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第4章 2 デヴィットの尋問
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1
翌朝―
フカフカの豪華なベッドで目覚めた私は着替えをすませると寝室を出た。
するとそこにはソファの上に寝転がる2人の男性の姿が。
「ううう・・・あ、頭が痛い・・・。」
ダニエル先輩は頭を押さえて毛布にくるまりながら唸っている。
「気分が悪い・・・・吐きそうだ・・・。」
マイケルさんは青ざめた顔で身体を丸めてぐったりしている。
「お2人とも、大丈夫ですか?」
私は慌てて2人に駆け寄った。
「やあ・・・お、おはよう。ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩は眉をしかめながらも笑顔で私に言った。だけど・・・その額には汗が滲んでいた。
「お嬢さん・・・。申し訳ないが・・・洗面器を傍に置いておいて貰えないかな・・・?」
マイケルさんは口を押えながら私に言った。
ひえええっ!い・今にも吐きそうじゃない!
「は、はいっ!すぐに持ってきますね!」
大急ぎでバスルームから洗面器を持って来ると私はマイケルさんの枕元に置いた。
「す、すまないね・・・。ウッ!」
早速・・・マイケルさんは吐いてしまった―。
「大丈夫ですか?」
私は背中をさすりながら言った。
「う、うん・・・。もう大丈夫、何とか治まったから・・・。やっぱりお嬢さんは優しいね。ソフィーの件が片付いたらお嫁においで。」
青ざめた顔で私を見て、無理やり笑顔を作るマイケルさん。こんな時にも冗談を言うなんて、ほんとに良く分からない人だ。
「それだけ冗談を言える余裕が出来たと言う訳ですね。もう今日は休んでいてください。」
「・・・はい・・・。」
マイケルさんは小さく返事をすると瞳を閉じた。
ダニエル先輩は頭痛が酷いと言うので、先程ベッドルームへ向ったし・・・・・。
後はデヴィットだ。
まだバーカウンターの床で転がっているのだろうか・・・?昨夜はちょっと衝撃的だったので、そのままデヴィットを放置して部屋に逃げ帰ってしまったんだっけ・・。
「あれ・・・いない・・?」
バーカウンターを覗き込んでもデヴィットの姿はいない。
「一体、何処へ行ってるんだろう・・?」
その時—。
ガチャリ。
ホテルの客室のドアが開かれた。
「え・・・?」
ドアを開けて入って来たのはデヴィットだったのだ。ラフな服装に手には何故か木刀?らしきものを持っている。
そして私を見ると笑顔で言った。
「おはよう、ジェシカ。よく眠れたか?」
「・・おはようございます・・・。」
デヴィットはいつもと同じ自然体だ。それにしても・・・昨夜の事を何も覚えていないのだろうか?あんな事をしておいて・・。それとも、もう関係を2回も持っているので、あれくらいはどうって事は無いと思っているのだろうか?!
確認してみなくては・・・。それにあの2人は二日酔いで寝込んでいるというのに・・昨夜はデヴィットだって酔いつぶれていたよねえ?
