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第3章 5 地下牢からの脱出
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目が覚めるとヴォルフの姿は消えていた。今は一体何時なんだろう・・・?彼が置いて行ってくれた時計のお陰で今は時刻が分かるようになっていた。
そして・・時計の針を見ると7時過ぎを指している・
「あれ・・・・?昨日私何時に寝たんだっけ・・・?昨日は時計見ないで寝ちゃったからな・・・。それに・・ここは昼なのか夜なのかも分からないし・・・・。」
それにしても・・・私がこの地下牢に閉じ込められてからどれくらいの時が流れたのだろうか?感覚的には1週間程度なのだが、実際はもっと長いのか、短いのか分からない。
「あの後・・・ノア先輩とフレアはどうなったんだろう・・・。」
私はぽつりと呟いた。もうこれ以上魔界にいたらノア先輩は完全な魔族になってしまうだろう。魔族になってしまうと外見も変化してしまうのだろうか?ヴォルフは・・・外見だけはどう見ても普通の人間と殆ど大差ない。しいて言えば・・あのマリウスよりも背が高いという事くらいだろうか?それに肌だって冷たくはない。でも体温だけは私の為に調節をしてくれているのかもしれない。
そしてフレアの場合は・・・。少し大きめの先のとがった耳に青みがかかった肌が特徴的ではあるが、大きい耳を隠せば人間界でも暮せない事は無い。
ん?人間界で・・・?
「そうだ・・・。マシューのお母さんは・・・。」
そこまで言いかけた時だ。突然鉄格子越しの眼前にフレアが現れたのである。
「!フ、フレアさん・・・っ!」
しかし、フレアは何も答えず、口の中で小さな呪文のようなものを唱え、私が閉じ込められている地下牢の扉部分に手をかざすと、一瞬鉄格子が光り、すぐにその光は消え失せた。
「さあ、ジェシカ。今すぐにそこの地下牢から出てきなさい。鍵はもう開いているし、呪いも解いたから。」
フレアが私の方を向くと声をかけてきた。あ・・今、初めて名前を呼ばれた。
戸惑っているとフレアが焦れたように自分から扉を開けて中へと入って来た。そして私の腕をグイと乱暴に引っ張って無理やり立たせると言った。
「何をやっているの?聞こえなかったの?今すぐこの地下牢を出るのよ。・・・そして・・逃げるのよ!」
「え?に、逃げる・・・?」
一体どういう事なのだろうか?逃げる?何から?私が逃げる相手として考えられるのは今目の前にいるフレアしかいないはずなのに・・・?
「チッ!」
フレアは舌打ちすると私の襟首を捕まえて、自分の方に引きよせると言った。
「何をグズグズしているの?!早くしないと彼等がここへやって来るのよ!捕まりたいの?!」
「か、彼等って・・・?」
尚も戸惑いを隠せないでいると、ノア先輩とヴォルフが転移魔法で姿を現した。
「「ジェシカッ!」」
2人が同時に私の名前を呼び、焦ったようにいち早く私の元に駆けつけてきたのはヴォルフだった。
「ジェシカ、良かった・・・・!まだ無事だったか!」
言うなりヴォルフはきつく私を抱きしめて来る。
え?まだ・・・?まだ無事だった・・?どういう事・・・?
「おい!どさくさに紛れて勝手にジェシカに触れるな。」
ノア先輩の抗議の声が聞こえるが、ヴォルフは聞く耳を持たずに、私の両頬に手を添えると言った。
「ジェシカ、今すぐこの地下牢から脱出するぞ。すぐに第1階層まで逃げるんだ。」
「え?ねえ、どうしたの?急に・・・さっきから逃げるって言ってるけど・・一体何がどうなっているの?逃げるって・・何から逃げるの?」
もう私には何が何だか分からない。フレアもヴォルフもこの地下牢から脱出する事しか言わないが、肝心な説明を一切してくれないのだから。
「今はそんな話をしている暇は無いわ。説明は後でするから・・・・とにかく今は逃げるのよ!全く・・・もっと貴女の魔力が強ければ一気に転移魔法を使って第1階層まで飛んで移動できるというのに・・・面倒な・・・。」
フレアはイライラした様子で私をジロリと睨み付ける。う・・・そんな事私に言われても困るのだけど・・・。
「さあ、行くぞ!」
ヴォルフは私の手を取ると地下牢を抜けて、奥にある地上へと続く狭い階段目指して駆けだした。
その後ろをフレアとノア先輩が走って付いて来る。
「ねえ、ま、待って!ヴォルフ!あの地下牢はそのまま第2階層へ続いていたんじゃ無いの?!」
手を引かれて走りながらヴォルフに尋ねた。
「いや、もうあの地下牢からの第2階層へ続く道は塞がれてしまったんだ。だから今は地上にある別の第2階層へ飛べる場所まで行くんだ!」
え?塞がれた?一体誰に・・・?
ヴォルフはスピードを上げて階段を上り始める・・・。
「ヴォ、ヴォルフ。お、お願い、待って。早過ぎてついて行けな・・・。」
息も絶え絶えに言うと、突然ヴォルフが私を軽々と抱き上げた。
「え?ヴォルフ?」
慌てて彼の首に腕を回す。
「そうだな、お前を担いで走った方が速そうだ。」
ヴォルフはニヤリと笑うと私を肩に乗せるように担ぎ上げると、再び走り始める。
う、嘘?!は、早い!
私達の後ろを追って来るフレアもノア先輩もヴォルフの後を物凄いスピードで走って付いて来る。すごい・・・ノア先輩があんなスピードで走れるなんて・・・とても人間の速さとは思えない。やはり魔族化が進んでしまったせいだろうか?それとも・・・先輩はもう完全に魔族になってしまった・・?
何処までも続く長い階段を駆け上り、ようやく地上へ到着した私達。
てっきり地上は魔界の町でもあるのかと思っていたが、どうやらこの地下牢は荒野の洞窟の地下に作られていたらしい。
目の前に広がるのは荒れ果てた広大な大地・・・空はうっすらとオレンジ色に光る分厚い雲に覆われている。
「よし・・・。」
ヴォルフは担ぎ上げていた私を降ろすと、一瞬で巨大な青いオオカミへと姿を変えた。
<さあ、みんな。俺の背中に乗れ。>
頭の中でヴォルフの声が響いてくる。
「へえ~。君はオオカミに変身する事が出来たんだね。」
ノア先輩は軽々とヴォルフの背にまたがり、私に手を伸ばしてきた。
「さあ、ジェシカも早く乗って。」
「え・・・?でも・・・ヴォルフが・・・。」
3人も背中に乗せて第2階層まで走る事が出来るのだろうか?
<大丈夫、俺は魔族だ。俺の心配等する必要は無い。>
「そ、それじゃ・・・。」
ノア先輩の伸ばした手に捕まると、グイッと引き上げられて私は先輩の後ろに乗る。
「フレア、君も早く乗って。」
背後を警戒しているフレアにノア先輩は声をかけた。
「え、ええ。そうね。」
フレアはひらりと私の後ろにまたがるとヴォルフの声が再び聞こえて来た。
<よし、スピードを上げて走るから全員落ちるなよ。・・・ジェシカ。>
突然ヴォルフに声をかけられた。
「な、何?」
<いいか?ジェシカ。振り落とされないようにしっかり俺の身体に掴まっているんだぞ?>
「う、うん・・・。」
返事をするとノア先輩が言った。
「大丈夫、ジェシカ。僕の身体にしっかりしがみついているんだよ?」
ノア先輩が私の方を振り向いてニッコリと笑うと背後からフレアの物凄い殺気を感じる。ひええ・・こ、怖い・・。何やら後ろから物凄い圧を感じるよ・・
<行くぞ!>
ヴォルフは咆哮を上げると、まるで風のように一気に荒野を走り始める。相変わらず物凄い速さで息をするのも苦しい位だ。
その時背後を警戒していたフレアが叫んだ。
「大変!追手がかかったわ!」
「え?」
フレアの声にノア先輩にしがみつきながら私は振り返った。しかし・・・私の目にうつるのは草木すら生えない荒れた大地に、先程まで私が捕らえられていた巨大な洞窟が遠くに見えるだけである。
「な、何も見えませんけど・・・?」
「貴女達人間と魔族の視力を一緒にしないでくれる?・・・思ったより早く見つかってしまったわね・・。」
言いながらフレアは両手を大きく広げると、バチバチと音が弾け、広げた空間に巨大な火の玉が浮かび上がった。
そして・・・。
「邪魔をしないでっ!!」
フレアは叫びながら、後方へ向かって巨大な炎の弾を投げつけ・・・。
ドガアアアアアンッ!!
背後で巨大な爆発音が響き渡った―。
「フ、フレアさん!い、一体何を?!」
私はノア先輩にしがみつきながら必死でフレアに尋ねた。
「煩いわね!攻撃魔法を奴等にぶつけただけよ!」
キッと睨み付けながらフレアは言う。
「や、奴等って・・・?。」
尚も質問をするとフレアがヒステリックに叫んだ。
「いちいち貴方は煩いのよ!追手に炎の魔法をぶつけただけよ!!第2階層に着くまでは少し黙っていて頂戴!」
・・・フレアに怒られてしまった。
それにしても・・・一体何がどうなっているのだろうか?
