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第89話 ギャップが激しい王子
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僕達は繁華街に建ち並ぶ、ある1軒の店の前で立ち止まった。
オレンジ色のレンガ造りの建物の前には木の看板が立てかけられており、本日のお勧めメニューを記載したポスターが可愛らしいイラスト付きで描かれている。
「お兄さん、この店じゃないか?喫茶店は」
王子はすっかり気が緩んでいるのか、自分が王族であることを忘れてしまったかのような口調で話しかけてきた。
「うん、そうだね。エディット達と別れたのがこの辺りだったから……この店で3人とも待っているんじゃないかな?」
「よしっ!なら入るか?」
王子は笑顔で僕を見る。
「う、うん…入ろうか……。だけど、くれぐれも皆の前ではその口調で話さないでくれるかな?エディットが聞いたら驚いて卒倒しそうだよ」
「成程~。お兄さんはエディットに惚れ込んでるって訳か。アリスとの関係を心配して損したよ」
安堵した様子の王子くんに声を掛けた。
「ねぇ、王子くん。3人に会う前に、まずは約束してくれないかな?」
「は?王子くん?何だ?それ?」
王子くんは首を傾げた。
「今の君は…こんなこと言っては失礼かもしれないけれど、とてもじゃないけど王子には見えないからね。だから親しみを込めて王子くんと呼んだんだよ」
「アハハハハハハ…ッ!流石はアリスのお兄さんだ。なかなか面白いこと言うじゃないか。だったら俺のことはセドリックって普通に呼んでくれよ」
「セドリックか…分かった、そう呼ばせてもらうよ。それで話は約束の話に戻るけど、くれぐれもエディットやブラッドリーの前では日本の話はしないでもらえるかな?」
「勿論、言うはずないだろう?俺は仮にも王子なんだ。妙な発言をして頭がイカれたと思われたくは無いからさ。その辺は安心してくれよ。よし、それじゃ中へ入ろうぜ」
「そうだね」
そして今度こそ、僕達は店の中へと入った――。
****
店の中に入ると蓄音機から流れるピアノの音楽が聞こえてきた。
店内はあちこちに観葉植物が飾られ、丸テーブルの客席が等間隔に並べられている。
店は中々の盛況ぶりで、テーブル席は半分以上人で埋まっていた。
エディットは何処にいるのだろう?
そう思った矢先、奥の方で声が聞こえてきた。
「おーい!アドルフッ!こっちだ!」
見ると、窓際の奥のテーブル席でこちらを向いているエディット達の姿があった。
ブラッドリーは大きく手を振っている。
「良かった、いたみたいだね。それじゃ行こう」
歩き掛けた時、突然セドリックが袖を引っ張ってきた。
「お兄さん」
「な、何?」
「あの……男は誰だ?」
「誰って……僕の親友だけど?」
するとセドリックはブラッドリーをちらりと見た。
「ふ~ん……」
「何だい?ブラッドリーがどうかしたの?」
セドリックの方を向き直って尋ねる僕。
「…別に。…ただ、気をつけた方がいいかもな」
「え?気をつける?一体…それは……」
するとその時、直ぐ側で声が聞こえてきた。
「おい、店の入り口で2人立ち止まって何してるんだよ」
「え?」
振り向くと、いつの間にかそこにはブラッドリーが立っていた。
「あ…ごめん」
思わず頭を掻くと、ブラッドリーがため息をつく。
「全く……俺たちのこと散々待たせたくせに、今度は店内でも待たせる気かよ」
すると僕の背後からセドリックがブラッドリーに声を掛けた。
「ごめん。店内に素敵な音楽が流れているから何の音楽だろうって2人で話していたんだよ。待たせてすまなかったね」
その口調をすぐ背後で聞いていた僕の背中に鳥肌が立ったのは言うまでも無かった。
「ふ~ん。そんな話は別に席についてからでも出来るだろう。まぁいいや、来いよ」
そしてブラッドリーは僕に背を向けると、席に向かって歩いていく。
そんな彼の後ろ姿を見ながら僕は思った。
セドリックから続きを聞くことは出来なかったけど、気をつけたほうがいいと彼は言った。
気をつける……。
ブラッドリーのことを言っているのは間違いないだろうけど、一体何を気をつけろというのだろう……?
