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第12話 声をかける人
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――翌朝
「……」
目覚めた私はベッドの上で見慣れない天井をじっと見つめていた。
「はぁ~……やっぱり夢じゃなかったのね……目が覚めればいつもの生活に戻っていると思ったのに」
ため息をつきながら、ベッドからムクリと起き上がった。やっぱり私はあの世界で車に轢かれて死んでしまったのだ。
そして、『マッチ売りの少女』の悲劇のヒロイン? に転生してしまった。
「それにしても、最後に死んでしまう主人公をヒロインなんて呼んでもいいものなのなのかな?」
ブツブツ言いながら、昨日と同じキャバドレスに着替えて鏡の前に立ってみた。
「……うん、今日はまず手持ちのお金で次の服を買おう」
流石にこの格好でホテル内をウロウロするのはどうかと思う。ハンスとの待ち合わせ時間は17時。後8時間はフリーだ。
「よし、まずはこのホテルで朝ごはんを食べよう!」
早速部屋の戸締まりをすると、私はホテルにあるレストランへ向かった――
****
「あ~美味しかった」
食事を終えて、部屋に戻ってきた私はベッドの上で大の字になって寝転がっていた。
「あのふわふわのオムレツは絶品だったな」
先程レストランで食べたオムレツの味を思い出す。だけどやはり、味付の濃い日本食が食べたい!
「きっと、この世界では白米も、味噌汁も、納豆も無いんだろうな……」
ポツリと呟き、少しの間日本人だった頃を恋しく思い……。
「よし! 出かけよう!」
気持ちを切り替えると、私はベッドから起き上がった――
****
荷物を持って、フロントマンにルームキーを返した。流石に、いつまでもこのホテルにお世話になるわけにはいかない。
「またのご利用をお待ちしております」
妙に愛想の良いドアマンに見送られながら、私はホテルを後にした。
「さて、それじゃ服でも買いに行こうかな」
こうして残りの残金5万エンを懐にいれ、ショッピングをするために雪が積もる町をブラブラと歩き始めた――
****
――15時
「う~ん……それにしても退屈ねぇ……」
ショッピングを終え、シンプルなワンピース姿に着替えた私は喫茶店で町の外を眺めていた。
「こんなことならハンスとの待ち合わせ時間を早めれば良かったかな……」
こんなとき、現代日本で暮らしてたときの生活が恋しくなってくる。何しろ暇つぶし出来るスマホが無いのだから。
「はぁ~……暇だわ。暇すぎる……それに、スカート姿もなんとなく落ち着かないし……」
普段から仕事でも家でもパンツスタイルばかりの私にとって、スカートははっきり言って抵抗がある。妙に足元がスースーするし、無防備な姿を晒しているようで落ち着かない。
「……もう他にすることもないし、今夜マッチを売る場所を探そう」
ポツリと呟くと席を立って店を後にした。
めぼしい店がないか、ぶらぶら町を歩いていると大きな紙袋を抱えた男性とすれ違った。その矢先――
「あれ? もしかして昨夜のお客さんじゃないの?」
不意に背後から声をかけられた。
「え?」
振り向くと、その男性は嬉しそうな笑顔を見せた。
「あぁ! やっぱりそうだ。昨日、店内でマッチを売っていたお客さんだ」
「え? ええ、そうですけど……?」
もしかして昨夜マッチをお買い上げしてくれたお客だろうか?
「あれ? 俺のこと見覚えがないかな?」
首を傾げる男性。
「え? 昨夜ですか?」
言われて、私は男性をまじまじと見つめ……思い出した。
「あ! もしかしてお店の人ですか?」
「うん、そうだよ。思い出してくれて良かった。こんなところで何しているんだい?ちなみに俺は店の買い出しに来ていたんだけどさ」
「私は今夜マッチゲームを披露できそうな店を探していました」
「え? そうだったのか? だったら今夜もうちのお店でやってもらえないかな? 実はお客さんのマッチ棒ゲームのおかげで、昨夜は大盛況だったんだよ、店のマスターも大喜びしていて、今夜も来店してもらえないかなって言ってたんだよ。もし来てくれたら飲食代タダにするとも言ってたし」
「え!? 本当ですか!?」
私がその話に飛びついたのは……言うまでもなかった――
「……」
目覚めた私はベッドの上で見慣れない天井をじっと見つめていた。
「はぁ~……やっぱり夢じゃなかったのね……目が覚めればいつもの生活に戻っていると思ったのに」
ため息をつきながら、ベッドからムクリと起き上がった。やっぱり私はあの世界で車に轢かれて死んでしまったのだ。
そして、『マッチ売りの少女』の悲劇のヒロイン? に転生してしまった。
「それにしても、最後に死んでしまう主人公をヒロインなんて呼んでもいいものなのなのかな?」
ブツブツ言いながら、昨日と同じキャバドレスに着替えて鏡の前に立ってみた。
「……うん、今日はまず手持ちのお金で次の服を買おう」
流石にこの格好でホテル内をウロウロするのはどうかと思う。ハンスとの待ち合わせ時間は17時。後8時間はフリーだ。
「よし、まずはこのホテルで朝ごはんを食べよう!」
早速部屋の戸締まりをすると、私はホテルにあるレストランへ向かった――
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「あ~美味しかった」
食事を終えて、部屋に戻ってきた私はベッドの上で大の字になって寝転がっていた。
「あのふわふわのオムレツは絶品だったな」
先程レストランで食べたオムレツの味を思い出す。だけどやはり、味付の濃い日本食が食べたい!
「きっと、この世界では白米も、味噌汁も、納豆も無いんだろうな……」
ポツリと呟き、少しの間日本人だった頃を恋しく思い……。
「よし! 出かけよう!」
気持ちを切り替えると、私はベッドから起き上がった――
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荷物を持って、フロントマンにルームキーを返した。流石に、いつまでもこのホテルにお世話になるわけにはいかない。
「またのご利用をお待ちしております」
妙に愛想の良いドアマンに見送られながら、私はホテルを後にした。
「さて、それじゃ服でも買いに行こうかな」
こうして残りの残金5万エンを懐にいれ、ショッピングをするために雪が積もる町をブラブラと歩き始めた――
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――15時
「う~ん……それにしても退屈ねぇ……」
ショッピングを終え、シンプルなワンピース姿に着替えた私は喫茶店で町の外を眺めていた。
「こんなことならハンスとの待ち合わせ時間を早めれば良かったかな……」
こんなとき、現代日本で暮らしてたときの生活が恋しくなってくる。何しろ暇つぶし出来るスマホが無いのだから。
「はぁ~……暇だわ。暇すぎる……それに、スカート姿もなんとなく落ち着かないし……」
普段から仕事でも家でもパンツスタイルばかりの私にとって、スカートははっきり言って抵抗がある。妙に足元がスースーするし、無防備な姿を晒しているようで落ち着かない。
「……もう他にすることもないし、今夜マッチを売る場所を探そう」
ポツリと呟くと席を立って店を後にした。
めぼしい店がないか、ぶらぶら町を歩いていると大きな紙袋を抱えた男性とすれ違った。その矢先――
「あれ? もしかして昨夜のお客さんじゃないの?」
不意に背後から声をかけられた。
「え?」
振り向くと、その男性は嬉しそうな笑顔を見せた。
「あぁ! やっぱりそうだ。昨日、店内でマッチを売っていたお客さんだ」
「え? ええ、そうですけど……?」
もしかして昨夜マッチをお買い上げしてくれたお客だろうか?
「あれ? 俺のこと見覚えがないかな?」
首を傾げる男性。
「え? 昨夜ですか?」
言われて、私は男性をまじまじと見つめ……思い出した。
「あ! もしかしてお店の人ですか?」
「うん、そうだよ。思い出してくれて良かった。こんなところで何しているんだい?ちなみに俺は店の買い出しに来ていたんだけどさ」
「私は今夜マッチゲームを披露できそうな店を探していました」
「え? そうだったのか? だったら今夜もうちのお店でやってもらえないかな? 実はお客さんのマッチ棒ゲームのおかげで、昨夜は大盛況だったんだよ、店のマスターも大喜びしていて、今夜も来店してもらえないかなって言ってたんだよ。もし来てくれたら飲食代タダにするとも言ってたし」
「え!? 本当ですか!?」
私がその話に飛びついたのは……言うまでもなかった――
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