。なんかモヤモヤしているが、この気持ちの意味は分からない。
ガロンに胸がモヤモヤすると話すと
「それは飲み過ぎだな~。昨日一緒に今日の交渉成功の願掛けで浴びるほど飲んだろう。ワッハッハ」
ギルアに芽生えたかもしれない小さな恋心をバカ犬が踏み潰していくのであった。
****************************
----話し合い後の腹黒同士----
「トト爺やってくれましたね?」
「何のことやらじゃ~」
「シルビア様の能力はオーサン国の宝ですのに、それを離縁など…!
何とか二人を近づけて名実ともに夫婦とする予定でしたのに…」
宰相がギルアに正妃への依頼を進めたのは問題解決の為ではない、正妃に見向きもしないギルアに接点を持たせるためだ。そして距離を縮めさせ、媚薬でも使って既成事実を作り、正妃の地位を盤石にさせようと考えていたのだ。
「お前さんの考えは宰相として正しい判断じゃ。だがな儂をはじめ離宮の者達はシルビア様の幸せの為に動くぞ~」
『仏のトト』に牽制されては、宰相も迂闊な事は出来ない。
「今のギル坊には、シルビア様は勿体無いでな~」
「ですがっ…」
トト爺の睨みに黙るしかない宰相。
「わしも鬼ではない。ギル坊が成長しシルビア様に相応しい男になったら邪魔はせんの~」
「………」
「亀の甲より年の劫じゃ~。ホッホッホ」
『ウサギ獣人の突然変異』VS『仏のトト』はトト爺に軍配が上がった。
197
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!
柚屋志宇
恋愛
「お前を愛することはない」
『氷の騎士』侯爵令息ライナスは、伯爵令嬢セルマに白い結婚を宣言した。
セルマは家同士の政略による契約結婚と割り切ってライナスの妻となり、二年後の離縁の日を待つ。
しかし結婚すると、最初は冷たかったライナスだが次第にセルマに好意的になる。
だがセルマは離縁の日が待ち遠しい。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜
本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」
王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。
偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。
……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。
それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。
いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。
チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。
……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。
3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる