6 / 107
1-5 過去の記憶 <デスループ 1回目>
しおりを挟む
「さて・・・どんな書き出しから始めようかしら・・。」
少し考えたあと、ページを広げて万年筆を握り締めると日記帳に書き始めた―。
<デスループ 1回目>
毒殺
そう、この時はお茶会の席でいきなりだった。あの日の事は今でもはっきり覚えている。正式に私が婚約者に決定後・・最後まで試験に残った令嬢たちにお茶会に呼ばれた時の死だった―。
「さあさあ。シルビア様、今日の主役は貴女なのですからこの席に座って下さい。」
ガーデンテラスで開催されたお茶会で、私はこの日初めて招かれ、最有力候補と言われていた侯爵令嬢のイメルダに上座に座らされた。
「あ、ありがとう・・。」
恐縮しながら礼を述べた。
「あら、いいのよ?何といっても貴女がアンリ様の婚約者に選ばれたのですから。」
同じく侯爵令嬢のマグダレナが言う。
「本当に羨ましいわ~・・でもやっぱりこの試験は身分はあまり関係なかったのね?」
ロシータが嫌味を込めた目で私を見た。彼女もやはり侯爵令嬢なのだ。
彼女たちが自分たちよりも身分の低い伯爵令嬢である私が王子の婚約者として選ばれたのが気に食わずに呼びつけたのは目に見えていた。
本来であれば、私は王子の婚約者に決定したのだから彼女たちのお茶会を断っても良かったのかもしれないが・・やはり伯爵令嬢の私としては彼女たちの半ば強制的な誘いを断ることが出来なかったのだ。
「あの・・・ところで・・・・。」
私はさきほどからこのテラスにいるある人物が気になって仕方がなく、ついに本人に尋ねた。
「ユベール・マルタン様・・。何故アンリ様の護衛騎士の貴方がこちらにいらっしゃるのでしょうか?」
すると彼は不機嫌そうな態度を隠しもせずに言った。
「仕方がないだろう?俺だって本当はこんなところにいたくない。ただ王子の命令だからだ。お前が婚約者に決定したから正式な護衛騎士を見つけるまでは俺がお前の護衛騎士になるように王子に言われたから仕方なく、だ。」
彼は騎士であるながら侯爵身分を持つので、当然の如く横柄な口を聞く。
「まあ・・本当にユベール様は相変わらず冷たい口を聞くのね?だから『氷の騎士』何て世間で呼ばれるのじゃありませんか?」
クスクス笑いながらロシータが言う。
「あら、でもそんな事ありませんわ。ほら。アンリ様とユベール様の幼馴染のジュリエッタ様には優しい笑顔を見せているじゃありませんか?もちろんアンリ様もですけどね?」
マグダレナの言葉に他の2人の令嬢も嫌味な笑顔で私を見る。
「あ・・・。」
ジュリエッタ様・・・。彼女はこの王宮に住むアンリ様の遠縁の女性で、男爵家の令嬢である。噂によると、アンリ王子とジュリエッタは恋仲だが、ジュリエッタの身分が低すぎることと・・・血縁関係があるという事で周囲から猛反対をされ、婚約者を選ぶための試験が開催されることになった・・とも言われていた。そしてユベールもまたジュリエッタに恋している・・・と噂されていたのである。
「まあ・・愛の無い結婚生活にはなるかもしれないけれど・・実家の名声が高まるのだから、名誉なことなのではありませんか?」
ロシータが決定的な言葉を言うが・・肝心のユベールは何も言わず、黙って立っているだけだった。その様子を眺めていたイメルダが口を開いた。
「さあ・・これは特別に仕入れた茶葉なんですよ。さっそく皆で飲みましょうよ。」
私を直接招いたイメルダが自らポットにお湯を注ぎ、目の前に置かれたティーカップにコポコポとお湯を注いだ。カップからは確かに良い香りがする。
「では、シルビア様からどうぞお飲みになって?」
「え、ええ・・・。」
イメルダに言われるまま、私はカップに口をつけ・・・。
コクン
一口飲んだ。その瞬間、すごく苦い味が喉を通っていく。
「どうかしら。お味は?」
イメルダが嬉しそうに尋ねてきた。
「え。ええ・・・少し苦みが・・・!」
次の瞬間・・・心臓が早鐘を打ち始め、喉が焼けきれるような痛みが襲ってきてた。
「ゴホッ!」
思わずむせた途端、口からどす黒い血があふれ出した。
「「「キャアアアアアッ!!!」」」
3人の令嬢が叫ぶ。
え・・・こ、これは一体・・・?その時、強い視線を感じ・・思わず目を動かした。
すると視線の主はユベールだった。
彼は何とも言えない目で私をじっと見つめていた。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・・
どこからともなく鐘の音が聞こえ始めてきた・・・・。
ユ・・ユベール・・な、何故私をそんな目で・・?
心臓が張り裂けそうなくらい苦しいのに・・・彼はただ、黙って私を見つめている。
ドサリッ!
