54 / 99
3-3 次のターゲットは
しおりを挟む
メイドさんにストンと地面に下ろしてもらった私は辺りをキョロキョロ見渡した。
きれいに刈り込まれた芝生の上には洗濯物を干すロープが張られ、大きなシーツが風になびいている。
ひょっとして、ここは洗濯物を干す場所なのかな?
首を傾げた時――。
「キャーッ!どうしたの?その子猫!」
「かわいい~っ!」
「え?猫?どこっ?!」
突然女の人たちの声が何処からともなく聞こえ、洗濯物の陰から何人ものメイドさん達が姿を現した。
その数……う~ん……約10人というところだろうか?
「かわいい~っ!」
「抱っこしたいわ!」
1人のメイドさんが私をひょいと抱き上げ、頬ずりしてきた。
「あ!ずるい!次は私よ!」
「その次は私ね!」
そして代わる代わる、私はメイドさん達に抱っこと頬ずりをされる。
う~!!いい加減にして欲しい!普通の猫だったら、とっくに逃げ出して良いレベルだからね!
「はいはい、皆。そこまでよ~」
そして最終的に私をここへ連れてきたメイドさんが他の人から私をとりあげると、再び抱き寄せた。
「ねぇねぇ、アビー。その子猫、どうしたの?」
おかっぱ頭のメイドさんが私を抱きかかえているメイドさんに尋ねてきた。
成程、私をここへ連れてきてくれた彼女の名前はアビーというのか。
「ええ、クロード様に頼まれたのよ。この猫が突然自分の部屋のバルコニーに現れたから連れ出して欲しいって」
「そう言えばアビーはクロード様のお部屋の掃除係だったわよね」
「でもどうして突然バルコニーに現れたのかしら?」
「そうなのよね~。クロード様も不思議がっていたわ」
メイドさん達が首を傾げいている。不思議がるのも無理はないか。
何しろクロードの部屋は3階。そしてバルコニーへはクロードの部屋からしか出られないのだから。
まさか私がバルコニーへやってきたときはフクロウで、途中からは子猫に変身したなんてこと想像すら出来ないだろう。
「アビー。それでどうしてここへ連れてきたの?」
お下げ髪のメイドさんがアビーに尋ねる。
「ええ。実はクロード様からこの猫を外に連れ出して欲しいとは言われたものの、その後はどうしたらいいのか尋ねたのよ。そしたら何と言われたと思う?」
「なんて言われたのよ?」
「君に任せるって言われたのよ。ただ、自分には猫を近づけないでくれとも言われたわ」
ガーン!!
アビーの言葉に再びショックを受ける私。
そ、そんな……。今度もまた、私はクロードから拒絶されるとは……!
「あら、そうだったの……。それでここへ連れてきたのね?」
「クロード様は猫アレルギーだから仕方ないわね」
「でも、どうしてここへ連れてきたの?」
メイドさん達が仕事の手を止めて、今やすっかり私の今後の処遇について話し合いをしている。するとアビーがナイスな発言をした。
「ええ。何処から来たのかは分からないけれど、皆でこの猫ちゃんを育てない?」
「ええ、それがいいわ!」
「さんせーい!」
「皆でこの子猫を育てましょう?」
おおっ!これは何という素晴らしい展開。
こうして私は家無しから、晴れてペット?へと昇格することが出来た。
確かにクロードとの接点は持てなくなってしまったけれども、これからはここにいるメイドさんたちの役に立てれば、今度こそ人間に戻れるかもしれないしね。
私は新たに闘志を燃やすのだった――。
きれいに刈り込まれた芝生の上には洗濯物を干すロープが張られ、大きなシーツが風になびいている。
ひょっとして、ここは洗濯物を干す場所なのかな?
首を傾げた時――。
「キャーッ!どうしたの?その子猫!」
「かわいい~っ!」
「え?猫?どこっ?!」
突然女の人たちの声が何処からともなく聞こえ、洗濯物の陰から何人ものメイドさん達が姿を現した。
その数……う~ん……約10人というところだろうか?
「かわいい~っ!」
「抱っこしたいわ!」
1人のメイドさんが私をひょいと抱き上げ、頬ずりしてきた。
「あ!ずるい!次は私よ!」
「その次は私ね!」
そして代わる代わる、私はメイドさん達に抱っこと頬ずりをされる。
う~!!いい加減にして欲しい!普通の猫だったら、とっくに逃げ出して良いレベルだからね!
「はいはい、皆。そこまでよ~」
そして最終的に私をここへ連れてきたメイドさんが他の人から私をとりあげると、再び抱き寄せた。
「ねぇねぇ、アビー。その子猫、どうしたの?」
おかっぱ頭のメイドさんが私を抱きかかえているメイドさんに尋ねてきた。
成程、私をここへ連れてきてくれた彼女の名前はアビーというのか。
「ええ、クロード様に頼まれたのよ。この猫が突然自分の部屋のバルコニーに現れたから連れ出して欲しいって」
「そう言えばアビーはクロード様のお部屋の掃除係だったわよね」
「でもどうして突然バルコニーに現れたのかしら?」
「そうなのよね~。クロード様も不思議がっていたわ」
メイドさん達が首を傾げいている。不思議がるのも無理はないか。
何しろクロードの部屋は3階。そしてバルコニーへはクロードの部屋からしか出られないのだから。
まさか私がバルコニーへやってきたときはフクロウで、途中からは子猫に変身したなんてこと想像すら出来ないだろう。
「アビー。それでどうしてここへ連れてきたの?」
お下げ髪のメイドさんがアビーに尋ねる。
「ええ。実はクロード様からこの猫を外に連れ出して欲しいとは言われたものの、その後はどうしたらいいのか尋ねたのよ。そしたら何と言われたと思う?」
「なんて言われたのよ?」
「君に任せるって言われたのよ。ただ、自分には猫を近づけないでくれとも言われたわ」
ガーン!!
アビーの言葉に再びショックを受ける私。
そ、そんな……。今度もまた、私はクロードから拒絶されるとは……!
「あら、そうだったの……。それでここへ連れてきたのね?」
「クロード様は猫アレルギーだから仕方ないわね」
「でも、どうしてここへ連れてきたの?」
メイドさん達が仕事の手を止めて、今やすっかり私の今後の処遇について話し合いをしている。するとアビーがナイスな発言をした。
「ええ。何処から来たのかは分からないけれど、皆でこの猫ちゃんを育てない?」
「ええ、それがいいわ!」
「さんせーい!」
「皆でこの子猫を育てましょう?」
おおっ!これは何という素晴らしい展開。
こうして私は家無しから、晴れてペット?へと昇格することが出来た。
確かにクロードとの接点は持てなくなってしまったけれども、これからはここにいるメイドさんたちの役に立てれば、今度こそ人間に戻れるかもしれないしね。
私は新たに闘志を燃やすのだった――。
12
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる