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第7章2 仮面の呪い
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部屋に入ると、彼はマントを外して鎧を脱ぐとテーブルに置いた。ひょっとすると・・着替えをするのだろうか?
「あ、あの・・・着替えるんですか?」
すると黙って頷く彼。
「ああ。それなら着替えが終わるまで部屋の外で待っていますね。」
そう言って出て行こうとすると肩を掴んで引き留められた。
「危ないから・・・ここにいろって事・・・ですか?」
尋ねると、やはり頷く。
・・ひょっとすると・・・この神殿の中は危ない場所なのだろうか・・・?だけど・・。着替えをしている男性と同じ部屋にいるのはやはりまずいだろう。
「大丈夫ですよ、ほんの少しの間ですから・・・。」
ドアノブを回して出ようとすると、彼はドアの前に立ちふさがり鍵をかけると何やらメモを書き出した。
『ここにいる兵士たちは皆危険だ。女が1人でいると何をされるか分からない』
私はそのメモを読んで衝撃を受けた。そ、そんな・・・。それなら絶対に1人にはなれない!
「わ・・分かりました。この部屋にいさせて貰います。」
すると彼はフウと溜息をつくと再びメモを書いてよこした。
『絶対に部屋を出る時は声をかけろ』
「はい、分かりました。」
頷くとようやく納得してくれたのか、彼は着替えを出してくると背中を向けて服を脱ぎ始めた。
私は慌てて彼に背中を向けて椅子に座り、静かに着替えが終わるのを待っていた。
そして少し待った後に肩を叩かれた。振り向くと彼は白いシャツに茶色のボトムスというラフな格好に着替え終わっていた。ただ・・やはり鉄仮面は被ったまま。
「その仮面・・・苦しくないですか?」
すると彼はメモを書いて渡す。
『初めは苦しかったけど、もう慣れた』
そんな・・・慣れたなんて・・・・・嘘に決まっている。だってこのマスクのせいで水も食事も口にする事が出来ない。いくら喉の渇きも飢えも無いと言われても・・辛いと思う。寝る時だって外す事は出来ないのだ。そしてソフィーに歯向かえば鉄仮面に締め付けられて苦しめられる。
記憶も無くし、言葉も話せなくなってしまった彼の心境を想うと・・・気の毒でならない。このマスクのせいで・・・声を奪われ、彼女は愛しい聖女に愛を囁く事だって出来ないのだ。なんて可哀そうな・・・。
思わず涙ぐむと、彼は困ったようなしぐさをみせ・・・そっと私を抱き寄せ、頭を撫でて来た。
まるで慰めているかのように・・・。
ああ・・・・でも、やっぱり私はこの腕の中を・・・この温もりを覚えている。
でも、この人はマシューでは無い。・・・だってこの人には紋章がある。
それなら一体・・・貴方は誰なの・・・?でも駄目だ。この人の腕の中は・・私の物では無い。
「あ、あの・・・すみません。泣いたりして・・・もう大丈夫ですから。」
言いながら軽く押すと彼は静かに後ろに下がる。
「お疲れでしょうから・・・どうぞ私に構わずベッドで横になって下さい。大丈夫です。何処にも行きませんから。」
そして椅子に腰かけた。
彼はそんな私を少しだけ見つめていたが・・やはり疲れているのだろう。
ベッドに入ると、何故か私の方を見つめている。
「・・・どうかしましたか?私がいると・・寝にくいですか?それなら貴方の視界に入らない場所に移動しますよ?」
そう言ってタンスの陰に椅子を持って行こうと立ち上がると、手首を捕まえられた。
・・・引き留めているのだろうか?
