91 / 95
第90話 気の合う3人
しおりを挟む
「いや~話が分かる方で良かった。ご自分から娘と結婚したいと申し出てくれたのですからな」
父が機嫌良く笑う。
「ええ、当然です。俺にはステラに対して負わなければならない責任がありますから」
「まぁ、なんて潔い方なのかしら。堂々と打ち明けてくれるなんて潔い方ですわ」
「お褒め頂き、光栄です」
母の言葉に会釈するエド。
何だか3人の話が噛み合っていないのに、通じ合っているようだ。
「それで早速なのですが、今すぐにでもステラと婚約をさせていただきたいのですが。両親からは結婚相手はお前の意思に任せると言われておりますので、何の問題もありません」
「それは理解の良い親御さんで助かりますな。こちらとしてもすぐに婚約、いや結婚させても良いほどです。何しろ、既にステラは結婚適齢期に入っておりますからな」
「それなら今ここで二人に結婚誓約書を書いてもらって、明日にでも指輪を作りにいったらどうかしら」
私を抜きにして、3人でドンドン話が先に進んでいく。
「結婚!? ちょっと待って下さいよ! 私はまだエドと結婚するなんて言ってませんけど?」
するとエドが悲しげな顔を向ける。
「俺じゃ駄目なのか……? ステラ」
「うっ! だ、駄目というか……」
エドは確かにイケメンだ。すれ違う女性にニコリと微笑めば、全員がポ~ッとなること間違いないだろう。
だけどエドの本当の目的は私ではなく、私の所持する食べ物が目的なのだ。仮に、結婚でもしようものなら……全て奪われてしまうかもしれない!
「それじゃ、駄目ではないんだな?」
笑顔で私を見つめるエド。その目は……まさに捕食者の目だ!! 私の食糧を狙う捕食者だ!
思わずゴクリと息を呑んで、エドから視線をそらせずにいると両親が勘違いする。
「まぁ、そんなふうに見つめ合うなんて……すっかり二人は気持ちが通じ合っているのね」
「そうだな、お似合いの二人だ。何しろエド様は平凡なエイドリアンとは違う。何処高貴な物を感じられる」
頷く父。
それは当然のことだろう、何しろエドは王族なのだから。……ただし、王位継承権のない、第6王子だけど。
「エド様、今夜も我が家に泊まっていかれてはどうですか? もう時間も遅いことですから」
母の提案に、エドは笑顔で返事をする。
「本当ですか? ありがとうございます。では、お言葉に甘えて今夜も宿泊させて下さい」
「そうだな。是非とも泊まっていってくだされ」
「はい!」
こうして、3人だけで話は盛り上がり……夕食会は終わった……。
****
「エド、一体どういうつもりなんですか? 私がエドと婚約することの何処が良い考えなのです?」
両親に「エド様を客間に案内するように」と命じられた私は、エドを客間に案内すると尋ねた。
「俺と婚約すれば、カレンは完全に諦めてステラに嫌がらせをしなくなるんじゃないのか? カレンも俺に執着するのをやめるだろうし……まさに、一石二鳥だとは思わないか?」
エドはソファに座ると、私を見上げた。
「う~ん……でも、本当の目的は私の持っている食糧なのではありませんか? 正直に言いますが、いずれあの部屋に置かれた食べ物は底をつきます。そうなると、二度とエドが食べたいと思っているスナックやおせんべいは食べられなくなるのですよ」
すると、エドは悲しそうな顔を浮かべた。
「ステラ……本気で言ってるのか?」
え!? ま、まさか日本の食べ物が食べられなくなるのがそんなに悲しいの!?
「ま、まぁ、節約すればまだ大丈夫でしょうけど……と、とにかく魔女の集会で何か新しい情報が手に入るかも知れないので、それまでは節約していきましょう」
「そうだな。まぁ……その頃には……だろう」
エドが考え込むかのようにつぶやく。
「え? 何か言いましたか?」
「いや、なんでもない。それより、そろそろ寝ようかと思うんだが……一緒に寝るか? ステラ」
「はぁ!? 何言ってるんですか? もう一緒になんか寝ませんからね!」
冗談じゃない。さては私と一緒に眠りについて……勝手に部屋の中の食糧を持っていくつもりだな!?
