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第3章 2 想う気持ちが強いほど・・・
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1
突然デヴィットは私の左腕を掴むと言った。
「ジェシカ・・・実は・・前から気になっていたことがあったんだ。いっそ何も気が付かないフリを通し続けようとも思っていたが・・・やはり聞かせてくれ。何故・・お前から一度も嗅いだことの無い魔力の匂いを感じるんだ?これは・・・人の魔力の匂いとは明らかに異なっている。一体どう言う事なんだ?」
ああ・・そう言えば彼はとても勘が鋭い人だった。確かに私は夢の世界でノア先輩と・・・。
でもそれはマシューともデヴィットとも知り合う前の話だった。けれど・・・今私の腕を掴んでいるデヴィットの色々な感情が入り混じったかのような瞳を見ていると・・・彼に対する罪悪感ばかりが募って来る。
「あ、あの・・そ・それは・・・。」
その時・・・
「君、いい加減にするんだ。お嬢さんが怯えているじゃないか。」
2人の間に割って入って来たのはマイケルさんだった。
「・・・・。」
デヴィットは一瞬マイケルさんを見て・・掴んでいた私の手をパッと離した。
「どういう意味の話をしていたのか、俺にはさっぱり分からないけれども・・・お嬢さんがこんなに怯えているんだ。この辺で勘弁してあげてよ。それに・・・今大事な事はダニエルという人物をお嬢さんと会わせる事じゃないかな?」
さり気なく私の前に立って話をするマイケルさん。
「あ・・た、確かにそうだったな・・・。すまなかった、ジェシカ。その・・・痛くなかったか?」
デイヴィットは酷く落ち込んだ顔で私を見つめているので、敢えて私は笑顔で言った。
「いいえ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい。それよりも・・・早くダニエル先輩の元へ行きませんか?」
「そうだな・・・。今はまだ授業中だけど・・・・どうだ?ノア・シンプソンはまともに授業すら受けていない学生だったと聞いているが・・ダニエルはどうだ?真面目に授業に出席するような男なのか?」
何故かメモ帳を取り出しながら質問してくるデヴィット。え?そこで・・・メモ帳って必要?
「多分・・・ダニエル先輩はちゃんと授業に出席する方だとおもいますけど・・?」
首を傾げながら返事をする。ダニエル先輩はいわゆるツンデレキャラ。一見冷たい雰囲気を持ってはいるものの・・・気を許した相手には途端に甘々な態度で接してくる人だ。多分、あの先輩は真面目に授業に出ているんじゃないかな・・・?
「よし、分かった。今からダニエルのいるクラスに行って来る。」
とんでもない事を言い出した。
「ええ?君・・・正気で言ってるのかい?今はまだ授業中だと話していたばかりじゃ無いか・・・。」
「そうですよ、デヴィットさん。一体何考えてるんですか?」
デヴィットの袖を引っ張って歩き出そうとするのを必死で止める私とマイケルさん。
「姿を見られるのを心配しているのか?それなら大丈夫だ。俺は自分の姿を消す事が出来る魔法を使えるから・・・。」
「い、いえ。何も・・・そこまで急ぐ必要は無いと思いますけど?!」
う~ん・・ここまで彼はせっかちな人だったのだろうか・・・?
「そうそう、焦りは禁物だよ。」
マイケルさんは至極まっとうな事を言ってくれる。
「それに俺としては、もう少しこの学院を美少年になったお嬢さんと散策したいしね。」
・・・前言撤回。マイケルさん・・・やはり貴方は・・・・??
「あの・・・今授業中なら私・・行ってみたいところがあるのですけど・・・。会いたい人がいるんです。・・まだいてくれるといいけどな・・・。」
俯いて呟くと、ふと視界が暗くなる。
「え・・・?」
顔を上げると、何故かデヴィットとマイケルさんが至近距離で見下ろしていた。
「あ、あ、あの・・・・お2人とも・・・・な、何か・・・・?」
「ジェシカ・・・・お前・・まだ他に会いたい男がいたのか?」
怒りを抑えた笑い顔を見せるデヴィット。
「お嬢さん・・・・君は中々恋多き女性なんだね・・・・?」
笑みを称えながら、苛立ちが含んだ声色のマイケルさん。な・・・何か怖いんですけど・・・?
