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※第9章 3 魔王に囚われて(大人向け表現有り)
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「う・・・・。」
私は自分のうめき声で目が覚めた。目を開けて最初に飛び込んできたのは見知らぬ天井。むやみやたらと高い位置にある天井は禍々しい・・どこか不安を感じさせるような色合いの天井だった。
そして気が付いた。
私はベッドの上に寝ていたという事を・・・。そして・・・下着すら身に着けていなかった。
その時、自分の意識を失う直前の出来事を思い出した。
そうだった・・・。私は地下牢でいきなり魔族の男に襲われ・・・そこを公爵の姿をした魔王が助けてくれたのだ。
そしてその後口付けされた処までしか記憶が無い。
ま、まさか私はあのまま魔王と・・・?そんなバカなと思いたい。
だが、ベッドの上で目が覚めたこと、そのうえ裸でいると言う事は・・・。
おまけに自分の身体のあちこちには情事の後の痕跡が残されている。
おそらく私は・・・魔王と関係を持ってしまったのだ。
な・・なんて恐ろしい事をしてしまったのだろう?いくら全く記憶が無かったとはいえ、よりにもよって魔王と・・・私はとんでもない事をしてしまった!
とても今の状況を受け入れることが出来ず、頭を抱えて枕に顔を押し付けたその時・・・。
ガチャリと扉が開く音が聞こえ、思わず私は顔を上げると、そこには魔王が立っていた。漆黒の黒髪に左右の瞳の色が違うオッドアイ。
そして恐ろしいほどに整った美しい顔・・・その姿は・・どうしても公爵にしか見えなかった。
「やっと目が覚めたか?」
相変わらず黒づくめの衣装に身を包んだ魔王は私のいるベッドまで近づいてくると声をかけてきた。
「ド・・・ドミニク様・・・・・。」
ブランケットを身体に巻き付け、震える声で公爵の名を呼ぶと、魔王はうんざりした顔で言う。
「全く・・・お前はいつまでそうやって俺の事を呼ぶのだ?何度も言うようだが、俺はドミニク等ではない。魔界の王・・・魔王だ。それに・・・正式な名前だってある。最も誰にも俺の真名は告げたことが無いがな。」
「・・・・。」
改めて公爵では無いと告げられ・・・思わずうつむく私。
「しかし・・・お前にならドミニクと呼ばれても構わないがな。」
何所か含みを得たかのような魔王の言い方に思わず顔を上げると、いきなり顎を掴まれ口づけされた。
「!」
「な・・・何するんですかっ!」
思わず強く押しのけて抵抗しようとするも、両腕を押さえつけられてそのままベッドの上に倒された。
「フン・・・。今更照れてでもいるのか?お前は何も覚えていないだろうが・・・俺とお前は何度もこのベッドの上で交わったんだぞ?お前は始終俺の事をドミニク様と切なげに言って、自ら俺を求めてきていたっけな・・・?」
「そ・・・そんな・・・っ!」
嘘だ、そんなの・・・ああ。でも覚えている。断続的にこのベッドの上で魔王に抱かれた記憶が蘇ってくる・・。
ショックで目じりに涙が浮かぶ。すると魔王は何を思ったのか、私の目じりに口づけすると言った。
「俺はお前が気に入った。人間の女ではあるが・・お前を俺の妻にしてやろう。」
私はその言葉に耳を疑った。
そ、そんな・・・魔王の妻になれと言うの?!
