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32.二度目の結婚式~準備~
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『本日はお日柄も良く~で始まる結婚式』は人生の中で重要なイベントと言って過言ではない。
オーサン国の国王と正妃の結婚式も4月にかなりショボく行なった、そのうえ花婿は前代未聞の代理ではあったが…と・に・か・く・行った事実は覆らない。
同じ相手との結婚式は離縁再婚でもしない限り、一度きりである。それが当然なのだが、ここにグズグズと二度目の結婚式をしたいと言い張っている駄目狼が一匹いる。
「結婚式は一度と決まっています。同じ相手と何度も式を挙げる事などしません。諦めてください」
「だが、俺はシルビアと結婚式を挙げてない!一回目だ!」
「それは、ギルア様がすっぽかしたからですよね。お忘れですか?」
「だが最愛の人と式を挙げないなど嫌だ!」
「確かにシルビア様とは式をしてないけど、代わりに側妃達と三回もしてるんだから経験は十分だろう。これ以上経験いるか?いらんだろうーワッハッハ」
「……」
ギルアの触れられたくない黒歴史をさらりと抉ってくるガロン、宰相はグッジョブと親指を立て、勇者ガロンを称えている。ガロンは普段宰相に褒められる事などあまりないので、嬉しそうに尻尾を振って忠犬ガロンになっている。
どんなに反対されても、絶対に男として最愛の人との結婚式を諦められないギルアはこっそりと最終兵器を用意していた。今こそそれを使う時だと、執務室の扉に近づき、自ら扉を開ける。
そして、得意げにジャジャーンと一人のウサギ獣人の女性を招き入れる。なんと宰相の愛妻ノアが恥ずかしそうに入ってくる。
「ノア、どうした?子供達は一緒なのか?」
ガーザは突然の愛妻の登場に戸惑いながら尋ねているが、デレデレとし嬉しさが隠しきれていない。一方ノアは夫の職場に入るのは初めてなので照れているが、夫が自分の登場を喜ぶ様子を見て嬉しそうにしている。お似合いのラブラブウサギ夫婦なのである。
「今日はギルア様に打ち合わせに呼ばれて来たのよ。子供達は侍女さん達と衣装の打ち合わせをしているわ」
「打ち合わせ?衣装、何の?」
「もちろん、ギルア様とシルビア様の結婚式のよ。子供達もリングボーイとフラワーガールに選ばれて大喜びしているわ。張り切って衣装合わせに行っているもの♪うふふ、楽しみね。きっと可愛いわよ」
(駄目狼、やりましたね……卑怯な事を!)ガーザが唇を噛みしめ、握った拳を怒りで震わせている。
ギルアは結婚式を反対された時の最終手段として、宰相に内緒でガーザの愛妻ノアに手をまわしていた。
裏でノアに連絡を取り、子供達に結婚式のリングボーイとフラワーガールをお願いし了承を得ていたのだ。当然子供達は大役を喜び、キラキラした衣装を着られる結婚式を心待ちにする。そんな可愛い子供達を前にして宰相が反対しないのは分かっていた。
愛妻と子供達をこよなく愛するガーザは家族を悲しませる事を絶対にしない。ギルアはそれを承知したうえで、キタナイ大人の計画(=外堀を埋める)を実行したのである。
「どうしたのあなた?私達が来ては駄目だった?」
「そんなはずないだろう。ノアは私の妻なんだよ。これから結婚式の打ち合わせをチャチャっと終わらせて、皆で外食してから帰ろう」
ガーザは家族の為にギルアの結婚式をイヤイヤながら認める事にしたが、二度目は『チャチャっと』で済ませるレベルでやれと暗にギルアに示す。
宰相のOKが出たので、ギルアはガッツポーズをして喜んでいる。『チャチャっと』レベルでも、出来るのだからこの際文句は言わないつもりだ。だがこの時ギルアは浮かれ過ぎていた、この後すぐに自分の失言により出来た穴に、宰相の手で突き落とされるのをまだ知らない…。