だけど・・・私の知らない所で何かが起こっているのは確かだった―。
2
オオカミへと姿を変えたヴォルフは私達を乗せて、荒野を何処までも走り続けた。
追手の方はフレアの攻撃魔法が功を成したのか、あれ以来追って来る様子が見られない。
<もうすぐ第2階層への入口に着くぞ!>
ヴォルフが私達の頭の中に直接語りかけて来る。
「ええ、そうね。この分だと思ったよりも早く第1階層まで行けそうね。それにしても・・・第1階層の門番の魔族の身体を乗っ取るなんて・・・ヴォルフ、貴方中々やるじゃないの。」
私の背後でフレアが語る。
しかし、その時突然ピタリとヴォルフが足を止めた。
「?どうしたのさ。何故止まるの?」
ノア先輩が声を掛けるとヴォルフが言った。
<まずいな・・・・。>
え?何がまずいというのだろうか?
今、私達の眼前には廃墟と化した砦のようなものが聳え建っている。
「ええ、思っていた以上に行動を読まれていたみたいね・・・。先回りされていたわ。」
フレアがヴォルフの背中から飛び降りると、いつの間に握りしめていたのだろうか・・・スラリと剣を鞘から引き抜いた。
「フ、フレア?」
ノア先輩が慌てたようにヴォルフの背中から飛び降りて、フレアに声を掛ける。
「大丈夫よ、ノア。これでも私は上級魔族の中でも、高い能力と魔力を認められた魔族のトップに位置する存在なのよ。あの程度の連中ならどうって事は無いわ。」
<ジェシカ。いいか、絶対に俺の側から離れるなよ。>
ヴォルフは背中に乗っている私の方を振り向くと言った。
「う、うん・・・。わ・・分かった・・・けど、ヴォルフ、後で・・・必ず今一体何が起こっているのか教えてね?」
私はオオカミの姿をしたヴォルフをじっと見つめながら言った。
<ああ、分かった。必ず後でちゃんと説明してやる。だから・・・俺の背中にしがみついていろよ?!>
言うと、ヴォルフは私を乗せたまま、突然砦を目指してスピードを上げて走り始めた。
そしてその背後をノア先輩とフレアも追う。
「!」
私はノア先輩を見て驚いた。いつの間にかノア先輩も長い剣を肩から下げているでは無いか。・・・信じられない。あのノア先輩が・・・私の持つ先輩のイメージは剣術よりも魔法攻撃を得意とするタイプの男性だと思っていただけに・・・やはり長く魔界に居すぎた為に・・・ノア先輩は変わってしまった・・・?
その時、眼前から刃のようなもの無数にこちらへ向かって飛んできた。
あ・・危ない!
するとヴォルフが咆哮を上げると無数に飛んできた刃はあっというまに薄い氷のように砕け散る。
「チッ!」
すると砦の中から何者かの舌打ちする声が聞こえて来た。え?見上げると、砦の上から10数名のマントに身を包んだ魔族達が立っていた。
「やはり・・この程度の攻撃では足止めも出来ないか。」
1人、黒衣のマントに身を包んだ魔族が言った。
「ええ・・私達の力を舐めないで頂戴。」
フレアは言うと、空高く舞い上がり砦の上に降り立つと巧みな剣技と炎の魔術で戦いを繰り広げ始めた。
「フレア!」
ノア先輩も宙を飛ぶと、フレアの側に降り立つと戦いに加わった。
「ノ、ノア先輩!」
私が必死で叫ぶと先輩は一瞬私を見下ろすと言った。
「ジェシカッ!!ここは僕とフレアが食い止める!ヴォルフと先に第2階層を目指すんだ!」
「だ、だけど・・・・!ノア先輩を置いてなんて・・!」
あの時の・・マシューの最後が目に焼き付いて離れない。嫌だ、ノア先輩までがあんなめにあうなんて・・!!
「そうよ!ジェシカッ!貴女がいると足手まといなのよ!必ず後から向かうから先にヴォルフと一緒に行きなさいっ!!」
フレアが戦いながら私に叫ぶように言った。
「で、でも・・・。」
どうしよう、ヴォルフの身体にしがみつきながらも、怖くて体の震えが止まらない。一方のヴォルフも地上に降りて来た魔族達を相手に咆哮で攻撃している。
<ジェシカッ!>
突然頭の中でヴォルフの声が響いた。
「ヴォ、ヴォルフ?!」
<しっかり掴まっていろ!振り切るぞっ!>
言われた通り、私はギュッとヴォルフの身体に捕まると、ヴォルフはオオカミの雄叫びを上げ、敵を薙ぎ払うと一気に走り始める。
は・速い・・・っ!必死で捕まる私。
ヴォルフは砦の中へ飛び込むと、一気に地下へ続く階段目指して駆け下りる。
すると、突然目の前が開けて巨大な空間が現れた。
そして目の前には大きな鏡と・・それを取り囲むように待機していた魔族達。
<そこをどけ・・・・!>
ヴォルフの強い思念が辺りの空間をビリビリ震わせる。
「いいのか?お前達・・・・。我等に攻撃をして、只で済むと思っているのか?このまま大人しく捕まえれば罪は軽くて済むぞ?だが・・・もし歯向かえば、全ての魔力を奪われ、第1階層まで落とされる事になる・・・。それでも良いのか?」
魔族達は全員覆面をしているので、その表情はうかがえないが・・余りの恐ろしい声に私は震えあがりそうになった。
<大丈夫だ、ジェシカ。俺がついている。いいか、ジェシカ。耳を塞いで目を閉じるんだ・・・。>
その時、温かいヴォルフの声が頭の中で聞こえた。
慌ててヴォルフの言う通りに私は目をギュッと閉じて両耳を塞いだ。
その直後―
キイイイイイイイイーンッ!!
