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第121話 6年前の記憶 4
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エディット……?今の悲し気な表情は何だろう?
ダンスホールへ向かって行く2人の後姿を見ていると、再び女子生徒たちが声を掛けてきた。
「アドルフ様、それで誰と踊ってくれるのですか?」
「私ですよね?」
「何言ってるの。私よ」
「私が先だって言ってるでしょう?」
次第に女の子達の仲が険悪になってきた。
「あの~……みんな……?」
僕は恐る恐る彼女達に声を掛けてみた。
「何よ。先にアドルフ様に声かけたのは私よ?」
「提案したのは私じゃないのよ!」
「あなた、別の男子狙っていたじゃないの!」
有ろうことか、次第に彼女たちは口論を始めてしまった。
こ、これはマズイかも……。
幸いなことに、彼女たちはもはや僕に目もくれない。それぞれが激しい口論を繰り広げている。
「これは……逃げた方がいいかもしれないな……」
僕はそろりそろりと彼女達から距離を空け……人ごみに紛れると、一目散にその場を後にした――。
「ふぅ……驚いたな……」
それにしても自分が女の子達からダンスパートナーの申し込みを受けるとは思ってもいなかった。
気付けば、会場に流れる音楽は別のワルツに変わっている。
「ブラッドリーとエディット……。きっと2人はダンスを楽しんだんだろうな……」
2人が手を取り合って、楽しそうにダンスをしている姿を想像し……胸がズキリと痛んだ。
そこで首を振って、自分の頭から2人のことを追い払った。
「気を取り直して、食事でもしようかな……」
僕は別の立食テーブルへ足を向けた。
「うん、美味しいなぁ……この料理」
フライドチキンをほおばりながら、ダンスホールの様子を見つめているとエディットが1人でキョロキョロと辺りを見渡している姿が目に入った。
「あれ?エディットだ。あんなところで何してるんだろう?ブラッドリーと一緒じゃなかったのかな?」
そこで僕は食べ終えた料理の皿をテーブルの上に戻すと、エディットの元へ駆け寄った。
「エディット!」
「あ!アドルフ様!」
エディットは僕を見ると嬉しそうに笑った。
「一体、こんなところで何してたんだい?ブラッドリーは……」
言いかけた時――。
ドンッ!
背後でダンスを踊っていたカップルがエディットにぶつかって来た。
「キャアッ!」
「エディット!」
危うく転びそうになったエディットを寸でのところで支えた。
「大丈夫?」
「は、はい……」
エディットは余程驚いたのか、僕の腕にしがみついている。
「とりあえずここはダンスを踊る場所だから、危ないから一旦離れよう」
「はい、そうですね」
僕の提案にエディットが頷く。
「それじゃ、一緒に戻ろうか?」
「はい」
そして僕はエディットの手を繋ぐと、一緒に先ほどの立食テーブルへ戻った。
「エディット、どうしてあんなところで一人でいたの?もしかしてブラッドリーと、はぐれたのかな?」
すぐにエディットに尋ねた。
「いえ、そういう訳では……。じ、実は……ブラッドリー様のダンスのお相手を……お断りしたのです。それでブラッドリー様は何処かへ行ってしまわれました」
「え?!こ、断ったのっ?!ど、どうしてっ!」
予想もしていなかった言葉に大きな声を上げてしまった。
「それは……もちろん、ブラッドリー様と踊るわけにはいかなかったからです……。ただ、あの場ではお断りできなくて……」
エディットが何故か伏し目がちに僕を見た。
「エディット?どうしたの?」
「あの、アドルフ様は……ひょっとして知らないのですか?」
「え?知らないって……何のこと?」
その時――。
「アドルフ!エディット!ここにいたのか?」
突然声を掛けられて振り向いた。
すると、父とエディットのお父さんがニコニコしながら僕たちを見ていた――。
ダンスホールへ向かって行く2人の後姿を見ていると、再び女子生徒たちが声を掛けてきた。
「アドルフ様、それで誰と踊ってくれるのですか?」
「私ですよね?」
「何言ってるの。私よ」
「私が先だって言ってるでしょう?」
次第に女の子達の仲が険悪になってきた。
「あの~……みんな……?」
僕は恐る恐る彼女達に声を掛けてみた。
「何よ。先にアドルフ様に声かけたのは私よ?」
「提案したのは私じゃないのよ!」
「あなた、別の男子狙っていたじゃないの!」
有ろうことか、次第に彼女たちは口論を始めてしまった。
こ、これはマズイかも……。
幸いなことに、彼女たちはもはや僕に目もくれない。それぞれが激しい口論を繰り広げている。
「これは……逃げた方がいいかもしれないな……」
僕はそろりそろりと彼女達から距離を空け……人ごみに紛れると、一目散にその場を後にした――。
「ふぅ……驚いたな……」
それにしても自分が女の子達からダンスパートナーの申し込みを受けるとは思ってもいなかった。
気付けば、会場に流れる音楽は別のワルツに変わっている。
「ブラッドリーとエディット……。きっと2人はダンスを楽しんだんだろうな……」
2人が手を取り合って、楽しそうにダンスをしている姿を想像し……胸がズキリと痛んだ。
そこで首を振って、自分の頭から2人のことを追い払った。
「気を取り直して、食事でもしようかな……」
僕は別の立食テーブルへ足を向けた。
「うん、美味しいなぁ……この料理」
フライドチキンをほおばりながら、ダンスホールの様子を見つめているとエディットが1人でキョロキョロと辺りを見渡している姿が目に入った。
「あれ?エディットだ。あんなところで何してるんだろう?ブラッドリーと一緒じゃなかったのかな?」
そこで僕は食べ終えた料理の皿をテーブルの上に戻すと、エディットの元へ駆け寄った。
「エディット!」
「あ!アドルフ様!」
エディットは僕を見ると嬉しそうに笑った。
「一体、こんなところで何してたんだい?ブラッドリーは……」
言いかけた時――。
ドンッ!
背後でダンスを踊っていたカップルがエディットにぶつかって来た。
「キャアッ!」
「エディット!」
危うく転びそうになったエディットを寸でのところで支えた。
「大丈夫?」
「は、はい……」
エディットは余程驚いたのか、僕の腕にしがみついている。
「とりあえずここはダンスを踊る場所だから、危ないから一旦離れよう」
「はい、そうですね」
僕の提案にエディットが頷く。
「それじゃ、一緒に戻ろうか?」
「はい」
そして僕はエディットの手を繋ぐと、一緒に先ほどの立食テーブルへ戻った。
「エディット、どうしてあんなところで一人でいたの?もしかしてブラッドリーと、はぐれたのかな?」
すぐにエディットに尋ねた。
「いえ、そういう訳では……。じ、実は……ブラッドリー様のダンスのお相手を……お断りしたのです。それでブラッドリー様は何処かへ行ってしまわれました」
「え?!こ、断ったのっ?!ど、どうしてっ!」
予想もしていなかった言葉に大きな声を上げてしまった。
「それは……もちろん、ブラッドリー様と踊るわけにはいかなかったからです……。ただ、あの場ではお断りできなくて……」
エディットが何故か伏し目がちに僕を見た。
「エディット?どうしたの?」
「あの、アドルフ様は……ひょっとして知らないのですか?」
「え?知らないって……何のこと?」
その時――。
「アドルフ!エディット!ここにいたのか?」
突然声を掛けられて振り向いた。
すると、父とエディットのお父さんがニコニコしながら僕たちを見ていた――。
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