「あ、あの・・・今私が会いたいと言った相手は女性ですっ!アメリアと言う名前の女性でこの学院の図書館司書をしているんです。決してお2人が考えているような事ではありませんから・・・。」
ああ・・・何故私はこの2人に言い訳めいた話をしなければならないのだろうか・・・。
「本当に・・・俺達はついてきたら駄目なのか?」
恨めしそうな目で私を見つめるデヴィット。
「心配だなあ・・・・お嬢さんに万一の事があったらと思うと・・。」
マイケルさんは不安気に私を見る。
「大丈夫ですよ。ここは学院の図書館なのですから。それに女だけの秘密の会話があるんです。申し訳ありませんが。お2人はこちらで待っていて頂けませんか?」
何とか2人を説得し、私は1人で学院の図書館の中へ入って行った。
「アメリアさん・・・いるかな・・・?」
今は授業中と言う事もあり、図書館の中は学生の姿が1人も見えず、静まり返っている。シンとした図書館をなるべく足音を立てないように私はカウンターへと近づいた。
「あの・・・少しよろしいでしょうか・・・?」
遠慮がちに声をかける。そして私に気が付き、顔を上げた女性は・・・アメリアはでは無い全く別の女性だった。顔にそばかすがあり、緑色のショートヘアの少し幼さの残るその女性は・・何故か私を見ると一瞬で顔を真っ赤に染めた。
「は、はいいいっ!な、何の御用でしょうか?!」
静かにしておかなければならない図書館に女性の声が響きき渡る。
「あの・・・実はお伺いしたい事が・・・こちらで働いている女性でアメリアと言う方はいらっしゃいますか?」
しかし、女性は私の声が聞こえていないのかボ~ッとした目つきで私を見つめ、返事が無い。・・・困ったな・・・。
「あの・・・聞こえてますか?」
顔を近付け、再度尋ねると何故か女性は悲鳴を上げた。
「キャアアアアッ!」
思わず身を引いたが、女性の様子が気になるので声を掛けた。
「あの~・・・だ、大丈夫・・・ですか?」
すると女性はうっとりとした目つきで私を見つめて呟いた。
「な、なんて美しい方・・・。」
あ、何・・・この目・・・。そう言えば忘れていたけど、私男装していたんだっけ・・・。まさか『魅了の魔法』が発動しているんじゃ・・・?
一瞬、このまま引き返そうかと思ったけれども私はどうしてもアメリアと会いたかったので、熱い視線を送る彼女に私は尋ねた。
「あ、あの・・・お尋ねしたい事があるのですが・・・こちらにアメリアという女性の司書の方はいらしてませんか?」
「え・・ええ・・?アメリア・・・さん・・・という方ですか?」
「はい、そうです。」
「あの・・そのような方・・存じ上げませんが・・。申し訳ございません。」
やはり・・・何となくそんな予感がしていたが、いざ話を聞かされると・・・やはりショックだ。
「そう・・ですか・・・。残念です。以前こちらでお仕事をされていた女性だったのですが・・・。」
思わず落胆すると、不意に目の前の女性から手を取られた。え?
「まあ・・・お顔だけでなく・・お肌も女性のように美しい・・・。」
そして女性はうっとりした目つきで私の手を撫でまわしてきた。え?え?何・・・?
「アメリアさんと言う方は・・・ひょっとすると・・貴方の想い人なのでしょうか?」
少し悲し気な、潤んだ瞳で見つめられ・・・腰が引けそうになって来た。
「い、いえ・・・。そうではありません・・・。彼女は友人です・・・けど?」
「まあ、そうなんですか?!あ、あの・・・私はジャネットと申します!それで・・・貴方のお名前をお聞かせいただけませんか?」
「え?え?わ、私の名前ですか・・・?」
何だか目の前の女性の瞳に狂気めいた光を感じる。ひえええ・・・こ、怖い・・・!
