私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
45 / 99

2-25 驚くフクロウ

しおりを挟む
「あ、あの魔法使いとは……!」

 思わずギュッと目を閉じた瞬間、すぐ近くで声が聞こえた。

「あら?あなた……何だかよく見たら変ね?」

 先程は頭の中で話しかけられたのに、今は近くで声が聞こえた。
 
 「え?」

 恐る恐る目を開けると、目の前にはサンダルらしきものを履いた人の両足が見える。

「え?!」

 慌てて顔を上げると、そこには薄い布地のドレスを身にまとった緑色の髪の美しい女性が立っていた。女性は私をじっと見下ろしている。

 え?!い、いつの間に女性の姿が!!

「あ、あの~……どちら様でしょうか……?」

 普通の人間に私の言葉は通じないことを知りつつ、喉をホウホウ鳴らしながら尋ねてみた。

「私はエメラルドよ」

 女性が答える。ああ、良かった。言葉が通じる。だけど……。


「え?エメラルド……?」

 その時、魔法使いの言葉を思い出す。

<頑張るんだよ、サファイア。エメラルドには気を付けて>

 エメラルド……?
 よく見ればその女性は赤い瞳をしている。

「赤い瞳……。緑の髪……あぁ!!ま、まさか!」

 私は指を指す代わりに、羽をバサァッと女性に向けた。

「あ、貴女はさっきのドラゴン?!」

「ええ、そうよ。私はエメラルド。この姿は仮の姿よ。ところで、さっきの質問だけど……貴女、アベルとどうやって知り合ったの?何故そんなに彼の魔力の匂いをさせているのよ?」

「は、はい……。実は……」

 このままではタイムオーバーになるのは確実だけど、見逃しては貰えないだろう。
私は覚悟を決めて、説明を始めた――。



**


「ええっ?!それじゃ貴女は別人なのに、呪いの魔法でそんな姿にされてしまったのね?!」

 倒木の上に腰掛けて私の話を聞いていたエメラルドさんが驚いたように声を上げた。

「はい、そうなのです……」

 まぁ正確に言えば、わけも分からずカエルの姿にされたサファイアに憑依してしまった日本人なのだけど……その辺りの事情は省いてある。
 恐らく説明しても理解できないだろうし、私自身自分の状況を理解出来ていないのだから。

「そう、それで人間に感謝をされて徳を積めば呪いが徐々に解けていく……というわけね?」

 腕組みしながら納得したようにウンウン頷くエメラルドさん。

「はい、その通りです」

「全く、あいつったら……相変わらず最低な男ね。自分で解除出来ない呪いを相手が誰か確認もしないで掛けてしまうのだから」

「ええ、そうなのです!本当に最低な魔法使いなんですよ!」

 久しぶりに誰かと……しかも、あの魔法使いの悪口を言い合える仲間が出来たのだ。喜びでバサリと羽を広げながら首を上下に激しく振る。

「人の心を弄んで、500年も私から逃げ回っておきながら……こんな近くに現れるなんて、本っ当になんて図々しい男なの!」

 苛立つエメラルドさんは身体からバチバチと電流を放出し始めた。

 うわっ!あ、危ない!
 でもその前に……何だか今、すご~く気になる台詞を言っていた気がする。

「あ、あの~……エメラルドさん……」

「何かしら?フクロウさん」

 エメラルドさんは電流の放出を収めると、私を見た。

「差し支えなければ……エメラルドさんと魔法使いの関係を……教えて頂けないでしょうか……?」

 エメラルドさんはため息をつくと、長い髪の毛をかきあげた。

「若い頃の過ちよ……。私は500年前、彼のことが……好きだったのよ……」

「へ~そうだったのですか……ってええええっ?!そ、その話本当ですか?!」

「……ええ、本当よ」

 少しの間を開けて頷くエメラルドさん。


 驚きのあまり、私の身体は再び細く縮こまるのだった――。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。 断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど ※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ ※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。

悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】 乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。 ※他サイトでも投稿中

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。 彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。 ループから始まった二周目。 彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。 「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」 「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」 淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。 未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。 これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。 「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」 (※カクヨムにも掲載中です。)

悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。 ※初めての悪役令嬢物です。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

処理中です...