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第3章 5 私は、ここに残ります
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「ジェシカ。一体今の男は何なんだ?アイツのあの目・・・普通じゃなかったぞ?」
デヴィットが心配そうな顔で私を見つめる。
「彼はね、『マリウス・グラント』と言ってジェシカの忠実な従者だよ。最も・・彼は異常なほどにジェシカに執着心を持っているけどね。」
ダニエル先輩は溜息をつきながら言った。
「ふ~ん・・・。あいつ・・かなり腕が立ちそうだな。俺と同じくらい強そうだ。」
デヴィットが何気なく言った言葉に私は驚いた。マリウスは・・・相当強い。ひょっとするとアラン王子よりも腕が立つかもしれないと言うのに・・・。今デヴィットは何て言った?俺と同じくらい・・?
やはりデヴィットは聖剣士に選ばれるだけあって・・・相当強いのだと言う事を新ためて感じた。
「所で・・・2人とも・・・。少し聞きたい事があるんだけど・・・?」
あ、何だかダニエル先輩の目が・・座っている・・・。ちょっと怖いんですけど・・。
「そうだねえ。俺も君達には丁度話を聞きたいと思っていたんだよね?」
マイケルさんは笑みを浮かべている・・浮かべているが、そこには非常に怖いものを感じる。
「何だ?聞きたい事って言うのは?」
デヴィットは彼等2人の視線をまともに浴びているのに全く気にも留めていない様子で堂々としている。
「2人の関係は・・・。」
ダニエル先輩が言いかけた所を私は制した。
「そ、そんな事よりも!ま、まずは・・・ノア先輩が心配で。今ノア先輩は神殿にいるんですよね?」
「え?そうだったの?!」
ダニエル先輩が驚いた様に声を上げる。
「え・・?ダニエル先輩・・・ひょっとして・・・知らなかったのですか?」
「う、うん。そんな話は初耳だよ。だけど・・・神殿て・・・。どうしよう、まずいよ。今、あそこはまるで強固な砦のように聖剣士と神官、そしてソフィー直属の兵士によって占拠されてるんだ。・・・生徒会だってもう立ち入れないし、理事長もどうにも出来なくなってしまったらしいよ?」
「え・・・?そ、そんな・・・。」
「一体・・・ソフィーはノアを何だって神殿へ運び込んだんだ・・?」
デヴィットは腕組みしながら言う。だけど・・・私には理由が良く分かっていた。
「恐らく・・・私に対する見せしめですよ。」
「うん・・・そうかもね。」
ダニエル先輩も頷く。
「そうだな・・・。確かにジェシカはノアを助けるために魔界へ行ったんだ。ようやく助けて戻って来たノアを誘拐したのは・・・ジェシカに対する嫌がらせだろうな?それにしても・・・ソフィーの目的は何だろう・・・。」
デヴィットの呟きを聞きながら私はずっとソフィーの事を考えていた。
思えば私は最初からソフィーに嫌われていた。それは本来の小説通りならソフィーはアラン王子を始め、目の前にいるダニエル先輩やノア先輩から愛される・・はずだったのに、何故か彼等が気に入ったのは悪女であるこの私・・・『ジェシカ・リッジウェイ』
それにマシューは言っていた。
私の持つ『魅了』の魔力こそ、ソフィーが喉から手が出る程に欲している魔力なのだと。
現にこの世界に戻って来た直後、『ワールズ・エンド』でソフィーは私の『魅了』の魔力を奪う為に恐ろしい魔法を繰り出してきて・・・そこをアンジュが助けてくれた。
「多分・・・ソフィーの目的は・・私です。ノア先輩を神殿に連れ去ったのも・・私が必ず助けに来ると分かっているから・・・。恐らくそこで私の持っている『魅了』の魔力を奪うつもりなんです。」
「「「魅了の魔力・・・?」」」
3人が交互に尋ねて来た。
「何だ?魅了の魔力って・・・そんなのは俺は初めて聞いたぞ?」
「うん。僕も初めて耳にするよ。」
「お嬢さん・・・やっぱり君には特別な魔力があったんだね?」
「『魅了』の魔力とは・・・異性を強い力で惹き付ける力の事です。」
「「「え・・・?」」」
3人が同時に声を揃える。
「でも私は別にこんな魔力必要としていません。ノア先輩を解放してくれたら・・・私は喜んでこの魔力、ソフィーに差し出すつもりです。」
私の言葉に3人は声を無くしていたようだが・・・我に返ったかのようにダニエル先輩は言った。
「だ、駄目だっ!ジェシカッ!あんな女に・・・君の『魅了』の魔力を渡したら・・・もっと恐ろしい事になるっ!」
「そうだ、只でさえあの女は催眠暗示で人を操るような女だ・・・。あいつにその魔力を渡してみろ?それこそ学院中の男があの女の意のままに操られてしまう事になりかねない・・・っ!」
デヴィットが私の両肩を掴みながら言った。
「そ・・・それなら、どうすればいいんですか?どうすれば・・ノア先輩を助け出せるんですか?どのみち・・・きっといずれ私はソフィーに掴まり、裁判にかけられてしまうんです。だからその前にノア先輩を助け出さないと・・・!」
「何?ソフィーに捕まるとか、裁判にかけられるとか・・・・何の事かさっぱり分からないんだけど?!」
ダニエル先輩が間に入って来た。
そう言えば・・・ダニエル先輩は私の事情を何も知らなかったんだっけ・・・。
「いい、ジェシカ。俺から説明するよ。」
そしてデヴィットは私の代わりにダニエル先輩に説明を始めた。私には未来を予知する予知夢の力があり、今まで見て来た夢は全て現実化して来た事。そして・・これから私の身に待ち受けているはずの恐ろしい予知夢の事を・・・。
「そ・・そんな・・・そんな話・・嘘だよね?ジェシカ?」
全てを聞き終わったダニエル先輩は私の肩を掴んで覗き込んで来るが・・・。
「ダニエル先輩・・・。全て本当の事なんです・・・。現に・・・ドミニク様は・・生徒会長になってしまいました・・・。もし夢の通りになれば・・私はドミニク様に死刑を言い渡されます。」
「「「死・・・死刑だって?!」」」
3人が同時に声を上げた。あ・・・そう言えば、この話はまだデヴィットにもマイケルさんにも話していなかったっけ・・・。
「おい、ジェシカッ!おまえ・・・何でそんな一番重要な事を話さなかったんだッ?!」
デヴィットが私の両肩を痛い位に力強く握りしめて来る。
「デ・・・デヴィットさん・・・い、痛いです・・・。」
思わず痛みで顔が歪むと慌てたように手を離す。
「すまない・・・ジェシカ。つ、つい・・・。」
申し訳なさそうに項垂るデヴィット。
「い、いえ・・・いいですよ。それよりも・・・一番肝心な事を話していなくてすみません。確かに夢の中で死刑を言い渡されますが・・・ソフィーがそれを反対して、その代わりにリッジウェイ家の全財産を奪って、私と一族を流刑島へ送るという刑を下すんです・・・。だから私はダニエル先輩に自分の全財産を預けました。そして・・・今年、帰省した時に・・・信頼できる男性に・・・書類を預けたんです。私がリッジウェイ家から籍を抜く書類を・・・。今頃はもう受理されている頃です。恐らく私はもうリッジウェイ家から除籍されているはずです。これなら流刑島へ送られるのは私だけのはずだから・・・。」
淡々と話す私の説明を・・・いつしかダニエル先輩とデヴィットは目に涙を浮かべながら聞いていた。そしてマイケルさんは俯いている。
全て話終えると、突然ダニエル先輩が抱きしめてきた。
「ジェシカ・・・ッ!ノアの事は・・・もういい!だから・・逃げるんだっ!この学院から・・この島からっ!手はずは僕が整える。僕の・・・領地へ逃げるといい。ね、ジェシカ。そうしてくれっ!」
そうしてダニエル先輩は私を抱きしめたまま・・・肩を震わせて涙を流した—。