「あ、あの・・・今どちらに行ってたのですか・・?」
「ああ。剣術のトレーニングだ。」
「トレーニング?」
「そうだ。毎日の日課なんだ・・・。悪い、ちょっとシャワー浴びて来るから話の続きは後でも構わないか?」
「は、はい・・・。分かりました・・・。」
まあ、いいか。時間はたっぷりある事だし・・・。私は客室に置かれているコーヒーセットを見つけたので、いれる事にしたー。
15分後—
シャワールームから出てきたデヴィットが濡れた髪をタオルで拭きながら私の所へやって来た。
「お、コーヒーの匂いか。いいな。」
「デヴィットさんも飲みますか?入れますけど?」
「本当か、ありがとう。飲むよ。」
嬉しそうにソファに座るのを見届けた私はキッチンに行って早速コーヒの準備をした。
それにしても・・・デヴィットの様子は全く普段と変わらない。やはり・・昨夜の事は全く覚えていないのかもしれない。
「はい、お待たせしました。」
デヴィットの前にコーヒーカップを置く。
「うん・・・。美味い。」
言いながらデヴィットは辺りを見渡し、私に尋ねて来た。
「ダニエルはどうしたんだ?」
「ダニエル先輩は二日酔いで頭痛が酷いそうなのでベッドルームでお休み中です。マイケルさんは・・・そこのリビングで眠っています。大分飲んでいたようですからね・・・。」
言いながらチラリとデヴィットを見る私。
「何だ?俺の顔に何かついてるか?」
首を傾げて私を見つめて来る。
「いいえ。何でもありません。」
「しかし・・流石に昨夜は飲みすぎたかな?知ってたか、ジェシカ。この部屋に置いてあるアルコールは全て宿泊代に含まれているからいくら飲んでもお金がかからないんだ。ジェシカ、お前は酒は好きか?」
「はい、大好きです。たまに1人でサロンに飲みに行ってましたよ。」
「な・・何だって?ひ・・1人でか?」
「はい。何か問題でもありましたか?」
「だって危険だろう?!」
大袈裟だなあ・・・デヴィットは。
どうせサロンと言ってもセント・レイズ学院の学生しか利用しない場所なのだ。それ程女1人で飲んでも危険を感じた事は無かった。
「だから・・・やっぱりお前は無防備で・・・隙だらけなんだよ・・・。くそっ!もっと早くから知り合っていれば絶対に1人でサロンになんか行かせなかったのに・・。」
ブツブツ何やら独り言を言い始めたデヴィット。
「所で・・・デヴィットさん。毎朝トレーニングをされていたのですか?」
「ああ、当然だろう?何せ、俺達が通うのは『セント・レイズ学院』だ。学問も大事だがそれ以上に重視されているのが魔力と剣術の実力だからな。」
へえ~そうだったんだ・・・。
「それで毎日欠かさずトレーニングをされているのですね。・・・凄い努力家なんですね。尊敬します。」
素直に言うと、途端に顔を真っ赤にするデヴィット。
うん、ちょっと熱血感が強いけども・・・心はピュアな人なんだよね。
「と、所で昨夜の事なんだが・・・すまなかった。」
「へ?」
「いや・・・絶対に恐らくお前に何らかの手を出したことは間違いないはずなんだ・・・。そうでなければこんな・・。」
デヴィットは言いながら顔がどんどん真っ赤になっていく。
「え・・?その言い方・・・まるで覚えていない様ですけど・・・それなのに何故謝って来るのですか?」
「そ、それは・・・い、いつもの俺なら絶対にあの2人みたいに二日酔いになっているはずなのに・・・すっかりアルコールが抜けて・・気分もすっきりしているからだ・・・。」
「?」
え?何?どういう事なの?さっぱり意味が分からない。
「あの・・・それは一体どういう事・・ですか?」
「あ、ああ・・。実は聖剣士になった時に聞かされたんだが、自分だけの聖女を見つけて絆を深める事が出来たら・・・怪我や毒等に侵されている時に聖女に触れる事で治癒する事が出来るらしいんだ。だが・・・中々聖女の力に目覚める者がいなくて・・・だけど、俺は・・運が良かったよ。ジェシカ・・お前に会う事が出来たからな。ジェシカの力は本物だ。俺には分かる。以前とは比べ物にならない位魔力も・力も強くなったんだ。それに・・・昨夜はあんなに飲んだのに・・。すっかり俺の身体からアルコールが抜けて、体調がすごくいいんだ。と言う事は・・・お、俺は‥多分お前に何かしてしまったという事だ。そう・・・なんだろう・・?」
最期の方は何とも弱々しく、消え入りそうな声で上目遣いになって私を見つめる。
ああ・・・それでか・・・。確かにアルコールも身体に毒と言えない事も無いだろうし・・・。
「ええ・・。まあ、多少はありましたけど・・・。」
「多少・・?やっぱり俺はお前に何かしたんだな・・・?!」
「もう気にしていませんから・・・。でも具合が良いならいい事です。何せ、デヴィットさんは私の聖剣士ですからね。」
「ジェシカ・・・。」
デヴィットは顔を赤らめ、瞳をウルウルさせて私を見つめた。
「でも・・・あまり激しいのは困ります。」
「え・・・?」
途端に青ざめるデヴィット。
「は、激しいって・・・・?」
言葉を震わせながら尋ねて来る。フフ・・少しだけからかってみようかな?
