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第4章 3 初めて会ったあの時から・・・・
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私とデヴィットはホテルで寝込んでいるダニエル先輩とマイケルさんを残し、2人で宿泊先のホテルの近くにあるカフェに来ていた。
「ここの朝食・・・すごく豪華で美味しかったですね。驚きました!」
先程食べたモーニングセットは本当に豪華だった。特にあのふわふわのパンケーキに、ふわとろのオムレツは最高だったな・・・。
「ああ、そうだな。でもカフェのメニューがここまで豪華なのは・・恐らく・・ほら、今俺達が宿泊しているホテル・・・実はセント・レイズシティで一番格式の高いホテルなんだ。あのホテルで出される食事も有名で・・・だからこの付近で営業している店も必死に頑張っているんだろうな。うん、この食事には涙ぐましい努力を感じる。」
デヴィットは食後のコーヒーを飲みながら静かに語り・・、やはりこの店のコーヒーも美味い等と言っている。
確かに私達が今宿泊しているホテルは、まるで白亜の神殿のように美しい佇まいをしている。そして眼前には海が広がり、部屋は全室オーシャンビューだった。
これで青空が見えていたら、きっと最高だったのに・・・。一体いつまでこんな陰鬱な空が続くのだろう・・・。小さくため息をついた。
「どうした、ジェシカ。溜息なんかついて・・どこか具合でも悪いのか?もし体調が悪いならすぐに俺に言うんだぞ?」
デヴィットは言いながら私の右手を取り、額に手を当てた。
「・・・熱は無いようだな?」
「・・おおげさですねえ・・・。デヴィットさんは・・・まるで過保護のお兄ちゃんみたいですね。」
苦笑しながら言うと、何故か青ざめるデヴィット。
「か・・・過保護のお、お・・・・兄ちゃん・・?せ、せめて他の言い方はないのか・・・?」
「他の・・・とは・・?」
するとデヴィットは何故か顔を赤らめる。
「た・・例えば・・、いいか、これはあくまで例えば、の話だからな?」
「はい。」
「や・・・優しい・・・・こ・恋人・・・とか・・・。」
「恋人・・・ですか・・?」
私は頬杖をつきながらデヴィットの様子を見た。彼は顔を赤くして俯いている。
う~ん・・・やはり・・・そう言う事なんだろうなあ・・・。デヴィットは私に好意を寄せている。だけど・・・・。
「ジェシカ・・・。聞きたい事があるんだが・・・ど、どうしても答えにくければ・・言わなくても・・・構わない・・・。」
デヴィットは私の目をじっと見つめると言った。
「マシューも・・・・お前の・・・聖剣士・・だったのか・・・?」
「はい。・・・一応は・・。マシューがそう言ってくれましたから・・。」
「そうか・・・。」
寂しそうな笑みを浮かべるデヴィット。
「それじゃ・・・聖女と・・・聖剣士の誓いは・・か・交わした・・のか?」
「え・・・?」
突然の問いに戸惑ってしまった。聖女と聖剣士の誓いは交わしたか・・・?そう聞かれれば、答えはイエスだ。けど・・マシューには右腕に聖剣士となる証のグリップの紋章は無かった・・。だからマシューは聖剣士では無かったと言う事になる。だけど・・私にとってはかけがえのない大切な人だったのは確かだ。
「す、すまない。答えにくい質問をしてしまったな・・・。忘れてくれ・・。」
悲し気に言うデヴィット。
「マシューは・・・マシューは・・・・正式な聖剣士では・・・無かったかもしれません・・。」
声を振り絞りながら私は言った。
「え?・・・どういう事だ・・・?」
不思議そうな表情を浮かべるデヴィット。
「デヴィットさん・・・。この学院に入学する学生達は全員・・『聖剣士』、そして『聖女』の証となる紋章が浮き出ている事が条件なんですよね・・?」
「あ、ああ・・・。そうだ。勿論・・そこには爵位も関係してくるけどな。男爵以下の身分は『聖剣士』にも『聖女』にもなれない。だが・・・ソフィーは『準男爵』だったよな・・・?何故そんな女が聖剣士全体の聖女になれたんだ・?噂によると、突然治癒魔法の能力に目覚めたからだと言われているが・・・。」