「い・・・嫌ですっ!魔王の妻になるなんて・・・!お願い、魔王!彼を・・・ドミニク様を返して下さいっ!」
すると魔王は私の両手首に力を入れながら言った。
「いいか・・・何度も何度も言わせるな!この身体は・・・もともと俺の物なのだ。所詮ドミニクという男は俺が目覚めるまでのただの依代のような存在だったのだ!もう奴の意識は俺の中に・・深い、深い場所に封印された。完全にその存在が消えうせるのも、もはや時間の問題だ・・・。」
そして魔王は乱暴に口づけをしてきた。
それと同時に媚薬の香りが濃くなってくる。ああ・・まただ、また私は・・・流されてしまう・・・。
その時―。
「魔王様!侵入者がやってきましたっ!」
1人の魔族の男が部屋へ飛び込んできた。
「ふん、そうか。とうとう現れたか。」
魔王は私から離れると言った。
「そいつらは何人でやってきたのだ?」
「はい、確認できた数は全部で9名です。しかも面白いことにその中には『狭間の世界』の王までいます。」
「何?」
魔王の眉がピクリと動いた。
そ、そんな・・・!アンジュが私を助けに?!だ、だってアンジュは魔界にもういく事は出来ないと言っていたのに・・・。
「どうやら、そこにいる人間の女を助けに来たようでございます。」
魔族の男の言葉に魔王は私の事を振り返った。
「ほう・・・。『狭間の世界』の王がわざわざ助けにくる程の女か・・・・。俺はどうやら随分と価値のある女を手に入れたようだな?」
「よし、そいつらをこの城に招いてやるか。・・・くれぐれも丁重に扱ってやれ。」
そして魔族の男と部屋を出て行こうとするのを私は呼び止めた。
「待って・・・待ってくださいっ!」
すると魔王はこちらを振り向いた。
「お願いです・・・皆に酷いことはしないで下さいっ!」
両手を前に組んで涙ながらに必死に懇願する。
「それは・・奴らの出方次第だな。」
そしてパチンと指を鳴らすと、私は魔界へやって来た時と同じ服を身に着けていた。
「お前は利用価値がありそうだ・・・・。一緒に来いっ!」
魔王は再び私に近づくと、私の腕をグイッと引っ張り上げて立たせると言った。
「俺はもう一度『狭間の世界の王』と戦ってみたかったのだ。300年前は負けてしまったが・・・今回はそうはいかない。お前は俺たちの戦いを見ていろ。奴が目の前で俺に敗れる姿を目に焼き付けるんだな・・・。今度こそ人間界を、『狭間の世界』を手に入れて見せる。そしてお前は俺の妻になるのだ。」
私はそんな魔王の言葉を絶望的な気持ちで聞いていた。
お願いだから・・・公爵の顔で、声でそんな事を言わないで欲しい。
だけど・・・こんな事になったのは全て私の責任だ。
「・・・・。」
私がおとなしくなるのを見ると魔王は気を良くしたのか、にやりと笑うと言った。
「よし!あいつらをこの城に転移させろ!そうだな・・・・それぞれこの城の別々の場所に転移させてやるか。果たして・・・俺のいる場所まで無事に全員来れるか・・見ものだな?」
そして私の腕を握りしめたまま、魔王は部屋を出ると、回廊を黙って歩き続ける。それにしても・・・腕が・・・力が強すぎる。
「い・・痛・・・っ!」
思わず痛みで顔をしかめると、突如魔王が足を止めて私を振り返った。
「ジェシカッ!すまない・・・大丈夫かっ?!」
え?今私の事を・・・ジェシカと呼んだ・・・?
驚いて顔を上げると、そこには心配そうに私を見下ろしている魔王の姿が・・・。
魔王?でもひょっとして・・・
「ド・・・ドミニク様・・?」
すると彼は私に笑顔を向けると言った。
「ジェシカ・・・。」
「ドミニク様・・?ドミニク様ですかっ?!」
思わず公爵の腕に触れた途端。
「う・・・・。」
苦し気に顔を歪め・・・その次の瞬間はあの冷酷な魔王の素顔に戻っていた。
「何だ?女?」
魔王は冷たい目で私を見下ろしていた。え?まさか・・・今の事を覚えていない?