空気を切り裂くような金属音に眩しい光が当たりを照らす。
あちこちで魔族の悲鳴が沸き起こるのが微かに聞こえる。
やがて・・・辺りが静かになり、私は恐る恐る目を開け・・・
<よせっ!見るなッ!>
ヴォルフの叫び声が聞こえるが、一足遅かった。
「!」
私は危うく悲鳴をあげそうになった。辺り一面にはブスブスと焼け焦げた魔族の死体が転がっている。真っ黒にすすけて、まるで人形のように隅になっている死体から、まだ生々しさが残る死体、そして異臭・・・・。
「うううっ!」
溜まらずに目を閉じてヴォルフの背中に自分の顔を押し付ける。
<・・行くぞ、ジェシカ・・。>
ヴォルフは言うと、私を背中に乗せたまま第2階層へ続く鏡の中へと入って行った・・・。
「大丈夫か・・・?ジェシカ・・・。」
ここは第2階層を抜けた場所にある洞窟。オオカミの姿から元に戻ったヴォルフがつけてくれた焚火の前で座っている私に気づかわし気にヴォルフが声をかけてきた。
「だ、大丈夫・・・。」
言いながらも先程の凄惨な場面が私の頭からこびり付いて離れない。
「あのオオカミの身体だと・・・どうも力の加減がうまく出来ない様なんだ・・・。」
ヴォルフが火に薪をくべながら言う。
「そう・・・なんだ・・・。」
今の私はそれだけ答えるのが精一杯だった。あれから大分時が流れたのに、未だにノア先輩もフレアも第2階層の現れる気配が無い。・・・大丈夫なのだろうか・・・?
「ジェシカ・・・顔色が悪いが・・・大丈夫か?」
そんな私の様子を心配してか、ヴォルフが静かに声をかけてくる。
「うん・・・大丈夫・・・。久しぶりに外に出たばかりだし・・・色んな事があったから・・少し疲れただけだよ。」
無理に微笑む。
「ジェシカ・・・。」
これからどうなるのだろう・・・私は無事に人間界へ戻れるのだろうか?やはり戻れば捕らえられ、門を開けた罪として裁かれてしまうのだろうか・・・等と色々考え事をしていると、不意にヴォルフの手が私の頬に伸びてきて・・・思わずビクリと肩が跳ねてしまった。
「・・・俺が・・・怖いか・・・?」
酷く傷ついた顔で私を見つめるヴォルフ。
「ち、違う!そうじゃない!考え事をしていて・・・急にヴォルフの手が伸びてきたから驚いただけだってば!」
しかし、ヴォルフは私の言う事を信じない。
「いいさ・・・怖がられても仕方が無い。あんな場面を見た後じゃな・・・。」
ヴォルフは悲しそうに睫毛を伏せて、焚火を見つめている。
「・・・っ!」
私はヴォルフに飛びつき、首に自分の両腕を巻き付けると言った。
「ジェ、ジェシカ・・・。」
急に私が抱き付いてきたのが余程驚いたのか、ヴォルフの身体が硬直するのが分かった。
「怖く無いって言ってるでしょう・・・?本当にヴォルフの事が怖ければ・・・こんな真似出来ないから・・・っ!」
そして私は身体を離し、ヴォルフの金色に光る眼を見つめながら言った。
「ありがとう、ヴォルフ。助けてくれて・・・いつも私はヴォルフに助けられてばかりだね。だけど・・・。」
私はここで言葉を切った。
「だけど?」
その続きの言葉をヴォルフが促してくる。
「だ、だけど・・・こんな事をしたら、もうヴォルフやフレアさんの魔界での居場所が無くなってしまうんじゃないの・・・・?」
思わず声が震えてしまう。
そうだ、私はいつだって誰かを犠牲にしてしまっている。ノア先輩、マシュー、そして・・・ヴォルフの事を・・・。
その時、私はある一つの考えが浮かんだ。
そうだ、ヴォルフもフレアも人間界に来ればいいんだと—。
目が覚めるとヴォルフの姿は消えていた。今は一体何時なんだろう・・・?彼が置いて行ってくれた時計のお陰で今は時刻が分かるようになっていた。
そして・・時計の針を見ると7時過ぎを指している・
「あれ・・・・?昨日私何時に寝たんだっけ・・・?昨日は時計見ないで寝ちゃったからな・・・。それに・・ここは昼なのか夜なのかも分からないし・・・・。」
それにしても・・・私がこの地下牢に閉じ込められてからどれくらいの時が流れたのだろうか?感覚的には1週間程度なのだが、実際はもっと長いのか、短いのか分からない。
「あの後・・・ノア先輩とフレアはどうなったんだろう・・・。」
私はぽつりと呟いた。もうこれ以上魔界にいたらノア先輩は完全な魔族になってしまうだろう。魔族になってしまうと外見も変化してしまうのだろうか?ヴォルフは・・・外見だけはどう見ても普通の人間と殆ど大差ない。しいて言えば・・あのマリウスよりも背が高いという事くらいだろうか?それに肌だって冷たくはない。でも体温だけは私の為に調節をしてくれているのかもしれない。
そしてフレアの場合は・・・。少し大きめの先のとがった耳に青みがかかった肌が特徴的ではあるが、大きい耳を隠せば人間界でも暮せない事は無い。
ん?人間界で・・・?