「マシューの腕には・・・聖剣士の証である『グリップ』の紋章は・・・何処にもありませんでした・・・。」
俯きながら私は答えた。
「え?そうなのか?!本人がそう言ったのか?」
「・・・・・。」
しかし私はその問いに答えられずに、思わず目を伏せるとデヴィットはすぐに気が付いたようだった。
「あ・・・そ、そうか・・。お前とマシューは・・そういう関係・・だったのか・・。そうだよな・・・そんなの・・当然・・だよな・・。」
悲し気に目を伏せるデヴィット。
「私とマシューには正式には・・・誓いを交わしてはいませんが・・・マシューも私にとっての聖剣士です・・・。」
「そうか・・・。だけど・・どうしてマシューは聖剣士になっていたんだろうな。そもそも紋章が無い人間は本来ならこの学院に入学する事すら出来ないのに・・。」
デヴィットの問いに私は答えた。
「それは・・恐らくマシューが人間と魔族の・・・・ハーフだったからです。」
「な・・何だって?!その話・・・本当なのか?」
「はい、マシューが自分で話してくれました。割と・・有名な話だったみたいですが・・デヴィットさんとは学年も違いましたからね・・御存じなかったのではないですか?でも・・少なくとも同学年の男子学生は殆ど知っていたかもしれません。だって彼は・・マシューは人間と魔族との間に生まれた人間だからと・・・周囲から冷たい目で見られていたので・・・。親しい友人すらいなかったんです。それでも・・彼はとても優しくて穏やかな人・・・でした。」
私はテーブルの上でギュッと手を握りしめながら・・マシューの事を語った。
けれど・・・不思議な事に涙は出てくる事は無かった。今までの私ならマシューの事を思い出しただけで、目頭が熱くなっていたのに・・・。
「そうか・・・。お前は・・優しくて穏やかな男が好みなんだな?」
突然デヴィットの声のトーンが変わり、そしてテーブルの上に置いた私の手を自分の右手で握りしめて来た。
「え?」
「よし・・・俺は決めた。お前がマシューの事を愛しているのは今の話で改めて分かった。その・・・分かった上で言わせてもらう。ジェシカ、俺も・・・お前を愛している。多分・・初めてライアン達の前に姿を見せたお前を見たあの時からずっと・・本当はジェシカに惹かれていたんだと思う。・・あの時・・何故学院の中を歩いているお前に声をかけたのか・・分かるか?」
デヴィットは握りしめる手を強めると言った。
「え・・・さ、さあ・・?」
「それはな・・・フード越しに見えたお前の横顔が・・・初めて会った時に見た、あの時の横顔にそっくりだったから・・・なんだ・・・。」
「デ・・・デヴィットさん・・・。」
どうしよう、はっきり言ってすごく困る。突然愛の告白をされても私は・・・。
「いいんだ・・・。ジェシカ、お前が今誰の事を好きで、愛していようとも・・・。ただ俺の正直な気持ちを・・・伝えたかったんだ。だが・・そのうえで言わせてもらう。」
「え・・?い、言うって・・何を・・・?」
「ジェシカ、お前・・言ったよな?もし、マシューが自分の事を恨んでいて、心変わりをしていても・・自分の気持ちを伝えられれば十分だって・・。」
「は、はい・・・。確かにそう・・・言いました・・けど?」
何だろう?一体・・・デヴィットは何を言いたいのだろうか?
「ジェシカは俺の事を・・・どう思っている?」
熱を込めた瞳で私をじっと見つめて来るデヴィット。
「俺を・・・あの時受け入れてくれたって事は・・・少なくとも嫌われてはいない・・・むしろ、好感を持ってもらえてると思っていいんだよな・・?そうじゃなければ・・・あんなことは出来ない・・・。」
あ・・た、確かにデヴィットの言う事は最もだけど・・・・。言葉に詰まっていると、さらにデヴィットは続ける。
「ジェシカに・・・好きになって貰えるように努力する・・・。いや、これはうぬぼれじゃないかもしれないが・・多少は・・・好意を持ってくれていると俺は思って居るんだが・・・?」
「あ・・・わ、私は・・・。」
思わず視線を逸らせる。どうして?何故・・・デヴィットはこんな事を聞いてくるのだろう?!
