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マシュー・クラウド ⑤
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昨日、ジェシカは学校に来なかった。どうやら風邪を引いてしまったらしい。
具合はどうなのだろう?今日も休みなのだろうか・・・?
それにしてもたった1日ジェシカに会えなかっただけで、こんなにも喪失感を味わう事になるとは思わなかった。
俺がもっと彼女と親しければ・・・お見舞いの手紙でも書いて女子寮へ届けられたのだろうが、生憎俺とジェシカはクラスさえ違う。もし仮に俺からお見舞いの手紙でも届こうものなら、何故違うクラスの俺が休みなのを知ってるのだろうと訝しく思われてしまうのでは無いだろうか・・?そう思うと俺は手紙を書く事が出来なかった。
溜息をつくと、俺は男子寮を出た。
すると・・・。
「マシューッ!」
何とジェシカが再び茂みの中から飛び出してきたのだ。余りの不意打ちと嬉しさの余り、俺は一瞬どんな反応をすれば良いのか分からなくなってしまい、ついジェシカにかくれんぼでもしてたのかい?とくだらない質問をしてしまった。
しかし、彼女の口から出てきた言葉は感動的だった。
マシュー、貴方を待っていた事位分かっているでしょう―?
天にも昇る気持ちと言うのは、正にこういう事を言うのかもしれない・・。
ジェシカは俺と少し話がしたいと言う事で、何故か俺のクラスへとやって来た。
そしてクラスの連中は俺がジェシカに手を引かれ、自分たちのクラスへ入って来たので、全員がギョッとした顔つきで俺達に注目した。
しかし・・・当の本人、ジェシカはそれに気付く様子もなく、俺の隣の席に座って話しを始めようとして・・・。
そこで初めて俺達がクラスの連中から注目を浴びている事に気が付き、何故自分たちがこれ程注目されているのか、俺に尋ねて来たから驚きだ。
やはりジェシカは全くの無自覚だったのだ。自分がこの学院でどれ程有名人なのか、どれ程他の男子学生達の憧れの存在であるかという事に・・・
だから俺は無自覚のジェシカに教えてあげる事にした。どれ程自身が魅力的な女性であるかという事に。
それにしても・・・このクラスの男子学生達・・・特に、俺を二度に渡って襲撃して来た連中は先程から怖ろしい形相で俺を睨み付けて来ている。全く・・ジェシカの前でそんな怖い顔をしないで欲しい。そんなに人間と魔族のハーフの俺が憎いのだろうか・・?俺と交流する事によって、彼女が俺を襲撃した彼等に目を付けられるのも困る。
そこで俺は自分からジェシカに伝えた。
俺が人間と魔族のハーフの為にクラスメイト達からは、あまりよい目で見られていない事を・・・。
すると、俺の話を聞いたジェシカは何故か突然俺に謝罪をしてきた。
私のせいで、すごく今迷惑をかけているかも・・・と。え?そこはジェシカが謝る所じゃ無いだろう?でも・・・ここまで俺の事を親身に思ってくれる人は身内以外は居なかった。ジェシカが初めてだった。思わず胸に熱いものが込み上げて来るのを感じ、俺はそれを胡麻化すためにわざと明るく言った。
「そんな事気にする必要は無いって。それにクラスメイトから憧れのジェシカ・リッジウェイと親し気に話せる俺を羨望の眼差しで見てくる視線も悪くは無いし。」
それでもジェシカは何か言いたげにしている。でも・・これ以上心配されると、俺の理性が崩壊して、気丈に振舞えなくなりそうだ。もうこの話はここで終わりにさせないと・・・。
「それより、ジェシカ。俺に何か用事があるんだろう?そろそろ授業も始まるし、要件を教えてくれないかな?」
すると、ジェシカは自分が何故俺のクラスにやって来たのかを思い出したようで、俺に催眠暗示を解く方法を尋ねて来たのだ。え?催眠暗示?一体・・・誰が暗示にかけられているのだろう?ジェシカに尋ねると、暗示にかけられているのはドミニク公爵だったらしい。そして暗示をかけた人物はソフィー。
ジェシカに取ってドミニク公爵はそれ程大事な人なのだろうか・・・?
俺は彼女がドミニク公爵をどう思っているのか知りたくなり、鎌をかけてみた。
「そうか。君の大切な男性がソフィーに奪われてしまったんだね。」
ジェシカは果たして、何と答えるのだろうか・・?頬を染めて肯定でもされようものなら、俺は立ち直れないかもしれない・・・。
しかし彼女の回答は俺を安心させるものだった。
ドミニク公爵は大切な相手には違いないが、異性として大切な相手という訳では無いとジェシカは答えてくれた。それを聞いて俺は心の底から安堵した。
良かった・・・!ドミニク公爵は特別な誰かでは無いんだ・・・!
その後、俺はドミニク公爵がどんな催眠暗示をかけられているのかを知る為に、昼休みにジェシカのクラスに行くので、ドミニク公爵を引き留めておくように頼んだ。
けれど、まさか昼休みにあんな大騒ぎが起こるとは・・あの時の俺には想像もつかなかった・・・。
朝の朝礼が終わった後に、教師が俺の所へやって来た。
「マシュー。本日の昼休みに学院長の元へ行ってくれ。」
「え?昼休みにですか?」
まずい・・・ジェシカと約束しているのに。
「何だ?その顔は?何か用事でもあるのか?」
担任の男性教諭は怪訝な顔で俺を見る。
「い、いえ、特に予定はありません。」
参ったな・・・咄嗟に嘘をつく。
俺は学院の教諭たちからもあまりいい目で見られていないから、拒否する事も出来ない。仕方が無い・・・。ジェシカには取り合えず、昼休みに詫びだけ入れに行く事にしよう・・。」
「それで、学院長はいったいどのような要件で俺を呼んだのでしょう?」
「ああ、来週、聖剣士になる為の試験があり、昼休みに説明会があるそうなんだが、君にも立会人になってほしいそうだ。あ、そうそう、今年は隣のAクラスから2名選出されるそうだ。アラン・ゴールドリック王子とドミニク・テレステオ公爵が選ばれた。ついでだからお前達3人で昼休みに学院長の元へ行ってくれば良いだろう。」
それだけ言うと、教諭はさっさと教室を出て行ってしまった。
まあ、俺の予想通りアラン王子は聖剣士に選ばれる事は分かり切っていた。
けれど・・・
「ドミニク・テレステオ公爵・・・。」
思わず俺はその名前を口に出していた。ソフィーに操られているかもしれない人物が聖剣士に選ばれるとは・・・。確か彼は今学期に編入して来た学生だったはず。
それなのに、もう聖剣士に選ばれているとは・・・。
恐らく彼は相当実力があるのだろう。編入早々、ソフィーに目を付けられるのも怪しい。何だか嫌な予感がする。
俺は・・絶対にジェシカを守ってやらなければ・・・。
3時限目の授業の終了時間が少し長引いてしまった。ジェシカに昼休みに教室に行くからと伝えていただけに待たせてはいけない。
俺は急いで荷物を片付けて教室を出ようとした時に・・・。
ドオオオオッンッ!!
ジェシカのクラスから物凄い爆発音が聞こえ、教室がビリビリと揺れた。
途端に騒ぎ出す学生達。それにA組では学生達が悲鳴を上げながら教室から逃げていく姿が見えた。
一体何があったんだ?!俺は急いで自分の教室を飛び出した時・・・。
「マ・・・マシューッ!早く・・早く来てーっ!!」
ジェシカの声だっ!ジェシカが俺に助けを求めている・・・!!
俺がジェシカの教室に飛び込んだ時に見た光景はアラン王子に彼の2人の従者、そしてマリウスがドミニク公爵と対峙している姿だった。
そして、それをなすすべもなく真っ青な顔で見守るジェシカ・・・。
ならば・・・!
俺は時を止める魔法を唱えた—。
2
キイイイイイイイーンッ!
耳をつんざくような金属音が辺りに響き渡る。
「キャアッ!」
ジェシカが両耳を押さえてしゃがみ込んだ。音がやむとそこは俺とジェシカ以外の時が止まった世界・・・。よし、成功した!
「え・・・?何・・・?」
ジェシカは時を止められた彼等を見て戸惑っている。
「少し、彼等の時間を止めたのさ。」
言いながら俺が教室から入って来るとジェシカは振り向き、俺の名前を呼んで駆け寄って来た。
そして・・・。
「ちょっと!酷いじゃ無いの!どうしてもっと早く来てくれなかったの?!」
俺の襟首を掴み、半分涙目で訴えて来る。不覚にもその表情が余りにも可愛くて胸がときめいてしまった。な、何かジェシカに言わなくては・・・!
「ああ、ごめん。悪かったよ、少し準備に手間取っちゃって・・・。ほら、そんな泣きそうな顔しないで。折角の美人が台無しになるぞ?」
言いながらジェシカの頭を撫でるとジェシカは安心したかのように俺の胸に身体を預けて来た。
高鳴る心臓の音・・・お、落ち着けっ・・・!この魔法はせいぜい10分しか止められないのだから。
俺は今の状況を簡単にジェシカに説明すると彼らの前に立ち、順番に暗示をかけていく。今あった出来事は全て忘れるように・・・。そして公爵だけには別の魔法を・・。俺の唱えた魔法で、出来る限り事前にかけられていた暗示を取り除く。でもこれではまだ完璧では無い。そして指を鳴らして時を再び動かすー。
時が動き出すと、アラン王子達は俺の思惑通りに教室を出ていく。残るは公爵のみ。ジェシカは心配そうに見守る中、俺は暗示状態にある公爵に質問をした・・。
俺の暗示により公爵がソフィーの卑劣な手段で催眠暗示をかけられていた事を俺達は知らされた。ソフィーは公爵を暗示にかける為にジェシカにどれだけ嫌われているのかを語り、そして憎ませて自分に好意を寄せるように卑劣な暗示をかけていたのだった。
ショックを受けているジェシカの肩をそっと抱く。その小さな肩は震えていた・・・。
俺はジェシカに言った。
この暗示は強力で、簡単には解くことが出来ないから、公爵を嫌っていないという安心感を彼に与えてあげれば徐々に暗示を解いていく事が出来る事をジェシカに伝えた。でも・・・本当はこんな事は教えたくは無かった・・。だってジェシカが公爵の側にいる限り、俺は彼女と距離を置かなくてはならないのだから。ただ、俺は・・ジェシカの悲しむ顔を見たくは無かった。それにジェシカは公爵の暗示を解く事に何故か必死になっていた。・・ひょっとすると、そこには何か深い理由があるのかもしれない。
それにしても・・・俺は公爵の事で気になる事があった。ジェシカなら・・何か事情を知っているのでは無いだろうか?
「・・彼は一体何者なんだろう。体の中から怖ろしい程の魔力を感じるよ。魔力量は俺と同じ位ありそうだね。・・・本当にただの・・人間なのかな?」
「え?マシュー。それは一体・・・。」
俺はジェシカの一言で我に返った。あ・・・お、俺は今一体何を口走っていたのだ?これではまるで公爵を陥れるような言い方をしているような物じゃ無いか・・・!
急に俺は自分が情けなくなってしまった。ジェシカにこんな自分を見られたくない。
「ごめん、ジェシカ。俺この後用事があるんだ。聖剣士のテストを受ける学生達の説明かに立ち会わないといけなくて。実はテレステオ公爵も候補生の1人なんだよ。
だから悪いけど、彼を連れて行くね。」
俺は一方的にジェシカに告げると、彼女から話しかけられる前に公爵を連れて転移魔法を唱えた。
ごめん、ジェシカ。
俺は魔法を使ってジェシカの頭の中に直接語りかけた。
『ジェシカ、明日は約束の日だから一緒にセント・レイズシティに行って貰うよ。今から楽しみにしてるね・・・。』
一夜明けて―
今朝は清々しい天気だった。そして、今日はジェシカと2人きりで初めて休暇を過ごす記念日。昨夜は余りにも嬉しすぎて興奮して眠れなかったので、最終的に自分自身に睡眠の魔法をかけて眠りに就いたくらいだったのだから。
そして今、俺は女子寮の付近でジェシカが出て来るのをはやる気持ちで待っている。その時だ・・・。
あ、ジェシカが出てきた!ワンピースに防寒マントを羽織って出てきた私服の彼女はいつにもまして綺麗だった。俺は思わず本音を口走ってしまった。
「おはよう、ジェシカ。今朝はいつにも増して奇麗だね。俺の為にお洒落してくれたんだと思うと嬉しいよ。」
そしてニッコリと笑って・・・我に返る。
ああっ!お、俺は何て今恥ずかしい事を言ってしまったんだ・・・?!これは・・絶対にジェシカに引かれてしまう!
しかしジェシカの反応は俺の予想外の物だった。
「あ、ありがとう・・・。」
え?ジェシカ・・・。今、ありがとうって言ったの?本当に?それに・・よく見るとジェシカの頬がうっすら赤く染まっている。
こ、これはもしかして・・・俺の言葉に喜んでくれているのだろか?
頬を赤く染めたジェシカが愛しすぎて・・思わず抱きしめたくなりそうになるのを俺は理性で何とか押しとどめる。
「うん、それじゃ行こうか?」
こうして俺とジェシカの楽しいデート?が始まった・・・。
ジェシカに今日は何処へ行くのかを尋ねられた俺は、教会に行く事を告げた。
教会のシスターや子供達にジェシカを紹介したかったからだ。
シスターには普段俺が学院でどのような扱いを受けているのかは少しだけ話したことがあり、心配させてしまった事がある。だからこそジェシカを紹介して、俺は学院で孤立していないと言う事を皆に伝えたかった。
教会の手土産を買うために2人で立ち寄ったスイーツショップ。
俺はお土産を買って行きたいから待っていてとジェシカに告げて、奥の商品棚へ向かった。
俺はショーケースを見ながら迷った。・・・さて、どうしよう。いつもなら子供たちの為にキャンディやチョコレートを買って行ってるのだが、今日はジェシカも一緒だ。彼女はどんなスイーツを食べるのだろうか・・?ふと視線を外すと、クッキーのショーケースが目に止まった。
それはジンジャー・クッキーのショーケースだった。ジンジャークッキーか・・・
身体にも良さそうだし、これなら甘い物が苦手な人でも食べれそうだ。(何故か俺の中のジェシカのイメージは甘い物好きに思えない。)
ジンジャークッキーを買って戻ると、ジェシカは食い入るように一つのショーケースを見ていたが、やがて視線を逸らすと別のショーケースへ向かった。
・・・一体ジェシカは何を見ていたのだろう?俺はショーケースへ近づいた・・。
その後、俺はジェシカを連れて教会へ飛んだ。
シスターと子供たちはジェシカを見て、とても驚いたが皆彼女を受け入れてくれた。そこでカイトがちょっとした爆弾発言をした時には流石の俺も驚いてしまった。
なんと、ジェシカに俺の恋人になってあげて下さいと言って来たのだ。な・な・なんて事を・・・!
しかし、その後のカイトの話で俺は胸が詰まる思いをした。カイトは全部知っていたのだ。俺が学院内で魔族と人間のハーフであるがゆえに1人で過ごしていると
言う事を・・。
それを聞いたジェシカの言葉に俺は驚かされた。
俺とは恋人同士では無いけれど、とても仲良しの友達で優しい俺の事が大好きだと・・。これからもずっと友達でいたい、俺を絶対1人にはさせないと・・。
ねえ、ジェシカ。今の言葉は本当なの?俺・・・その言葉を信じて・・いいの?
教会を出た後、2人でセント・レイズシティの町を歩いていたけれども、ジェシカが落ち込んでいるように見える。何故なのだろう?
そう言えば・・俺が子供達と教会の外で遊んでいる時にシスターと2人で話をしていたけれどもそこで何か話を聞かされたのだろうか?
「ジェシカ・・・どうしたんだい?」
心配になって声をかけてみるが、ジェシカは何でも無いと答えただけだった。
そして次にジェシカはお腹が空いたから、何処かでお昼でも食べようと誘って来た。
そこで、2人で近くの食堂に入る事にした。
気まぐれで入った店だったけれども・・・味は絶品だった。
いや、俺には分かっている。ここまで美味しく感じられるのは俺の目の前にジェシカが居るからだって事が・・・。
その後、2人でコーヒーショップへ移動したが、ジェシカは何だか始終落ち着かない様子で俺と話をしている。
ジェシカ・・・君は今本当は何を考えているんだい・・・?何か別に話したい事があるんじゃない?
とうとう、俺から話を切り出す事にした。
「ねえ、ジェシカ。俺に話があるんじゃないの?」
「え?」
「いいよ。ジェシカ。前にも言ったと思うけど・・・俺で良ければ協力するよ。」
「マ、マシュー・・・・。」
それでもジェシカは首を振って答えない。それなら・・・。
少し外を歩こうと言って、ジェシカの手を握り締めて俺は店を出た。
ジェシカにあの景色を見せるんだ・・・!
俺がジェシカを連れてやってきたのは港が見下ろせる小さな公園。そろそろ夕日が沈む時間帯がやってくる。
「ほら、ジェシカ。夕日がとても綺麗だろう。ここは俺のお気に入りの場所なんだ。」
眼前に広がるオレンジ色の海は太陽の光を浴びて輝いている。
俺は隣に立っているジェシカを見つめた。
「うん、とても綺麗・・・!」
夕日に照らされ、瞳を輝かせて海を見つめるジェシカは・・・。
息をするのも忘れるくらいに美しく・・・俺は見惚れてしまった。
だからこそ・・・彼女に告げる。
「ジェシカ・・・。俺は君の聖剣士だ。自分から名乗りを上げた。だから・・絶対に何があってもジェシカを守ると決めている。さあ、ジェシカ。俺にお願いしてみなよ。」
ジェシカの紫の瞳には俺の姿が映し出されている。
「マ、マシュー・・・・。」
「さあ、言って。ジェシカ・・・。」
俺の愛しい人・・・・。彼女の小さな身体をそっと抱き寄せ、耳元で囁いた。
「わ・・・私・・・。」
ジェシカは顔を上げて俺を見つめた。
「うん、何だい。ジェシカ。」
さあ、君の望みを俺に聞かせて・・・。
「マシュー・・・。わ、私を・・・魔界の門まで連れて行って・・・・。」
「うん、喜んで。」
彼女を魔物達から守るための印を付けてあげよう。
俺はジェシカの前髪をかきあげると、そっと額に口付けた—。
昨日、ジェシカは学校に来なかった。どうやら風邪を引いてしまったらしい。
具合はどうなのだろう?今日も休みなのだろうか・・・?
それにしてもたった1日ジェシカに会えなかっただけで、こんなにも喪失感を味わう事になるとは思わなかった。
俺がもっと彼女と親しければ・・・お見舞いの手紙でも書いて女子寮へ届けられたのだろうが、生憎俺とジェシカはクラスさえ違う。もし仮に俺からお見舞いの手紙でも届こうものなら、何故違うクラスの俺が休みなのを知ってるのだろうと訝しく思われてしまうのでは無いだろうか・・?そう思うと俺は手紙を書く事が出来なかった。
溜息をつくと、俺は男子寮を出た。
すると・・・。
「マシューッ!」
何とジェシカが再び茂みの中から飛び出してきたのだ。余りの不意打ちと嬉しさの余り、俺は一瞬どんな反応をすれば良いのか分からなくなってしまい、ついジェシカにかくれんぼでもしてたのかい?とくだらない質問をしてしまった。
しかし、彼女の口から出てきた言葉は感動的だった。
マシュー、貴方を待っていた事位分かっているでしょう―?
天にも昇る気持ちと言うのは、正にこういう事を言うのかもしれない・・。
ジェシカは俺と少し話がしたいと言う事で、何故か俺のクラスへとやって来た。
そしてクラスの連中は俺がジェシカに手を引かれ、自分たちのクラスへ入って来たので、全員がギョッとした顔つきで俺達に注目した。
しかし・・・当の本人、ジェシカはそれに気付く様子もなく、俺の隣の席に座って話しを始めようとして・・・。
そこで初めて俺達がクラスの連中から注目を浴びている事に気が付き、何故自分たちがこれ程注目されているのか、俺に尋ねて来たから驚きだ。
やはりジェシカは全くの無自覚だったのだ。自分がこの学院でどれ程有名人なのか、どれ程他の男子学生達の憧れの存在であるかという事に・・・
だから俺は無自覚のジェシカに教えてあげる事にした。どれ程自身が魅力的な女性であるかという事に。
それにしても・・・このクラスの男子学生達・・・特に、俺を二度に渡って襲撃して来た連中は先程から怖ろしい形相で俺を睨み付けて来ている。全く・・ジェシカの前でそんな怖い顔をしないで欲しい。そんなに人間と魔族のハーフの俺が憎いのだろうか・・?俺と交流する事によって、彼女が俺を襲撃した彼等に目を付けられるのも困る。
そこで俺は自分からジェシカに伝えた。
俺が人間と魔族のハーフの為にクラスメイト達からは、あまりよい目で見られていない事を・・・。
すると、俺の話を聞いたジェシカは何故か突然俺に謝罪をしてきた。
私のせいで、すごく今迷惑をかけているかも・・・と。え?そこはジェシカが謝る所じゃ無いだろう?でも・・・ここまで俺の事を親身に思ってくれる人は身内以外は居なかった。ジェシカが初めてだった。思わず胸に熱いものが込み上げて来るのを感じ、俺はそれを胡麻化すためにわざと明るく言った。
「そんな事気にする必要は無いって。それにクラスメイトから憧れのジェシカ・リッジウェイと親し気に話せる俺を羨望の眼差しで見てくる視線も悪くは無いし。」
それでもジェシカは何か言いたげにしている。でも・・これ以上心配されると、俺の理性が崩壊して、気丈に振舞えなくなりそうだ。もうこの話はここで終わりにさせないと・・・。
「それより、ジェシカ。俺に何か用事があるんだろう?そろそろ授業も始まるし、要件を教えてくれないかな?」
すると、ジェシカは自分が何故俺のクラスにやって来たのかを思い出したようで、俺に催眠暗示を解く方法を尋ねて来たのだ。え?催眠暗示?一体・・・誰が暗示にかけられているのだろう?ジェシカに尋ねると、暗示にかけられているのはドミニク公爵だったらしい。そして暗示をかけた人物はソフィー。
ジェシカに取ってドミニク公爵はそれ程大事な人なのだろうか・・・?
俺は彼女がドミニク公爵をどう思っているのか知りたくなり、鎌をかけてみた。
「そうか。君の大切な男性がソフィーに奪われてしまったんだね。」
ジェシカは果たして、何と答えるのだろうか・・?頬を染めて肯定でもされようものなら、俺は立ち直れないかもしれない・・・。
しかし彼女の回答は俺を安心させるものだった。
ドミニク公爵は大切な相手には違いないが、異性として大切な相手という訳では無いとジェシカは答えてくれた。それを聞いて俺は心の底から安堵した。
良かった・・・!ドミニク公爵は特別な誰かでは無いんだ・・・!
その後、俺はドミニク公爵がどんな催眠暗示をかけられているのかを知る為に、昼休みにジェシカのクラスに行くので、ドミニク公爵を引き留めておくように頼んだ。
けれど、まさか昼休みにあんな大騒ぎが起こるとは・・あの時の俺には想像もつかなかった・・・。
朝の朝礼が終わった後に、教師が俺の所へやって来た。
「マシュー。本日の昼休みに学院長の元へ行ってくれ。」
「え?昼休みにですか?」
まずい・・・ジェシカと約束しているのに。
「何だ?その顔は?何か用事でもあるのか?」
担任の男性教諭は怪訝な顔で俺を見る。
「い、いえ、特に予定はありません。」
参ったな・・・咄嗟に嘘をつく。
俺は学院の教諭たちからもあまりいい目で見られていないから、拒否する事も出来ない。仕方が無い・・・。ジェシカには取り合えず、昼休みに詫びだけ入れに行く事にしよう・・。」
「それで、学院長はいったいどのような要件で俺を呼んだのでしょう?」
「ああ、来週、聖剣士になる為の試験があり、昼休みに説明会があるそうなんだが、君にも立会人になってほしいそうだ。あ、そうそう、今年は隣のAクラスから2名選出されるそうだ。アラン・ゴールドリック王子とドミニク・テレステオ公爵が選ばれた。ついでだからお前達3人で昼休みに学院長の元へ行ってくれば良いだろう。」
それだけ言うと、教諭はさっさと教室を出て行ってしまった。
まあ、俺の予想通りアラン王子は聖剣士に選ばれる事は分かり切っていた。
けれど・・・
「ドミニク・テレステオ公爵・・・。」
思わず俺はその名前を口に出していた。ソフィーに操られているかもしれない人物が聖剣士に選ばれるとは・・・。確か彼は今学期に編入して来た学生だったはず。
それなのに、もう聖剣士に選ばれているとは・・・。
恐らく彼は相当実力があるのだろう。編入早々、ソフィーに目を付けられるのも怪しい。何だか嫌な予感がする。
俺は・・絶対にジェシカを守ってやらなければ・・・。
3時限目の授業の終了時間が少し長引いてしまった。ジェシカに昼休みに教室に行くからと伝えていただけに待たせてはいけない。
俺は急いで荷物を片付けて教室を出ようとした時に・・・。
ドオオオオッンッ!!
ジェシカのクラスから物凄い爆発音が聞こえ、教室がビリビリと揺れた。
途端に騒ぎ出す学生達。それにA組では学生達が悲鳴を上げながら教室から逃げていく姿が見えた。
一体何があったんだ?!俺は急いで自分の教室を飛び出した時・・・。
「マ・・・マシューッ!早く・・早く来てーっ!!」
ジェシカの声だっ!ジェシカが俺に助けを求めている・・・!!
俺がジェシカの教室に飛び込んだ時に見た光景はアラン王子に彼の2人の従者、そしてマリウスがドミニク公爵と対峙している姿だった。
そして、それをなすすべもなく真っ青な顔で見守るジェシカ・・・。
ならば・・・!
俺は時を止める魔法を唱えた—。
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キイイイイイイイーンッ!
耳をつんざくような金属音が辺りに響き渡る。
「キャアッ!」
ジェシカが両耳を押さえてしゃがみ込んだ。音がやむとそこは俺とジェシカ以外の時が止まった世界・・・。よし、成功した!
「え・・・?何・・・?」
ジェシカは時を止められた彼等を見て戸惑っている。
「少し、彼等の時間を止めたのさ。」
言いながら俺が教室から入って来るとジェシカは振り向き、俺の名前を呼んで駆け寄って来た。
そして・・・。
「ちょっと!酷いじゃ無いの!どうしてもっと早く来てくれなかったの?!」
俺の襟首を掴み、半分涙目で訴えて来る。不覚にもその表情が余りにも可愛くて胸がときめいてしまった。な、何かジェシカに言わなくては・・・!
「ああ、ごめん。悪かったよ、少し準備に手間取っちゃって・・・。ほら、そんな泣きそうな顔しないで。折角の美人が台無しになるぞ?」
言いながらジェシカの頭を撫でるとジェシカは安心したかのように俺の胸に身体を預けて来た。
高鳴る心臓の音・・・お、落ち着けっ・・・!この魔法はせいぜい10分しか止められないのだから。
俺は今の状況を簡単にジェシカに説明すると彼らの前に立ち、順番に暗示をかけていく。今あった出来事は全て忘れるように・・・。そして公爵だけには別の魔法を・・。俺の唱えた魔法で、出来る限り事前にかけられていた暗示を取り除く。でもこれではまだ完璧では無い。そして指を鳴らして時を再び動かすー。
時が動き出すと、アラン王子達は俺の思惑通りに教室を出ていく。残るは公爵のみ。ジェシカは心配そうに見守る中、俺は暗示状態にある公爵に質問をした・・。
俺の暗示により公爵がソフィーの卑劣な手段で催眠暗示をかけられていた事を俺達は知らされた。ソフィーは公爵を暗示にかける為にジェシカにどれだけ嫌われているのかを語り、そして憎ませて自分に好意を寄せるように卑劣な暗示をかけていたのだった。
ショックを受けているジェシカの肩をそっと抱く。その小さな肩は震えていた・・・。
俺はジェシカに言った。
この暗示は強力で、簡単には解くことが出来ないから、公爵を嫌っていないという安心感を彼に与えてあげれば徐々に暗示を解いていく事が出来る事をジェシカに伝えた。でも・・・本当はこんな事は教えたくは無かった・・。だってジェシカが公爵の側にいる限り、俺は彼女と距離を置かなくてはならないのだから。ただ、俺は・・ジェシカの悲しむ顔を見たくは無かった。それにジェシカは公爵の暗示を解く事に何故か必死になっていた。・・ひょっとすると、そこには何か深い理由があるのかもしれない。
それにしても・・・俺は公爵の事で気になる事があった。ジェシカなら・・何か事情を知っているのでは無いだろうか?
「・・彼は一体何者なんだろう。体の中から怖ろしい程の魔力を感じるよ。魔力量は俺と同じ位ありそうだね。・・・本当にただの・・人間なのかな?」
「え?マシュー。それは一体・・・。」
俺はジェシカの一言で我に返った。あ・・・お、俺は今一体何を口走っていたのだ?これではまるで公爵を陥れるような言い方をしているような物じゃ無いか・・・!
急に俺は自分が情けなくなってしまった。ジェシカにこんな自分を見られたくない。
「ごめん、ジェシカ。俺この後用事があるんだ。聖剣士のテストを受ける学生達の説明かに立ち会わないといけなくて。実はテレステオ公爵も候補生の1人なんだよ。
だから悪いけど、彼を連れて行くね。」
俺は一方的にジェシカに告げると、彼女から話しかけられる前に公爵を連れて転移魔法を唱えた。
ごめん、ジェシカ。
俺は魔法を使ってジェシカの頭の中に直接語りかけた。
『ジェシカ、明日は約束の日だから一緒にセント・レイズシティに行って貰うよ。今から楽しみにしてるね・・・。』
一夜明けて―
今朝は清々しい天気だった。そして、今日はジェシカと2人きりで初めて休暇を過ごす記念日。昨夜は余りにも嬉しすぎて興奮して眠れなかったので、最終的に自分自身に睡眠の魔法をかけて眠りに就いたくらいだったのだから。
そして今、俺は女子寮の付近でジェシカが出て来るのをはやる気持ちで待っている。その時だ・・・。
あ、ジェシカが出てきた!ワンピースに防寒マントを羽織って出てきた私服の彼女はいつにもまして綺麗だった。俺は思わず本音を口走ってしまった。
「おはよう、ジェシカ。今朝はいつにも増して奇麗だね。俺の為にお洒落してくれたんだと思うと嬉しいよ。」
そしてニッコリと笑って・・・我に返る。
ああっ!お、俺は何て今恥ずかしい事を言ってしまったんだ・・・?!これは・・絶対にジェシカに引かれてしまう!
しかしジェシカの反応は俺の予想外の物だった。
「あ、ありがとう・・・。」
え?ジェシカ・・・。今、ありがとうって言ったの?本当に?それに・・よく見るとジェシカの頬がうっすら赤く染まっている。
こ、これはもしかして・・・俺の言葉に喜んでくれているのだろか?
頬を赤く染めたジェシカが愛しすぎて・・思わず抱きしめたくなりそうになるのを俺は理性で何とか押しとどめる。
「うん、それじゃ行こうか?」
こうして俺とジェシカの楽しいデート?が始まった・・・。
ジェシカに今日は何処へ行くのかを尋ねられた俺は、教会に行く事を告げた。
教会のシスターや子供達にジェシカを紹介したかったからだ。
シスターには普段俺が学院でどのような扱いを受けているのかは少しだけ話したことがあり、心配させてしまった事がある。だからこそジェシカを紹介して、俺は学院で孤立していないと言う事を皆に伝えたかった。
教会の手土産を買うために2人で立ち寄ったスイーツショップ。
俺はお土産を買って行きたいから待っていてとジェシカに告げて、奥の商品棚へ向かった。
俺はショーケースを見ながら迷った。・・・さて、どうしよう。いつもなら子供たちの為にキャンディやチョコレートを買って行ってるのだが、今日はジェシカも一緒だ。彼女はどんなスイーツを食べるのだろうか・・?ふと視線を外すと、クッキーのショーケースが目に止まった。
それはジンジャー・クッキーのショーケースだった。ジンジャークッキーか・・・
身体にも良さそうだし、これなら甘い物が苦手な人でも食べれそうだ。(何故か俺の中のジェシカのイメージは甘い物好きに思えない。)
ジンジャークッキーを買って戻ると、ジェシカは食い入るように一つのショーケースを見ていたが、やがて視線を逸らすと別のショーケースへ向かった。
・・・一体ジェシカは何を見ていたのだろう?俺はショーケースへ近づいた・・。
その後、俺はジェシカを連れて教会へ飛んだ。
シスターと子供たちはジェシカを見て、とても驚いたが皆彼女を受け入れてくれた。そこでカイトがちょっとした爆弾発言をした時には流石の俺も驚いてしまった。
なんと、ジェシカに俺の恋人になってあげて下さいと言って来たのだ。な・な・なんて事を・・・!
しかし、その後のカイトの話で俺は胸が詰まる思いをした。カイトは全部知っていたのだ。俺が学院内で魔族と人間のハーフであるがゆえに1人で過ごしていると
言う事を・・。
それを聞いたジェシカの言葉に俺は驚かされた。
俺とは恋人同士では無いけれど、とても仲良しの友達で優しい俺の事が大好きだと・・。これからもずっと友達でいたい、俺を絶対1人にはさせないと・・。
ねえ、ジェシカ。今の言葉は本当なの?俺・・・その言葉を信じて・・いいの?
教会を出た後、2人でセント・レイズシティの町を歩いていたけれども、ジェシカが落ち込んでいるように見える。何故なのだろう?
そう言えば・・俺が子供達と教会の外で遊んでいる時にシスターと2人で話をしていたけれどもそこで何か話を聞かされたのだろうか?
「ジェシカ・・・どうしたんだい?」
心配になって声をかけてみるが、ジェシカは何でも無いと答えただけだった。
そして次にジェシカはお腹が空いたから、何処かでお昼でも食べようと誘って来た。
そこで、2人で近くの食堂に入る事にした。
気まぐれで入った店だったけれども・・・味は絶品だった。
いや、俺には分かっている。ここまで美味しく感じられるのは俺の目の前にジェシカが居るからだって事が・・・。
その後、2人でコーヒーショップへ移動したが、ジェシカは何だか始終落ち着かない様子で俺と話をしている。
ジェシカ・・・君は今本当は何を考えているんだい・・・?何か別に話したい事があるんじゃない?
とうとう、俺から話を切り出す事にした。
「ねえ、ジェシカ。俺に話があるんじゃないの?」
「え?」
「いいよ。ジェシカ。前にも言ったと思うけど・・・俺で良ければ協力するよ。」
「マ、マシュー・・・・。」
それでもジェシカは首を振って答えない。それなら・・・。
少し外を歩こうと言って、ジェシカの手を握り締めて俺は店を出た。
ジェシカにあの景色を見せるんだ・・・!
俺がジェシカを連れてやってきたのは港が見下ろせる小さな公園。そろそろ夕日が沈む時間帯がやってくる。
「ほら、ジェシカ。夕日がとても綺麗だろう。ここは俺のお気に入りの場所なんだ。」
眼前に広がるオレンジ色の海は太陽の光を浴びて輝いている。
俺は隣に立っているジェシカを見つめた。
「うん、とても綺麗・・・!」
夕日に照らされ、瞳を輝かせて海を見つめるジェシカは・・・。
息をするのも忘れるくらいに美しく・・・俺は見惚れてしまった。
だからこそ・・・彼女に告げる。
「ジェシカ・・・。俺は君の聖剣士だ。自分から名乗りを上げた。だから・・絶対に何があってもジェシカを守ると決めている。さあ、ジェシカ。俺にお願いしてみなよ。」
ジェシカの紫の瞳には俺の姿が映し出されている。
「マ、マシュー・・・・。」
「さあ、言って。ジェシカ・・・。」
俺の愛しい人・・・・。彼女の小さな身体をそっと抱き寄せ、耳元で囁いた。
「わ・・・私・・・。」
ジェシカは顔を上げて俺を見つめた。
「うん、何だい。ジェシカ。」
さあ、君の望みを俺に聞かせて・・・。
「マシュー・・・。わ、私を・・・魔界の門まで連れて行って・・・・。」
「うん、喜んで。」
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俺はジェシカの前髪をかきあげると、そっと額に口付けた—。
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