『ここにいろ』
彼はメモを寄こしてきた。
・・・やっぱり彼は・・マシューでは無いだろう。彼はこんな不愛想な話し方をする人では無かったから。
「はい。分かりました。ここにいます。」
ニッコリ笑って言うと、ようやく彼は安心したのか少しだけ身じろぎすると・・・すぐに寝息が聞こえて来た。
・・・余程疲れていたのだろう。無理もない・・・・12時間も寝ずに、魔物と戦ったのだから。
「お休みなさい・・・。」
私は眠っている彼にそっと呟いた。
・・・それにしても・・・特にする事も無いし、私も正直に言えば疲れている。
少し寝かせて貰おう・・・。
私は机に突っ伏すと・・そのまま眠ってしまった。
ああ、温かいな・・・。
ドクドクドクドク・・・・規則正しい心臓の音と、すぐ側で誰かの寝息が聞こえる。
何だかすごく安心する・・・。誰かの腕に抱かれているような感覚を覚える。
だから私は自分からその誰かに擦り寄り・・再び深い眠りに就く・・。
「う・・・ん・・・。」
気が付くと私は布団の中にいた。少しの間は自分の身に何が起こっているか理解出来なかった。
え・・・と・・・確か椅子に座ったまま机の上に突っ伏して・・そこから先は・・?
だけど今はベッドの中。しかも誰か人の気配を感じる。
ま・・・まさか!慌てて飛び起きると、私は仮面の剣士と同じベッドで眠っていたらしい。
そして彼の方は未だにぐっすりと眠っている。
慌てて時計を確認すると、あれから6時間以上経過していた。そ・・・そんなに私は眠っていたんだ。もしかして・・・テーブルに伏して眠っていた私を彼が自分のベッドへ運んできたのだろうか?自分から彼のベッドへ入り込むなんて事はとてもあり得ない。
その時、突如隣で眠っている彼が苦し気にうめき声を上げ始めた。
・・・ひょっとすると・・何か夢を見てうなされているのだろうか?
「うううう・・・。」
彼は苦し気に仮面に手を掛けた。・・・まさか・・仮面を・・・外そうとしてる?
そんな事をしたら・・・!
「駄目ですっ!」
必死で彼の両手を押さえる。仮面をはずそうとしたら、彼は・・・また頭から出血してしまうかもしれない。
それでも彼は苦し気に仮面から手を外さない。とても・・・私の手では抑えきれそうにない。
「お願い!やめて!」
私は必死になって彼に抱き付いて耳元で訴えた。
「お願い・・・仮面から手を外して。また貴方が苦しむ姿を・・・もうこれ以上見たくは無いの・・・。だから・・・お願い・・・っ!」
これはきっと仮面にかけられた呪いだ・・・。ソフィーは彼を手放した後も・・この仮面を被せ、彼を呪いで苦しめているのだ。
私は彼の上に乗って押さえつける形になっていた。・・・そうじゃ無ければとてもでは無いが私の力では彼を押さえられなかったからだ。
それでも彼はうめき声をあげて暴れるのをやめようとしない。
ひょっとすると・・・彼はほぼ毎日このように苦しめられていたのだろうか?あの時私は夢で見た光景が蘇って来る。
聖女は歌を歌って彼の治癒をしてあげていた。だけど・・・私は彼女では無い。
私には・・・今苦しんでいる彼を助けてあげる手段が無い。本当に・・・私はこの世界で・・なんて役立たずの人間なのだろうか・・・。
「ごめんなさい・・。」
何時しか私は暴れる彼を押さえながら泣いていた。
「こんなに・・・貴方が苦しんでいるのに・・・今の私は何も貴方にしてあげる事が出来ない・・。本当に・・・ごめんなさい・・。」
私の涙が彼の被らされている仮面にポタポタと垂れていく。
その時・・・私の涙が彼のマスクの隙間から流れ落ちていき・・・。
突然彼の仮面が光り輝き始めた。
「あ・・・!な、何これ・・・っ?!」
余りの眩しさに目が開けていられない。思わずぎゅっと目を閉じて・・・やがて徐々に光が消えていくのを感じ・・・ようやく私は目を開けた。
すると・・・あれ程暴れていた彼が今は穏やかな寝息を立てて眠っている。
「え・・・・?な、何?治まった・・の・・・?」
私は彼を覗き込むが・・・先程の暴れていたのがまるで嘘の様だった。
「良かった・・・。兎に角今は落ち着いて・・・。」