その時―。
「君、俺の弟が怖がっているから・・・その手を離して貰えないかな?」
背後で声がして・・・振り向くとそこには笑顔で立っているマイケルさんがいた—。
2
「あ、ありがとうございます・・・。お陰で助かりました・・・。」
マイケルさんの機転のお陰で私は何とか貞操の危機?から免れる事が出来た。彼に手を引かれつつ、図書館を出ると・・・そこには腕を組み、仁王立ちになってこちらを睨み付けているデヴィットの姿が。
そして私の姿を見届けると、途端に駆け寄って来た。
「おい、ジェシカに触れるな。」
「君・・・相変わらず気が短い人だねえ・・・。」
マイケルさんのため息交じりの言葉にデヴィットは耳を貸さず、彼の手を振り払うと、突然強く抱きしめて来た。
「ジェシカ・・・この馬鹿ッ!あれほどフードを外すなと言っておいただろう?それなのに・・・俺の忠告を無視して・・・!いいか、俺はお前の聖剣士となったんだ。聖剣士になるとな・・・相手の聖女の危機の時に紋章が光って反応するんだ・・・。
お前がこの中へ入ってすぐだ!すぐに俺の紋章が光って反応して・・・。その時、どんな気持ちだったか・・お前に分かるか?!」
デヴィットは声を震わせて言った。・・・いえ、デヴィットは私の聖剣士だから、心配してくれるのはありがたいのだけど・・・あんな・・あんな単純な事でも紋章が反応してしまう訳?!ちょっと大袈裟な気もするけど・・?
「アハハハ・・・随分・・・聖女と聖剣士の絆って・・・ほんの些細な事でも反応するんですね・・・。大袈裟過ぎる位に・・・。」
最期の方は小声で言った。
するとデヴィットが身体を離した。
「いや・・・皆が皆・・・そうなる訳では無い・・・。」
「え?」
ちょっと待って・・・。デヴィット・・・何故、そこで顔を赤らめてるのかな?
「相手の事を思う気持ちが強ければ強いほど・・・過剰に・・反応する・・と言う事なんだ・・・。つ、つまり俺はジェシカの事をそれだけ・・・。」
顔を赤らめ、しどろもどろになって言うデヴィット。それって・・・私に対する愛の告白のようにも聞こえてしまうのだけど・・・?デヴィットの気持ちは嬉しい、だけど・・・私はマシューの事を・・・。そう考えるとやはりデヴィットの気持ちに応えてあげる事が出来なくて・・・申し訳ない気持ちで一杯だ。
「どうした?ジェシカ。」
黙りこくってしまった私を心配してか、デヴィットが声を掛けて来た。
「本当だ・・・元気が無いねえ。お嬢さん・・大丈夫かい?」
マイケルさんまで気にかけてくれている。だから私は言った。
「い、いえ・・・。会いたかった彼女に会えなくて・・少し落ち込んでしまっただけですから気にしないで下さい。」
「ジェシカ、会いたかった彼女って・・・誰の事なんだ?」
デヴィットが尋ねて来た。
「実は・・・彼女はソフィーの・・・仲間と言うか・・・手下にされている様な女性で・・・私がこの学院に入学したての頃、ソフィーの件で少しだけアドバイスしてくれた女性なんです。でも・・・その後は何度も何度もソフィーと一緒に私の前に現れて・・・可哀そうに・・彼女・・アメリアはソフィーの操り人形のような扱いを受けていました・・。」
「そうなの?でも彼女と会う事で・・・何かメリットでもお嬢さんにあるの?」
うん、確かに今の説明だけではアメリアと私が会った所で何の得も無いだろう。
そう思われても仕方が無い・・・。だけどこうなったらこの2人にも私の秘密を少しだけ打ち明けた方が良さそうだ。
「実は・・・私はまだ2人に話していないことがあって・・・・。」
そして私はデヴィットとマイケルさんに今迄の事を説明した。自分には予知夢を見る力と、念じた物を具現化する力がある事。そして今まで見て来た予知夢は全て現実化した事。魔界の門を開ける事も、そして・・・魔界から戻れば自分は追われる身となり、裁判にかけられ幽閉されてしまうこと・・・幽閉された夢の中にアメリアが現れて私に向けて言った言葉・・・それら全てを話し終える頃には2人とも衝撃を受けた顔になっていた。