「いいんだ。今はそれでも・・・少なくともこれでジェシカは俺の事を意識してくれるようになったんだからな。マシューはきっと生きているさ。会えるのが・・・楽しみだな・・お前にとっても、俺にとっても・・・。」
そう言ってデヴィットは明るく笑った—。
「ここの朝食・・・すごく豪華で美味しかったですね。驚きました!」
先程食べたモーニングセットは本当に豪華だった。特にあのふわふわのパンケーキに、ふわとろのオムレツは最高だったな・・・。
「ああ、そうだな。でもカフェのメニューがここまで豪華なのは・・恐らく・・ほら、今俺達が宿泊しているホテル・・・実はセント・レイズシティで一番格式の高いホテルなんだ。あのホテルで出される食事も有名で・・・だからこの付近で営業している店も必死に頑張っているんだろうな。うん、この食事には涙ぐましい努力を感じる。」
デヴィットは食後のコーヒーを飲みながら静かに語り・・、やはりこの店のコーヒーも美味い等と言っている。
確かに私達が今宿泊しているホテルは、まるで白亜の神殿のように美しい佇まいをしている。そして眼前には海が広がり、部屋は全室オーシャンビューだった。
これで青空が見えていたら、きっと最高だったのに・・・。一体いつまでこんな陰鬱な空が続くのだろう・・・。小さくため息をついた。
「どうした、ジェシカ。溜息なんかついて・・どこか具合でも悪いのか?もし体調が悪いならすぐに俺に言うんだぞ?」
デヴィットは言いながら私の右手を取り、額に手を当てた。
「・・・熱は無いようだな?」
「・・おおげさですねえ・・・。デヴィットさんは・・・まるで過保護のお兄ちゃんみたいですね。」
苦笑しながら言うと、何故か青ざめるデヴィット。
「か・・・過保護のお、お・・・・兄ちゃん・・?せ、せめて他の言い方はないのか・・・?」
「他の・・・とは・・?」
するとデヴィットは何故か顔を赤らめる。
「た・・例えば・・、いいか、これはあくまで例えば、の話だからな?」
「はい。」
「や・・・優しい・・・・こ・恋人・・・とか・・・。」
「恋人・・・ですか・・?」
私は頬杖をつきながらデヴィットの様子を見た。彼は顔を赤くして俯いている。
う~ん・・・やはり・・・そう言う事なんだろうなあ・・・。デヴィットは私に好意を寄せている。だけど・・・・。
「ジェシカ・・・。聞きたい事があるんだが・・・ど、どうしても答えにくければ・・言わなくても・・・構わない・・・。」
デヴィットは私の目をじっと見つめると言った。
「マシューも・・・・お前の・・・聖剣士・・だったのか・・・?」
「はい。・・・一応は・・。マシューがそう言ってくれましたから・・。」
「そうか・・・。」
寂しそうな笑みを浮かべるデヴィット。
「それじゃ・・・聖女と・・・聖剣士の誓いは・・か・交わした・・のか?」
「え・・・?」
突然の問いに戸惑ってしまった。聖女と聖剣士の誓いは交わしたか・・・?そう聞かれれば、答えはイエスだ。けど・・マシューには右腕に聖剣士となる証のグリップの紋章は無かった・・。だからマシューは聖剣士では無かったと言う事になる。だけど・・私にとってはかけがえのない大切な人だったのは確かだ。
「す、すまない。答えにくい質問をしてしまったな・・・。忘れてくれ・・。」
悲し気に言うデヴィット。
「マシューは・・・マシューは・・・・正式な聖剣士では・・・無かったかもしれません・・。」
声を振り絞りながら私は言った。
「え?・・・どういう事だ・・・?」
不思議そうな表情を浮かべるデヴィット。
「デヴィットさん・・・。この学院に入学する学生達は全員・・『聖剣士』、そして『聖女』の証となる紋章が浮き出ている事が条件なんですよね・・?」
「あ、ああ・・・。そうだ。勿論・・そこには爵位も関係してくるけどな。男爵以下の身分は『聖剣士』にも『聖女』にもなれない。だが・・・ソフィーは『準男爵』だったよな・・・?何故そんな女が聖剣士全体の聖女になれたんだ・?噂によると、突然治癒魔法の能力に目覚めたからだと言われているが・・・。」
「マシューの腕には・・・聖剣士の証である『グリップ』の紋章は・・・何処にもありませんでした・・・。」
俯きながら私は答えた。
「え?そうなのか?!本人がそう言ったのか?」
「・・・・・。」
