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2-10 身勝手な女
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今日は色々あって疲れていたので夕食まで休んでいようと思い、ベッドにゴロンと寝転んでいると、廊下でコツコツと足音が聞こえてきた。
そしてドアがバタンと閉じられる音がした。どうやらカサンドラが学校から帰って来たようだ。
カサンドラの隣の部屋を自室に変えた為、以前よりもカサンドラの動向がずっと掴みやすくなり、私はほくそ笑んだ。
確か今日はカサンドラが特に苦手としている数学と古典語の授業があったはず。恐らく宿題がどっさり出されたものの、あの頭では一問たりとも解けるはずが無いだろう。きっと・・・カサンドラは私に代わりに宿題をやるように命じて来るに決まっている。
「分不相応な学校に入学なんかするからよ・・・。」
私はポツリと呟いた。
それにしても・・・一体カサンドラはどうやってあの名門と呼ばれる女子学院に入学する事が出来たのだろう?あの学院は家柄もさることながら、頭が相当良く無ければ入学なんて不可能だ。ひょっとすると父は大金を払って裏口入学をさせたに違いない。それがカサンドラの為だと父は信じて疑っていないようだが、逆に私の口から言わせると、あの頭でエリート校へ通わされている方が悲劇なのでは無いかと思う。
恐らく、カサンドラは今の学院には親しい友人は1人もいないはずだ。その証拠に一度たりとも学院の友人達が遊びに来た事も無ければ、お呼ばれされた事すら無い。
いつもカサンドラが家で一緒に過ごすのは、仲の良い・・・私には嫌がらせをしてくる2人のメイドなのだ。
「まあ・・・カサンドラの宿題の事なんて私にはどうだっていい事だけどね・・・。」
そしてそのまま、私は眠ってしまった・・・。
「・・・さいっ!おきなさいよっ!」
突如、頭の上でヒステリックな喚き声で私は目を覚ました。するとそこにはカサンドラが顔を真っ赤にさせて真上から私を覗きこんでいるではないか。
「な、何よっ?!」
慌ててガバッと飛び起きると、カサンドラは一気にまくしたててきた。
「ライザ、貴女何故この部屋に居るのよ?貴女の部屋はここでは無いはずでしょう?日の当たらないじめじめとしてカビ臭くて狭い部屋が貴女の居場所でしょう?ここは貴女みたいな人間が使っていい部屋じゃないのよっ?!大体誰の許可を得てこの部屋に勝手に入り込んだのよっ?!本来なら叔父様に言いつけてやるところよ?こんな事が叔父様に知られたら・・ライザ、貴女は只ではすまないわよ?だけど私は心が優しいから、言いつけるのだけは勘弁してあげる。その代わり・・・学校から出た宿題・・貴女が替わりにやるのよっ?!」
ビシイッとカサンドラは私を指さすと言った。カサンドラの背後にいる2人のメイドは意地悪そうな笑みを浮かべて私を見降ろしている。
「全く・・・人の部屋に勝手に入って来ただけでなく、気持ちよく眠っている所を不躾な声で起こすなんて・・・あまりにも失礼な事だと思わないのかしら?」
私はベッドから起き上がり、髪の毛を書き上げながら溜息をついた。
「はあ・・?何が人の部屋よっ!ここは・・・貴女のような人間が使っていい部屋じゃないのよっ!」
カサンドラは髪を振り乱しながら叫んだ。
「貴女のような・・・?それは一体どういう意味なのかしら?私はこの屋敷の正当なる娘なのよ?」
腕組みをしながら私は負けじと言い返した。
「それでも叔父様は貴女を実の娘とは認めたくないと仰ってるわっ!兎に角、今すぐ私の宿題をおやりさないっ!」
すると1人のメイドがカサンドラの鞄を持っていたらしく、蓋を開けて中から数学の教科書と古典語の教科書を取り出し、ベッドの上に投げ落とした。