だが・・・いつまでも彼をこのままにしておくわけにはいかない。
一刻も早く人間界と魔界を結ぶ門の修繕方法と・・・。
「彼の仮面を外す方法を見つけないと。」
私は眠っている彼の右手を握りしめた―。
2
「あ・・・。」
突然彼の手を握りしめていると、相手から握り返してくる気配を感じられた。
恐る恐る覗き込むと彼は頭を動かして私に視線を送っている。
「あ、あの・・・目が覚めたんですか?」
尋ねると、コクリと首を振る。そして彼は起き上がると、メモを書いてよこしてきた。
『ありがとう、お前のお陰で助かった』
メモにはそう書かれていた。
「え・・・?気が付いていたんですか・・・?」
すると彼は首を縦に振る。
「私は・・・何もしていませんよ。あの時だって何があったのか分かっていませんし・・・。あ、そう言えば・・貴女の聖女は確かアメリアでしたよね?彼女は・・・今何処にいるのか・・・心当たりはありませんか?」
しかし彼は何故か無反応だ。そして何かメモを書き始め、私に手渡してきた。
『俺を手当てしてくれた女性の名前は分からないし、彼女は俺の聖女では無い。」
「え・・?で、でも・・・貴方の傷を・・歌を歌って治してくれていた女性は・・・その女性ですよね?」
「・・・。」
しかし彼は首を捻り、メモを書いて渡してきた。
『歌を歌って治して貰った事はない。彼女はいつも血を拭きとって、熱を持った身体を濡れたタオルで冷やしてくれていただけだ。』
う~ん・・・。なんか少し夢と違うような・・・?それともあの夢はこれから起こる未来の夢だったのだろうか?
「すみません。私の勘違いだったようですね。では今の貴方には聖女はいないと言う事ですね。」
「・・・。」
しかし彼は何か考え込んでいるかのようにだ俯いている。そして何かメモを書き始めた。
『お前は聖女なのか?』
「え・・・?」
彼はじっと私を見つめている。
「は、はい・・・。一応は・・そうみたいですけど・・・?」
『それなら俺の聖女はお前だ』
困った・・・。この人は・・私が聖剣士全員の聖女だと・・思っている。
「あ、あの・・・私は・・・聖剣士全員の聖女では・・・無いんです。これは聞いた話なのですが、聖女にも2種類あって・・・聖剣士全員の聖女になれるだけの力を持つ女性と・・・強い絆で結ばれた関係の・・・特定の相手だけの聖女に慣れる女性の二通りがあるそうで・・・私は後者の方です。」
彼は暫く考え込んでいたようだが・・・・再びメモを書いて渡してきた。
『それなら俺もお前の聖剣士にさせてくれ。もっと強くなりたいから』
私はそのメモの内容を読んで仰天した。きっと・・・この彼は聖女付きの聖剣士になると言う事がどういう事なのか・・・・理解していないのだろう。でも・・・何故そこまで彼は強さを求めるのだろう?今だって十分強いのに・・・。
「あ、あのですね・・・。聖女を持つ・・・と言う事は簡単な事では無いんですよ。大体・・・お互いに理解し合い、尚且つ同意の元で・・・。」
って何を言っているのだろう、私は。終いに自分で何を言いたいのか分からなくなってしまった。」
「と・・・とにかく貴方と私では・・・無理ですよ。それに・・貴方には大切な方がいるでしょうから・・・。」
そこまで言うと私は椅子から立ち上った。
「アメリアさんを・・・一緒に探しに行きませんか?」
私と仮面の剣士は森の古城へとやってきていた。この城も・・・魔物達に踏み荒らされたであろう痕跡が至る所に残されていた。
建物が崩れた場所・・・破壊された階段に大きく穴が空いた床に天井・・・。
「ここを襲って来た魔物達はどうなったんだろう・・・。」
城の中へ足を踏み入れた私は見るも無残な光景を見て呟いた。
すると彼はメモを渡してきた。
『この城を襲って来た魔物の群れは俺が全て倒した』
「え・・?貴方が魔物を・・あの・・第一階層から現れた恐ろしい異形の魔物の群れを・・・。」
私は彼を改めて見つめた。
鉄仮面の奥に見えるその目は・・・何処か懐かしさを感じる。知っている・・・。私は絶対にこの人を知っている。でも・・貴方は誰なの・・?
『どうした?』
彼は筆談で私に尋ねてきた。どうしよう・・・。彼は・・自分の記憶が全く無いと言っていたけど・・・。でも・・・無駄とは思いつつも私はどうしても確認してみたかった。
「あの・・・貴方は・・ひょっとして私の事を・・・知っていますか?」
彼はじっと私を見つめていたが・・・無言で首を振った。ああ・・やっぱり・・・。でも・・・本当は私達は既にお互いの事を・・良く知り合った仲なのではないだろうか・・?でも、それを確かめる術は・・・何も無いのだ。仮面の下の素顔さえ確認出来れば・・・全てがはっきり分かるのに、無理に外そうとしたり、外す事を考えただけで、ソフィーがその鉄の仮面にかけた呪いが発動する。
どうして?どうしてソフィーはここまで酷い事をこの彼にしているのだろう?
彼はそれ程ソフィーの逆鱗に触れる事をしてしまったのだろうか・・?
目の前の彼が不憫で、再び私の目に涙が滲む。
「・・・・。」
涙を浮かべている私を彼を見て戸惑っている気配が伝わって来る。
「あ・・。ご、ごめんなさい。」
涙を拭うと、彼に背を向ける。すると彼がそっと私の事を背後から遠慮がちに抱きしめて髪に顔埋めてきたのが分かった。
その時・・・私は気付いてしまった。彼は・・・仮面の下で泣いている。
どうして・・どうして彼は泣いてるの?やっぱり・・無くした記憶の中に・・わたしがいるの・・・?
そして暫く私達は崩れ落ちた城の中で彼に背中から抱きしめられる形で・・・立っていた—。
「こんなに崩れ落ちた城の中では・・・アメリアさんがいるとは思えませんね。」
私達は瓦礫に埋もれた古城の内部をアメリアの姿を求めて歩き回っていた。
「・・・彼女の事が心配ですよね・・・。貴方の愛する女性なのですから。」
すると前方を歩く彼が急にピタリと足を止めて振り返った。
「・・・・。」
彼は何か言いたげな様子で立っている。
「?どうかしましたか?」
首を傾げると、彼はメモを取り出し、サラサラと書くと何故か押し付けるように私にメモを渡してきた。
『違う、お前が探している女は俺が愛している女では無い』
「え・・・?」
私は思わず手渡されたメモと彼を交互で見る。そうか・・・。
やはり私が見たあの夢は・・ここから先の未来の夢なのかもしれない。それとも、只の夢だったのか・・・。いずれにしろ勘違いしてしまったのだから謝っておかないと。
「すみません。変な事を言ってしまって・・・。」
すると、彼は一瞬私の髪に触れ・・・すぐに手を引っ込めると再び瓦礫の中を歩き始めた。
だけど・・・私は大きな穴が空いている天井を見上げて思った。
とてもこんな場所にアメリアが居るとは思えない。もしかすると・・他にソフィーは隠れ家を持っていたのだろうか・・?
「あの・・・すみません。ソフィーは神殿とこの城以外に・・どこか別に拠点を持っていませんでしたか?」
彼は暫く考え込んでいたが・・・何かを思い出したかのように顔を上げた。
『俺は行った事は無いが、噂によるとこことは別に湖のほとりに小さな城があり、そこによくソフィーが出掛けていたという話を耳にした事がる。』
彼が渡してきたメモを見て、私は思った。ひょっとするとソフィーはアメリアをその城に移したのでは無いだろうか?
「あの・・・探してみませんか?その城を・・・。手掛かりは湖ですよね?私・・・絶対に彼女を見つけ出したいんです。きっとアメリアなら・・・彼女さえ見つかれば今の現状を打破できると思います。」
私は仮面の騎士を見上げると言った。
・・・私の中では確信があった。夢で見た人物は・・・アメリアでは無かった。でも私には分かった。
そう、本当の聖女は・・・アメリアだと言う事が―。
「あ、あの・・・着替えるんですか?」
すると黙って頷く彼。
「ああ。それなら着替えが終わるまで部屋の外で待っていますね。」
そう言って出て行こうとすると肩を掴んで引き留められた。
「危ないから・・・ここにいろって事・・・ですか?」
尋ねると、やはり頷く。
・・ひょっとすると・・・この神殿の中は危ない場所なのだろうか・・・?だけど・・。着替えをしている男性と同じ部屋にいるのはやはりまずいだろう。
「大丈夫ですよ、ほんの少しの間ですから・・・。」
ドアノブを回して出ようとすると、彼はドアの前に立ちふさがり鍵をかけると何やらメモを書き出した。
『ここにいる兵士たちは皆危険だ。女が1人でいると何をされるか分からない』
私はそのメモを読んで衝撃を受けた。そ、そんな・・・。それなら絶対に1人にはなれない!
「わ・・分かりました。この部屋にいさせて貰います。」
すると彼はフウと溜息をつくと再びメモを書いてよこした。
『絶対に部屋を出る時は声をかけろ』
「はい、分かりました。」
頷くとようやく納得してくれたのか、彼は着替えを出してくると背中を向けて服を脱ぎ始めた。
私は慌てて彼に背中を向けて椅子に座り、静かに着替えが終わるのを待っていた。
そして少し待った後に肩を叩かれた。振り向くと彼は白いシャツに茶色のボトムスというラフな格好に着替え終わっていた。ただ・・やはり鉄仮面は被ったまま。
「その仮面・・・苦しくないですか?」
すると彼はメモを書いて渡す。
『初めは苦しかったけど、もう慣れた』
そんな・・・慣れたなんて・・・・・嘘に決まっている。だってこのマスクのせいで水も食事も口にする事が出来ない。いくら喉の渇きも飢えも無いと言われても・・辛いと思う。寝る時だって外す事は出来ないのだ。そしてソフィーに歯向かえば鉄仮面に締め付けられて苦しめられる。
記憶も無くし、言葉も話せなくなってしまった彼の心境を想うと・・・気の毒でならない。このマスクのせいで・・・声を奪われ、彼女は愛しい聖女に愛を囁く事だって出来ないのだ。なんて可哀そうな・・・。
思わず涙ぐむと、彼は困ったようなしぐさをみせ・・・そっと私を抱き寄せ、頭を撫でて来た。
まるで慰めているかのように・・・。
ああ・・・・でも、やっぱり私はこの腕の中を・・・この温もりを覚えている。
でも、この人はマシューでは無い。・・・だってこの人には紋章がある。
それなら一体・・・貴方は誰なの・・・?でも駄目だ。この人の腕の中は・・私の物では無い。
「あ、あの・・・すみません。泣いたりして・・・もう大丈夫ですから。」
言いながら軽く押すと彼は静かに後ろに下がる。
「お疲れでしょうから・・・どうぞ私に構わずベッドで横になって下さい。大丈夫です。何処にも行きませんから。」
そして椅子に腰かけた。
彼はそんな私を少しだけ見つめていたが・・やはり疲れているのだろう。
ベッドに入ると、何故か私の方を見つめている。
「・・・どうかしましたか?私がいると・・寝にくいですか?それなら貴方の視界に入らない場所に移動しますよ?」
そう言ってタンスの陰に椅子を持って行こうと立ち上がると、手首を捕まえられた。
・・・引き留めているのだろうか?