「・・・それを女の口からいわせるつもりですか?」
ピシッ!
まるで音が鳴ったのでは無いかと思われる程に硬直するデヴィット。
うん、後は・・・彼の想像にお任せしよう―。
2
「デヴィットさん、学院に戻って授業に出なくても大丈夫なのですか?」
コーヒーを飲み終えたデヴィットに尋ねると彼は言った。
「ジェシカ・・・。実は・・・今の学院はもう以前とはすっかり変わってしまったんだ。授業内容も魔法や剣術と言った実践的なものばかりで、経営学や商法、物理や歴史・・・・そのような授業は一切排除され、教授は軒並みクビになり、代わりに怪しげな魔術師達が現れたんだ・・。」
「え・・・?そ、それじゃジョセフ先生が辞めさせられた本当の理由って私じゃ無かったのかも・・・?」
「ジョセフ・・・?先生・・・?誰だ?随分親しげな言い方だな?」
「ええ、天文学の講師の方で・・色々と個人的に親しくはさせて頂いておりました・・・ので・・・?」
あれ?何だろう。話しているうちにデヴィットの眉間にシワが・・・。
「あ、あの~どうかされました・・・か・・?」
「ジェシカ・・・個人的に親しく・・とはどのレベルの事を言っているんだ?」
何故か凄みを聞かせた声で詰め寄って来る。
「あの・・・どのレベルと言われても・・・基準が分からないので何とも言えないのですが・・・。」
「うん・・。そうだな・・・言われてみればどのレベルと漠然とした質問では確かに答えられないな・・・。よし、これならどうだ?」
デヴィットは改めてソファに座りなおすと言った。
「まずレベル1、個人的に挨拶をする程度。レベル2、個人的に会話をする程度。レベル3、一緒に学院で食事をする仲。レベル4、休日に一緒に外出する仲・・・どうだ?ジェシカ?この中ではどのレベルに該当するんだ?」
あまりに真剣な様子で尋ねて来るので・・・ここは正直に答えてあげた方が良さそうだ。
「では・・レベル4・・・でしょうか・・?」
「な・・・何?!レ・・・レベル4だって・・・?!そ、そんな・・・。」
デヴィットはかなりショックを受けたようで、ソファの背もたれにドサリと倒れ込んだ。え・・・?レベル4でそんなにショックを受けるの?それなら私とデヴィットの関係はどうなるの?私達・・・男女の関係を持っていますよね?しかも2回も・・・。
「よ、よし・・それでは次のレベルへ行くぞ・・・。」
「ええ?!まだ続くんですか?!もう・・・そこまで聞けばいいと思うのですが・・。」
それよりも他にする事があるんじゃないのだろうか?こんな会話・・・はっきり言って私には不毛なのだけど・・。
「だ・・・駄目だっ!この際・・・2人の関係を明らかにしておかなければ・・・!ではレベル5・・・。」
「あーっ!もう、分かりましたってば!ちゃんとお話しします。いいですか、よく聞いておいて下さいね。」
「ジョセフ先生とは先生のご自宅に招かれて先生の手作りの夕食をご馳走になるような関係でした。去年の流星群を一緒に見た事もありますし、プレゼントも頂いた事があります。ちなみにジョセフ先生からは告白されていますが、私は返事をしておりません。以上ですが・・・。あ、そういえば・・ジョセフ先生とマイケルさんは親友同士ですよ。」
「ちょ・・・ちょっと待て・・・ジェシカ・・・。」
話を聞き終えたデヴィットは震えながら私を見た。
「ジェ、ジェシカ・・・・。お、お前・・・教師の家に行って手作りの食事をご馳走になってるのか?2人きりで?」
「はい、ジョセフ先生はこの町に住んでる方ですし・・・。」
「流星群を一緒に観たと言っていたが・・・・。」
「はい、途中まで一緒に観ていたのですが・・・マリウスが現れて・・結局私はマリウスに拉致されて2人で流星群を見る事になってしまいましたが・・・。あの時は身の危険を感じて、ちょっと怖かったですね。」
「おい!ちょっと待て!何だ?その話は・・・。マリウスとはお前の従者だよな?あの目つきがちょっとヤバ気な・・・。」
「はい、そうです。マリウスはかなりヤバイ人物です。」
私は即答した。
「身の危険を感じた・・・と言っていたが、ひょっとして襲われそうにでもなったのか?」
「ええ、まあそんな所ですね。」
うん?ジョセフ先生の話をしていたのに、いつの間にかマリウスの話にすり替わってるよ。
