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第114話 新しい命の誕生、そして…
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長く苦しい痛みの末…私は14時間かけて男の子を出産した。
痛みで何度も気を失いそうになる時、私はフィリップの顔を思い浮かべて何とか気力を保ち続けた。
「おめでとうございます、可愛いらしい男の子ですよ?」
産声をあげる赤ちゃんを綺麗にしてくれた助産婦さんがベッドに横たわっている私の元に連れてきてくれた。
「はい、エルザ様の赤ちゃんですよ」
そして枕元に寝かせてくれた。
「ホンギャア~ …ホンギャア~…」
体中を真っ赤にして、小さな両手をギュッと握りしめたまま、まるで子猫のような可愛らしい声で泣く赤ちゃんはとても愛おしかった。
か細い声で泣いている私の子供に顔をそっと近づけた。
温かい…。
触れた側から温かな熱を感じる。
「抱かせてもらってもいいですか…?」
助産婦さんに尋ねた。
「ええ、もちろんですよ」
笑みを浮かべた助産婦さんが赤ちゃんを私の側に置いてくれた。そっと抱き寄せると、あれ程酷く泣いていたのに嘘のようにピタリと泣き止み…スヤスヤと眠り始めた。
「フフフ…なんて可愛らしいの…初めまして。私が…あなたのママよ…」
フィリップと私の…かけがえのない命…。
思わず笑みを浮かべたその時…突然声を掛けられた。
「「エルザ」」
「え…?」
見ると、そこには父と母が涙ぐみながら立っていたのだ。
「お父様…お母様…来ていたのですか…?」
まだお産で疲れきった私は弱々しい声しか出てこなかった。
「ああ。アンバー家から連絡が入ったのだよ」
「貴女の陣痛が始まったと聞かされて、慌てて駆けつけてきたのよ。おめでとう。今日からお母さんね?」
母は涙ぐみながら私を見ている。
「ありがとう…お父様、お母様…」
生まれたばかりの我が子を更に抱きしめ…ふと気がついた。
「そう言えば…フィリップはどうしたの…?」
それに、仮にもアンバー家の跡取りとなる子供を出産したのに、義父母もセシルの姿も見えない。
「あ…フィリップは…」
父はそこで言葉を切ってしまった。
ま、まさか…っ?!
全身から血の気が引くのを感じた。
「フィリップは何処なの?!教えてっ!」
「落ち着いてくださいっ!エルザ様っ!貴女は赤ちゃんを出産したばかりなのですよ?!」
シャロン先生が私の枕元にやってきた。
「落ち着いて、エルザ。フィリップは…まだ…持ちこたえているわ」
母は振り絞るように言った。
「持ち…こたえている…?」
言っている意味がよく分からない。
「フィリップは…今、危篤状態なのだ」
「え…?」
父の言葉は耳を疑うものだった。
「き…危篤…?」
その時―
「エルザッ!子供が生まれたんだなっ?!」
セシルが部屋に飛び込んできた。
「セシル…」
「エルザ…。子供を連れて来てもらえないか…?兄さんの…命のある内に…」
「え…?」
「頼む…もう…時間が無いんだ…」
セシルはガックリとその場に膝をついた―。
痛みで何度も気を失いそうになる時、私はフィリップの顔を思い浮かべて何とか気力を保ち続けた。
「おめでとうございます、可愛いらしい男の子ですよ?」
産声をあげる赤ちゃんを綺麗にしてくれた助産婦さんがベッドに横たわっている私の元に連れてきてくれた。
「はい、エルザ様の赤ちゃんですよ」
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「ホンギャア~ …ホンギャア~…」
体中を真っ赤にして、小さな両手をギュッと握りしめたまま、まるで子猫のような可愛らしい声で泣く赤ちゃんはとても愛おしかった。
か細い声で泣いている私の子供に顔をそっと近づけた。
温かい…。
触れた側から温かな熱を感じる。
「抱かせてもらってもいいですか…?」
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笑みを浮かべた助産婦さんが赤ちゃんを私の側に置いてくれた。そっと抱き寄せると、あれ程酷く泣いていたのに嘘のようにピタリと泣き止み…スヤスヤと眠り始めた。
「フフフ…なんて可愛らしいの…初めまして。私が…あなたのママよ…」
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思わず笑みを浮かべたその時…突然声を掛けられた。
「「エルザ」」
「え…?」
見ると、そこには父と母が涙ぐみながら立っていたのだ。
「お父様…お母様…来ていたのですか…?」
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「ああ。アンバー家から連絡が入ったのだよ」
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母は涙ぐみながら私を見ている。
「ありがとう…お父様、お母様…」
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「そう言えば…フィリップはどうしたの…?」
それに、仮にもアンバー家の跡取りとなる子供を出産したのに、義父母もセシルの姿も見えない。
「あ…フィリップは…」
父はそこで言葉を切ってしまった。
ま、まさか…っ?!
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「フィリップは何処なの?!教えてっ!」
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「落ち着いて、エルザ。フィリップは…まだ…持ちこたえているわ」
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「持ち…こたえている…?」
言っている意味がよく分からない。
「フィリップは…今、危篤状態なのだ」
「え…?」
父の言葉は耳を疑うものだった。
「き…危篤…?」
その時―
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「セシル…」
「エルザ…。子供を連れて来てもらえないか…?兄さんの…命のある内に…」
「え…?」
「頼む…もう…時間が無いんだ…」
セシルはガックリとその場に膝をついた―。
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