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第8章 4 メイドとして潜入
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「彼らは全員我らの仲間です。ここで使用人として城に潜入しています。」
シモンの紹介で、私は彼らと挨拶を交わした。そしてユリアナが声を掛けてきた。
「アイリス様。この服をお召しください。この服は王宮で働くメイドのお仕着せになります。どうぞこちらの部屋をお使いください。」
ユリアナに案内されたのは小さな衣裳部屋だった。
「御着替えが済みましたら出てきてくださいね。」
そしてドアが閉じられた。ユリアナに手渡されたお仕着せは黒のロングワンピースに真っ白なエプロンドレスであった。どれも上質な手触りだったので、恐らくは王族に近付ける資格を持っているのかもしれない。私は早速今着ている服を脱ぐとお仕着せに着替え始めた。
ギイイ・・・
扉を開けて外へ出ると、ユリアナとシモンが待っていた。いつの間にかユリアナも私と同じお仕着せを着ている。
「まあ、アイリス様。とてもお似合いですわ。」
ユリアナは満足そうに微笑むが、シモンは少し顔をしかめている。
「これはまずいな・・。」
「何がまずいのかしら?」
首を傾げると、シモンが大真面目で言う。
「このようなお仕着せを着てもアイリス様の女神『リオス』に生き写しのその美貌を隠すことが出来ない・・。少し魔法を使ってアイリス様の見た目を変化させなければ・・。」
「え?見た目を変えられるの?」
「ええ・・と言ってもせいぜい、瞳の色を変えることくらいしかできませんが・・。アイリス様失礼致します。」
言いながらシモンは私の眼前に右手をかざし、瞳を閉じて何事が呪文のようなものを唱えている。すると・・・。
「まあ、アイリス様の瞳の色が黒に変わったわ!」
ユリアナが驚きの声を上げた。
「アイリス様。今私はアイリス様の瞳の色を変えました。後は・・これをお使いください。」
シモンがポケットから眼鏡を取り出した。
「眼鏡・・・・?」
「はい、はめ込まれたレンズはただのガラスです。後は・・そうですね。髪も隠した方が良いでしょう。」
「なら、良いものがあります。」
ユリアナがおもむろに先ほどの衣装部屋のドアを開けて中へ入るとすぐに手に白い布を持って現れた。
「これを被って髪を隠してください。」
手にしていたのはボンネットだった―。
私とユリアナは今、食事の乗ったカートを押して王宮の中庭に面した通路を歩いていた。庭は美しく整えられ、バラが咲き乱れている。
「・・・美しい庭ですね。」
ユリアナが私に語り掛けてきた。
「ええ、そうね。この庭は・・誰の趣味なのかしら・・。」
「今の国王の御妃様の趣味だったと伺っております。御妃様は第二王子のアンソニー様を出産された後に体調を崩されて亡くなられてしまったそうです。実は今これから食事をお届けする方は第二王子アンソニー様なのです。」
「え・・・?」
私はその言葉に驚いた。第二王子アンソニーには私は前世でも今世でも一度も会ったことが無い。しかも・・オスカーが廃嫡され、今の婚約者候補がアンソニーだと言われているので、自然に私の緊張感は高まる。ユリアナは私が緊張しているのを察したのか笑みを浮かべながら言った。
「大丈夫ですよ、アイリス様。アンソニー様はまだ8歳。とても愛らしいいお方ですよ。」
「ユリアナは会ったことがあるの?」
「ええ、メイドとして何度か潜入しておりますので。少しだけなら会話も交わしたことがあります。無邪気で可愛いんですよ。」
「そうなの・・・それなら良かったけど・・・。でも、それにしても食事の量が多すぎるわ。何故なのかしら?」
するとユリアナは言った。
「ええ・・実は最近アンソニー様のお傍に付き人を置くようになったのです・・。」
何故かそこでユリアナの表情が曇った―。
シモンの紹介で、私は彼らと挨拶を交わした。そしてユリアナが声を掛けてきた。
「アイリス様。この服をお召しください。この服は王宮で働くメイドのお仕着せになります。どうぞこちらの部屋をお使いください。」
ユリアナに案内されたのは小さな衣裳部屋だった。
「御着替えが済みましたら出てきてくださいね。」
そしてドアが閉じられた。ユリアナに手渡されたお仕着せは黒のロングワンピースに真っ白なエプロンドレスであった。どれも上質な手触りだったので、恐らくは王族に近付ける資格を持っているのかもしれない。私は早速今着ている服を脱ぐとお仕着せに着替え始めた。
ギイイ・・・
扉を開けて外へ出ると、ユリアナとシモンが待っていた。いつの間にかユリアナも私と同じお仕着せを着ている。
「まあ、アイリス様。とてもお似合いですわ。」
ユリアナは満足そうに微笑むが、シモンは少し顔をしかめている。
「これはまずいな・・。」
「何がまずいのかしら?」
首を傾げると、シモンが大真面目で言う。
「このようなお仕着せを着てもアイリス様の女神『リオス』に生き写しのその美貌を隠すことが出来ない・・。少し魔法を使ってアイリス様の見た目を変化させなければ・・。」
「え?見た目を変えられるの?」
「ええ・・と言ってもせいぜい、瞳の色を変えることくらいしかできませんが・・。アイリス様失礼致します。」
言いながらシモンは私の眼前に右手をかざし、瞳を閉じて何事が呪文のようなものを唱えている。すると・・・。
「まあ、アイリス様の瞳の色が黒に変わったわ!」
ユリアナが驚きの声を上げた。
「アイリス様。今私はアイリス様の瞳の色を変えました。後は・・これをお使いください。」
シモンがポケットから眼鏡を取り出した。
「眼鏡・・・・?」
「はい、はめ込まれたレンズはただのガラスです。後は・・そうですね。髪も隠した方が良いでしょう。」
「なら、良いものがあります。」
ユリアナがおもむろに先ほどの衣装部屋のドアを開けて中へ入るとすぐに手に白い布を持って現れた。
「これを被って髪を隠してください。」
手にしていたのはボンネットだった―。
私とユリアナは今、食事の乗ったカートを押して王宮の中庭に面した通路を歩いていた。庭は美しく整えられ、バラが咲き乱れている。
「・・・美しい庭ですね。」
ユリアナが私に語り掛けてきた。
「ええ、そうね。この庭は・・誰の趣味なのかしら・・。」
「今の国王の御妃様の趣味だったと伺っております。御妃様は第二王子のアンソニー様を出産された後に体調を崩されて亡くなられてしまったそうです。実は今これから食事をお届けする方は第二王子アンソニー様なのです。」
「え・・・?」
私はその言葉に驚いた。第二王子アンソニーには私は前世でも今世でも一度も会ったことが無い。しかも・・オスカーが廃嫡され、今の婚約者候補がアンソニーだと言われているので、自然に私の緊張感は高まる。ユリアナは私が緊張しているのを察したのか笑みを浮かべながら言った。
「大丈夫ですよ、アイリス様。アンソニー様はまだ8歳。とても愛らしいいお方ですよ。」
「ユリアナは会ったことがあるの?」
「ええ、メイドとして何度か潜入しておりますので。少しだけなら会話も交わしたことがあります。無邪気で可愛いんですよ。」
「そうなの・・・それなら良かったけど・・・。でも、それにしても食事の量が多すぎるわ。何故なのかしら?」
するとユリアナは言った。
「ええ・・実は最近アンソニー様のお傍に付き人を置くようになったのです・・。」
何故かそこでユリアナの表情が曇った―。
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