「・・・・」
私は無言でベッドの上に投げ落とされた2冊の分厚い教科書を眺めた―。
そしてドアがバタンと閉じられる音がした。どうやらカサンドラが学校から帰って来たようだ。
カサンドラの隣の部屋を自室に変えた為、以前よりもカサンドラの動向がずっと掴みやすくなり、私はほくそ笑んだ。
確か今日はカサンドラが特に苦手としている数学と古典語の授業があったはず。恐らく宿題がどっさり出されたものの、あの頭では一問たりとも解けるはずが無いだろう。きっと・・・カサンドラは私に代わりに宿題をやるように命じて来るに決まっている。
「分不相応な学校に入学なんかするからよ・・・。」
私はポツリと呟いた。
それにしても・・・一体カサンドラはどうやってあの名門と呼ばれる女子学院に入学する事が出来たのだろう?あの学院は家柄もさることながら、頭が相当良く無ければ入学なんて不可能だ。ひょっとすると父は大金を払って裏口入学をさせたに違いない。それがカサンドラの為だと父は信じて疑っていないようだが、逆に私の口から言わせると、あの頭でエリート校へ通わされている方が悲劇なのでは無いかと思う。
恐らく、カサンドラは今の学院には親しい友人は1人もいないはずだ。その証拠に一度たりとも学院の友人達が遊びに来た事も無ければ、お呼ばれされた事すら無い。
いつもカサンドラが家で一緒に過ごすのは、仲の良い・・・私には嫌がらせをしてくる2人のメイドなのだ。
「まあ・・・カサンドラの宿題の事なんて私にはどうだっていい事だけどね・・・。」
そしてそのまま、私は眠ってしまった・・・。
「・・・さいっ!おきなさいよっ!」
突如、頭の上でヒステリックな喚き声で私は目を覚ました。するとそこにはカサンドラが顔を真っ赤にさせて真上から私を覗きこんでいるではないか。
「な、何よっ?!」
慌ててガバッと飛び起きると、カサンドラは一気にまくしたててきた。
「ライザ、貴女何故この部屋に居るのよ?貴女の部屋はここでは無いはずでしょう?日の当たらないじめじめとしてカビ臭くて狭い部屋が貴女の居場所でしょう?ここは貴女みたいな人間が使っていい部屋じゃないのよっ?!大体誰の許可を得てこの部屋に勝手に入り込んだのよっ?!本来なら叔父様に言いつけてやるところよ?こんな事が叔父様に知られたら・・ライザ、貴女は只ではすまないわよ?だけど私は心が優しいから、言いつけるのだけは勘弁してあげる。その代わり・・・学校から出た宿題・・貴女が替わりにやるのよっ?!」
ビシイッとカサンドラは私を指さすと言った。カサンドラの背後にいる2人のメイドは意地悪そうな笑みを浮かべて私を見降ろしている。
「全く・・・人の部屋に勝手に入って来ただけでなく、気持ちよく眠っている所を不躾な声で起こすなんて・・・あまりにも失礼な事だと思わないのかしら?」
私はベッドから起き上がり、髪の毛を書き上げながら溜息をついた。
「はあ・・?何が人の部屋よっ!ここは・・・貴女のような人間が使っていい部屋じゃないのよっ!」
カサンドラは髪を振り乱しながら叫んだ。
「貴女のような・・・?それは一体どういう意味なのかしら?私はこの屋敷の正当なる娘なのよ?」
腕組みをしながら私は負けじと言い返した。
「それでも叔父様は貴女を実の娘とは認めたくないと仰ってるわっ!兎に角、今すぐ私の宿題をおやりさないっ!」
すると1人のメイドがカサンドラの鞄を持っていたらしく、蓋を開けて中から数学の教科書と古典語の教科書を取り出し、ベッドの上に投げ落とした。
「・・・・」
私は無言でベッドの上に投げ落とされた2冊の分厚い教科書を眺めた―。
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