2
「お、おい・・・今何て言った?自分の領地に来いだって?何を勝手な事を言ってるんだ。ジェシカはここに残る。俺はジェシカの聖剣士なんだ。ジェシカの事は・・・必ず最後まで守りぬく。あの女を聖女の座から引きずり降ろして・・この学院を元の姿に戻すって決めているんだ。」
デヴィットが努めて冷静な声でダニエル先輩に詰め寄っているが・・・怒りを抑えているのが手に取るように分かる。
「何勝手な事言ってるのさっ!こんな学院・・僕はどうなったって構わないんだよ!ジェシカさえ・・ジェシカさえ無事なら他の事なんてどうだっていいんだよっ!」
言いながらダニエル先輩はますます私を抱きしめる腕を強めて来る。ダニエル先輩・・・先輩が私を心配してくれる気持ちはすごく嬉しい・・。だけど・・・。
「ごめんなさい・・・ダニエル先輩・・。」
「え・・・?ジェシカ・・・。何故・・・謝るのさ・・・。」
ダニエル先輩は私から身体を離し、じっと見つめて来た。先輩の顔が・・涙で濡れている。その先輩の頬にそっと触れると私は言った。
「ごめんなさい、ダニエル先輩。私・・・頼まれたんです・・・。魔界からこの世界に戻って来る時に・・・。」
「たの・・・まれた・・・?」
ダニエル先輩は不思議そうな顔で私を見つめる。
「はい・・・・。そうです。皆さん・・。私の話・・聞いて貰えますか?」
ダニエル先輩、デヴィット、マイケルさんを見渡しながら言った。
「ああ・・聞くよ。ジェシカ。」
「お嬢さんは・・本当に色々と複雑な事情を抱えているみたいだね。」
「ジェシカ・・・。ノアの事で・・誰かに頼まれたって事なんだよね?」
3人が順番に尋ねて来た。
「はい・・・そうです。」
そして私は魔界での出来事を彼等に話し始めた・・・。
魔界で知り合った、ヴォルフと言う青年、そしてノア先輩の恋人になったフレアの事・・・。彼等と一緒に『狭間の世界』からこちらに戻って来るはずだったけれども魔族の追手に追われ・・そこをアンジュと言う『狭間の世界』の王によって助けられた事。いよいよ人間界へ行こうとした矢先に高位魔族にかけられた呪いによって彼等は私達と一緒にこの世界へ来る事が出来なくなってしまった事・・・。
3人は呆気に取られたように私の話を聞いていた。
「ジェシカ・・・。そ、それじゃ・・・本当は4人でこっちの世界に戻って来るはずだったのか?」
デヴィットが声を震わせながら尋ねて来た。
「はい・・・そうです。だってその2人は・・・私とノア先輩を逃がす為に追われる身となってしまったから・・・。魔界に残していけないと思ったんです・・。」
「だけど!魔族なんだろう?大昔、この学院の聖剣士達が魔族と戦って・・・大勢命を落とした話・・ジェシカは知ってるんでしょう?」
「ダニエル先輩・・・。」
「お嬢さん・・・完全な魔族が・・・人間達に受け入れて貰えるとは俺は思えないんだけど・・。」
「そ、そんな事無いです!だ、だって・・・彼は・・・ヴォルフは魔界で命の危険にあった私を何回も助けてくれたんですよ?寒くてたまらないあの魔界も・・・ヴォルフのお陰で凍える事が無くて・・・。フレアさんだって・・・素敵な女性でした・・。だからこそ、ノア先輩は彼女にプロポーズを・・・。」
「え・・ええ?!ノアが・・・魔族の女にプロポーズをしたの?!」
ダニエル先輩は相当驚いたのか、椅子から立ち上った。
「は、はい・・・。だけど・・きっともうノア先輩は・・魔界の出来事を何一つ覚えていないと思います・・・。」
「お嬢さん・・・それは・・一体どういう意味なの?」
「はい、アンジュが教えてくれたんです。この世界の・・均衡を保つために、人は異世界から元の世界に戻る時、そこでの出来事を全て忘れてしまうんだって・・・・。」
「それならジェシカは何故覚えているんだ?『魔界』の出来事も、そして・・『狭間の世界』の事も・・・。」
デヴィットが不思議そうに尋ねて来る。
「それは・・・私が鍵を使って、それぞれの門を開けたからだってアンジュが話してくれました。」
「そう・・・なのか・・。」
「今、『狭間の世界』にいるヴォルフとフレアは魔族にかけられた呪いによって、この世界に来ることが出来ません。そして・・そこに住む王であるアンジュが・・言ったんです。2人の呪いが解けたら、・・私を助けに来るって・・・。そしてもう1つ大事な事を教えてくれました。私の身を守る為に危険が迫ってきたら彼にだけ聞こえる警報が鳴る魔法をかけたらしいのですが・・・ずっとその警報が鳴り響いているそうなんです。」
「な・・何だって?それじゃジェシカ・・・。やはりお前は今危険な状態に晒されているって事なんだな?」
デヴィットが顔を歪めて私を見つめた。
「は、はい・・・。その通りです・・・。」
「だったら、尚更・・・!」
ダニエル先輩が言いかけた所を私は言葉を重ねた。
「尚更!・・・私はここに残らなくては・・いけないんです・・。だって・・・皆が・・いずれこの世界へやってくるかもしれないから・・。」
「ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩の目に再び涙が浮かんでいる。
「私は・・・ここに・・このセント・レイズ諸島に・・残ります。いずれこの世界にやってくるヴォルフやフレア、そして・・・・アンジュの為に・・。ごめんなさい、ダニエル先輩。折角の・・申し出なのに・・。」
頭を下げて謝罪すると、ダニエル先輩がそっと抱きしめて来た。
「いや・・いいんだよ・・。ごめん、勝手な事言って・・そんな事情があったなんて僕はちっとも知らなかったから・・・。僕も・・・僕もジェシカ・・君を守らせてくれる・・?」
「いいんですか・・・?」
顔を上げると、ダニエル先輩は優しく微笑み・・・。
「おい、いつまで2人きりの世界に浸っているつもりだ。」
デヴィットが割り込んできて、無理やりダニエル先輩から私を引き離すと、腕に囲いこんできた。
「おい!いきなり何するんだよっ!」
ダニエル先輩が抗議の声を上げるも、デヴィットは意に介さない。
「ジェシカ。今更だが・・・お前の今置かれている状況がよーく分かった。分かった上で・・・聞かせてくれ。」
私の顔を両手で挟んで自分の方を向かせるとデヴィットは言った。
「え・・?な、何でしょうか・・・?」
デヴィットの真剣な様子に息を飲むと・・・彼は言った。
「ヴォルフって・・・どんな魔族の男なんだ?ジェシカ、お前にとってそいつは・・一体どんな関係があるって言うんだ?それに・・・アンジュって・・・『狭間の世界の王』なんだろう?一体ジェシカにとってどんな存在なんだ?」
「ち、ちょっと待って下さい!デヴィットさん。そんな矢継ぎ早に質問されても・・!」
「頼む!教えてくれっ!俺は・・俺はお前の聖剣士だろう?だから・・・お、俺にはその2人の男の・・ジェシカとの関係を・・・聞く権利はあるんだっ!」
「え?ええ~っ?!」
な、なんと無茶苦茶な・・・・。
「うん、そうだねえ・・・。お嬢さん。僕は君の兄替わり・・いわゆる保護者のようなものだから。お嬢さんの交友関係は全て把握しておかなくてはならないからね。」
「2人が聞くなら・・・僕だって聞く権利はある。だってジェシカ。僕達・・・恋人同士だった事があるものね?」
妙に色気を含んだ目で私を見つめながら微笑むダニエル先輩・・・。だ、だけど・・。
「ちょ、ちょっと皆さん、落ち着いて下さいっ!今はそんな話よりも・・ノア先輩を神殿から救い出す相談をするべきでは無いですか?!」
じょ、冗談じゃない!ヴォルフに愛を告白された事や・・・アンジュにプロポーズされた事等・・・絶対に知られる訳には・・・っ!
そして、日は暮れて行く―。
「ジェシカ。一体今の男は何なんだ?アイツのあの目・・・普通じゃなかったぞ?」
デヴィットが心配そうな顔で私を見つめる。
「彼はね、『マリウス・グラント』と言ってジェシカの忠実な従者だよ。最も・・彼は異常なほどにジェシカに執着心を持っているけどね。」
ダニエル先輩は溜息をつきながら言った。
「ふ~ん・・・。あいつ・・かなり腕が立ちそうだな。俺と同じくらい強そうだ。」
デヴィットが何気なく言った言葉に私は驚いた。マリウスは・・・相当強い。ひょっとするとアラン王子よりも腕が立つかもしれないと言うのに・・・。今デヴィットは何て言った?俺と同じくらい・・?
やはりデヴィットは聖剣士に選ばれるだけあって・・・相当強いのだと言う事を新ためて感じた。
「所で・・・2人とも・・・。少し聞きたい事があるんだけど・・・?」
あ、何だかダニエル先輩の目が・・座っている・・・。ちょっと怖いんですけど・・。
「そうだねえ。俺も君達には丁度話を聞きたいと思っていたんだよね?」
マイケルさんは笑みを浮かべている・・浮かべているが、そこには非常に怖いものを感じる。
「何だ?聞きたい事って言うのは?」
デヴィットは彼等2人の視線をまともに浴びているのに全く気にも留めていない様子で堂々としている。
「2人の関係は・・・。」
ダニエル先輩が言いかけた所を私は制した。
「そ、そんな事よりも!ま、まずは・・・ノア先輩が心配で。今ノア先輩は神殿にいるんですよね?」
「え?そうだったの?!」
ダニエル先輩が驚いた様に声を上げる。
「え・・?ダニエル先輩・・・ひょっとして・・・知らなかったのですか?」
「う、うん。そんな話は初耳だよ。だけど・・・神殿て・・・。どうしよう、まずいよ。今、あそこはまるで強固な砦のように聖剣士と神官、そしてソフィー直属の兵士によって占拠されてるんだ。・・・生徒会だってもう立ち入れないし、理事長もどうにも出来なくなってしまったらしいよ?」
「え・・・?そ、そんな・・・。」
「一体・・・ソフィーはノアを何だって神殿へ運び込んだんだ・・?」
デヴィットは腕組みしながら言う。だけど・・・私には理由が良く分かっていた。
「恐らく・・・私に対する見せしめですよ。」
「うん・・・そうかもね。」
ダニエル先輩も頷く。
「そうだな・・・。確かにジェシカはノアを助けるために魔界へ行ったんだ。ようやく助けて戻って来たノアを誘拐したのは・・・ジェシカに対する嫌がらせだろうな?それにしても・・・ソフィーの目的は何だろう・・・。」
デヴィットの呟きを聞きながら私はずっとソフィーの事を考えていた。
思えば私は最初からソフィーに嫌われていた。それは本来の小説通りならソフィーはアラン王子を始め、目の前にいるダニエル先輩やノア先輩から愛される・・はずだったのに、何故か彼等が気に入ったのは悪女であるこの私・・・『ジェシカ・リッジウェイ』
それにマシューは言っていた。
私の持つ『魅了』の魔力こそ、ソフィーが喉から手が出る程に欲している魔力なのだと。
現にこの世界に戻って来た直後、『ワールズ・エンド』でソフィーは私の『魅了』の魔力を奪う為に恐ろしい魔法を繰り出してきて・・・そこをアンジュが助けてくれた。
「多分・・・ソフィーの目的は・・私です。ノア先輩を神殿に連れ去ったのも・・私が必ず助けに来ると分かっているから・・・。恐らくそこで私の持っている『魅了』の魔力を奪うつもりなんです。」
「「「魅了の魔力・・・?」」」
3人が交互に尋ねて来た。
「何だ?魅了の魔力って・・・そんなのは俺は初めて聞いたぞ?」
「うん。僕も初めて耳にするよ。」
「お嬢さん・・・やっぱり君には特別な魔力があったんだね?」
「『魅了』の魔力とは・・・異性を強い力で惹き付ける力の事です。」
「「「え・・・?」」」
3人が同時に声を揃える。
「でも私は別にこんな魔力必要としていません。ノア先輩を解放してくれたら・・・私は喜んでこの魔力、ソフィーに差し出すつもりです。」
私の言葉に3人は声を無くしていたようだが・・・我に返ったかのようにダニエル先輩は言った。
「だ、駄目だっ!ジェシカッ!あんな女に・・・君の『魅了』の魔力を渡したら・・・もっと恐ろしい事になるっ!」
「そうだ、只でさえあの女は催眠暗示で人を操るような女だ・・・。あいつにその魔力を渡してみろ?それこそ学院中の男があの女の意のままに操られてしまう事になりかねない・・・っ!」
デヴィットが私の両肩を掴みながら言った。
「そ・・・それなら、どうすればいいんですか?どうすれば・・ノア先輩を助け出せるんですか?どのみち・・・きっといずれ私はソフィーに掴まり、裁判にかけられてしまうんです。だからその前にノア先輩を助け出さないと・・・!」
「何?ソフィーに捕まるとか、裁判にかけられるとか・・・・何の事かさっぱり分からないんだけど?!」
ダニエル先輩が間に入って来た。
そう言えば・・・ダニエル先輩は私の事情を何も知らなかったんだっけ・・・。
「いい、ジェシカ。俺から説明するよ。」
そしてデヴィットは私の代わりにダニエル先輩に説明を始めた。私には未来を予知する予知夢の力があり、今まで見て来た夢は全て現実化して来た事。そして・・これから私の身に待ち受けているはずの恐ろしい予知夢の事を・・・。
「そ・・そんな・・・そんな話・・嘘だよね?ジェシカ?」
全てを聞き終わったダニエル先輩は私の肩を掴んで覗き込んで来るが・・・。
「ダニエル先輩・・・。全て本当の事なんです・・・。現に・・・ドミニク様は・・生徒会長になってしまいました・・・。もし夢の通りになれば・・私はドミニク様に死刑を言い渡されます。」
「「「死・・・死刑だって?!」」」
3人が同時に声を上げた。あ・・・そう言えば、この話はまだデヴィットにもマイケルさんにも話していなかったっけ・・・。
「おい、ジェシカッ!おまえ・・・何でそんな一番重要な事を話さなかったんだッ?!」
デヴィットが私の両肩を痛い位に力強く握りしめて来る。
「デ・・・デヴィットさん・・・い、痛いです・・・。」
思わず痛みで顔が歪むと慌てたように手を離す。
「すまない・・・ジェシカ。つ、つい・・・。」
申し訳なさそうに項垂るデヴィット。
「い、いえ・・・いいですよ。それよりも・・・一番肝心な事を話していなくてすみません。確かに夢の中で死刑を言い渡されますが・・・ソフィーがそれを反対して、その代わりにリッジウェイ家の全財産を奪って、私と一族を流刑島へ送るという刑を下すんです・・・。だから私はダニエル先輩に自分の全財産を預けました。そして・・・今年、帰省した時に・・・信頼できる男性に・・・書類を預けたんです。私がリッジウェイ家から籍を抜く書類を・・・。今頃はもう受理されている頃です。恐らく私はもうリッジウェイ家から除籍されているはずです。これなら流刑島へ送られるのは私だけのはずだから・・・。」
淡々と話す私の説明を・・・いつしかダニエル先輩とデヴィットは目に涙を浮かべながら聞いていた。そしてマイケルさんは俯いている。
全て話終えると、突然ダニエル先輩が抱きしめてきた。
「ジェシカ・・・ッ!ノアの事は・・・もういい!だから・・逃げるんだっ!この学院から・・この島からっ!手はずは僕が整える。僕の・・・領地へ逃げるといい。ね、ジェシカ。そうしてくれっ!」
そうしてダニエル先輩は私を抱きしめたまま・・・肩を震わせて涙を流した—。
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「お、おい・・・今何て言った?自分の領地に来いだって?何を勝手な事を言ってるんだ。ジェシカはここに残る。俺はジェシカの聖剣士なんだ。ジェシカの事は・・・必ず最後まで守りぬく。あの女を聖女の座から引きずり降ろして・・この学院を元の姿に戻すって決めているんだ。」
デヴィットが努めて冷静な声でダニエル先輩に詰め寄っているが・・・怒りを抑えているのが手に取るように分かる。
「何勝手な事言ってるのさっ!こんな学院・・僕はどうなったって構わないんだよ!ジェシカさえ・・ジェシカさえ無事なら他の事なんてどうだっていいんだよっ!」
言いながらダニエル先輩はますます私を抱きしめる腕を強めて来る。ダニエル先輩・・・先輩が私を心配してくれる気持ちはすごく嬉しい・・。だけど・・・。
「ごめんなさい・・・ダニエル先輩・・。」
「え・・・?ジェシカ・・・。何故・・・謝るのさ・・・。」
ダニエル先輩は私から身体を離し、じっと見つめて来た。先輩の顔が・・涙で濡れている。その先輩の頬にそっと触れると私は言った。
「ごめんなさい、ダニエル先輩。私・・・頼まれたんです・・・。魔界からこの世界に戻って来る時に・・・。」
「たの・・・まれた・・・?」
ダニエル先輩は不思議そうな顔で私を見つめる。
「はい・・・・。そうです。皆さん・・。私の話・・聞いて貰えますか?」
ダニエル先輩、デヴィット、マイケルさんを見渡しながら言った。
「ああ・・聞くよ。ジェシカ。」
「お嬢さんは・・本当に色々と複雑な事情を抱えているみたいだね。」
「ジェシカ・・・。ノアの事で・・誰かに頼まれたって事なんだよね?」
3人が順番に尋ねて来た。
「はい・・・そうです。」
そして私は魔界での出来事を彼等に話し始めた・・・。
魔界で知り合った、ヴォルフと言う青年、そしてノア先輩の恋人になったフレアの事・・・。彼等と一緒に『狭間の世界』からこちらに戻って来るはずだったけれども魔族の追手に追われ・・そこをアンジュと言う『狭間の世界』の王によって助けられた事。いよいよ人間界へ行こうとした矢先に高位魔族にかけられた呪いによって彼等は私達と一緒にこの世界へ来る事が出来なくなってしまった事・・・。
3人は呆気に取られたように私の話を聞いていた。
「ジェシカ・・・。そ、それじゃ・・・本当は4人でこっちの世界に戻って来るはずだったのか?」
デヴィットが声を震わせながら尋ねて来た。
「はい・・・そうです。だってその2人は・・・私とノア先輩を逃がす為に追われる身となってしまったから・・・。魔界に残していけないと思ったんです・・。」
「だけど!魔族なんだろう?大昔、この学院の聖剣士達が魔族と戦って・・・大勢命を落とした話・・ジェシカは知ってるんでしょう?」
「ダニエル先輩・・・。」
「お嬢さん・・・完全な魔族が・・・人間達に受け入れて貰えるとは俺は思えないんだけど・・。」
「そ、そんな事無いです!だ、だって・・・彼は・・・ヴォルフは魔界で命の危険にあった私を何回も助けてくれたんですよ?寒くてたまらないあの魔界も・・・ヴォルフのお陰で凍える事が無くて・・・。フレアさんだって・・・素敵な女性でした・・。だからこそ、ノア先輩は彼女にプロポーズを・・・。」
「え・・ええ?!ノアが・・・魔族の女にプロポーズをしたの?!」
ダニエル先輩は相当驚いたのか、椅子から立ち上った。
「は、はい・・・。だけど・・きっともうノア先輩は・・魔界の出来事を何一つ覚えていないと思います・・・。」
「お嬢さん・・・それは・・一体どういう意味なの?」
「はい、アンジュが教えてくれたんです。この世界の・・均衡を保つために、人は異世界から元の世界に戻る時、そこでの出来事を全て忘れてしまうんだって・・・・。」
「それならジェシカは何故覚えているんだ?『魔界』の出来事も、そして・・『狭間の世界』の事も・・・。」
デヴィットが不思議そうに尋ねて来る。
「それは・・・私が鍵を使って、それぞれの門を開けたからだってアンジュが話してくれました。」
「そう・・・なのか・・。」
「今、『狭間の世界』にいるヴォルフとフレアは魔族にかけられた呪いによって、この世界に来ることが出来ません。そして・・そこに住む王であるアンジュが・・言ったんです。2人の呪いが解けたら、・・私を助けに来るって・・・。そしてもう1つ大事な事を教えてくれました。私の身を守る為に危険が迫ってきたら彼にだけ聞こえる警報が鳴る魔法をかけたらしいのですが・・・ずっとその警報が鳴り響いているそうなんです。」
「な・・何だって?それじゃジェシカ・・・。やはりお前は今危険な状態に晒されているって事なんだな?」
デヴィットが顔を歪めて私を見つめた。
「は、はい・・・。その通りです・・・。」
「だったら、尚更・・・!」
ダニエル先輩が言いかけた所を私は言葉を重ねた。
「尚更!・・・私はここに残らなくては・・いけないんです・・。だって・・・皆が・・いずれこの世界へやってくるかもしれないから・・。」
「ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩の目に再び涙が浮かんでいる。
「私は・・・ここに・・このセント・レイズ諸島に・・残ります。いずれこの世界にやってくるヴォルフやフレア、そして・・・・アンジュの為に・・。ごめんなさい、ダニエル先輩。折角の・・申し出なのに・・。」
頭を下げて謝罪すると、ダニエル先輩がそっと抱きしめて来た。
「いや・・いいんだよ・・。ごめん、勝手な事言って・・そんな事情があったなんて僕はちっとも知らなかったから・・・。僕も・・・僕もジェシカ・・君を守らせてくれる・・?」
「いいんですか・・・?」
顔を上げると、ダニエル先輩は優しく微笑み・・・。
「おい、いつまで2人きりの世界に浸っているつもりだ。」
デヴィットが割り込んできて、無理やりダニエル先輩から私を引き離すと、腕に囲いこんできた。
「おい!いきなり何するんだよっ!」
ダニエル先輩が抗議の声を上げるも、デヴィットは意に介さない。
「ジェシカ。今更だが・・・お前の今置かれている状況がよーく分かった。分かった上で・・・聞かせてくれ。」
私の顔を両手で挟んで自分の方を向かせるとデヴィットは言った。
「え・・?な、何でしょうか・・・?」
デヴィットの真剣な様子に息を飲むと・・・彼は言った。
「ヴォルフって・・・どんな魔族の男なんだ?ジェシカ、お前にとってそいつは・・一体どんな関係があるって言うんだ?それに・・・アンジュって・・・『狭間の世界の王』なんだろう?一体ジェシカにとってどんな存在なんだ?」
「ち、ちょっと待って下さい!デヴィットさん。そんな矢継ぎ早に質問されても・・!」
「頼む!教えてくれっ!俺は・・俺はお前の聖剣士だろう?だから・・・お、俺にはその2人の男の・・ジェシカとの関係を・・・聞く権利はあるんだっ!」
「え?ええ~っ?!」
な、なんと無茶苦茶な・・・・。
「うん、そうだねえ・・・。お嬢さん。僕は君の兄替わり・・いわゆる保護者のようなものだから。お嬢さんの交友関係は全て把握しておかなくてはならないからね。」
「2人が聞くなら・・・僕だって聞く権利はある。だってジェシカ。僕達・・・恋人同士だった事があるものね?」
妙に色気を含んだ目で私を見つめながら微笑むダニエル先輩・・・。だ、だけど・・。
「ちょ、ちょっと皆さん、落ち着いて下さいっ!今はそんな話よりも・・ノア先輩を神殿から救い出す相談をするべきでは無いですか?!」
じょ、冗談じゃない!ヴォルフに愛を告白された事や・・・アンジュにプロポーズされた事等・・・絶対に知られる訳には・・・っ!
そして、日は暮れて行く―。
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2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
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追記:2025/09/20
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