期間限定の悪役令嬢

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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エピソード2 集まる子息令嬢たち

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 それから私はリゾート島に着くまでの間、フォスティーヌに命じられる?ままに悪役令嬢に関する小説やコミックを読まされ・・島に到着する頃には軽い頭痛を感じていた。挙句の果てに・・・。

「ねえ・・・私、本当にこんな格好で飛行機を降りないといけないの・・?」

フォスティーヌが用意した服を着た私は恨めし気な目で彼女をみた。

「あら?そんな事無いわ。リアンナはスタイルが良いからとっても似合ってるわよ?まさに悪役令嬢って感じで素敵だわ。」

身体のラインを強調するかのようなピチピチでおへそが見えそうな真っ黄色なTシャツにかなりきわどい長さのデニムのショートパンツ姿。こんなあられもない服に着替えさせられていたのだ。まるでセクハラのような衣装に私の心はもう折れかかっていた。

「ねえ・・・私が読んだ小説の中にはこんな姿をした悪役令嬢なんかいなかったけど?」

訴えるようにフォスティーヌに言うと、彼女はこともなげに言った。

「ええ、それはそうよ。だって今までリアンナが読んでいた悪役令嬢物の小説の舞台設定は中世ヨーロッパの時代を模した設定の本ばかりなんだもの。でも・・・現代版の悪役令嬢は違うわ。皆こんな格好をしているに決まってるわよ。」

そう豪語するフォスティーヌはひらひらのフリルとレースをふんだんに使ったパフスリーブの袖にスカート部分は3段に別れたティアードタイプのワンピースという、随分クラシカルなデザイン服を着ている。
私はフォスティーヌの服こそ、時代錯誤ではないかと思ってしまった。

 まあ・・・ホテルに到着するまでの間だけはこの格好で我慢するけど・・絶対に後で着替えてやるんだから!

既に滑走路には2台の自家用ジェット機が到着していて、5名の若者たちがこちらを向いて軽薄そうに手を振っている。きっと彼らもこのサマースクールの参加者なのだろうが・・・本当に名門貴族の令息たちなのだろうかと疑ってしまう。何故なら彼らはど派手なシャツにハーフパンツと言った格好で全員がニコニコしながら私に手を振っているのだから。それでもこのフリースクールの規則はきちんと守ってくれているようだった。
実はこのフリースクールには色々規約があって、主催者のフリースクールの開催の挨拶が始まらない限りは男性は女性に、女性は男性に話しかけてはならないという規則を設けていたのだ。そしてそれを破ったものは強制的に帰される・・。いわゆる『脱落』扱いになるのだった。
まあ、私的にはすぐにでも『脱落』して我が家に帰りたいけれども、フォスティーヌの為・・そして父の顔を潰さない為にも最後まで残っていないといけないのである。

 それにしても・・・。

「うわあ・・本当になんて綺麗な空に美しい海なんだろう・・・。」

リゾート島はガイドブックによると、島の半径約15K㎡となっている。滑走路の長さは1500mしかないので、小型の飛行機しか乗り入れる事が出来ない。そしてここは一流セレブご用達の島なので・・・この島を訪れる人々は全員自家用ジェットで来ると言う徹底ぶりなのだ。

 私は自分が今恥ずかしい恰好をしている事などすっかり忘れ、滑走路から見える景色に見惚れていた。
やがて1機、また1機とプライベートジェットがぞくぞくと飛んできて次々に着陸する。そしてタラップを降りてくるセレブな令息令嬢たち。そして気付けば女性グループと男性グループとに分かれていた。女性の人数は10人で男性の人数は8人いた。

あれ・・2名男性の数が足りない。ひょっとすると女性は余るようになっているのだろうか?
等と考えていると、それまで私と他人のふりをしていたフォスティーヌが声を掛けてきた。

「実はね・・・リアンナ。私・・どうしても恋人同士になりたい男性がいるのよ。」

「え?!フォスティーヌ。ひょっとして参加者の名前全員把握していたの?!」

「勿論よ。そうじゃなきゃどこの誰かも分からない参加者達と1ヶ月間一緒に過ごすはずないでしょう?これでも伯爵令嬢なんだから、付き合うならちゃんと身の丈に合った男性じゃないとね。」

「ふ~ん・・・それであの中にいるどの男性なの?」

するとフォスティーヌが言った。

「ううん・・いないわ。・・・。きっとこれから来るのね・・。」

その時―

キイイイーン・・・・ッ!

大きな音を立てて、プライベートジェット機が空港に降り立った。

「ああ・・・あれよ・・。」

フォスティーヌの声が震えている。

「あれ?あの飛行機にフォスティーヌの思い人が乗っているの?」

「ええ・・・そうよ。あの飛行機に乗ってきた方が・・・。」

私とフォスティーヌが見守る中・・・タラップが出され、2人の若者が降りてきた。最初に降りてきたのは栗毛色の柔らかい髪の男性、そしてもう1人はダークブロンドの髪の男性。

これが・・・私が彼を初めて目にした瞬間であった―。

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