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第2章 6 新しいクラス
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私とレイフが1年A組の教室へ行くと入り口には席次表が貼られていた。
「・・・・。」
私は黙って席次表を見つめた。
「どうした?アイリス。席はもう確認したんだ。中へ入らないのか?」
横から不思議そうにレイフが尋ねてきた。
「え、ええ・・・そうね。入るわ。」
私の席は窓際から2列目の一番後ろで、当然の如くオスカーの隣の席になっていた。全く・・これでは70年前と同じだ。そしてあの時は教室に入ったタバサが私に突然声を掛けてきて・・・。
ため息をつきながら教室へ入り、自分の席を見ると案の定窓際の席に座ったオスカーが頬杖を突きながら窓の外を眺めている。
オスカーは王族でありながら、その荒々しい性格と格下の人間を見下す傾向が強かった為に、取り巻きは1人もおらず常に1人で行動していた。学生達だけではなく、教授達も彼を恐れていた。そんな彼をただ一人、恐れずに慕っていたのが他でも無い、タバサだったのである。
「それじゃな、アイリス。」
レイフは教壇の列の真ん中の席だったので、私の肩をポンと叩くと自分の席へと向かった。するとまるでタイミングを見計らったかのようにタバサが私の目の前に現れた。
「アイリス様、お話があるのですけど。」
「え、ええ・・・。」
他の学生達はそれぞれ隣同士になった席の者同士で自己紹介を兼ねた会話を楽しんでいる。かくいうレイフも、もう隣の席の男子学生と和やかに話をしていた。ポツンと1人で座っているのはオスカーぐらいだ。
そんなオスカーをタバサはチラリと見ると言った。
「見て・・・オスカー様は1人で座っているわよね?」
「ええ・・・。そうね。」
「オスカー様とアイリス様は・・・婚約者同士と言っていたけど・・・それだと2人供べったりになって、このアカデミーで新しく友人が作れないんじゃないかしら?だから私と席を交換しない?その方がオスカー様とアイリス様の為であると思わない?」
え・・?
70年前とタバサの話の内容が変化している・・・。あの時は私とオスカーの仲が悪そうだったから、席を交換しようと言って来たのに・・・。オスカーと私の関係が微妙に変化したからタバサの会話の内容が変化したのだろうか・・?
私が返事を返さないからなのか、タバサが眉をしかめると言った。
「ねえ、聞いているの?アイリス様。早く席を交換してもらえないかしら?もうすぐホームルーム開始のチャイムが鳴ってしまうじゃないの。」
若干イライラしながらタバサが私に詰め寄って来る。もしここで拒否をして面倒ごとに巻き込まれるのは遠慮したい。
「・・・分かったわ。でも・・・教授はどう思うかしら?」
「それなら視力が悪くて黒板の文字が読めないから私と席を変わって貰ったと答えればいいのよ。」
「・・・・。」
このクラスにはレイフがいる。私の視力が悪くない事位彼は知っている。だけど目の前で威嚇するように私を見るタバサを見ていたら、断る方が面倒そうだ。
「分かったわ・・・席を替わればいいのよね?」
どうせまだ鞄を机の上に置いていないのだ。
「ええ、そうよ。聞き分けの良い人は好きよ。」
タバサはにっこり微笑む。私は別にタバサに好かれたいとはこれっぽっちも思っていない。むしろ放っておいて貰いたい位だ。
心の中で溜息をついて、私は無言でタバサから視線を逸らせると、彼女が本来座るべき座席に行くと、腰を下ろした。
その時・・・。
ガターンッ!!
突然教室の後ろの方で何かが倒れる音が教室中に響き渡った。
その音に驚いた学生たちが振り向くと、そこにはオスカーが青ざめて立っているタバサを睨み付けている。そしてタバサの足元には椅子が転がっていた—。
「・・・・。」
私は黙って席次表を見つめた。
「どうした?アイリス。席はもう確認したんだ。中へ入らないのか?」
横から不思議そうにレイフが尋ねてきた。
「え、ええ・・・そうね。入るわ。」
私の席は窓際から2列目の一番後ろで、当然の如くオスカーの隣の席になっていた。全く・・これでは70年前と同じだ。そしてあの時は教室に入ったタバサが私に突然声を掛けてきて・・・。
ため息をつきながら教室へ入り、自分の席を見ると案の定窓際の席に座ったオスカーが頬杖を突きながら窓の外を眺めている。
オスカーは王族でありながら、その荒々しい性格と格下の人間を見下す傾向が強かった為に、取り巻きは1人もおらず常に1人で行動していた。学生達だけではなく、教授達も彼を恐れていた。そんな彼をただ一人、恐れずに慕っていたのが他でも無い、タバサだったのである。
「それじゃな、アイリス。」
レイフは教壇の列の真ん中の席だったので、私の肩をポンと叩くと自分の席へと向かった。するとまるでタイミングを見計らったかのようにタバサが私の目の前に現れた。
「アイリス様、お話があるのですけど。」
「え、ええ・・・。」
他の学生達はそれぞれ隣同士になった席の者同士で自己紹介を兼ねた会話を楽しんでいる。かくいうレイフも、もう隣の席の男子学生と和やかに話をしていた。ポツンと1人で座っているのはオスカーぐらいだ。
そんなオスカーをタバサはチラリと見ると言った。
「見て・・・オスカー様は1人で座っているわよね?」
「ええ・・・。そうね。」
「オスカー様とアイリス様は・・・婚約者同士と言っていたけど・・・それだと2人供べったりになって、このアカデミーで新しく友人が作れないんじゃないかしら?だから私と席を交換しない?その方がオスカー様とアイリス様の為であると思わない?」
え・・?
70年前とタバサの話の内容が変化している・・・。あの時は私とオスカーの仲が悪そうだったから、席を交換しようと言って来たのに・・・。オスカーと私の関係が微妙に変化したからタバサの会話の内容が変化したのだろうか・・?
私が返事を返さないからなのか、タバサが眉をしかめると言った。
「ねえ、聞いているの?アイリス様。早く席を交換してもらえないかしら?もうすぐホームルーム開始のチャイムが鳴ってしまうじゃないの。」
若干イライラしながらタバサが私に詰め寄って来る。もしここで拒否をして面倒ごとに巻き込まれるのは遠慮したい。
「・・・分かったわ。でも・・・教授はどう思うかしら?」
「それなら視力が悪くて黒板の文字が読めないから私と席を変わって貰ったと答えればいいのよ。」
「・・・・。」
このクラスにはレイフがいる。私の視力が悪くない事位彼は知っている。だけど目の前で威嚇するように私を見るタバサを見ていたら、断る方が面倒そうだ。
「分かったわ・・・席を替わればいいのよね?」
どうせまだ鞄を机の上に置いていないのだ。
「ええ、そうよ。聞き分けの良い人は好きよ。」
タバサはにっこり微笑む。私は別にタバサに好かれたいとはこれっぽっちも思っていない。むしろ放っておいて貰いたい位だ。
心の中で溜息をついて、私は無言でタバサから視線を逸らせると、彼女が本来座るべき座席に行くと、腰を下ろした。
その時・・・。
ガターンッ!!
突然教室の後ろの方で何かが倒れる音が教室中に響き渡った。
その音に驚いた学生たちが振り向くと、そこにはオスカーが青ざめて立っているタバサを睨み付けている。そしてタバサの足元には椅子が転がっていた—。
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