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7話 誰ですか?
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「そこの美しいお嬢さん、私とどうか踊っていただけますか?」
ふいに背後から声をかけられ、驚いて振り向く。するとそこには紺色にラメ、金色の刺繍を施したタキシード姿の若い男性が立っていた。
青年は私を見ると嬉しそうに笑みを浮かべる。
「あの、今私に声をかけたのですか?」
「ええ、そうです。ああ、やはり思った通り美しい方だ。どうか、私と踊っていただけませんか?」
そして私の前に右手を差し出してくる。
「え? 踊り……?」
そこで私は肝心なことに気付いた。
踊り……踊り!?
焦って周囲を見渡すと、皆見事なステップで踊っている。そう、あれはいわゆる社交ダンスというものなのだろう。
だけど私は? 自慢じゃないけど、ダンスなんて踊れるはず無い。かろうじて盆踊りが出来るくらいだろうか?
「そうだったわ!!」
そうだ! 確かシンデレラは王子とダンスを踊るのだった! そこで12時を告げる鐘がなり……
「あの……? もしもし……どうか……されましたか?」
不思議そうな顔で私を見つめる青年。
「何時ですか……?」
「はい?」
「今は何時ですか!!」
「え! あ、す、少しお待ち下さい! 今調べますね!」
慌てた様子で男性は懐をゴソゴソ探り……懐中時計を取り出した。
「ええと……今は午後9時を過ぎたところでしょうか?」
「午後9時!?」
そんな……まだそんな時間だったなんて!! 運命の時間まで後3時間。そして私は全くダンスが踊れない。
そんな状態でタイムリミットまで、一体どうやって過ごせばいいのだろう?
思わず頭を両手で抱えてしまう。
「ど、どうされましたか!?」
私の様子に驚いたのか、男性はオロオロし始めた。そのとき、ふとあることに気がつく。
もしや、この男性が……?
「あの~……つかぬことをお伺いしますが……」
「はい、何でしょう?」
「あなたはもしや王子様ですか?」
「ええ!? 王子様ですって!? と、とんでもありません! 私はロビンソン・クルーソーと申します。 クルーソー伯爵家の嫡男です。どうぞお見知りおきを」
そして笑顔で会釈してくる。
「ロビンソン・クルーソー伯爵……?」
うん、どこかで聞いたことのある有名な名前のようにも思える。思えるが……恐らく、「シンデレラ」の世界観ではこのような人物は登場していないはず!
なら私の答えは一つしか無い。
「申し訳ございません、ロビンソン・クルーソー伯爵。私が用のある方は王子様だけですので。失礼いたします」
「え? あ、あの……」
ポカンとするロビンソン・クルーソー伯爵をその場に残し、私はその場を立ち去った。
よし、この手でいこう。今後も誰かにダンスに誘われたら今のように断るのだ。
断り続けるうちに、今にきっと噂になるに違いない。
『あの女性は、王子様の誘い以外踊るつもりは無いのだ』と。
きっと、噂を聞きつけてそのう王子様が興味を持って私の前に現れるに違いない。
私は速攻で計画を立てた自分の機転の良さにほくそ笑むのだった――
ふいに背後から声をかけられ、驚いて振り向く。するとそこには紺色にラメ、金色の刺繍を施したタキシード姿の若い男性が立っていた。
青年は私を見ると嬉しそうに笑みを浮かべる。
「あの、今私に声をかけたのですか?」
「ええ、そうです。ああ、やはり思った通り美しい方だ。どうか、私と踊っていただけませんか?」
そして私の前に右手を差し出してくる。
「え? 踊り……?」
そこで私は肝心なことに気付いた。
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だけど私は? 自慢じゃないけど、ダンスなんて踊れるはず無い。かろうじて盆踊りが出来るくらいだろうか?
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不思議そうな顔で私を見つめる青年。
「何時ですか……?」
「はい?」
「今は何時ですか!!」
「え! あ、す、少しお待ち下さい! 今調べますね!」
慌てた様子で男性は懐をゴソゴソ探り……懐中時計を取り出した。
「ええと……今は午後9時を過ぎたところでしょうか?」
「午後9時!?」
そんな……まだそんな時間だったなんて!! 運命の時間まで後3時間。そして私は全くダンスが踊れない。
そんな状態でタイムリミットまで、一体どうやって過ごせばいいのだろう?
思わず頭を両手で抱えてしまう。
「ど、どうされましたか!?」
私の様子に驚いたのか、男性はオロオロし始めた。そのとき、ふとあることに気がつく。
もしや、この男性が……?
「あの~……つかぬことをお伺いしますが……」
「はい、何でしょう?」
「あなたはもしや王子様ですか?」
「ええ!? 王子様ですって!? と、とんでもありません! 私はロビンソン・クルーソーと申します。 クルーソー伯爵家の嫡男です。どうぞお見知りおきを」
そして笑顔で会釈してくる。
「ロビンソン・クルーソー伯爵……?」
うん、どこかで聞いたことのある有名な名前のようにも思える。思えるが……恐らく、「シンデレラ」の世界観ではこのような人物は登場していないはず!
なら私の答えは一つしか無い。
「申し訳ございません、ロビンソン・クルーソー伯爵。私が用のある方は王子様だけですので。失礼いたします」
「え? あ、あの……」
ポカンとするロビンソン・クルーソー伯爵をその場に残し、私はその場を立ち去った。
よし、この手でいこう。今後も誰かにダンスに誘われたら今のように断るのだ。
断り続けるうちに、今にきっと噂になるに違いない。
『あの女性は、王子様の誘い以外踊るつもりは無いのだ』と。
きっと、噂を聞きつけてそのう王子様が興味を持って私の前に現れるに違いない。
私は速攻で計画を立てた自分の機転の良さにほくそ笑むのだった――
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