まだ・・・公爵は魔王の言っていた通り・・・まだ完全に消えてはいなかったのだ。
「どうした?急に・・・お前の目つきが変わったような気がするが・・・?」
魔王は私を見下ろしながら語り掛けて来る。
「そ、そんな事はありません!」
顔を見られないように俯いて答えると魔王が言った。
「フン。仲間が来たから希望を持っているのか?甘いな・・・。ここは魔界だ。お前達人間は魔力を無効化させられてしまう場所だ。果たして・・・全員無事にここから生きて帰れるかな?」
そして挑戦的な笑みを浮かべると再び私の腕を掴むと歩き始めた。
「お、お願いですっ!逃げも隠れもしませんから・・・腕をはなして下さいっ!い・・痛いんです・・・。」
必死に懇願すると、ようやく魔王は私の腕を放した。
「その言葉・・・嘘では無いな?よし、それならついて来い。」
魔王は踵を返すと先に立って歩きだし、やがて正面に大きな扉が現れた。
扉は魔王をまるで迎え入れるかのようにゆっくりと開き・・・そこに現れたのは
私が最初に連れて来られた玉座の間だった―。
私は自分のうめき声で目が覚めた。目を開けて最初に飛び込んできたのは見知らぬ天井。むやみやたらと高い位置にある天井は禍々しい・・どこか不安を感じさせるような色合いの天井だった。
そして気が付いた。
私はベッドの上に寝ていたという事を・・・。そして・・・下着すら身に着けていなかった。
その時、自分の意識を失う直前の出来事を思い出した。
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な・・なんて恐ろしい事をしてしまったのだろう?いくら全く記憶が無かったとはいえ、よりにもよって魔王と・・・私はとんでもない事をしてしまった!
とても今の状況を受け入れることが出来ず、頭を抱えて枕に顔を押し付けたその時・・・。
ガチャリと扉が開く音が聞こえ、思わず私は顔を上げると、そこには魔王が立っていた。漆黒の黒髪に左右の瞳の色が違うオッドアイ。
そして恐ろしいほどに整った美しい顔・・・その姿は・・どうしても公爵にしか見えなかった。
「やっと目が覚めたか?」
相変わらず黒づくめの衣装に身を包んだ魔王は私のいるベッドまで近づいてくると声をかけてきた。
「ド・・・ドミニク様・・・・・。」
ブランケットを身体に巻き付け、震える声で公爵の名を呼ぶと、魔王はうんざりした顔で言う。
「全く・・・お前はいつまでそうやって俺の事を呼ぶのだ?何度も言うようだが、俺はドミニク等ではない。魔界の王・・・魔王だ。それに・・・正式な名前だってある。最も誰にも俺の真名は告げたことが無いがな。」
「・・・・。」
改めて公爵では無いと告げられ・・・思わずうつむく私。
「しかし・・・お前にならドミニクと呼ばれても構わないがな。」
何所か含みを得たかのような魔王の言い方に思わず顔を上げると、いきなり顎を掴まれ口づけされた。
「!」
「な・・・何するんですかっ!」
思わず強く押しのけて抵抗しようとするも、両腕を押さえつけられてそのままベッドの上に倒された。
「フン・・・。今更照れてでもいるのか?お前は何も覚えていないだろうが・・・俺とお前は何度もこのベッドの上で交わったんだぞ?お前は始終俺の事をドミニク様と切なげに言って、自ら俺を求めてきていたっけな・・・?」
「そ・・・そんな・・・っ!」
嘘だ、そんなの・・・ああ。でも覚えている。断続的にこのベッドの上で魔王に抱かれた記憶が蘇ってくる・・。
ショックで目じりに涙が浮かぶ。すると魔王は何を思ったのか、私の目じりに口づけすると言った。
「俺はお前が気に入った。人間の女ではあるが・・お前を俺の妻にしてやろう。」
私はその言葉に耳を疑った。
そ、そんな・・・魔王の妻になれと言うの?!
「い・・・嫌ですっ!魔王の妻になるなんて・・・!お願い、魔王!彼を・・・ドミニク様を返して下さいっ!」
すると魔王は私の両手首に力を入れながら言った。
「いいか・・・何度も何度も言わせるな!この身体は・・・もともと俺の物なのだ。所詮ドミニクという男は俺が目覚めるまでのただの依代のような存在だったのだ!もう奴の意識は俺の中に・・深い、深い場所に封印された。完全にその存在が消えうせるのも、もはや時間の問題だ・・・。」
そして魔王は乱暴に口づけをしてきた。
それと同時に媚薬の香りが濃くなってくる。ああ・・まただ、また私は・・・流されてしまう・・・。
その時―。
「魔王様!侵入者がやってきましたっ!」
1人の魔族の男が部屋へ飛び込んできた。
「ふん、そうか。とうとう現れたか。」
魔王は私から離れると言った。
「そいつらは何人でやってきたのだ?」
「はい、確認できた数は全部で9名です。しかも面白いことにその中には『狭間の世界』の王までいます。」
「何?」
魔王の眉がピクリと動いた。
そ、そんな・・・!アンジュが私を助けに?!だ、だってアンジュは魔界にもういく事は出来ないと言っていたのに・・・。
「どうやら、そこにいる人間の女を助けに来たようでございます。」
魔族の男の言葉に魔王は私の事を振り返った。
「ほう・・・。『狭間の世界』の王がわざわざ助けにくる程の女か・・・・。俺はどうやら随分と価値のある女を手に入れたようだな?」
「よし、そいつらをこの城に招いてやるか。・・・くれぐれも丁重に扱ってやれ。」
そして魔族の男と部屋を出て行こうとするのを私は呼び止めた。
「待って・・・待ってくださいっ!」
すると魔王はこちらを振り向いた。
「お願いです・・・皆に酷いことはしないで下さいっ!」
両手を前に組んで涙ながらに必死に懇願する。
「それは・・奴らの出方次第だな。」
そしてパチンと指を鳴らすと、私は魔界へやって来た時と同じ服を身に着けていた。
「お前は利用価値がありそうだ・・・・。一緒に来いっ!」
魔王は再び私に近づくと、私の腕をグイッと引っ張り上げて立たせると言った。
「俺はもう一度『狭間の世界の王』と戦ってみたかったのだ。300年前は負けてしまったが・・・今回はそうはいかない。お前は俺たちの戦いを見ていろ。奴が目の前で俺に敗れる姿を目に焼き付けるんだな・・・。今度こそ人間界を、『狭間の世界』を手に入れて見せる。そしてお前は俺の妻になるのだ。」
私はそんな魔王の言葉を絶望的な気持ちで聞いていた。
お願いだから・・・公爵の顔で、声でそんな事を言わないで欲しい。
だけど・・・こんな事になったのは全て私の責任だ。
「・・・・。」
私がおとなしくなるのを見ると魔王は気を良くしたのか、にやりと笑うと言った。
「よし!あいつらをこの城に転移させろ!そうだな・・・・それぞれこの城の別々の場所に転移させてやるか。果たして・・・俺のいる場所まで無事に全員来れるか・・見ものだな?」
そして私の腕を握りしめたまま、魔王は部屋を出ると、回廊を黙って歩き続ける。それにしても・・・腕が・・・力が強すぎる。
「い・・痛・・・っ!」
思わず痛みで顔をしかめると、突如魔王が足を止めて私を振り返った。
「ジェシカッ!すまない・・・大丈夫かっ?!」
え?今私の事を・・・ジェシカと呼んだ・・・?
驚いて顔を上げると、そこには心配そうに私を見下ろしている魔王の姿が・・・。
魔王?でもひょっとして・・・
「ド・・・ドミニク様・・?」
すると彼は私に笑顔を向けると言った。
「ジェシカ・・・。」
「ドミニク様・・?ドミニク様ですかっ?!」
思わず公爵の腕に触れた途端。
「う・・・・。」
苦し気に顔を歪め・・・その次の瞬間はあの冷酷な魔王の素顔に戻っていた。
「何だ?女?」
魔王は冷たい目で私を見下ろしていた。え?まさか・・・今の事を覚えていない?
まだ・・・公爵は魔王の言っていた通り・・・まだ完全に消えてはいなかったのだ。
「どうした?急に・・・お前の目つきが変わったような気がするが・・・?」
魔王は私を見下ろしながら語り掛けて来る。
「そ、そんな事はありません!」
顔を見られないように俯いて答えると魔王が言った。
「フン。仲間が来たから希望を持っているのか?甘いな・・・。ここは魔界だ。お前達人間は魔力を無効化させられてしまう場所だ。果たして・・・全員無事にここから生きて帰れるかな?」
そして挑戦的な笑みを浮かべると再び私の腕を掴むと歩き始めた。
「お、お願いですっ!逃げも隠れもしませんから・・・腕をはなして下さいっ!い・・痛いんです・・・。」
必死に懇願すると、ようやく魔王は私の腕を放した。
「その言葉・・・嘘では無いな?よし、それならついて来い。」
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