「そうだ・・・。マシューのお母さんは・・・。」
そこまで言いかけた時だ。突然鉄格子越しの眼前にフレアが現れたのである。
「!フ、フレアさん・・・っ!」
しかし、フレアは何も答えず、口の中で小さな呪文のようなものを唱え、私が閉じ込められている地下牢の扉部分に手をかざすと、一瞬鉄格子が光り、すぐにその光は消え失せた。
「さあ、ジェシカ。今すぐにそこの地下牢から出てきなさい。鍵はもう開いているし、呪いも解いたから。」
フレアが私の方を向くと声をかけてきた。あ・・今、初めて名前を呼ばれた。
戸惑っているとフレアが焦れたように自分から扉を開けて中へと入って来た。そして私の腕をグイと乱暴に引っ張って無理やり立たせると言った。
「何をやっているの?聞こえなかったの?今すぐこの地下牢を出るのよ。・・・そして・・逃げるのよ!」
「え?に、逃げる・・・?」
一体どういう事なのだろうか?逃げる?何から?私が逃げる相手として考えられるのは今目の前にいるフレアしかいないはずなのに・・・?
「チッ!」
フレアは舌打ちすると私の襟首を捕まえて、自分の方に引きよせると言った。
「何をグズグズしているの?!早くしないと彼等がここへやって来るのよ!捕まりたいの?!」
「か、彼等って・・・?」
尚も戸惑いを隠せないでいると、ノア先輩とヴォルフが転移魔法で姿を現した。
「「ジェシカッ!」」
2人が同時に私の名前を呼び、焦ったようにいち早く私の元に駆けつけてきたのはヴォルフだった。
「ジェシカ、良かった・・・・!まだ無事だったか!」
言うなりヴォルフはきつく私を抱きしめて来る。
え?まだ・・・?まだ無事だった・・?どういう事・・・?
「おい!どさくさに紛れて勝手にジェシカに触れるな。」
ノア先輩の抗議の声が聞こえるが、ヴォルフは聞く耳を持たずに、私の両頬に手を添えると言った。
「ジェシカ、今すぐこの地下牢から脱出するぞ。すぐに第1階層まで逃げるんだ。」
「え?ねえ、どうしたの?急に・・・さっきから逃げるって言ってるけど・・一体何がどうなっているの?逃げるって・・何から逃げるの?」
もう私には何が何だか分からない。フレアもヴォルフもこの地下牢から脱出する事しか言わないが、肝心な説明を一切してくれないのだから。
「今はそんな話をしている暇は無いわ。説明は後でするから・・・・とにかく今は逃げるのよ!全く・・・もっと貴女の魔力が強ければ一気に転移魔法を使って第1階層まで飛んで移動できるというのに・・・面倒な・・・。」
フレアはイライラした様子で私をジロリと睨み付ける。う・・・そんな事私に言われても困るのだけど・・・。
「さあ、行くぞ!」
ヴォルフは私の手を取ると地下牢を抜けて、奥にある地上へと続く狭い階段目指して駆けだした。
その後ろをフレアとノア先輩が走って付いて来る。
「ねえ、ま、待って!ヴォルフ!あの地下牢はそのまま第2階層へ続いていたんじゃ無いの?!」
手を引かれて走りながらヴォルフに尋ねた。
「いや、もうあの地下牢からの第2階層へ続く道は塞がれてしまったんだ。だから今は地上にある別の第2階層へ飛べる場所まで行くんだ!」
え?塞がれた?一体誰に・・・?