「そ・・・それじゃ、ジェシカ・・・。お前・・ソフィーやアラン王子に捕まる事が分かっていた上で、こっちの世界に戻って来たって言うのか・・・?」
デヴィットは震え声で言った。
「はい・・全部知っていました。だけど・・・それでも私はノア先輩を助け出したくて・・・。」
「この・・・馬鹿めっ!」
再びデヴィットは力を込めて抱きしめて来た。
「何で・・・何でそんな重要な事を今迄黙っていたんだ・・?」
「あの・・・本当の事を言えば・・もっと・・心配させてしまうと思ったから・・・。」
「だからっ!何度も何度も同じことを言わせるなっ!俺はお前の聖剣士なんだ!聖女であるお前を守るのが俺の使命だ!だから・・・少しでも身の危険が感じられるような心当たりがあるなら・・・包み隠さず全部話してくれっ!そうじゃないと・・・もし万一の時に・・お前を守り切れないかもしれないだろう・・?もう嫌なんだ・・。あんな思いをするのは・・・。」
デヴィット・・・ひょっとして泣いている?彼女との事を思い出して・・?
「デヴィットさん・・・。」
私はそっと彼の背中に手をまわすと言った。
「すみませんでした・・・。これからは何でも話します。貴方は・・私の聖剣士です・・。どうか、これからも私の事を助けて下さい・・・。」
「あ・・ああ!勿論だ・・・。俺が忠誠を誓うのは・・お前だけだから・・・。」
デヴィットは身体を離すと、私の手の甲に口付けしなら言った。
「お嬢さん。」
不意にマイケルさんに声をかけてきた。
「はい。」
「俺達は君の仲間だ。だから・・・もう隠し事はしないでくれよ?」
マイケルさんはウィンクしながら言い・・・私は笑顔で頷いた。
「でも・・よく私の様子をデヴィットさんが見に行くのを止める事が出来ましたね。」
私達は今ダニエル先輩が使用している校舎へ向かって歩いていた。
「俺はどうしても中へ入りたかったんだけどな・・・。」
面白くなさそうにデヴィットは言う。
「駄目だよ、図書館の中では静かにしないとね。彼は大袈裟に騒いでいたけど・・・多分俺はそれ程たいそうな事態にはなっていないと思ったから、代わりに様子を見に行ったんだよ。だけど・・それにしてもお嬢さん・・・。」
マイケルさんは私を見ながらクスクスと笑っている。
「あの女性・・・自分よりも小柄なのにお嬢さんに恋してしまったみたいだね~。あんなにお嬢さんの手を握りしめていたのに・・気が付かなかったのかな?こんな小さくて柔らかで、すべすべした肌なのにね。」
言いながらマイケルさんはするりと私の手に指を絡めて来た。
「あ、あの~マイケルさん?」
若干顔を引きつらせて彼を見る。
「何だい?お嬢さん。今日は俺は1日お嬢さんの保護者だからね。迷子にならないように手を繋いでおいてあげないと。」
「だから、勝手に触るな!ジェシカは俺の聖女なんだからなっ!」
マイケルさんの手を振り払いながらデヴィットが言う。
あ~あ・・。また始まっちゃったよ・・・。この2人は気が合うのか合わないのか・・・最早分からなくなってしまった。
言い合いをする2人をよそに、私は上空を見上げた。
・・・相変わらず青い空、白い雲の姿は何処にも見当たらない、気が滅入りそうなどんよりと曇った空。
どうしたら元の美しい青空が戻ってくるんだろう・・・。
ノア先輩・・・やっとの思いで人間界へ帰ってくる事が出来たのに、ソフィーに捕まった上、青い空を見る事も出来ないなんて・・・。なんて気の毒なんだろう。
兎に角何とかして一刻も早くノア先輩を助け出して、マシューの行方を探さなくては―。
突然デヴィットは私の左腕を掴むと言った。
