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第50話 クズ男との会話
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「まあ、立ち話もなんだ。そこに座れ」
部屋に入るとデニムは窓際に寄せられたアンティーク風のテーブルセットを指し示した。
「はい、ありがとうございます」
返事をして、テーブルセットに近づく私。
焦げ茶色の猫脚のマホガニー製の丸テーブルに背もたれ付きの革張りの椅子が置かれている。へ~…デニムにしてはなかなかやるじゃない。品の良い家具だわ。だけど何処かで見たことがあるような…。
ん……?
そこで私はピタリを足を止めた。よくよく見るとこのテーブルセット…私の部屋にある家具によく似ている。というかそっくりだ!
「あ~っ!!あの家具はっ!」
この馬鹿デニムがっ!こ、こいつは…ついに私の家具に手をつけたなっ?!なんて奴だ!とうとう泥棒まで働くとは!
しかし、私の叫びをデニムは何か妙な風に勘違いしたらしく照れくさそうに言った。
「どうだ?あの家具…確かお前、サンルームで初めて会った時に俺が椅子ごと倒れた時に俺よりもアンティーク風家具に駆け寄っただろう?だからお前はきっとこういう家具が好きなのだろうと思って、元・嫁の部屋から持ってきたのだ。幸い、あいつはこういう家具が好きで沢山集めていたからな。どうだ?気に入っただろう?」
デニムは何を自慢気にしているのか知らないが、怒りで肩を震わせている私の背後で嬉しそうにべらべらと話している。耳障りな事この上ない。デニムに対して今や怒りを通り越して殺意すら抱きそうになってしまう。顔面を思い切りひっぱたいてそのおしゃべりな口を黙らせたくなってきた。だけど…。
駄目だ、落ち着け私。こんな人間をやっつけたとして、人生棒に振るほど無駄なことはない。
「す~…は~…」
思い切り息を吸って吐き出すと、改めてデニムに向き直った。
「あの、デニム様」
「ああ、何だ?」
「まだ奥様とは離婚が成立されていないのでは?」
「ああ…他の使用人たちには俺はもう離婚が成立したと説明しているが、お前にだけは正直に話そう。実はその事でひじょーに今、俺は困っているのだ。お陰で夜もあまり熟睡できずに朝は起きることが出来ずにいる」
はぁ、そうですか。物は言いようだ。単にぐうたらで目が覚めてもベッドの上でゴロゴロしていることを私は知っている。
「あの女、ここでの生活が嫌になったらしく気晴らしなのか何だか知らないが勝手に実家へ帰ってしまったのだ。だから俺は離婚届にサインをしてわざわざあいつの実家に送ってやったというのに、未だに返事をよこさない。それで今日あいつの家に行こうかと思ったのだが…後の事は分かるよな?」
「…」
怒りを押さえながら、私は黙って奴の言い分を聞く。
「結局離婚届けを取りに行くことが出来なかったのだ。ところで、俺が何故離婚も成立していないのに見合いを薦めているか分かるか?」
「…それは若い女の子と結婚したいからでしょう?」
思いっきり軽蔑を込めた目で見ながら言うと、デニムはそれを激しく拒否する。
「ち、違うっ!それは違うぞ?!俺が見合いをするのはなあ…この家の為なんだよ!あいつは全く可愛げもなく、女としての魅力はゼロだが実家の財力だけはある。だから嫌々結婚したのだ。幸い、あの女は婚期を逃して結婚に焦っていたからな。この俺が嫁に貰ってやったんだよ」
ムカッ!!
その言葉に思わず切れそうになる私。誰が婚期を逃して焦っていた?私は別に一生独身でも構わなかったのだから!でも駄目だ、落ち着こう。阿呆デニムの見合い相手の情報を聞き出すまでは…!私は怒りを無理に抑え込んだ。
「だけど、あの女、俺の事をいつもいつも見下して来やがって…『デニム様は時期当主となる自覚はあるのですか?その為の勉強をされないのでしょうか?』と口うるさく言いやがって…女の癖に生意気な!」
爪を噛みながら悔しそうに言うデニム。
「なるほど、だから奥様と離婚しようと思ったのですね?」
「ああ、そうだ!それで今度は次のカモ…もとい、財力を持つ家柄の女性を嫁に貰う必要が出てきたのだ。だが、やはり妻となる女は年下に限る!年下女なら俺の言いなりにすることが出来るからな!口答えだってさせるものか!」
腰に手をあて、ふんぞり返るデニム。この男…やはり最っ低男だ!
もう、こうなったら私にも考えがある。
「さようでございますか。それで、私に相談とは何でしょうか?」
コホンと咳払いをするとデニムが口ごもりながら言った。
「あ、明後日の見合い…受けたほうがいいだろうか…?お前の意見を聞かせてくれ」
「は?」
私は耳を疑った―。
部屋に入るとデニムは窓際に寄せられたアンティーク風のテーブルセットを指し示した。
「はい、ありがとうございます」
返事をして、テーブルセットに近づく私。
焦げ茶色の猫脚のマホガニー製の丸テーブルに背もたれ付きの革張りの椅子が置かれている。へ~…デニムにしてはなかなかやるじゃない。品の良い家具だわ。だけど何処かで見たことがあるような…。
ん……?
そこで私はピタリを足を止めた。よくよく見るとこのテーブルセット…私の部屋にある家具によく似ている。というかそっくりだ!
「あ~っ!!あの家具はっ!」
この馬鹿デニムがっ!こ、こいつは…ついに私の家具に手をつけたなっ?!なんて奴だ!とうとう泥棒まで働くとは!
しかし、私の叫びをデニムは何か妙な風に勘違いしたらしく照れくさそうに言った。
「どうだ?あの家具…確かお前、サンルームで初めて会った時に俺が椅子ごと倒れた時に俺よりもアンティーク風家具に駆け寄っただろう?だからお前はきっとこういう家具が好きなのだろうと思って、元・嫁の部屋から持ってきたのだ。幸い、あいつはこういう家具が好きで沢山集めていたからな。どうだ?気に入っただろう?」
デニムは何を自慢気にしているのか知らないが、怒りで肩を震わせている私の背後で嬉しそうにべらべらと話している。耳障りな事この上ない。デニムに対して今や怒りを通り越して殺意すら抱きそうになってしまう。顔面を思い切りひっぱたいてそのおしゃべりな口を黙らせたくなってきた。だけど…。
駄目だ、落ち着け私。こんな人間をやっつけたとして、人生棒に振るほど無駄なことはない。
「す~…は~…」
思い切り息を吸って吐き出すと、改めてデニムに向き直った。
「あの、デニム様」
「ああ、何だ?」
「まだ奥様とは離婚が成立されていないのでは?」
「ああ…他の使用人たちには俺はもう離婚が成立したと説明しているが、お前にだけは正直に話そう。実はその事でひじょーに今、俺は困っているのだ。お陰で夜もあまり熟睡できずに朝は起きることが出来ずにいる」
はぁ、そうですか。物は言いようだ。単にぐうたらで目が覚めてもベッドの上でゴロゴロしていることを私は知っている。
「あの女、ここでの生活が嫌になったらしく気晴らしなのか何だか知らないが勝手に実家へ帰ってしまったのだ。だから俺は離婚届にサインをしてわざわざあいつの実家に送ってやったというのに、未だに返事をよこさない。それで今日あいつの家に行こうかと思ったのだが…後の事は分かるよな?」
「…」
怒りを押さえながら、私は黙って奴の言い分を聞く。
「結局離婚届けを取りに行くことが出来なかったのだ。ところで、俺が何故離婚も成立していないのに見合いを薦めているか分かるか?」
「…それは若い女の子と結婚したいからでしょう?」
思いっきり軽蔑を込めた目で見ながら言うと、デニムはそれを激しく拒否する。
「ち、違うっ!それは違うぞ?!俺が見合いをするのはなあ…この家の為なんだよ!あいつは全く可愛げもなく、女としての魅力はゼロだが実家の財力だけはある。だから嫌々結婚したのだ。幸い、あの女は婚期を逃して結婚に焦っていたからな。この俺が嫁に貰ってやったんだよ」
ムカッ!!
その言葉に思わず切れそうになる私。誰が婚期を逃して焦っていた?私は別に一生独身でも構わなかったのだから!でも駄目だ、落ち着こう。阿呆デニムの見合い相手の情報を聞き出すまでは…!私は怒りを無理に抑え込んだ。
「だけど、あの女、俺の事をいつもいつも見下して来やがって…『デニム様は時期当主となる自覚はあるのですか?その為の勉強をされないのでしょうか?』と口うるさく言いやがって…女の癖に生意気な!」
爪を噛みながら悔しそうに言うデニム。
「なるほど、だから奥様と離婚しようと思ったのですね?」
「ああ、そうだ!それで今度は次のカモ…もとい、財力を持つ家柄の女性を嫁に貰う必要が出てきたのだ。だが、やはり妻となる女は年下に限る!年下女なら俺の言いなりにすることが出来るからな!口答えだってさせるものか!」
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もう、こうなったら私にも考えがある。
「さようでございますか。それで、私に相談とは何でしょうか?」
コホンと咳払いをするとデニムが口ごもりながら言った。
「あ、明後日の見合い…受けたほうがいいだろうか…?お前の意見を聞かせてくれ」
「は?」
私は耳を疑った―。
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