『ここにいろ』
彼はメモを寄こしてきた。
・・・やっぱり彼は・・マシューでは無いだろう。彼はこんな不愛想な話し方をする人では無かったから。
「はい。分かりました。ここにいます。」
ニッコリ笑って言うと、ようやく彼は安心したのか少しだけ身じろぎすると・・・すぐに寝息が聞こえて来た。
・・・余程疲れていたのだろう。無理もない・・・・12時間も寝ずに、魔物と戦ったのだから。
「お休みなさい・・・。」
私は眠っている彼にそっと呟いた。
・・・それにしても・・・特にする事も無いし、私も正直に言えば疲れている。
少し寝かせて貰おう・・・。
私は机に突っ伏すと・・そのまま眠ってしまった。
ああ、温かいな・・・。
ドクドクドクドク・・・・規則正しい心臓の音と、すぐ側で誰かの寝息が聞こえる。
何だかすごく安心する・・・。誰かの腕に抱かれているような感覚を覚える。
だから私は自分からその誰かに擦り寄り・・再び深い眠りに就く・・。
「う・・・ん・・・。」
気が付くと私は布団の中にいた。少しの間は自分の身に何が起こっているか理解出来なかった。
え・・・と・・・確か椅子に座ったまま机の上に突っ伏して・・そこから先は・・?
だけど今はベッドの中。しかも誰か人の気配を感じる。
ま・・・まさか!慌てて飛び起きると、私は仮面の剣士と同じベッドで眠っていたらしい。
そして彼の方は未だにぐっすりと眠っている。
慌てて時計を確認すると、あれから6時間以上経過していた。そ・・・そんなに私は眠っていたんだ。もしかして・・・テーブルに伏して眠っていた私を彼が自分のベッドへ運んできたのだろうか?自分から彼のベッドへ入り込むなんて事はとてもあり得ない。
その時、突如隣で眠っている彼が苦し気にうめき声を上げ始めた。
・・・ひょっとすると・・何か夢を見てうなされているのだろうか?
「うううう・・・。」
彼は苦し気に仮面に手を掛けた。・・・まさか・・仮面を・・・外そうとしてる?
そんな事をしたら・・・!
「駄目ですっ!」
必死で彼の両手を押さえる。仮面をはずそうとしたら、彼は・・・また頭から出血してしまうかもしれない。
それでも彼は苦し気に仮面から手を外さない。とても・・・私の手では抑えきれそうにない。
「お願い!やめて!」
私は必死になって彼に抱き付いて耳元で訴えた。
「お願い・・・仮面から手を外して。また貴方が苦しむ姿を・・・もうこれ以上見たくは無いの・・・。だから・・・お願い・・・っ!」
これはきっと仮面にかけられた呪いだ・・・。ソフィーは彼を手放した後も・・この仮面を被せ、彼を呪いで苦しめているのだ。
私は彼の上に乗って押さえつける形になっていた。・・・そうじゃ無ければとてもでは無いが私の力では彼を押さえられなかったからだ。
それでも彼はうめき声をあげて暴れるのをやめようとしない。
ひょっとすると・・・彼はほぼ毎日このように苦しめられていたのだろうか?あの時私は夢で見た光景が蘇って来る。
聖女は歌を歌って彼の治癒をしてあげていた。だけど・・・私は彼女では無い。
私には・・・今苦しんでいる彼を助けてあげる手段が無い。本当に・・・私はこの世界で・・なんて役立たずの人間なのだろうか・・・。
「ごめんなさい・・。」
何時しか私は暴れる彼を押さえながら泣いていた。
「こんなに・・・貴方が苦しんでいるのに・・・今の私は何も貴方にしてあげる事が出来ない・・。本当に・・・ごめんなさい・・。」
私の涙が彼の被らされている仮面にポタポタと垂れていく。
その時・・・私の涙が彼のマスクの隙間から流れ落ちていき・・・。
突然彼の仮面が光り輝き始めた。
「あ・・・!な、何これ・・・っ?!」
余りの眩しさに目が開けていられない。思わずぎゅっと目を閉じて・・・やがて徐々に光が消えていくのを感じ・・・ようやく私は目を開けた。
すると・・・あれ程暴れていた彼が今は穏やかな寝息を立てて眠っている。
「え・・・・?な、何?治まった・・の・・・?」
私は彼を覗き込むが・・・先程の暴れていたのがまるで嘘の様だった。
「良かった・・・。兎に角今は落ち着いて・・・。」
だが・・・いつまでも彼をこのままにしておくわけにはいかない。
一刻も早く人間界と魔界を結ぶ門の修繕方法と・・・。
「彼の仮面を外す方法を見つけないと。」
私は眠っている彼の右手を握りしめた―。
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「あ・・・。」
突然彼の手を握りしめていると、相手から握り返してくる気配を感じられた。
恐る恐る覗き込むと彼は頭を動かして私に視線を送っている。
「あ、あの・・・目が覚めたんですか?」
尋ねると、コクリと首を振る。そして彼は起き上がると、メモを書いてよこしてきた。
『ありがとう、お前のお陰で助かった』
メモにはそう書かれていた。
「え・・・?気が付いていたんですか・・・?」
すると彼は首を縦に振る。
「私は・・・何もしていませんよ。あの時だって何があったのか分かっていませんし・・・。あ、そう言えば・・貴女の聖女は確かアメリアでしたよね?彼女は・・・今何処にいるのか・・・心当たりはありませんか?」
しかし彼は何故か無反応だ。そして何かメモを書き始め、私に手渡してきた。
『俺を手当てしてくれた女性の名前は分からないし、彼女は俺の聖女では無い。」
「え・・?で、でも・・・貴方の傷を・・歌を歌って治してくれていた女性は・・・その女性ですよね?」
「・・・。」
しかし彼は首を捻り、メモを書いて渡してきた。
『歌を歌って治して貰った事はない。彼女はいつも血を拭きとって、熱を持った身体を濡れたタオルで冷やしてくれていただけだ。』
う~ん・・・。なんか少し夢と違うような・・・?それともあの夢はこれから起こる未来の夢だったのだろうか?
「すみません。私の勘違いだったようですね。では今の貴方には聖女はいないと言う事ですね。」
「・・・。」
しかし彼は何か考え込んでいるかのようにだ俯いている。そして何かメモを書き始めた。
『お前は聖女なのか?』
「え・・・?」
彼はじっと私を見つめている。
「は、はい・・・。一応は・・そうみたいですけど・・・?」
『それなら俺の聖女はお前だ』
困った・・・。この人は・・私が聖剣士全員の聖女だと・・思っている。
「あ、あの・・・私は・・・聖剣士全員の聖女では・・・無いんです。これは聞いた話なのですが、聖女にも2種類あって・・・聖剣士全員の聖女になれるだけの力を持つ女性と・・・強い絆で結ばれた関係の・・・特定の相手だけの聖女に慣れる女性の二通りがあるそうで・・・私は後者の方です。」
彼は暫く考え込んでいたようだが・・・・再びメモを書いて渡してきた。
『それなら俺もお前の聖剣士にさせてくれ。もっと強くなりたいから』
私はそのメモの内容を読んで仰天した。きっと・・・この彼は聖女付きの聖剣士になると言う事がどういう事なのか・・・・理解していないのだろう。でも・・・何故そこまで彼は強さを求めるのだろう?今だって十分強いのに・・・。
「あ、あのですね・・・。聖女を持つ・・・と言う事は簡単な事では無いんですよ。大体・・・お互いに理解し合い、尚且つ同意の元で・・・。」
って何を言っているのだろう、私は。終いに自分で何を言いたいのか分からなくなってしまった。」
「と・・・とにかく貴方と私では・・・無理ですよ。それに・・貴方には大切な方がいるでしょうから・・・。」
そこまで言うと私は椅子から立ち上った。
「アメリアさんを・・・一緒に探しに行きませんか?」
私と仮面の剣士は森の古城へとやってきていた。この城も・・・魔物達に踏み荒らされたであろう痕跡が至る所に残されていた。
建物が崩れた場所・・・破壊された階段に大きく穴が空いた床に天井・・・。
「ここを襲って来た魔物達はどうなったんだろう・・・。」
城の中へ足を踏み入れた私は見るも無残な光景を見て呟いた。
すると彼はメモを渡してきた。
『この城を襲って来た魔物の群れは俺が全て倒した』
「え・・?貴方が魔物を・・あの・・第一階層から現れた恐ろしい異形の魔物の群れを・・・。」
私は彼を改めて見つめた。
鉄仮面の奥に見えるその目は・・・何処か懐かしさを感じる。知っている・・・。私は絶対にこの人を知っている。でも・・貴方は誰なの・・?
『どうした?』
彼は筆談で私に尋ねてきた。どうしよう・・・。彼は・・自分の記憶が全く無いと言っていたけど・・・。でも・・・無駄とは思いつつも私はどうしても確認してみたかった。
「あの・・・貴方は・・ひょっとして私の事を・・・知っていますか?」
彼はじっと私を見つめていたが・・・無言で首を振った。ああ・・やっぱり・・・。でも・・・本当は私達は既にお互いの事を・・良く知り合った仲なのではないだろうか・・?でも、それを確かめる術は・・・何も無いのだ。仮面の下の素顔さえ確認出来れば・・・全てがはっきり分かるのに、無理に外そうとしたり、外す事を考えただけで、ソフィーがその鉄の仮面にかけた呪いが発動する。
どうして?どうしてソフィーはここまで酷い事をこの彼にしているのだろう?
彼はそれ程ソフィーの逆鱗に触れる事をしてしまったのだろうか・・?
目の前の彼が不憫で、再び私の目に涙が滲む。
「・・・・。」
涙を浮かべている私を彼を見て戸惑っている気配が伝わって来る。
「あ・・。ご、ごめんなさい。」
涙を拭うと、彼に背を向ける。すると彼がそっと私の事を背後から遠慮がちに抱きしめて髪に顔埋めてきたのが分かった。
その時・・・私は気付いてしまった。彼は・・・仮面の下で泣いている。
どうして・・どうして彼は泣いてるの?やっぱり・・無くした記憶の中に・・わたしがいるの・・・?
そして暫く私達は崩れ落ちた城の中で彼に背中から抱きしめられる形で・・・立っていた—。
「こんなに崩れ落ちた城の中では・・・アメリアさんがいるとは思えませんね。」
私達は瓦礫に埋もれた古城の内部をアメリアの姿を求めて歩き回っていた。
「・・・彼女の事が心配ですよね・・・。貴方の愛する女性なのですから。」
すると前方を歩く彼が急にピタリと足を止めて振り返った。
「・・・・。」
彼は何か言いたげな様子で立っている。
「?どうかしましたか?」
首を傾げると、彼はメモを取り出し、サラサラと書くと何故か押し付けるように私にメモを渡してきた。
『違う、お前が探している女は俺が愛している女では無い』
「え・・・?」
私は思わず手渡されたメモと彼を交互で見る。そうか・・・。
やはり私が見たあの夢は・・ここから先の未来の夢なのかもしれない。それとも、只の夢だったのか・・・。いずれにしろ勘違いしてしまったのだから謝っておかないと。
「すみません。変な事を言ってしまって・・・。」
すると、彼は一瞬私の髪に触れ・・・すぐに手を引っ込めると再び瓦礫の中を歩き始めた。
だけど・・・私は大きな穴が空いている天井を見上げて思った。
とてもこんな場所にアメリアが居るとは思えない。もしかすると・・他にソフィーは隠れ家を持っていたのだろうか・・?
「あの・・・すみません。ソフィーは神殿とこの城以外に・・どこか別に拠点を持っていませんでしたか?」
彼は暫く考え込んでいたが・・・何かを思い出したかのように顔を上げた。
『俺は行った事は無いが、噂によるとこことは別に湖のほとりに小さな城があり、そこによくソフィーが出掛けていたという話を耳にした事がる。』
彼が渡してきたメモを見て、私は思った。ひょっとするとソフィーはアメリアをその城に移したのでは無いだろうか?
「あの・・・探してみませんか?その城を・・・。手掛かりは湖ですよね?私・・・絶対に彼女を見つけ出したいんです。きっとアメリアなら・・・彼女さえ見つかれば今の現状を打破できると思います。」
私は仮面の騎士を見上げると言った。
・・・私の中では確信があった。夢で見た人物は・・・アメリアでは無かった。でも私には分かった。
そう、本当の聖女は・・・アメリアだと言う事が―。
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欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
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追記:2025/09/20
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