「ところでギルア様、可愛い子供達の衣装はいつ出来るのですか?」
「もう出来てるぞ。事前にサイズは聞いていたから、今日は試着だけだ。さっき確認したら、サイズはピッタリで問題ないそうだ。明日にでも立派なリングボーイと可愛いフラワーガールになれるな」
ギルアは上機嫌で話している、決して『明日結婚式をしたい』という意味ではなく、『いつでも子供達は出来るよね』的な軽いノリで言っただけだった。いわゆる世間話程度の軽さだったのだが、腹黒宰相はその言葉を自慢の耳で聞き逃さなかった。
「そうですね、明日で問題ありませんね。では明日に決定。チャチャっとやってしまいましょう。王宮内にある教会に10時に予約をいれてください。衣装は一度目の時に用意したものでいいですね。参列者は王宮の臣下達希望者で。ではまた明日、ギルア様。お先に失礼します」
宰相は言いたい事だけを一気にいって帰り支度を始める。パッパッと荷物を詰めると愛妻ノアの腰に手をまわし一緒に出ていってしまった。ノアが『打ち合わせはいいの』と心配そうに聞いていたが、『事前に十分していたから大丈夫だ』と明るく言って強引に帰ってしまった。
誰も宰相を止められなかった、そんな勇気がある奴はどこにもいなかった。
しばらくするとガーザ家族が楽しそうに『外食だー!やったー!パパー大好き♪」と賑やかに帰っていく声が、執務室の窓から聞こえてきたが、すぐにその声は遠ざかっていった。
ギルアは今だ状況が呑み込めない…。
(ガーザがいない??、さっきまで俺の作戦上手くいってたよな。どこで間違えた??
エッ、俺の発言から明日になったのか?ハッ、これは宰相の仕返しだ…。ていうかなんで明日!大丈夫か…!)
「ワッハッハー。やられたな、ギルア様。宰相の奥さんに勝手に連絡取っていたのは不味かったよなー。これぐらいで済んで良かったぞ。以前奥さんに話し掛けていた奴はいつの間にかド田舎に左遷されていたぞ。国王が左遷ってどうなるんだ、ガッハッハ」
ガロンは笑いが止まらなくなっている、どうやら『人の不幸は蜜の味』路線を進む事にしたらしい、酷い側近である。
(((イヤイヤ宰相が国王を左遷とか出来ないはずだから…たぶん?)))執務室に取り残された臣下達も自信がない、なんせ獣人の食物連鎖はちょっとおかしな点があるからだ。
そんな周りの状況だが、ギルアはなんとか気力を振り絞って、明日の準備することにした。無理矢理掴んだ二度目の結婚式のチャンスだ、諦めるなんて選択肢はない!(ゴーゴー結婚式!)
「誰か教会に10時に予約を入れに行け、急げ。それと離宮に連絡をしろ。明日の10時に結婚式だとシルビアに伝えるのだ。王宮内の臣下達にも連絡を回せ。希望者は自由に参列出来ると!教会には花を飾れ、町中の花を集めろ。グズグズしてる暇はないぞ!」
テキパキと命令を飛ばすその様はまさに国王、ただその経緯を知っている臣下達はため息を吐きながら黙々と動く。
(((ギルア様、これって貴方の尻拭いですよね…!!)))
****************************
---連絡を受けた離宮にて---
「ごめんなさい、よく聞き取れなかったわ。もう一度言ってくださる?」
(あらあら、私の自慢の耳の調子が悪いわ)
「ですから明日10時から王宮内の教会で二度目の結婚式を行います」
「二度目?誰のかしら?」
(意味が分からない…)
「ですから国王様と正妃様の二度目の結婚式です」
「どこの?」
(…まさかね)
「オーサン国のです」
「馬鹿なの…?今日言われて明日って…」
「激しく同感です。もう馬鹿でいいと思います」
「…連絡有り難うございます」
「ではよろしくお願いします」
王宮からの使者が玄関から出ていき、扉が閉まる。
---その5秒後---
「ギャーーーー!あの馬鹿狼!!」
サーサの怒りの叫びが離宮に響き渡る。
その後離宮は嵐のような慌ただしさになった。
(((この馬鹿狼がーー!!)))