「アハハハ……冗談だよ。冗談」
「はい、ではごゆっくりお休み下さい」
「うん、おやすみ」
私はエドを客間に残すと、自室へ戻った。
そして眠りに就いた私は、今夜も日本の自室で目が覚める――
父が機嫌良く笑う。
「ええ、当然です。俺にはステラに対して負わなければならない責任がありますから」
「まぁ、なんて潔い方なのかしら。堂々と打ち明けてくれるなんて潔い方ですわ」
「お褒め頂き、光栄です」
母の言葉に会釈するエド。
何だか3人の話が噛み合っていないのに、通じ合っているようだ。
「それで早速なのですが、今すぐにでもステラと婚約をさせていただきたいのですが。両親からは結婚相手はお前の意思に任せると言われておりますので、何の問題もありません」
「それは理解の良い親御さんで助かりますな。こちらとしてもすぐに婚約、いや結婚させても良いほどです。何しろ、既にステラは結婚適齢期に入っておりますからな」
「それなら今ここで二人に結婚誓約書を書いてもらって、明日にでも指輪を作りにいったらどうかしら」
私を抜きにして、3人でドンドン話が先に進んでいく。
「結婚!? ちょっと待って下さいよ! 私はまだエドと結婚するなんて言ってませんけど?」
するとエドが悲しげな顔を向ける。
「俺じゃ駄目なのか……? ステラ」
「うっ! だ、駄目というか……」
エドは確かにイケメンだ。すれ違う女性にニコリと微笑めば、全員がポ~ッとなること間違いないだろう。
だけどエドの本当の目的は私ではなく、私の所持する食べ物が目的なのだ。仮に、結婚でもしようものなら……全て奪われてしまうかもしれない!
「それじゃ、駄目ではないんだな?」
笑顔で私を見つめるエド。その目は……まさに捕食者の目だ!! 私の食糧を狙う捕食者だ!
思わずゴクリと息を呑んで、エドから視線をそらせずにいると両親が勘違いする。
「まぁ、そんなふうに見つめ合うなんて……すっかり二人は気持ちが通じ合っているのね」
「そうだな、お似合いの二人だ。何しろエド様は平凡なエイドリアンとは違う。何処高貴な物を感じられる」
頷く父。
それは当然のことだろう、何しろエドは王族なのだから。……ただし、王位継承権のない、第6王子だけど。
「エド様、今夜も我が家に泊まっていかれてはどうですか? もう時間も遅いことですから」
母の提案に、エドは笑顔で返事をする。
「本当ですか? ありがとうございます。では、お言葉に甘えて今夜も宿泊させて下さい」
「そうだな。是非とも泊まっていってくだされ」
「はい!」
こうして、3人だけで話は盛り上がり……夕食会は終わった……。
****
「エド、一体どういうつもりなんですか? 私がエドと婚約することの何処が良い考えなのです?」
両親に「エド様を客間に案内するように」と命じられた私は、エドを客間に案内すると尋ねた。
「俺と婚約すれば、カレンは完全に諦めてステラに嫌がらせをしなくなるんじゃないのか? カレンも俺に執着するのをやめるだろうし……まさに、一石二鳥だとは思わないか?」
エドはソファに座ると、私を見上げた。
「う~ん……でも、本当の目的は私の持っている食糧なのではありませんか? 正直に言いますが、いずれあの部屋に置かれた食べ物は底をつきます。そうなると、二度とエドが食べたいと思っているスナックやおせんべいは食べられなくなるのですよ」
すると、エドは悲しそうな顔を浮かべた。
「ステラ……本気で言ってるのか?」
え!? ま、まさか日本の食べ物が食べられなくなるのがそんなに悲しいの!?
「ま、まぁ、節約すればまだ大丈夫でしょうけど……と、とにかく魔女の集会で何か新しい情報が手に入るかも知れないので、それまでは節約していきましょう」
「そうだな。まぁ……その頃には……だろう」
エドが考え込むかのようにつぶやく。
「え? 何か言いましたか?」
「いや、なんでもない。それより、そろそろ寝ようかと思うんだが……一緒に寝るか? ステラ」
「はぁ!? 何言ってるんですか? もう一緒になんか寝ませんからね!」
冗談じゃない。さては私と一緒に眠りについて……勝手に部屋の中の食糧を持っていくつもりだな!?
「アハハハ……冗談だよ。冗談」
「はい、ではごゆっくりお休み下さい」
「うん、おやすみ」
私はエドを客間に残すと、自室へ戻った。
そして眠りに就いた私は、今夜も日本の自室で目が覚める――
627
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる