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第8章 9 脱出
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「よ、良かった・・・・。アイリス・・お前・・生きていたんだな・・・?」
オスカーの身体は小刻みに震えていた。
「オスカー様・・・・?どうされたのですか・・?」
「お、俺は・・・また幻覚の世界で・・お前を酷い目に遭わせていたんだ・・。お前の首に鉄の輪をはめ・・お前の顔を血が出るまで殴りつけて・・・そんな事したくなかったのに・・・なのに、俺は幻覚の世界であざ笑いながらお前を・・そして・・お前の家族を・・この手で処刑してしまった・・・!」
「!」
私は最後の言葉に驚愕した。それでは・・前世の世界でイリヤ家に直接手を下したのは・・オスカーだったというのだろうか・・?だけど、私はオスカーに処刑はされていない。流刑島へ流されただけだった。
「オスカー様・・・・・しっかりして下さい。私は・・何ともありません。」
震えるオスカーの背中をそっと撫でると、ようやくオスカーは落ち着きを取り戻した。
「オスカー様、アイリス様。今この城の見張りをしていた者たちは魔法で深い眠りについています。今のうちに逃げましょう。」
シモンが背後から声を掛けてきた。
「あ、ああ・・・そうだな。よし・・!皆逃げるぞっ!」
オスカーは私から身体を離すと言った。そして私たちは皆で一斉に先程の階段を昇り、地上を目指した。
「アイリス、大丈夫か?」
階段を昇りながらオスカーが声を掛けて来る。
「は、はい・・・大丈夫です・・・。」
本当は少しも大丈夫では無かった。アルマンゾやアドニス、ヘルマン達は鍛えているからこのくらいの階段は大丈夫なのだろうが、神官であるシモンもユリアナも平然と階段を速足で昇っていく。オスカーだって今まで地下牢へ閉じ込められ、体中に傷を負っているのに、階段を昇るペースは少しも落ちる事は無い。それなのに私は・・。
ハアハアと荒い息を吐きながら必死で階段を昇っているが、これでは完全にお荷物状態だ。
「頑張れ、アイリス。もう少しで地上だ。」
オスカーが隣で私を励ましながら階段を昇っている。自分だって辛いはずなのに・・。オスカーの服の下からは赤い血があちこちに滲んでいる。顔色も青ざめているし、額からは汗を流している。こんな身体なのに、私を気遣ってくれているなんて・・・。
「あ・・ありがとうございます。オスカー様。」
何とか返事をするとオスカーは私を見てフッと笑い、右手を繋いで階段を昇り始めた。
≪ アイリス・・・やっと・・またお前に会えた・・。お前を愛している。必ず・・・守ってやるからな・・。 ≫
途端にオスカーの思考が私の頭の中に流れ込んできて、思わず私は顔が赤くなり、胸の中が温かいもので満たされていくように感じた。そして気が付いた。
私も・・・オスカーの事を好きなのだと言う事を・・。
今までの私は前世の記憶に引きずられて、オスカーの事を信用出来ずにいたけれども、指輪を介して初めて知ったオスカーの本心・・。恐らく前世のオスカーは実の父親である悪魔に憑りつかれたフリードリッヒ3世や邪眼の持ち主であるタバサの力。そして自分自身に掛けられた恐ろしいエルトリアの呪いのせいで・・私を・・イリヤ家を滅ぼしたのかもしれない。
「アイリス!もうすぐ地上だ!」
オスカーが私を振り返ると言った。
「はい・・!」
見上げると他の人々は既に階段を昇り切ったのか、姿が見えない。
「よし、急ごう!」
「はい!」
オスカーの言葉に私は返事をし・・・、階段を昇り切った瞬間、目の前の光景に目を見張ってしまった。
「レ、レイフ・・・。」
そこにはレイフに羽交い絞めにされ、首筋に剣を突き立てられたユリアナの姿がそこにあった―。
オスカーの身体は小刻みに震えていた。
「オスカー様・・・・?どうされたのですか・・?」
「お、俺は・・・また幻覚の世界で・・お前を酷い目に遭わせていたんだ・・。お前の首に鉄の輪をはめ・・お前の顔を血が出るまで殴りつけて・・・そんな事したくなかったのに・・・なのに、俺は幻覚の世界であざ笑いながらお前を・・そして・・お前の家族を・・この手で処刑してしまった・・・!」
「!」
私は最後の言葉に驚愕した。それでは・・前世の世界でイリヤ家に直接手を下したのは・・オスカーだったというのだろうか・・?だけど、私はオスカーに処刑はされていない。流刑島へ流されただけだった。
「オスカー様・・・・・しっかりして下さい。私は・・何ともありません。」
震えるオスカーの背中をそっと撫でると、ようやくオスカーは落ち着きを取り戻した。
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シモンが背後から声を掛けてきた。
「あ、ああ・・・そうだな。よし・・!皆逃げるぞっ!」
オスカーは私から身体を離すと言った。そして私たちは皆で一斉に先程の階段を昇り、地上を目指した。
「アイリス、大丈夫か?」
階段を昇りながらオスカーが声を掛けて来る。
「は、はい・・・大丈夫です・・・。」
本当は少しも大丈夫では無かった。アルマンゾやアドニス、ヘルマン達は鍛えているからこのくらいの階段は大丈夫なのだろうが、神官であるシモンもユリアナも平然と階段を速足で昇っていく。オスカーだって今まで地下牢へ閉じ込められ、体中に傷を負っているのに、階段を昇るペースは少しも落ちる事は無い。それなのに私は・・。
ハアハアと荒い息を吐きながら必死で階段を昇っているが、これでは完全にお荷物状態だ。
「頑張れ、アイリス。もう少しで地上だ。」
オスカーが隣で私を励ましながら階段を昇っている。自分だって辛いはずなのに・・。オスカーの服の下からは赤い血があちこちに滲んでいる。顔色も青ざめているし、額からは汗を流している。こんな身体なのに、私を気遣ってくれているなんて・・・。
「あ・・ありがとうございます。オスカー様。」
何とか返事をするとオスカーは私を見てフッと笑い、右手を繋いで階段を昇り始めた。
≪ アイリス・・・やっと・・またお前に会えた・・。お前を愛している。必ず・・・守ってやるからな・・。 ≫
途端にオスカーの思考が私の頭の中に流れ込んできて、思わず私は顔が赤くなり、胸の中が温かいもので満たされていくように感じた。そして気が付いた。
私も・・・オスカーの事を好きなのだと言う事を・・。
今までの私は前世の記憶に引きずられて、オスカーの事を信用出来ずにいたけれども、指輪を介して初めて知ったオスカーの本心・・。恐らく前世のオスカーは実の父親である悪魔に憑りつかれたフリードリッヒ3世や邪眼の持ち主であるタバサの力。そして自分自身に掛けられた恐ろしいエルトリアの呪いのせいで・・私を・・イリヤ家を滅ぼしたのかもしれない。
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オスカーが私を振り返ると言った。
「はい・・!」
見上げると他の人々は既に階段を昇り切ったのか、姿が見えない。
「よし、急ごう!」
「はい!」
オスカーの言葉に私は返事をし・・・、階段を昇り切った瞬間、目の前の光景に目を見張ってしまった。
「レ、レイフ・・・。」
そこにはレイフに羽交い絞めにされ、首筋に剣を突き立てられたユリアナの姿がそこにあった―。
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