オーサン国の国王と正妃の結婚式も4月にかなりショボく行なった、そのうえ花婿は前代未聞の代理ではあったが…と・に・か・く・行った事実は覆らない。
同じ相手との結婚式は離縁再婚でもしない限り、一度きりである。それが当然なのだが、ここにグズグズと二度目の結婚式をしたいと言い張っている駄目狼が一匹いる。
「結婚式は一度と決まっています。同じ相手と何度も式を挙げる事などしません。諦めてください」
「だが、俺はシルビアと結婚式を挙げてない!一回目だ!」
「それは、ギルア様がすっぽかしたからですよね。お忘れですか?」
「だが最愛の人と式を挙げないなど嫌だ!」
「確かにシルビア様とは式をしてないけど、代わりに側妃達と三回もしてるんだから経験は十分だろう。これ以上経験いるか?いらんだろうーワッハッハ」
「……」
ギルアの触れられたくない黒歴史をさらりと抉ってくるガロン、宰相はグッジョブと親指を立て、勇者ガロンを称えている。ガロンは普段宰相に褒められる事などあまりないので、嬉しそうに尻尾を振って忠犬ガロンになっている。
どんなに反対されても、絶対に男として最愛の人との結婚式を諦められないギルアはこっそりと最終兵器を用意していた。今こそそれを使う時だと、執務室の扉に近づき、自ら扉を開ける。
そして、得意げにジャジャーンと一人のウサギ獣人の女性を招き入れる。なんと宰相の愛妻ノアが恥ずかしそうに入ってくる。
「ノア、どうした?子供達は一緒なのか?」
ガーザは突然の愛妻の登場に戸惑いながら尋ねているが、デレデレとし嬉しさが隠しきれていない。一方ノアは夫の職場に入るのは初めてなので照れているが、夫が自分の登場を喜ぶ様子を見て嬉しそうにしている。お似合いのラブラブウサギ夫婦なのである。
「今日はギルア様に打ち合わせに呼ばれて来たのよ。子供達は侍女さん達と衣装の打ち合わせをしているわ」
「打ち合わせ?衣装、何の?」
「もちろん、ギルア様とシルビア様の結婚式のよ。子供達もリングボーイとフラワーガールに選ばれて大喜びしているわ。張り切って衣装合わせに行っているもの♪うふふ、楽しみね。きっと可愛いわよ」
(駄目狼、やりましたね……卑怯な事を!)ガーザが唇を噛みしめ、握った拳を怒りで震わせている。
ギルアは結婚式を反対された時の最終手段として、宰相に内緒でガーザの愛妻ノアに手をまわしていた。
裏でノアに連絡を取り、子供達に結婚式のリングボーイとフラワーガールをお願いし了承を得ていたのだ。当然子供達は大役を喜び、キラキラした衣装を着られる結婚式を心待ちにする。そんな可愛い子供達を前にして宰相が反対しないのは分かっていた。
愛妻と子供達をこよなく愛するガーザは家族を悲しませる事を絶対にしない。ギルアはそれを承知したうえで、キタナイ大人の計画(=外堀を埋める)を実行したのである。
「どうしたのあなた?私達が来ては駄目だった?」
「そんなはずないだろう。ノアは私の妻なんだよ。これから結婚式の打ち合わせをチャチャっと終わらせて、皆で外食してから帰ろう」
ガーザは家族の為にギルアの結婚式をイヤイヤながら認める事にしたが、二度目は『チャチャっと』で済ませるレベルでやれと暗にギルアに示す。
宰相のOKが出たので、ギルアはガッツポーズをして喜んでいる。『チャチャっと』レベルでも、出来るのだからこの際文句は言わないつもりだ。だがこの時ギルアは浮かれ過ぎていた、この後すぐに自分の失言により出来た穴に、宰相の手で突き落とされるのをまだ知らない…。
「ところでギルア様、可愛い子供達の衣装はいつ出来るのですか?」
「もう出来てるぞ。事前にサイズは聞いていたから、今日は試着だけだ。さっき確認したら、サイズはピッタリで問題ないそうだ。明日にでも立派なリングボーイと可愛いフラワーガールになれるな」