ヴォルフはスピードを上げて階段を上り始める・・・。
「ヴォ、ヴォルフ。お、お願い、待って。早過ぎてついて行けな・・・。」
息も絶え絶えに言うと、突然ヴォルフが私を軽々と抱き上げた。
「え?ヴォルフ?」
慌てて彼の首に腕を回す。
「そうだな、お前を担いで走った方が速そうだ。」
ヴォルフはニヤリと笑うと私を肩に乗せるように担ぎ上げると、再び走り始める。
う、嘘?!は、早い!
私達の後ろを追って来るフレアもノア先輩もヴォルフの後を物凄いスピードで走って付いて来る。すごい・・・ノア先輩があんなスピードで走れるなんて・・・とても人間の速さとは思えない。やはり魔族化が進んでしまったせいだろうか?それとも・・・先輩はもう完全に魔族になってしまった・・?
何処までも続く長い階段を駆け上り、ようやく地上へ到着した私達。
てっきり地上は魔界の町でもあるのかと思っていたが、どうやらこの地下牢は荒野の洞窟の地下に作られていたらしい。
目の前に広がるのは荒れ果てた広大な大地・・・空はうっすらとオレンジ色に光る分厚い雲に覆われている。
「よし・・・。」
ヴォルフは担ぎ上げていた私を降ろすと、一瞬で巨大な青いオオカミへと姿を変えた。
<さあ、みんな。俺の背中に乗れ。>
頭の中でヴォルフの声が響いてくる。
「へえ~。君はオオカミに変身する事が出来たんだね。」
ノア先輩は軽々とヴォルフの背にまたがり、私に手を伸ばしてきた。
「さあ、ジェシカも早く乗って。」
「え・・・?でも・・・ヴォルフが・・・。」
3人も背中に乗せて第2階層まで走る事が出来るのだろうか?
<大丈夫、俺は魔族だ。俺の心配等する必要は無い。>
「そ、それじゃ・・・。」
ノア先輩の伸ばした手に捕まると、グイッと引き上げられて私は先輩の後ろに乗る。
「フレア、君も早く乗って。」
背後を警戒しているフレアにノア先輩は声をかけた。
「え、ええ。そうね。」
フレアはひらりと私の後ろにまたがるとヴォルフの声が再び聞こえて来た。
<よし、スピードを上げて走るから全員落ちるなよ。・・・ジェシカ。>
突然ヴォルフに声をかけられた。
「な、何?」
<いいか?ジェシカ。振り落とされないようにしっかり俺の身体に掴まっているんだぞ?>
「う、うん・・・。」
返事をするとノア先輩が言った。
「大丈夫、ジェシカ。僕の身体にしっかりしがみついているんだよ?」
ノア先輩が私の方を振り向いてニッコリと笑うと背後からフレアの物凄い殺気を感じる。ひええ・・こ、怖い・・。何やら後ろから物凄い圧を感じるよ・・
<行くぞ!>
ヴォルフは咆哮を上げると、まるで風のように一気に荒野を走り始める。相変わらず物凄い速さで息をするのも苦しい位だ。
その時背後を警戒していたフレアが叫んだ。
「大変!追手がかかったわ!」
「え?」
フレアの声にノア先輩にしがみつきながら私は振り返った。しかし・・・私の目にうつるのは草木すら生えない荒れた大地に、先程まで私が捕らえられていた巨大な洞窟が遠くに見えるだけである。
「な、何も見えませんけど・・・?」
「貴女達人間と魔族の視力を一緒にしないでくれる?・・・思ったより早く見つかってしまったわね・・。」
言いながらフレアは両手を大きく広げると、バチバチと音が弾け、広げた空間に巨大な火の玉が浮かび上がった。
そして・・・。
「邪魔をしないでっ!!」
フレアは叫びながら、後方へ向かって巨大な炎の弾を投げつけ・・・。
ドガアアアアアンッ!!
背後で巨大な爆発音が響き渡った―。
「フ、フレアさん!い、一体何を?!」
私はノア先輩にしがみつきながら必死でフレアに尋ねた。
「煩いわね!攻撃魔法を奴等にぶつけただけよ!」
キッと睨み付けながらフレアは言う。
「や、奴等って・・・?。」
尚も質問をするとフレアがヒステリックに叫んだ。
「いちいち貴方は煩いのよ!追手に炎の魔法をぶつけただけよ!!第2階層に着くまでは少し黙っていて頂戴!」
・・・フレアに怒られてしまった。
それにしても・・・一体何がどうなっているのだろうか?
