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第219話 僕の謝罪
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今までの空白を埋めるかのように、長い時間抱きしめあったまま僕達はキスを交わし続けた。
やがて……そっと唇を離すとエディットは耳まで真っ赤な顔で潤んだ瞳で僕を見つめている。
「真っ赤な顔だね。とっても可愛いよ、エディット」
エディットの頬を撫でながら、僕は彼女に笑いかける。
「アドルフ様……」
顔を赤くして僕の名を呼ぶエディットを胸に埋め込まんばかりに再度強く抱き締めると、その髪に顔をうずめた。
エディットの髪からはとても良い香りがする。それは……架純ちゃんと同じ香りだった。
何故僕は今までずっとエディットが架純ちゃんだと気づかなかったのだろう?姿は変わってしまっても、面影はちゃんと残っていたのに。
「本当にごめん、エディット。僕は今まで君に散々酷い態度を取ってきたのに……それでも僕を選んでくれて。ここは『コイカナ』の世界で、僕は悪役令息でヒロインはエディットだから……絶対いつかは婚約破棄されるだろうと思っていたんだ」
「え……?何ですか?その話……?」
エディットは僕の腕の中で不思議そうに尋ねて来た。
「え?エディット。もしかして……『コイカナ』の漫画を知らないの?」
身体を離し、エディットの肩に手を乗せると瞳を覗き込んだ。
「はい。何のことだか、さっぱり分かりません。日本で『コイカナ』って漫画があったのですか?」
「あ……そうか」
『恋が叶うとき』略して、『コイカナ』は僕が社会人として働いている時に連載していた漫画だ。
つまり、それは架純ちゃんがこの世を去って6年後に連載が始まった漫画だから知らないのは無理も無い。
キョトンとした顔で目を見開いて僕を見つめるエディットの肩を抱き寄せ、説明を始めた。
「エディット、実はこの世界はね……」
「え……?」
今度はエディットが目を見開く番だった――。
****
話を終えた頃には会場のダンスの時間も終わり、学生たちは賑やかに食事をしている騒ぎ声が園庭にいる僕たちの所まで聞こえていた。
「そ、それではここは漫画の世界で……私はこの世界のヒロインだったのですか?!」
「うん、そうなんだよ。それで僕は今まで散々エディットに酷い態度を取って来たから心を入れ替えて……セドリック王子に託そうと思ったんだけど……。何だか途中でおかしなことになって……と言うか、僕が絶対にエディットを誰にも渡したくないって思ったんだよね」
「アドルフ様……」
エディットはじっと僕を見つめている。
「ごめん!エディット!」
もう一度エディットを強く抱き締めた。
「いいんです。そんなに謝らないで下さい。それでは……アリスさんは前世の妹さんだったのですね?」
エディットが腕の中で尋ねてきた。
「そうだよ、あの時はエディットを不安な気持ちにさせてしまったよね?本当に今までの僕は最低だったよ」
「いいえ、無理もありません。むしろアドルフ様にそんな態度を取らせてしまったのは……私がいけなかったからです」
「え?エディットは何も悪いことはしていないよ?」
「そんなこと無いです。だって……私、今迄何も知らないふりをして来たのですから……」
「エディット……」
僕は腕の中のエディットを見つめた――。
やがて……そっと唇を離すとエディットは耳まで真っ赤な顔で潤んだ瞳で僕を見つめている。
「真っ赤な顔だね。とっても可愛いよ、エディット」
エディットの頬を撫でながら、僕は彼女に笑いかける。
「アドルフ様……」
顔を赤くして僕の名を呼ぶエディットを胸に埋め込まんばかりに再度強く抱き締めると、その髪に顔をうずめた。
エディットの髪からはとても良い香りがする。それは……架純ちゃんと同じ香りだった。
何故僕は今までずっとエディットが架純ちゃんだと気づかなかったのだろう?姿は変わってしまっても、面影はちゃんと残っていたのに。
「本当にごめん、エディット。僕は今まで君に散々酷い態度を取ってきたのに……それでも僕を選んでくれて。ここは『コイカナ』の世界で、僕は悪役令息でヒロインはエディットだから……絶対いつかは婚約破棄されるだろうと思っていたんだ」
「え……?何ですか?その話……?」
エディットは僕の腕の中で不思議そうに尋ねて来た。
「え?エディット。もしかして……『コイカナ』の漫画を知らないの?」
身体を離し、エディットの肩に手を乗せると瞳を覗き込んだ。
「はい。何のことだか、さっぱり分かりません。日本で『コイカナ』って漫画があったのですか?」
「あ……そうか」
『恋が叶うとき』略して、『コイカナ』は僕が社会人として働いている時に連載していた漫画だ。
つまり、それは架純ちゃんがこの世を去って6年後に連載が始まった漫画だから知らないのは無理も無い。
キョトンとした顔で目を見開いて僕を見つめるエディットの肩を抱き寄せ、説明を始めた。
「エディット、実はこの世界はね……」
「え……?」
今度はエディットが目を見開く番だった――。
****
話を終えた頃には会場のダンスの時間も終わり、学生たちは賑やかに食事をしている騒ぎ声が園庭にいる僕たちの所まで聞こえていた。
「そ、それではここは漫画の世界で……私はこの世界のヒロインだったのですか?!」
「うん、そうなんだよ。それで僕は今まで散々エディットに酷い態度を取って来たから心を入れ替えて……セドリック王子に託そうと思ったんだけど……。何だか途中でおかしなことになって……と言うか、僕が絶対にエディットを誰にも渡したくないって思ったんだよね」
「アドルフ様……」
エディットはじっと僕を見つめている。
「ごめん!エディット!」
もう一度エディットを強く抱き締めた。
「いいんです。そんなに謝らないで下さい。それでは……アリスさんは前世の妹さんだったのですね?」
エディットが腕の中で尋ねてきた。
「そうだよ、あの時はエディットを不安な気持ちにさせてしまったよね?本当に今までの僕は最低だったよ」
「いいえ、無理もありません。むしろアドルフ様にそんな態度を取らせてしまったのは……私がいけなかったからです」
「え?エディットは何も悪いことはしていないよ?」
「そんなこと無いです。だって……私、今迄何も知らないふりをして来たのですから……」
「エディット……」
僕は腕の中のエディットを見つめた――。
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