「ジェシカ・・・実は・・前から気になっていたことがあったんだ。いっそ何も気が付かないフリを通し続けようとも思っていたが・・・やはり聞かせてくれ。何故・・お前から一度も嗅いだことの無い魔力の匂いを感じるんだ?これは・・・人の魔力の匂いとは明らかに異なっている。一体どう言う事なんだ?」
ああ・・そう言えば彼はとても勘が鋭い人だった。確かに私は夢の世界でノア先輩と・・・。
でもそれはマシューともデヴィットとも知り合う前の話だった。けれど・・・今私の腕を掴んでいるデヴィットの色々な感情が入り混じったかのような瞳を見ていると・・・彼に対する罪悪感ばかりが募って来る。
「あ、あの・・そ・それは・・・。」
その時・・・
「君、いい加減にするんだ。お嬢さんが怯えているじゃないか。」
2人の間に割って入って来たのはマイケルさんだった。
「・・・・。」
デヴィットは一瞬マイケルさんを見て・・掴んでいた私の手をパッと離した。
「どういう意味の話をしていたのか、俺にはさっぱり分からないけれども・・・お嬢さんがこんなに怯えているんだ。この辺で勘弁してあげてよ。それに・・・今大事な事はダニエルという人物をお嬢さんと会わせる事じゃないかな?」
さり気なく私の前に立って話をするマイケルさん。
「あ・・た、確かにそうだったな・・・。すまなかった、ジェシカ。その・・・痛くなかったか?」
デイヴィットは酷く落ち込んだ顔で私を見つめているので、敢えて私は笑顔で言った。
「いいえ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい。それよりも・・・早くダニエル先輩の元へ行きませんか?」
「そうだな・・・。今はまだ授業中だけど・・・・どうだ?ノア・シンプソンはまともに授業すら受けていない学生だったと聞いているが・・ダニエルはどうだ?真面目に授業に出席するような男なのか?」
何故かメモ帳を取り出しながら質問してくるデヴィット。え?そこで・・・メモ帳って必要?
「多分・・・ダニエル先輩はちゃんと授業に出席する方だとおもいますけど・・?」
首を傾げながら返事をする。ダニエル先輩はいわゆるツンデレキャラ。一見冷たい雰囲気を持ってはいるものの・・・気を許した相手には途端に甘々な態度で接してくる人だ。多分、あの先輩は真面目に授業に出ているんじゃないかな・・・?
「よし、分かった。今からダニエルのいるクラスに行って来る。」
とんでもない事を言い出した。
「ええ?君・・・正気で言ってるのかい?今はまだ授業中だと話していたばかりじゃ無いか・・・。」
「そうですよ、デヴィットさん。一体何考えてるんですか?」
デヴィットの袖を引っ張って歩き出そうとするのを必死で止める私とマイケルさん。
「姿を見られるのを心配しているのか?それなら大丈夫だ。俺は自分の姿を消す事が出来る魔法を使えるから・・・。」
「い、いえ。何も・・・そこまで急ぐ必要は無いと思いますけど?!」
う~ん・・ここまで彼はせっかちな人だったのだろうか・・・?
「そうそう、焦りは禁物だよ。」
マイケルさんは至極まっとうな事を言ってくれる。
「それに俺としては、もう少しこの学院を美少年になったお嬢さんと散策したいしね。」
・・・前言撤回。マイケルさん・・・やはり貴方は・・・・??
「あの・・・今授業中なら私・・行ってみたいところがあるのですけど・・・。会いたい人がいるんです。・・まだいてくれるといいけどな・・・。」
俯いて呟くと、ふと視界が暗くなる。
「え・・・?」
顔を上げると、何故かデヴィットとマイケルさんが至近距離で見下ろしていた。
「あ、あ、あの・・・・お2人とも・・・・な、何か・・・・?」
「ジェシカ・・・・お前・・まだ他に会いたい男がいたのか?」
怒りを抑えた笑い顔を見せるデヴィット。
「お嬢さん・・・・君は中々恋多き女性なんだね・・・・?」
笑みを称えながら、苛立ちが含んだ声色のマイケルさん。な・・・何か怖いんですけど・・・?
「あ、あの・・・今私が会いたいと言った相手は女性ですっ!アメリアと言う名前の女性でこの学院の図書館司書をしているんです。決してお2人が考えているような事ではありませんから・・・。」
ああ・・・何故私はこの2人に言い訳めいた話をしなければならないのだろうか・・・。
「本当に・・・俺達はついてきたら駄目なのか?」
恨めしそうな目で私を見つめるデヴィット。
「心配だなあ・・・・お嬢さんに万一の事があったらと思うと・・。」
マイケルさんは不安気に私を見る。
「大丈夫ですよ。ここは学院の図書館なのですから。それに女だけの秘密の会話があるんです。申し訳ありませんが。お2人はこちらで待っていて頂けませんか?」
何とか2人を説得し、私は1人で学院の図書館の中へ入って行った。
「アメリアさん・・・いるかな・・・?」
今は授業中と言う事もあり、図書館の中は学生の姿が1人も見えず、静まり返っている。シンとした図書館をなるべく足音を立てないように私はカウンターへと近づいた。
「あの・・・少しよろしいでしょうか・・・?」
遠慮がちに声をかける。そして私に気が付き、顔を上げた女性は・・・アメリアはでは無い全く別の女性だった。顔にそばかすがあり、緑色のショートヘアの少し幼さの残るその女性は・・何故か私を見ると一瞬で顔を真っ赤に染めた。
「は、はいいいっ!な、何の御用でしょうか?!」
静かにしておかなければならない図書館に女性の声が響きき渡る。
「あの・・・実はお伺いしたい事が・・・こちらで働いている女性でアメリアと言う方はいらっしゃいますか?」
しかし、女性は私の声が聞こえていないのかボ~ッとした目つきで私を見つめ、返事が無い。・・・困ったな・・・。
「あの・・・聞こえてますか?」
顔を近付け、再度尋ねると何故か女性は悲鳴を上げた。
「キャアアアアッ!」
思わず身を引いたが、女性の様子が気になるので声を掛けた。
「あの~・・・だ、大丈夫・・・ですか?」
すると女性はうっとりとした目つきで私を見つめて呟いた。
「な、なんて美しい方・・・。」
あ、何・・・この目・・・。そう言えば忘れていたけど、私男装していたんだっけ・・・。まさか『魅了の魔法』が発動しているんじゃ・・・?
一瞬、このまま引き返そうかと思ったけれども私はどうしてもアメリアと会いたかったので、熱い視線を送る彼女に私は尋ねた。
「あ、あの・・・お尋ねしたい事があるのですが・・・こちらにアメリアという女性の司書の方はいらしてませんか?」
「え・・ええ・・?アメリア・・・さん・・・という方ですか?」
「はい、そうです。」
「あの・・そのような方・・存じ上げませんが・・。申し訳ございません。」
やはり・・・何となくそんな予感がしていたが、いざ話を聞かされると・・・やはりショックだ。
「そう・・ですか・・・。残念です。以前こちらでお仕事をされていた女性だったのですが・・・。」
思わず落胆すると、不意に目の前の女性から手を取られた。え?
「まあ・・・お顔だけでなく・・お肌も女性のように美しい・・・。」
そして女性はうっとりした目つきで私の手を撫でまわしてきた。え?え?何・・・?
「アメリアさんと言う方は・・・ひょっとすると・・貴方の想い人なのでしょうか?」
少し悲し気な、潤んだ瞳で見つめられ・・・腰が引けそうになって来た。
「い、いえ・・・。そうではありません・・・。彼女は友人です・・・けど?」
「まあ、そうなんですか?!あ、あの・・・私はジャネットと申します!それで・・・貴方のお名前をお聞かせいただけませんか?」
「え?え?わ、私の名前ですか・・・?」
何だか目の前の女性の瞳に狂気めいた光を感じる。ひえええ・・・こ、怖い・・・!
その時―。
「君、俺の弟が怖がっているから・・・その手を離して貰えないかな?」
背後で声がして・・・振り向くとそこには笑顔で立っているマイケルさんがいた—。
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「あ、ありがとうございます・・・。お陰で助かりました・・・。」
マイケルさんの機転のお陰で私は何とか貞操の危機?から免れる事が出来た。彼に手を引かれつつ、図書館を出ると・・・そこには腕を組み、仁王立ちになってこちらを睨み付けているデヴィットの姿が。
そして私の姿を見届けると、途端に駆け寄って来た。
「おい、ジェシカに触れるな。」
「君・・・相変わらず気が短い人だねえ・・・。」
マイケルさんのため息交じりの言葉にデヴィットは耳を貸さず、彼の手を振り払うと、突然強く抱きしめて来た。
「ジェシカ・・・この馬鹿ッ!あれほどフードを外すなと言っておいただろう?それなのに・・・俺の忠告を無視して・・・!いいか、俺はお前の聖剣士となったんだ。聖剣士になるとな・・・相手の聖女の危機の時に紋章が光って反応するんだ・・・。
お前がこの中へ入ってすぐだ!すぐに俺の紋章が光って反応して・・・。その時、どんな気持ちだったか・・お前に分かるか?!」
デヴィットは声を震わせて言った。・・・いえ、デヴィットは私の聖剣士だから、心配してくれるのはありがたいのだけど・・・あんな・・あんな単純な事でも紋章が反応してしまう訳?!ちょっと大袈裟な気もするけど・・?
「アハハハ・・・随分・・・聖女と聖剣士の絆って・・・ほんの些細な事でも反応するんですね・・・。大袈裟過ぎる位に・・・。」
最期の方は小声で言った。
するとデヴィットが身体を離した。
「いや・・・皆が皆・・・そうなる訳では無い・・・。」
「え?」
ちょっと待って・・・。デヴィット・・・何故、そこで顔を赤らめてるのかな?
「相手の事を思う気持ちが強ければ強いほど・・・過剰に・・反応する・・と言う事なんだ・・・。つ、つまり俺はジェシカの事をそれだけ・・・。」
顔を赤らめ、しどろもどろになって言うデヴィット。それって・・・私に対する愛の告白のようにも聞こえてしまうのだけど・・・?デヴィットの気持ちは嬉しい、だけど・・・私はマシューの事を・・・。そう考えるとやはりデヴィットの気持ちに応えてあげる事が出来なくて・・・申し訳ない気持ちで一杯だ。
「どうした?ジェシカ。」
黙りこくってしまった私を心配してか、デヴィットが声を掛けて来た。
「本当だ・・・元気が無いねえ。お嬢さん・・大丈夫かい?」
マイケルさんまで気にかけてくれている。だから私は言った。
「い、いえ・・・。会いたかった彼女に会えなくて・・少し落ち込んでしまっただけですから気にしないで下さい。」
「ジェシカ、会いたかった彼女って・・・誰の事なんだ?」
デヴィットが尋ねて来た。
「実は・・・彼女はソフィーの・・・仲間と言うか・・・手下にされている様な女性で・・・私がこの学院に入学したての頃、ソフィーの件で少しだけアドバイスしてくれた女性なんです。でも・・・その後は何度も何度もソフィーと一緒に私の前に現れて・・・可哀そうに・・彼女・・アメリアはソフィーの操り人形のような扱いを受けていました・・。」
「そうなの?でも彼女と会う事で・・・何かメリットでもお嬢さんにあるの?」
うん、確かに今の説明だけではアメリアと私が会った所で何の得も無いだろう。
そう思われても仕方が無い・・・。だけどこうなったらこの2人にも私の秘密を少しだけ打ち明けた方が良さそうだ。
「実は・・・私はまだ2人に話していないことがあって・・・・。」
そして私はデヴィットとマイケルさんに今迄の事を説明した。自分には予知夢を見る力と、念じた物を具現化する力がある事。そして今まで見て来た予知夢は全て現実化した事。魔界の門を開ける事も、そして・・・魔界から戻れば自分は追われる身となり、裁判にかけられ幽閉されてしまうこと・・・幽閉された夢の中にアメリアが現れて私に向けて言った言葉・・・それら全てを話し終える頃には2人とも衝撃を受けた顔になっていた。
「そ・・・それじゃ、ジェシカ・・・。お前・・ソフィーやアラン王子に捕まる事が分かっていた上で、こっちの世界に戻って来たって言うのか・・・?」
デヴィットは震え声で言った。
「はい・・全部知っていました。だけど・・・それでも私はノア先輩を助け出したくて・・・。」
「この・・・馬鹿めっ!」
再びデヴィットは力を込めて抱きしめて来た。
「何で・・・何でそんな重要な事を今迄黙っていたんだ・・?」
「あの・・・本当の事を言えば・・もっと・・心配させてしまうと思ったから・・・。」
「だからっ!何度も何度も同じことを言わせるなっ!俺はお前の聖剣士なんだ!聖女であるお前を守るのが俺の使命だ!だから・・・少しでも身の危険が感じられるような心当たりがあるなら・・・包み隠さず全部話してくれっ!そうじゃないと・・・もし万一の時に・・お前を守り切れないかもしれないだろう・・?もう嫌なんだ・・。あんな思いをするのは・・・。」
デヴィット・・・ひょっとして泣いている?彼女との事を思い出して・・?
「デヴィットさん・・・。」
私はそっと彼の背中に手をまわすと言った。
「すみませんでした・・・。これからは何でも話します。貴方は・・私の聖剣士です・・。どうか、これからも私の事を助けて下さい・・・。」
「あ・・ああ!勿論だ・・・。俺が忠誠を誓うのは・・お前だけだから・・・。」
デヴィットは身体を離すと、私の手の甲に口付けしなら言った。
「お嬢さん。」
不意にマイケルさんに声をかけてきた。
「はい。」
「俺達は君の仲間だ。だから・・・もう隠し事はしないでくれよ?」
マイケルさんはウィンクしながら言い・・・私は笑顔で頷いた。
「でも・・よく私の様子をデヴィットさんが見に行くのを止める事が出来ましたね。」
私達は今ダニエル先輩が使用している校舎へ向かって歩いていた。
「俺はどうしても中へ入りたかったんだけどな・・・。」
面白くなさそうにデヴィットは言う。
「駄目だよ、図書館の中では静かにしないとね。彼は大袈裟に騒いでいたけど・・・多分俺はそれ程たいそうな事態にはなっていないと思ったから、代わりに様子を見に行ったんだよ。だけど・・それにしてもお嬢さん・・・。」
マイケルさんは私を見ながらクスクスと笑っている。
「あの女性・・・自分よりも小柄なのにお嬢さんに恋してしまったみたいだね~。あんなにお嬢さんの手を握りしめていたのに・・気が付かなかったのかな?こんな小さくて柔らかで、すべすべした肌なのにね。」
言いながらマイケルさんはするりと私の手に指を絡めて来た。
「あ、あの~マイケルさん?」
若干顔を引きつらせて彼を見る。
「何だい?お嬢さん。今日は俺は1日お嬢さんの保護者だからね。迷子にならないように手を繋いでおいてあげないと。」
「だから、勝手に触るな!ジェシカは俺の聖女なんだからなっ!」
マイケルさんの手を振り払いながらデヴィットが言う。
あ~あ・・。また始まっちゃったよ・・・。この2人は気が合うのか合わないのか・・・最早分からなくなってしまった。
言い合いをする2人をよそに、私は上空を見上げた。
・・・相変わらず青い空、白い雲の姿は何処にも見当たらない、気が滅入りそうなどんよりと曇った空。
どうしたら元の美しい青空が戻ってくるんだろう・・・。
ノア先輩・・・やっとの思いで人間界へ帰ってくる事が出来たのに、ソフィーに捕まった上、青い空を見る事も出来ないなんて・・・。なんて気の毒なんだろう。
兎に角何とかして一刻も早くノア先輩を助け出して、マシューの行方を探さなくては―。
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