だけど・・・私の知らない所で何かが起こっているのは確かだった―。
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オオカミへと姿を変えたヴォルフは私達を乗せて、荒野を何処までも走り続けた。
追手の方はフレアの攻撃魔法が功を成したのか、あれ以来追って来る様子が見られない。
<もうすぐ第2階層への入口に着くぞ!>
ヴォルフが私達の頭の中に直接語りかけて来る。
「ええ、そうね。この分だと思ったよりも早く第1階層まで行けそうね。それにしても・・・第1階層の門番の魔族の身体を乗っ取るなんて・・・ヴォルフ、貴方中々やるじゃないの。」
私の背後でフレアが語る。
しかし、その時突然ピタリとヴォルフが足を止めた。
「?どうしたのさ。何故止まるの?」
ノア先輩が声を掛けるとヴォルフが言った。
<まずいな・・・・。>
え?何がまずいというのだろうか?
今、私達の眼前には廃墟と化した砦のようなものが聳え建っている。
「ええ、思っていた以上に行動を読まれていたみたいね・・・。先回りされていたわ。」
フレアがヴォルフの背中から飛び降りると、いつの間に握りしめていたのだろうか・・・スラリと剣を鞘から引き抜いた。
「フ、フレア?」
ノア先輩が慌てたようにヴォルフの背中から飛び降りて、フレアに声を掛ける。
「大丈夫よ、ノア。これでも私は上級魔族の中でも、高い能力と魔力を認められた魔族のトップに位置する存在なのよ。あの程度の連中ならどうって事は無いわ。」
<ジェシカ。いいか、絶対に俺の側から離れるなよ。>
ヴォルフは背中に乗っている私の方を振り向くと言った。
「う、うん・・・。わ・・分かった・・・けど、ヴォルフ、後で・・・必ず今一体何が起こっているのか教えてね?」
私はオオカミの姿をしたヴォルフをじっと見つめながら言った。
<ああ、分かった。必ず後でちゃんと説明してやる。だから・・・俺の背中にしがみついていろよ?!>
言うと、ヴォルフは私を乗せたまま、突然砦を目指してスピードを上げて走り始めた。
そしてその背後をノア先輩とフレアも追う。
「!」
私はノア先輩を見て驚いた。いつの間にかノア先輩も長い剣を肩から下げているでは無いか。・・・信じられない。あのノア先輩が・・・私の持つ先輩のイメージは剣術よりも魔法攻撃を得意とするタイプの男性だと思っていただけに・・・やはり長く魔界に居すぎた為に・・・ノア先輩は変わってしまった・・・?
その時、眼前から刃のようなもの無数にこちらへ向かって飛んできた。
あ・・危ない!
するとヴォルフが咆哮を上げると無数に飛んできた刃はあっというまに薄い氷のように砕け散る。
「チッ!」
すると砦の中から何者かの舌打ちする声が聞こえて来た。え?見上げると、砦の上から10数名のマントに身を包んだ魔族達が立っていた。
「やはり・・この程度の攻撃では足止めも出来ないか。」
1人、黒衣のマントに身を包んだ魔族が言った。
「ええ・・私達の力を舐めないで頂戴。」
フレアは言うと、空高く舞い上がり砦の上に降り立つと巧みな剣技と炎の魔術で戦いを繰り広げ始めた。
「フレア!」
ノア先輩も宙を飛ぶと、フレアの側に降り立つと戦いに加わった。
「ノ、ノア先輩!」
私が必死で叫ぶと先輩は一瞬私を見下ろすと言った。
「ジェシカッ!!ここは僕とフレアが食い止める!ヴォルフと先に第2階層を目指すんだ!」
「だ、だけど・・・・!ノア先輩を置いてなんて・・!」
あの時の・・マシューの最後が目に焼き付いて離れない。嫌だ、ノア先輩までがあんなめにあうなんて・・!!
「そうよ!ジェシカッ!貴女がいると足手まといなのよ!必ず後から向かうから先にヴォルフと一緒に行きなさいっ!!」
フレアが戦いながら私に叫ぶように言った。
「で、でも・・・。」
どうしよう、ヴォルフの身体にしがみつきながらも、怖くて体の震えが止まらない。一方のヴォルフも地上に降りて来た魔族達を相手に咆哮で攻撃している。
<ジェシカッ!>
突然頭の中でヴォルフの声が響いた。
「ヴォ、ヴォルフ?!」
<しっかり掴まっていろ!振り切るぞっ!>
言われた通り、私はギュッとヴォルフの身体に捕まると、ヴォルフはオオカミの雄叫びを上げ、敵を薙ぎ払うと一気に走り始める。
は・速い・・・っ!必死で捕まる私。
ヴォルフは砦の中へ飛び込むと、一気に地下へ続く階段目指して駆け下りる。
すると、突然目の前が開けて巨大な空間が現れた。
そして目の前には大きな鏡と・・それを取り囲むように待機していた魔族達。
<そこをどけ・・・・!>
ヴォルフの強い思念が辺りの空間をビリビリ震わせる。
「いいのか?お前達・・・・。我等に攻撃をして、只で済むと思っているのか?このまま大人しく捕まえれば罪は軽くて済むぞ?だが・・・もし歯向かえば、全ての魔力を奪われ、第1階層まで落とされる事になる・・・。それでも良いのか?」
魔族達は全員覆面をしているので、その表情はうかがえないが・・余りの恐ろしい声に私は震えあがりそうになった。
<大丈夫だ、ジェシカ。俺がついている。いいか、ジェシカ。耳を塞いで目を閉じるんだ・・・。>
その時、温かいヴォルフの声が頭の中で聞こえた。
慌ててヴォルフの言う通りに私は目をギュッと閉じて両耳を塞いだ。
その直後―
キイイイイイイイイーンッ!!
空気を切り裂くような金属音に眩しい光が当たりを照らす。
あちこちで魔族の悲鳴が沸き起こるのが微かに聞こえる。
やがて・・・辺りが静かになり、私は恐る恐る目を開け・・・
<よせっ!見るなッ!>
ヴォルフの叫び声が聞こえるが、一足遅かった。
「!」
私は危うく悲鳴をあげそうになった。辺り一面にはブスブスと焼け焦げた魔族の死体が転がっている。真っ黒にすすけて、まるで人形のように隅になっている死体から、まだ生々しさが残る死体、そして異臭・・・・。
「うううっ!」
溜まらずに目を閉じてヴォルフの背中に自分の顔を押し付ける。
<・・行くぞ、ジェシカ・・。>
ヴォルフは言うと、私を背中に乗せたまま第2階層へ続く鏡の中へと入って行った・・・。
「大丈夫か・・・?ジェシカ・・・。」
ここは第2階層を抜けた場所にある洞窟。オオカミの姿から元に戻ったヴォルフがつけてくれた焚火の前で座っている私に気づかわし気にヴォルフが声をかけてきた。
「だ、大丈夫・・・。」
言いながらも先程の凄惨な場面が私の頭からこびり付いて離れない。
「あのオオカミの身体だと・・・どうも力の加減がうまく出来ない様なんだ・・・。」
ヴォルフが火に薪をくべながら言う。
「そう・・・なんだ・・・。」
今の私はそれだけ答えるのが精一杯だった。あれから大分時が流れたのに、未だにノア先輩もフレアも第2階層の現れる気配が無い。・・・大丈夫なのだろうか・・・?
「ジェシカ・・・顔色が悪いが・・・大丈夫か?」
そんな私の様子を心配してか、ヴォルフが静かに声をかけてくる。
「うん・・・大丈夫・・・。久しぶりに外に出たばかりだし・・・色んな事があったから・・少し疲れただけだよ。」
無理に微笑む。
「ジェシカ・・・。」
これからどうなるのだろう・・・私は無事に人間界へ戻れるのだろうか?やはり戻れば捕らえられ、門を開けた罪として裁かれてしまうのだろうか・・・等と色々考え事をしていると、不意にヴォルフの手が私の頬に伸びてきて・・・思わずビクリと肩が跳ねてしまった。
「・・・俺が・・・怖いか・・・?」
酷く傷ついた顔で私を見つめるヴォルフ。
「ち、違う!そうじゃない!考え事をしていて・・・急にヴォルフの手が伸びてきたから驚いただけだってば!」
しかし、ヴォルフは私の言う事を信じない。
「いいさ・・・怖がられても仕方が無い。あんな場面を見た後じゃな・・・。」
ヴォルフは悲しそうに睫毛を伏せて、焚火を見つめている。
「・・・っ!」
私はヴォルフに飛びつき、首に自分の両腕を巻き付けると言った。
「ジェ、ジェシカ・・・。」
急に私が抱き付いてきたのが余程驚いたのか、ヴォルフの身体が硬直するのが分かった。
「怖く無いって言ってるでしょう・・・?本当にヴォルフの事が怖ければ・・・こんな真似出来ないから・・・っ!」
そして私は身体を離し、ヴォルフの金色に光る眼を見つめながら言った。
「ありがとう、ヴォルフ。助けてくれて・・・いつも私はヴォルフに助けられてばかりだね。だけど・・・。」
私はここで言葉を切った。
「だけど?」
その続きの言葉をヴォルフが促してくる。
「だ、だけど・・・こんな事をしたら、もうヴォルフやフレアさんの魔界での居場所が無くなってしまうんじゃないの・・・・?」
思わず声が震えてしまう。
そうだ、私はいつだって誰かを犠牲にしてしまっている。ノア先輩、マシュー、そして・・・ヴォルフの事を・・・。
その時、私はある一つの考えが浮かんだ。
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