「な・・・何だってっ?!くそっ!そうと知っていればあの場で叩きのめしてやったのに・・・!」
ダンッとテーブルを拳で叩くデヴィット。ひええええ・・・相変わらずの熱血だ。
「ま、まあ・・お前の従者の話はもういい。それよりそのジョセフとかいう教師の話だ。プレゼントを貰ったと言っていたが・・・?」
「ええ、それは私の従者・・マリウスを危険視したジョセフ先生がお守としてくれたマジックアイテムのプレゼントですよ?」
「畜生!またマリウスか?!許せん・・・今度偶然会ったらぶん殴ってやるっ!」
悔しそうに唇をかむデヴィット。お願いだから落ち着いて欲しい。
「ま、まあいい。それよりジョセフの話だ。」
あ・・・とうとうデヴィットがジョセフ先生を呼び捨てにしちゃったよ・・・。直接指導は受けていなかったのかもしれないけど・・相手は先生なんですよ?もういい加減こんな話終わりにしなければ、延々と続きそうだ。よし、ならば・・・。
コホンと咳ばらいをすると私はデヴィットの目をじっと見つめて言った。
「デヴィットさん・・・。私は確かにジョセフ先生に(何回か)告白はされましたが・・・付き合った事はありませんからね?あくまで教師と生徒・・もしくは友達のような関係でしたから。むしろ・・・。」
「むしろ?」
そこで私はデヴィットとの距離を詰めて、彼の耳元で囁くように言った・
「デヴィットさんとの方が・・・よほど深い関係ですからね?」
そう言って、サッと身体を引くと・・・デヴィットは耳まで顔を赤く染め・・・
「す、少し外の空気を吸って来る!」
そう言うと部屋から慌てて出て行った。
ふう・・・やっとこれでこの話は終わりにする事が出来た—かな?
そしてそれから約10分後・・・。
「ただいま、ジェシカ・・・。」
デヴィットが何故か憔悴しきった様子でホテルへ戻って来た。
「デヴィットさん、一体どこまで行ってたのですか?随分お疲れの様ですが・・。」
「い、いや。気を落ち着かせるためにホテルの外で、剣の素振りを300回やって来ただけだ。」
「へえ~そうですか。300回・・300回?!」
「何だ。それ程驚く事か?こんなのは当たり前だと思うが・・・?」
「はあ・・そうなんですね・・・。」
300回が当たり前なんて・・・。そう言えば毎朝のトレーニングも欠かしたことが無さそうだし・・。デヴィットはある意味ストイックに生きているのかも・・。
「所でジェシカ。腹が空かないか?朝の食事はどうする?」
言われてみればお腹が空いてる。時間はもう9時になろうとしている。これじゃ流石にお腹すくわ・・。
「この部屋でルームサービスを取る事も出来るが・・・。どうする?」
ルームサービス・・・ああ、何と優雅な響きなのだろう。でも・・・。
「いえ、外で食事をしてこようかと思います。実は朝食の後、役所に用事があって行きたいので・・・。どのみち、マイケルさんは二日酔いが酷そうなので、食べ物の匂いを嗅ぐだけで気分が悪くなると思いますし・・・・やめておきます。」
「そうか。言われ見れば確かにその通りかもしれないな。よし、ジェシカ。それなら俺も一緒に行ってもいいだろう?」
「ええ。勿論です。出来れば・・・なるべく1人にならない方がいいかと思って。何処にソフィーの仲間が潜んでいるか分からないので・・・。」
笑顔でデヴィットに応える。
但し・・・・夜には酔い潰れて頂きますけどね—。
翌朝―
フカフカの豪華なベッドで目覚めた私は着替えをすませると寝室を出た。
するとそこにはソファの上に寝転がる2人の男性の姿が。
「ううう・・・あ、頭が痛い・・・。」
ダニエル先輩は頭を押さえて毛布にくるまりながら唸っている。
「気分が悪い・・・・吐きそうだ・・・。」
マイケルさんは青ざめた顔で身体を丸めてぐったりしている。
「お2人とも、大丈夫ですか?」
私は慌てて2人に駆け寄った。
「やあ・・・お、おはよう。ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩は眉をしかめながらも笑顔で私に言った。だけど・・・その額には汗が滲んでいた。
「お嬢さん・・・。申し訳ないが・・・洗面器を傍に置いておいて貰えないかな・・・?」
マイケルさんは口を押えながら私に言った。
ひえええっ!い・今にも吐きそうじゃない!
「は、はいっ!すぐに持ってきますね!」
大急ぎでバスルームから洗面器を持って来ると私はマイケルさんの枕元に置いた。
「す、すまないね・・・。ウッ!」
早速・・・マイケルさんは吐いてしまった―。
「大丈夫ですか?」
私は背中をさすりながら言った。
「う、うん・・・。もう大丈夫、何とか治まったから・・・。やっぱりお嬢さんは優しいね。ソフィーの件が片付いたらお嫁においで。」
青ざめた顔で私を見て、無理やり笑顔を作るマイケルさん。こんな時にも冗談を言うなんて、ほんとに良く分からない人だ。
「それだけ冗談を言える余裕が出来たと言う訳ですね。もう今日は休んでいてください。」
「・・・はい・・・。」
マイケルさんは小さく返事をすると瞳を閉じた。
ダニエル先輩は頭痛が酷いと言うので、先程ベッドルームへ向ったし・・・・・。
後はデヴィットだ。
まだバーカウンターの床で転がっているのだろうか・・・?昨夜はちょっと衝撃的だったので、そのままデヴィットを放置して部屋に逃げ帰ってしまったんだっけ・・。
「あれ・・・いない・・?」
バーカウンターを覗き込んでもデヴィットの姿はいない。
「一体、何処へ行ってるんだろう・・?」
その時—。
ガチャリ。
ホテルの客室のドアが開かれた。
「え・・・?」
ドアを開けて入って来たのはデヴィットだったのだ。ラフな服装に手には何故か木刀?らしきものを持っている。
そして私を見ると笑顔で言った。
「おはよう、ジェシカ。よく眠れたか?」
「・・おはようございます・・・。」
デヴィットはいつもと同じ自然体だ。それにしても・・・昨夜の事を何も覚えていないのだろうか?あんな事をしておいて・・。それとも、もう関係を2回も持っているので、あれくらいはどうって事は無いと思っているのだろうか?!
確認してみなくては・・・。それにあの2人は二日酔いで寝込んでいるというのに・・昨夜はデヴィットだって酔いつぶれていたよねえ?
「あ、あの・・・今どちらに行ってたのですか・・?」
「ああ。剣術のトレーニングだ。」
「トレーニング?」
「そうだ。毎日の日課なんだ・・・。悪い、ちょっとシャワー浴びて来るから話の続きは後でも構わないか?」
「は、はい・・・。分かりました・・・。」
まあ、いいか。時間はたっぷりある事だし・・・。私は客室に置かれているコーヒーセットを見つけたので、いれる事にしたー。
15分後—
シャワールームから出てきたデヴィットが濡れた髪をタオルで拭きながら私の所へやって来た。
「お、コーヒーの匂いか。いいな。」
「デヴィットさんも飲みますか?入れますけど?」
「本当か、ありがとう。飲むよ。」
嬉しそうにソファに座るのを見届けた私はキッチンに行って早速コーヒの準備をした。
それにしても・・・デヴィットの様子は全く普段と変わらない。やはり・・昨夜の事は全く覚えていないのかもしれない。
「はい、お待たせしました。」
デヴィットの前にコーヒーカップを置く。
「うん・・・。美味い。」
言いながらデヴィットは辺りを見渡し、私に尋ねて来た。
「ダニエルはどうしたんだ?」
「ダニエル先輩は二日酔いで頭痛が酷いそうなのでベッドルームでお休み中です。マイケルさんは・・・そこのリビングで眠っています。大分飲んでいたようですからね・・・。」
言いながらチラリとデヴィットを見る私。
「何だ?俺の顔に何かついてるか?」
首を傾げて私を見つめて来る。
「いいえ。何でもありません。」
「しかし・・流石に昨夜は飲みすぎたかな?知ってたか、ジェシカ。この部屋に置いてあるアルコールは全て宿泊代に含まれているからいくら飲んでもお金がかからないんだ。ジェシカ、お前は酒は好きか?」
「はい、大好きです。たまに1人でサロンに飲みに行ってましたよ。」
「な・・何だって?ひ・・1人でか?」
「はい。何か問題でもありましたか?」
「だって危険だろう?!」
大袈裟だなあ・・・デヴィットは。
どうせサロンと言ってもセント・レイズ学院の学生しか利用しない場所なのだ。それ程女1人で飲んでも危険を感じた事は無かった。
「だから・・・やっぱりお前は無防備で・・・隙だらけなんだよ・・・。くそっ!もっと早くから知り合っていれば絶対に1人でサロンになんか行かせなかったのに・・。」
ブツブツ何やら独り言を言い始めたデヴィット。
「所で・・・デヴィットさん。毎朝トレーニングをされていたのですか?」
「ああ、当然だろう?何せ、俺達が通うのは『セント・レイズ学院』だ。学問も大事だがそれ以上に重視されているのが魔力と剣術の実力だからな。」
へえ~そうだったんだ・・・。
「それで毎日欠かさずトレーニングをされているのですね。・・・凄い努力家なんですね。尊敬します。」
素直に言うと、途端に顔を真っ赤にするデヴィット。
うん、ちょっと熱血感が強いけども・・・心はピュアな人なんだよね。
「と、所で昨夜の事なんだが・・・すまなかった。」
「へ?」
「いや・・・絶対に恐らくお前に何らかの手を出したことは間違いないはずなんだ・・・。そうでなければこんな・・。」
デヴィットは言いながら顔がどんどん真っ赤になっていく。
「え・・?その言い方・・・まるで覚えていない様ですけど・・・それなのに何故謝って来るのですか?」
「そ、それは・・・い、いつもの俺なら絶対にあの2人みたいに二日酔いになっているはずなのに・・・すっかりアルコールが抜けて・・気分もすっきりしているからだ・・・。」
「?」
え?何?どういう事なの?さっぱり意味が分からない。
「あの・・・それは一体どういう事・・ですか?」
「あ、ああ・・。実は聖剣士になった時に聞かされたんだが、自分だけの聖女を見つけて絆を深める事が出来たら・・・怪我や毒等に侵されている時に聖女に触れる事で治癒する事が出来るらしいんだ。だが・・・中々聖女の力に目覚める者がいなくて・・・だけど、俺は・・運が良かったよ。ジェシカ・・お前に会う事が出来たからな。ジェシカの力は本物だ。俺には分かる。以前とは比べ物にならない位魔力も・力も強くなったんだ。それに・・・昨夜はあんなに飲んだのに・・。すっかり俺の身体からアルコールが抜けて、体調がすごくいいんだ。と言う事は・・・お、俺は‥多分お前に何かしてしまったという事だ。そう・・・なんだろう・・?」
最期の方は何とも弱々しく、消え入りそうな声で上目遣いになって私を見つめる。
ああ・・・それでか・・・。確かにアルコールも身体に毒と言えない事も無いだろうし・・・。
「ええ・・。まあ、多少はありましたけど・・・。」
「多少・・?やっぱり俺はお前に何かしたんだな・・・?!」
「もう気にしていませんから・・・。でも具合が良いならいい事です。何せ、デヴィットさんは私の聖剣士ですからね。」
「ジェシカ・・・。」
デヴィットは顔を赤らめ、瞳をウルウルさせて私を見つめた。
「でも・・・あまり激しいのは困ります。」
「え・・・?」
途端に青ざめるデヴィット。
「は、激しいって・・・・?」
言葉を震わせながら尋ねて来る。フフ・・少しだけからかってみようかな?
「・・・それを女の口からいわせるつもりですか?」
ピシッ!
まるで音が鳴ったのでは無いかと思われる程に硬直するデヴィット。
うん、後は・・・彼の想像にお任せしよう―。
2
「デヴィットさん、学院に戻って授業に出なくても大丈夫なのですか?」
コーヒーを飲み終えたデヴィットに尋ねると彼は言った。
「ジェシカ・・・。実は・・・今の学院はもう以前とはすっかり変わってしまったんだ。授業内容も魔法や剣術と言った実践的なものばかりで、経営学や商法、物理や歴史・・・・そのような授業は一切排除され、教授は軒並みクビになり、代わりに怪しげな魔術師達が現れたんだ・・。」
「え・・・?そ、それじゃジョセフ先生が辞めさせられた本当の理由って私じゃ無かったのかも・・・?」
「ジョセフ・・・?先生・・・?誰だ?随分親しげな言い方だな?」
「ええ、天文学の講師の方で・・色々と個人的に親しくはさせて頂いておりました・・・ので・・・?」
あれ?何だろう。話しているうちにデヴィットの眉間にシワが・・・。
「あ、あの~どうかされました・・・か・・?」
「ジェシカ・・・個人的に親しく・・とはどのレベルの事を言っているんだ?」
何故か凄みを聞かせた声で詰め寄って来る。
「あの・・・どのレベルと言われても・・・基準が分からないので何とも言えないのですが・・・。」
「うん・・。そうだな・・・言われてみればどのレベルと漠然とした質問では確かに答えられないな・・・。よし、これならどうだ?」
デヴィットは改めてソファに座りなおすと言った。
「まずレベル1、個人的に挨拶をする程度。レベル2、個人的に会話をする程度。レベル3、一緒に学院で食事をする仲。レベル4、休日に一緒に外出する仲・・・どうだ?ジェシカ?この中ではどのレベルに該当するんだ?」
あまりに真剣な様子で尋ねて来るので・・・ここは正直に答えてあげた方が良さそうだ。
「では・・レベル4・・・でしょうか・・?」
「な・・・何?!レ・・・レベル4だって・・・?!そ、そんな・・・。」
デヴィットはかなりショックを受けたようで、ソファの背もたれにドサリと倒れ込んだ。え・・・?レベル4でそんなにショックを受けるの?それなら私とデヴィットの関係はどうなるの?私達・・・男女の関係を持っていますよね?しかも2回も・・・。
「よ、よし・・それでは次のレベルへ行くぞ・・・。」
「ええ?!まだ続くんですか?!もう・・・そこまで聞けばいいと思うのですが・・。」
それよりも他にする事があるんじゃないのだろうか?こんな会話・・・はっきり言って私には不毛なのだけど・・。
「だ・・・駄目だっ!この際・・・2人の関係を明らかにしておかなければ・・・!ではレベル5・・・。」
「あーっ!もう、分かりましたってば!ちゃんとお話しします。いいですか、よく聞いておいて下さいね。」
「ジョセフ先生とは先生のご自宅に招かれて先生の手作りの夕食をご馳走になるような関係でした。去年の流星群を一緒に見た事もありますし、プレゼントも頂いた事があります。ちなみにジョセフ先生からは告白されていますが、私は返事をしておりません。以上ですが・・・。あ、そういえば・・ジョセフ先生とマイケルさんは親友同士ですよ。」
「ちょ・・・ちょっと待て・・・ジェシカ・・・。」
話を聞き終えたデヴィットは震えながら私を見た。
「ジェ、ジェシカ・・・・。お、お前・・・教師の家に行って手作りの食事をご馳走になってるのか?2人きりで?」
「はい、ジョセフ先生はこの町に住んでる方ですし・・・。」
「流星群を一緒に観たと言っていたが・・・・。」
「はい、途中まで一緒に観ていたのですが・・・マリウスが現れて・・結局私はマリウスに拉致されて2人で流星群を見る事になってしまいましたが・・・。あの時は身の危険を感じて、ちょっと怖かったですね。」
「おい!ちょっと待て!何だ?その話は・・・。マリウスとはお前の従者だよな?あの目つきがちょっとヤバ気な・・・。」
「はい、そうです。マリウスはかなりヤバイ人物です。」
私は即答した。
「身の危険を感じた・・・と言っていたが、ひょっとして襲われそうにでもなったのか?」
「ええ、まあそんな所ですね。」
うん?ジョセフ先生の話をしていたのに、いつの間にかマリウスの話にすり替わってるよ。
「な・・・何だってっ?!くそっ!そうと知っていればあの場で叩きのめしてやったのに・・・!」
ダンッとテーブルを拳で叩くデヴィット。ひええええ・・・相変わらずの熱血だ。
「ま、まあ・・お前の従者の話はもういい。それよりそのジョセフとかいう教師の話だ。プレゼントを貰ったと言っていたが・・・?」
「ええ、それは私の従者・・マリウスを危険視したジョセフ先生がお守としてくれたマジックアイテムのプレゼントですよ?」
「畜生!またマリウスか?!許せん・・・今度偶然会ったらぶん殴ってやるっ!」
悔しそうに唇をかむデヴィット。お願いだから落ち着いて欲しい。
「ま、まあいい。それよりジョセフの話だ。」
あ・・・とうとうデヴィットがジョセフ先生を呼び捨てにしちゃったよ・・・。直接指導は受けていなかったのかもしれないけど・・相手は先生なんですよ?もういい加減こんな話終わりにしなければ、延々と続きそうだ。よし、ならば・・・。
コホンと咳ばらいをすると私はデヴィットの目をじっと見つめて言った。
「デヴィットさん・・・。私は確かにジョセフ先生に(何回か)告白はされましたが・・・付き合った事はありませんからね?あくまで教師と生徒・・もしくは友達のような関係でしたから。むしろ・・・。」
「むしろ?」
そこで私はデヴィットとの距離を詰めて、彼の耳元で囁くように言った・
「デヴィットさんとの方が・・・よほど深い関係ですからね?」
そう言って、サッと身体を引くと・・・デヴィットは耳まで顔を赤く染め・・・
「す、少し外の空気を吸って来る!」
そう言うと部屋から慌てて出て行った。
ふう・・・やっとこれでこの話は終わりにする事が出来た—かな?
そしてそれから約10分後・・・。
「ただいま、ジェシカ・・・。」
デヴィットが何故か憔悴しきった様子でホテルへ戻って来た。
「デヴィットさん、一体どこまで行ってたのですか?随分お疲れの様ですが・・。」
「い、いや。気を落ち着かせるためにホテルの外で、剣の素振りを300回やって来ただけだ。」
「へえ~そうですか。300回・・300回?!」
「何だ。それ程驚く事か?こんなのは当たり前だと思うが・・・?」
「はあ・・そうなんですね・・・。」
300回が当たり前なんて・・・。そう言えば毎朝のトレーニングも欠かしたことが無さそうだし・・。デヴィットはある意味ストイックに生きているのかも・・。
「所でジェシカ。腹が空かないか?朝の食事はどうする?」
言われてみればお腹が空いてる。時間はもう9時になろうとしている。これじゃ流石にお腹すくわ・・。
「この部屋でルームサービスを取る事も出来るが・・・。どうする?」
ルームサービス・・・ああ、何と優雅な響きなのだろう。でも・・・。
「いえ、外で食事をしてこようかと思います。実は朝食の後、役所に用事があって行きたいので・・・。どのみち、マイケルさんは二日酔いが酷そうなので、食べ物の匂いを嗅ぐだけで気分が悪くなると思いますし・・・・やめておきます。」
「そうか。言われ見れば確かにその通りかもしれないな。よし、ジェシカ。それなら俺も一緒に行ってもいいだろう?」
「ええ。勿論です。出来れば・・・なるべく1人にならない方がいいかと思って。何処にソフィーの仲間が潜んでいるか分からないので・・・。」
笑顔でデヴィットに応える。
但し・・・・夜には酔い潰れて頂きますけどね—。
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どうしよう、欲が出て来た?
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2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
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追記:2025/09/20
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