しかし私はその問いに答えられずに、思わず目を伏せるとデヴィットはすぐに気が付いたようだった。
「あ・・・そ、そうか・・。お前とマシューは・・そういう関係・・だったのか・・。そうだよな・・・そんなの・・当然・・だよな・・。」
悲し気に目を伏せるデヴィット。
「私とマシューには正式には・・・誓いを交わしてはいませんが・・・マシューも私にとっての聖剣士です・・・。」
「そうか・・・。だけど・・どうしてマシューは聖剣士になっていたんだろうな。そもそも紋章が無い人間は本来ならこの学院に入学する事すら出来ないのに・・。」
デヴィットの問いに私は答えた。
「それは・・恐らくマシューが人間と魔族の・・・・ハーフだったからです。」
「な・・何だって?!その話・・・本当なのか?」
「はい、マシューが自分で話してくれました。割と・・有名な話だったみたいですが・・デヴィットさんとは学年も違いましたからね・・御存じなかったのではないですか?でも・・少なくとも同学年の男子学生は殆ど知っていたかもしれません。だって彼は・・マシューは人間と魔族との間に生まれた人間だからと・・・周囲から冷たい目で見られていたので・・・。親しい友人すらいなかったんです。それでも・・彼はとても優しくて穏やかな人・・・でした。」
私はテーブルの上でギュッと手を握りしめながら・・マシューの事を語った。
けれど・・・不思議な事に涙は出てくる事は無かった。今までの私ならマシューの事を思い出しただけで、目頭が熱くなっていたのに・・・。
「そうか・・・。お前は・・優しくて穏やかな男が好みなんだな?」
突然デヴィットの声のトーンが変わり、そしてテーブルの上に置いた私の手を自分の右手で握りしめて来た。
「え?」
「よし・・・俺は決めた。お前がマシューの事を愛しているのは今の話で改めて分かった。その・・・分かった上で言わせてもらう。ジェシカ、俺も・・・お前を愛している。多分・・初めてライアン達の前に姿を見せたお前を見たあの時からずっと・・本当はジェシカに惹かれていたんだと思う。・・あの時・・何故学院の中を歩いているお前に声をかけたのか・・分かるか?」
デヴィットは握りしめる手を強めると言った。
「え・・・さ、さあ・・?」
「それはな・・・フード越しに見えたお前の横顔が・・・初めて会った時に見た、あの時の横顔にそっくりだったから・・・なんだ・・・。」
「デ・・・デヴィットさん・・・。」
どうしよう、はっきり言ってすごく困る。突然愛の告白をされても私は・・・。
「いいんだ・・・。ジェシカ、お前が今誰の事を好きで、愛していようとも・・・。ただ俺の正直な気持ちを・・・伝えたかったんだ。だが・・そのうえで言わせてもらう。」
「え・・?い、言うって・・何を・・・?」
「ジェシカ、お前・・言ったよな?もし、マシューが自分の事を恨んでいて、心変わりをしていても・・自分の気持ちを伝えられれば十分だって・・。」
「は、はい・・・。確かにそう・・・言いました・・けど?」
何だろう?一体・・・デヴィットは何を言いたいのだろうか?
「ジェシカは俺の事を・・・どう思っている?」
熱を込めた瞳で私をじっと見つめて来るデヴィット。
「俺を・・・あの時受け入れてくれたって事は・・・少なくとも嫌われてはいない・・・むしろ、好感を持ってもらえてると思っていいんだよな・・?そうじゃなければ・・・あんなことは出来ない・・・。」
あ・・た、確かにデヴィットの言う事は最もだけど・・・・。言葉に詰まっていると、さらにデヴィットは続ける。
「ジェシカに・・・好きになって貰えるように努力する・・・。いや、これはうぬぼれじゃないかもしれないが・・多少は・・・好意を持ってくれていると俺は思って居るんだが・・・?」
「あ・・・わ、私は・・・。」
思わず視線を逸らせる。どうして?何故・・・デヴィットはこんな事を聞いてくるのだろう?!
「いいんだ。今はそれでも・・・少なくともこれでジェシカは俺の事を意識してくれるようになったんだからな。マシューはきっと生きているさ。会えるのが・・・楽しみだな・・お前にとっても、俺にとっても・・・。」
そう言ってデヴィットは明るく笑った—。
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