ギルアは上機嫌で話している、決して『明日結婚式をしたい』という意味ではなく、『いつでも子供達は出来るよね』的な軽いノリで言っただけだった。いわゆる世間話程度の軽さだったのだが、腹黒宰相はその言葉を自慢の耳で聞き逃さなかった。
「そうですね、明日で問題ありませんね。では明日に決定。チャチャっとやってしまいましょう。王宮内にある教会に10時に予約をいれてください。衣装は一度目の時に用意したものでいいですね。参列者は王宮の臣下達希望者で。ではまた明日、ギルア様。お先に失礼します」
宰相は言いたい事だけを一気にいって帰り支度を始める。パッパッと荷物を詰めると愛妻ノアの腰に手をまわし一緒に出ていってしまった。ノアが『打ち合わせはいいの』と心配そうに聞いていたが、『事前に十分していたから大丈夫だ』と明るく言って強引に帰ってしまった。
誰も宰相を止められなかった、そんな勇気がある奴はどこにもいなかった。
しばらくするとガーザ家族が楽しそうに『外食だー!やったー!パパー大好き♪」と賑やかに帰っていく声が、執務室の窓から聞こえてきたが、すぐにその声は遠ざかっていった。
ギルアは今だ状況が呑み込めない…。
(ガーザがいない??、さっきまで俺の作戦上手くいってたよな。どこで間違えた??
エッ、俺の発言から明日になったのか?ハッ、これは宰相の仕返しだ…。ていうかなんで明日!大丈夫か…!)
「ワッハッハー。やられたな、ギルア様。宰相の奥さんに勝手に連絡取っていたのは不味かったよなー。これぐらいで済んで良かったぞ。以前奥さんに話し掛けていた奴はいつの間にかド田舎に左遷されていたぞ。国王が左遷ってどうなるんだ、ガッハッハ」
ガロンは笑いが止まらなくなっている、どうやら『人の不幸は蜜の味』路線を進む事にしたらしい、酷い側近である。
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そんな周りの状況だが、ギルアはなんとか気力を振り絞って、明日の準備することにした。無理矢理掴んだ二度目の結婚式のチャンスだ、諦めるなんて選択肢はない!(ゴーゴー結婚式!)
「誰か教会に10時に予約を入れに行け、急げ。それと離宮に連絡をしろ。明日の10時に結婚式だとシルビアに伝えるのだ。王宮内の臣下達にも連絡を回せ。希望者は自由に参列出来ると!教会には花を飾れ、町中の花を集めろ。グズグズしてる暇はないぞ!」
テキパキと命令を飛ばすその様はまさに国王、ただその経緯を知っている臣下達はため息を吐きながら黙々と動く。
(((ギルア様、これって貴方の尻拭いですよね…!!)))
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---連絡を受けた離宮にて---
「ごめんなさい、よく聞き取れなかったわ。もう一度言ってくださる?」
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「ですから明日10時から王宮内の教会で二度目の結婚式を行います」
「二度目?誰のかしら?」
(意味が分からない…)
「ですから国王様と正妃様の二度目の結婚式です」
「どこの?」
(…まさかね)
「オーサン国のです」
「馬鹿なの…?今日言われて明日って…」
「激しく同感です。もう馬鹿でいいと思います」
「…連絡有り難うございます」
「ではよろしくお願いします」
王宮からの使者が玄関から出ていき、扉が閉まる。
---その5秒後---
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