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第67話 事実を知れ!
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「な、何故、俺はもう他の令嬢たちと見合いが出来ないんだっ?!お、俺は…はっきり言って、目の前のこの女とは結婚する気はこれっぽっちもないからなっ?!」
言うに事欠いて、デニムはこれから自分の大切なパートナーとなるべき女性にこの女と言い切ってしまった。
「駄目じゃないですか、デニム様。これからブレンダ様は大切なパートナーになる方なのですよ?」
大袈裟にため息をつくと言った。
「お前、一体何言ってるんだ?それよりも何故俺がもう見合いができなくなったのか理由を教えろっ!」
「はぁ?お~し~え~ろ~ですって?」
腕組みすると思い切りすごんでやった。
「うっ!い、いや…お、教えて下さい…」
デニムは頭を下げてきた。
「コホン!そこまで言うなら、教えてあげましょう。では…デニムッ!」
「は、はい!」
「先程の席にお座り下さい。色々見せたい書類があるので」
「あ、ああ…わ、分かった…」
デニムは青ざめた顔でカタカタ震えながら席に着いた。そして私はデニムの向かい側に座ると、隣りの席のブレンダ譲と目を合わせ、互いに頷いた。するとそれを見ていたデニムが言う。
「お、おい。何なんだっ?!さっきから2人のその態度は…どう見ても互いに初対面同士には見えないんだがっ?!」
「なるほど…デニムのくせにするどいわね」
「何だよっ!そのデニムのくせにって言うのは!」
「あら、失礼。つい、心の声が漏れてしまったようですね」
ホホホと笑って誤魔化す。
「と、兎に角!まずは何故俺がもう他の令嬢と見合いを出来ないのか、まずそこから説明しろ!」
デニムはもはや化けの皮が剥がれ、完全に素に戻っている。あ~あ…これではブレンダ嬢に嫌われてしまうのではないだろうか?心配になってチラリと隣に座る令嬢を見るが、ブレンダ嬢は頬を赤らめてうっとりしている。
「デニム様…こんなワイルドな一面も持ち合わせていたのね…素敵だわ…」
おおっ!恋は盲目とはまさにこの事を言うのだろう。やはりデニムの相手が務まるのはブレンダ嬢しかいないだろう。
「では、説明致しましょう。デニム様、覚えてらっしゃいますか?貴方が4人目にお見合いするはずだった令嬢、ジェニー様を」
「ジェニー嬢?あ、ああ…そう言えばそんな女性もいたな。だが、あれはトラブルが合って見合いが出来なかった…と言うか、おい!フェリシアッ!何故お前が見合いの話を知っているのだっ?!」
デニムの奴、あろうことがこの私に指をさしてきた。
「そんな細かいことはどうでもいいんですっ!問題はそこですよっ!貴方は全く見合い相手に対して誠意がない!同じ日に見合いをぶちこんでくるなんて、普通に考えればありえませんよ!しかも彼女たちは持参金を持って嫁いで来て下さる令嬢たちだったはずなのにっ!」
「うぐっ!」
図星を刺されたのか、デニムは胸を押さえた。
「なので、ジェニー嬢は未婚の令嬢達全てにお手紙を出されていたのです。デニムはまだ離婚すら成立していないのに、次から次へと見合いをしようとしていると。それを知った令嬢達はもう金輪際、デニムには見向きもしないと話されていたそうです」
「ええ、デニム様。もう貴方と結婚しようと考えている女性は私しかおりませんよ?」
ブレンダ嬢は静かに言う。
「い、いや!だったらもういい!お前とは望み通り離婚してやる。だが、ブレンダ嬢。悪いが、俺は君とは結婚する気は金輪際無い!」
「困りましたね…デニム様」
「?何がだ?」
「よもや…この屋敷に務める使用人たちのお給金だけでなく、屋敷の維持費も全て私の実家が援助しているのを貴方はご存じなかったということですねっ?!」
ジロリと私はデニムを睨みつけた―。
言うに事欠いて、デニムはこれから自分の大切なパートナーとなるべき女性にこの女と言い切ってしまった。
「駄目じゃないですか、デニム様。これからブレンダ様は大切なパートナーになる方なのですよ?」
大袈裟にため息をつくと言った。
「お前、一体何言ってるんだ?それよりも何故俺がもう見合いができなくなったのか理由を教えろっ!」
「はぁ?お~し~え~ろ~ですって?」
腕組みすると思い切りすごんでやった。
「うっ!い、いや…お、教えて下さい…」
デニムは頭を下げてきた。
「コホン!そこまで言うなら、教えてあげましょう。では…デニムッ!」
「は、はい!」
「先程の席にお座り下さい。色々見せたい書類があるので」
「あ、ああ…わ、分かった…」
デニムは青ざめた顔でカタカタ震えながら席に着いた。そして私はデニムの向かい側に座ると、隣りの席のブレンダ譲と目を合わせ、互いに頷いた。するとそれを見ていたデニムが言う。
「お、おい。何なんだっ?!さっきから2人のその態度は…どう見ても互いに初対面同士には見えないんだがっ?!」
「なるほど…デニムのくせにするどいわね」
「何だよっ!そのデニムのくせにって言うのは!」
「あら、失礼。つい、心の声が漏れてしまったようですね」
ホホホと笑って誤魔化す。
「と、兎に角!まずは何故俺がもう他の令嬢と見合いを出来ないのか、まずそこから説明しろ!」
デニムはもはや化けの皮が剥がれ、完全に素に戻っている。あ~あ…これではブレンダ嬢に嫌われてしまうのではないだろうか?心配になってチラリと隣に座る令嬢を見るが、ブレンダ嬢は頬を赤らめてうっとりしている。
「デニム様…こんなワイルドな一面も持ち合わせていたのね…素敵だわ…」
おおっ!恋は盲目とはまさにこの事を言うのだろう。やはりデニムの相手が務まるのはブレンダ嬢しかいないだろう。
「では、説明致しましょう。デニム様、覚えてらっしゃいますか?貴方が4人目にお見合いするはずだった令嬢、ジェニー様を」
「ジェニー嬢?あ、ああ…そう言えばそんな女性もいたな。だが、あれはトラブルが合って見合いが出来なかった…と言うか、おい!フェリシアッ!何故お前が見合いの話を知っているのだっ?!」
デニムの奴、あろうことがこの私に指をさしてきた。
「そんな細かいことはどうでもいいんですっ!問題はそこですよっ!貴方は全く見合い相手に対して誠意がない!同じ日に見合いをぶちこんでくるなんて、普通に考えればありえませんよ!しかも彼女たちは持参金を持って嫁いで来て下さる令嬢たちだったはずなのにっ!」
「うぐっ!」
図星を刺されたのか、デニムは胸を押さえた。
「なので、ジェニー嬢は未婚の令嬢達全てにお手紙を出されていたのです。デニムはまだ離婚すら成立していないのに、次から次へと見合いをしようとしていると。それを知った令嬢達はもう金輪際、デニムには見向きもしないと話されていたそうです」
「ええ、デニム様。もう貴方と結婚しようと考えている女性は私しかおりませんよ?」
ブレンダ嬢は静かに言う。
「い、いや!だったらもういい!お前とは望み通り離婚してやる。だが、ブレンダ嬢。悪いが、俺は君とは結婚する気は金輪際無い!」
「困りましたね…デニム様」
「?何がだ?」
「よもや…この屋敷に務める使用人たちのお給金だけでなく、屋敷の維持費も全て私の実家が援助しているのを貴方はご存じなかったということですねっ?!」
ジロリと私はデニムを睨みつけた―。
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