けれどテーブル席に座ったエディットが、僕に笑顔を向ける姿を目にした時……。
疑問は何処かへ行ってしまった――。
オレンジ色のレンガ造りの建物の前には木の看板が立てかけられており、本日のお勧めメニューを記載したポスターが可愛らしいイラスト付きで描かれている。
「お兄さん、この店じゃないか?喫茶店は」
王子はすっかり気が緩んでいるのか、自分が王族であることを忘れてしまったかのような口調で話しかけてきた。
「うん、そうだね。エディット達と別れたのがこの辺りだったから……この店で3人とも待っているんじゃないかな?」
「よしっ!なら入るか?」
王子は笑顔で僕を見る。
「う、うん…入ろうか……。だけど、くれぐれも皆の前ではその口調で話さないでくれるかな?エディットが聞いたら驚いて卒倒しそうだよ」
「成程~。お兄さんはエディットに惚れ込んでるって訳か。アリスとの関係を心配して損したよ」
安堵した様子の王子くんに声を掛けた。
「ねぇ、王子くん。3人に会う前に、まずは約束してくれないかな?」
「は?王子くん?何だ?それ?」
王子くんは首を傾げた。
「今の君は…こんなこと言っては失礼かもしれないけれど、とてもじゃないけど王子には見えないからね。だから親しみを込めて王子くんと呼んだんだよ」
「アハハハハハハ…ッ!流石はアリスのお兄さんだ。なかなか面白いこと言うじゃないか。だったら俺のことはセドリックって普通に呼んでくれよ」
「セドリックか…分かった、そう呼ばせてもらうよ。それで話は約束の話に戻るけど、くれぐれもエディットやブラッドリーの前では日本の話はしないでもらえるかな?」
「勿論、言うはずないだろう?俺は仮にも王子なんだ。妙な発言をして頭がイカれたと思われたくは無いからさ。その辺は安心してくれよ。よし、それじゃ中へ入ろうぜ」
「そうだね」
そして今度こそ、僕達は店の中へと入った――。
****
店の中に入ると蓄音機から流れるピアノの音楽が聞こえてきた。
店内はあちこちに観葉植物が飾られ、丸テーブルの客席が等間隔に並べられている。
店は中々の盛況ぶりで、テーブル席は半分以上人で埋まっていた。
エディットは何処にいるのだろう?
そう思った矢先、奥の方で声が聞こえてきた。
「おーい!アドルフッ!こっちだ!」
見ると、窓際の奥のテーブル席でこちらを向いているエディット達の姿があった。
ブラッドリーは大きく手を振っている。
「良かった、いたみたいだね。それじゃ行こう」
歩き掛けた時、突然セドリックが袖を引っ張ってきた。
「お兄さん」
「な、何?」
「あの……男は誰だ?」
「誰って……僕の親友だけど?」
するとセドリックはブラッドリーをちらりと見た。
「ふ~ん……」
「何だい?ブラッドリーがどうかしたの?」
セドリックの方を向き直って尋ねる僕。
「…別に。…ただ、気をつけた方がいいかもな」
「え?気をつける?一体…それは……」
するとその時、直ぐ側で声が聞こえてきた。
「おい、店の入り口で2人立ち止まって何してるんだよ」
「え?」
振り向くと、いつの間にかそこにはブラッドリーが立っていた。
「あ…ごめん」
思わず頭を掻くと、ブラッドリーがため息をつく。
「全く……俺たちのこと散々待たせたくせに、今度は店内でも待たせる気かよ」
すると僕の背後からセドリックがブラッドリーに声を掛けた。
「ごめん。店内に素敵な音楽が流れているから何の音楽だろうって2人で話していたんだよ。待たせてすまなかったね」
その口調をすぐ背後で聞いていた僕の背中に鳥肌が立ったのは言うまでも無かった。
「ふ~ん。そんな話は別に席についてからでも出来るだろう。まぁいいや、来いよ」
そしてブラッドリーは僕に背を向けると、席に向かって歩いていく。
そんな彼の後ろ姿を見ながら僕は思った。
セドリックから続きを聞くことは出来なかったけど、気をつけたほうがいいと彼は言った。
気をつける……。
ブラッドリーのことを言っているのは間違いないだろうけど、一体何を気をつけろというのだろう……?
けれどテーブル席に座ったエディットが、僕に笑顔を向ける姿を目にした時……。
疑問は何処かへ行ってしまった――。
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