ついに私は床に倒れてしまった。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
次第に大ききくなっていく鐘の音を聞きながら・・私は1回目の死を迎えた―。
少し考えたあと、ページを広げて万年筆を握り締めると日記帳に書き始めた―。
<デスループ 1回目>
毒殺
そう、この時はお茶会の席でいきなりだった。あの日の事は今でもはっきり覚えている。正式に私が婚約者に決定後・・最後まで試験に残った令嬢たちにお茶会に呼ばれた時の死だった―。
「さあさあ。シルビア様、今日の主役は貴女なのですからこの席に座って下さい。」
ガーデンテラスで開催されたお茶会で、私はこの日初めて招かれ、最有力候補と言われていた侯爵令嬢のイメルダに上座に座らされた。
「あ、ありがとう・・。」
恐縮しながら礼を述べた。
「あら、いいのよ?何といっても貴女がアンリ様の婚約者に選ばれたのですから。」
同じく侯爵令嬢のマグダレナが言う。
「本当に羨ましいわ~・・でもやっぱりこの試験は身分はあまり関係なかったのね?」
ロシータが嫌味を込めた目で私を見た。彼女もやはり侯爵令嬢なのだ。
彼女たちが自分たちよりも身分の低い伯爵令嬢である私が王子の婚約者として選ばれたのが気に食わずに呼びつけたのは目に見えていた。
本来であれば、私は王子の婚約者に決定したのだから彼女たちのお茶会を断っても良かったのかもしれないが・・やはり伯爵令嬢の私としては彼女たちの半ば強制的な誘いを断ることが出来なかったのだ。
「あの・・・ところで・・・・。」
私はさきほどからこのテラスにいるある人物が気になって仕方がなく、ついに本人に尋ねた。
「ユベール・マルタン様・・。何故アンリ様の護衛騎士の貴方がこちらにいらっしゃるのでしょうか?」
すると彼は不機嫌そうな態度を隠しもせずに言った。
「仕方がないだろう?俺だって本当はこんなところにいたくない。ただ王子の命令だからだ。お前が婚約者に決定したから正式な護衛騎士を見つけるまでは俺がお前の護衛騎士になるように王子に言われたから仕方なく、だ。」
彼は騎士であるながら侯爵身分を持つので、当然の如く横柄な口を聞く。
「まあ・・本当にユベール様は相変わらず冷たい口を聞くのね?だから『氷の騎士』何て世間で呼ばれるのじゃありませんか?」
クスクス笑いながらロシータが言う。
「あら、でもそんな事ありませんわ。ほら。アンリ様とユベール様の幼馴染のジュリエッタ様には優しい笑顔を見せているじゃありませんか?もちろんアンリ様もですけどね?」
マグダレナの言葉に他の2人の令嬢も嫌味な笑顔で私を見る。
「あ・・・。」
ジュリエッタ様・・・。彼女はこの王宮に住むアンリ様の遠縁の女性で、男爵家の令嬢である。噂によると、アンリ王子とジュリエッタは恋仲だが、ジュリエッタの身分が低すぎることと・・・血縁関係があるという事で周囲から猛反対をされ、婚約者を選ぶための試験が開催されることになった・・とも言われていた。そしてユベールもまたジュリエッタに恋している・・・と噂されていたのである。
「まあ・・愛の無い結婚生活にはなるかもしれないけれど・・実家の名声が高まるのだから、名誉なことなのではありませんか?」
ロシータが決定的な言葉を言うが・・肝心のユベールは何も言わず、黙って立っているだけだった。その様子を眺めていたイメルダが口を開いた。
「さあ・・これは特別に仕入れた茶葉なんですよ。さっそく皆で飲みましょうよ。」
私を直接招いたイメルダが自らポットにお湯を注ぎ、目の前に置かれたティーカップにコポコポとお湯を注いだ。カップからは確かに良い香りがする。
「では、シルビア様からどうぞお飲みになって?」
「え、ええ・・・。」
イメルダに言われるまま、私はカップに口をつけ・・・。
コクン
一口飲んだ。その瞬間、すごく苦い味が喉を通っていく。
「どうかしら。お味は?」
イメルダが嬉しそうに尋ねてきた。
「え。ええ・・・少し苦みが・・・!」
次の瞬間・・・心臓が早鐘を打ち始め、喉が焼けきれるような痛みが襲ってきてた。
「ゴホッ!」
思わずむせた途端、口からどす黒い血があふれ出した。
「「「キャアアアアアッ!!!」」」
3人の令嬢が叫ぶ。
え・・・こ、これは一体・・・?その時、強い視線を感じ・・思わず目を動かした。
すると視線の主はユベールだった。
彼は何とも言えない目で私をじっと見つめていた。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・・
どこからともなく鐘の音が聞こえ始めてきた・・・・。
ユ・・ユベール・・な、何故私をそんな目で・・?
心臓が張り裂けそうなくらい苦しいのに・・・彼はただ、黙って私を見つめている。
ドサリッ!
ついに私は床に倒れてしまった。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
次第に大ききくなっていく鐘の音を聞きながら・・私は1回目の死を迎えた―。
11
あなたにおすすめの小説
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
悪役令嬢の逆襲
すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る!
前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。
素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!
【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする
白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、
12歳の時からの日常だった。
恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。
それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。
ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。
『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、
魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___
(※転生ものではありません) ※完結しました
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる