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7 秘密の告白
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私とジェイクは部屋の片隅に置かれた椅子に向き合って座っていた。
「それじゃ、早速説明して貰おうか?」
じっと私を見つめて来るジェイク。
「分かりました……それではお話致します」
そして私は自分の知っている事実を全て語った。自分がベルンハルト公爵令嬢であり、『アレス王国』のクラウス・フォン・シュタイナーと婚約していたこと。
しかし、十年前に突然誰にも内緒で離宮に呼び出され婚約破棄を告げられたこと。そしてその帰りに何者かに襲われて、崖下を流れる川に転落して死んだこと。
目が覚めたら十年後の世界で、別人の身体になっていたこと全てを……
話の途中で何度もジェイクは驚愕の表情を浮かべていたが、最後まで口を挟まずに話を聞いてくれた。
「……以上です。信じられない話かもしれませんが、これらの話は全て事実です」
「そ、そんな……まさか……」
ジェイクは青ざめた顔で私を見ている。
「でもどうりで鏡を見た時に悲鳴を上げたわけだ……」
「はい、そうです。分かっているのは、この身体が本来の私の身体では無いということと……恐らく、十年前に私は死んでしまったと言うことです」
あの時、私は冷たい水の中でもがき苦しみながら死んでいった。いくら息を吸おうとしても水が肺の中に流れ込んでくるばかりで……自分の身体が水底に沈んでいくあの感覚を……
「本当に死んだと言い切れるのかい?」
「間違いありません。あの状態で助かるはず等ありませんから。だから目覚めた時にこの身体の中に入り込んでいたのでしょう」
「そうか……」
ポツリと呟くジェイクの顔は何故か悲しげだった。
「ジェイクさん、どうかしましたか?」
「あ、いや……気の毒な話だと思ってね。それじゃ、ユリアナはその身体に全く思い当たる節が無いと言う事だね?」
「はい、そうです。おまけにここは私の知る世界ではなく、十年後の世界なのです。尚更分かるはずもありません」
「……分かったよ。信じるよ。その話」
「え…‥?」
ジェイクの言葉に一瞬耳を疑った。
「どうしたんだ? そんな驚いた顔をして……」
「え? 本当に信じてくれるのですか?」
「何だ? 嘘だったのか?」
「いえ! まさか、嘘のはずないじゃないですか」
慌てて首を振る。でも、本当に信じてくれるなんて……
「それに、さっきの仲間だってユリアナの話を信じたんだろう?」
「はい、そうですけど……それは私達だけにしか、知りえない話をしたからです」
「余程、信頼関係があったんだな。それで、ユリアナ。この隠れ家に来た本当の目的は何だ?」
「そ、それは……」
「ただ、今の状況を確認する為だけに来たわけじゃないだろう? 今となってはここは『アレス王国』の中で、最も治安が悪い地区と言われているくらいなのだから」
もう、ここまで来たら全て白状してしまった方が良さそうだ。恐らく彼自身も薄々私の本来の目的に気付いているはずだから。
「私は……私と家族の命を奪った人物を許せません……犯人を見つけ出して、報復するために、ここに戻って来ました」
私はジェイクの目を見つめた—―
「それじゃ、早速説明して貰おうか?」
じっと私を見つめて来るジェイク。
「分かりました……それではお話致します」
そして私は自分の知っている事実を全て語った。自分がベルンハルト公爵令嬢であり、『アレス王国』のクラウス・フォン・シュタイナーと婚約していたこと。
しかし、十年前に突然誰にも内緒で離宮に呼び出され婚約破棄を告げられたこと。そしてその帰りに何者かに襲われて、崖下を流れる川に転落して死んだこと。
目が覚めたら十年後の世界で、別人の身体になっていたこと全てを……
話の途中で何度もジェイクは驚愕の表情を浮かべていたが、最後まで口を挟まずに話を聞いてくれた。
「……以上です。信じられない話かもしれませんが、これらの話は全て事実です」
「そ、そんな……まさか……」
ジェイクは青ざめた顔で私を見ている。
「でもどうりで鏡を見た時に悲鳴を上げたわけだ……」
「はい、そうです。分かっているのは、この身体が本来の私の身体では無いということと……恐らく、十年前に私は死んでしまったと言うことです」
あの時、私は冷たい水の中でもがき苦しみながら死んでいった。いくら息を吸おうとしても水が肺の中に流れ込んでくるばかりで……自分の身体が水底に沈んでいくあの感覚を……
「本当に死んだと言い切れるのかい?」
「間違いありません。あの状態で助かるはず等ありませんから。だから目覚めた時にこの身体の中に入り込んでいたのでしょう」
「そうか……」
ポツリと呟くジェイクの顔は何故か悲しげだった。
「ジェイクさん、どうかしましたか?」
「あ、いや……気の毒な話だと思ってね。それじゃ、ユリアナはその身体に全く思い当たる節が無いと言う事だね?」
「はい、そうです。おまけにここは私の知る世界ではなく、十年後の世界なのです。尚更分かるはずもありません」
「……分かったよ。信じるよ。その話」
「え…‥?」
ジェイクの言葉に一瞬耳を疑った。
「どうしたんだ? そんな驚いた顔をして……」
「え? 本当に信じてくれるのですか?」
「何だ? 嘘だったのか?」
「いえ! まさか、嘘のはずないじゃないですか」
慌てて首を振る。でも、本当に信じてくれるなんて……
「それに、さっきの仲間だってユリアナの話を信じたんだろう?」
「はい、そうですけど……それは私達だけにしか、知りえない話をしたからです」
「余程、信頼関係があったんだな。それで、ユリアナ。この隠れ家に来た本当の目的は何だ?」
「そ、それは……」
「ただ、今の状況を確認する為だけに来たわけじゃないだろう? 今となってはここは『アレス王国』の中で、最も治安が悪い地区と言われているくらいなのだから」
もう、ここまで来たら全て白状してしまった方が良さそうだ。恐らく彼自身も薄々私の本来の目的に気付いているはずだから。
「私は……私と家族の命を奪った人物を許せません……犯人を見つけ出して、報復するために、ここに戻って来ました」
私はジェイクの目を見つめた—―
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