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1-16 過去の記憶 <デスループ 6回目>
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あれは6回目のループの時に訪れた死だった―。
<デスループ 6回目>
弓矢による射殺
前日に最終試験で私がアンリ王子の婚約者として選ばれた翌日だった。アンリ王子がジュリエッタと3人だけのささやかなお祝いをしたいと言う伝言を持ってユベールが朝食の席に現れたのだ。
ドサッ!
私はダイニングルームで朝食を食べていると、不意に目の前の椅子にユベールが音を立てて座って来た。そして彼は腕組みをして私を見ている。
「あの・・ユベール様。私に何か御用でしょうか・・?」
「お前に伝言を持ってきた。」
ユベールは愛想笑いする事も無く言った。
「伝言・・・?」
首を傾げるとユベールは続けた。
「昨日、お前がアンリ王子の婚約者に決定しただろう?その祝いとしてアンリ王子とジュリエッタがお前を森の中のコテージに招待したいそうなのだ。」
「え・・・?ジュリエッタ様もですか・・・?」
そんな・・ジュリエッタ嬢はアンリ王子と恋人同士。そんな彼女が私とアンリ王子の婚約決定の祝いの席に同席するだなんて・・普通に考えてみてもあり得ない行動だ。何だか嫌な予感がする・・それにどんな顔をして私は参加すればいいのだろう・・。
その時、ユベールが言った。
「何だ・・?その不満そうな顔は・・。」
「え・・?」
ユベールを見ると、彼の顔は明らかに怒りを込めて私を見つめている。
「お前はもしかしてジュリエッタが邪魔なのか?だからそんなに不満そうな顔をしているのか?」
「い、いえ。不満なんて、とんでもありません。ただ私は・・いえ、私みたいな人間がお2人の間に割って入っていいものかと思って・・・」
すると何故かますますユベールの顔は不機嫌になっていく。
「何故そんな言い方をする。お前はアンリ王子の正式な婚約者に選ばれた人間だ。何故そこで自分を卑下するような言い方をする?いや・・それ以前にお前のその言い方だとまるでアンリ王子とジュリエッタの仲を疑っているようなものではないかっ?!」
いやいや・・疑うも何も2人が恋人同士だと言う事を知らない候補生は誰もいなかった。
「す、すみません・・出過ぎた言い方をしてしまいました。分りました・・是非参加させて頂きます」
これ以上ユベールの機嫌を損ねる訳には行かないので、私は不承不承、承諾した。
「全く・・最初から素直に従っていれば良かったのだ。では11時にお前の部屋に迎えに行くから用意をして待っていろよ」
「はい・・分かりました・・」
項垂れて返事をするとユベールは機嫌が悪そうに立ち上がると去って行った。
「はあ・・・」
私は一気に食欲がなくなり、ほとんど口を付ける事無く席を立った―。
11時―
コンコン
ノックの音が聞こえ、私はドアを開けた。やはりそこに立っていたのはユベールだった。
「準備は出来ているか?」
ろくに挨拶も無しにユベールは尋ねた。
「はい、ご覧の通り出来ております」
しかし、何故かユベールは眉を潜める。
「お前・・そんな恰好で行くのか?」
「え?何か変ですか?」
私は自分の姿を見ると言った。今私が着ているのは外出用の半そでのワンピースだった。
「ドレスは無いのか?申請すれば支給されただろう?」
「ええ・・・特に必要としていませんし・・父からは贅沢をしないように言われていますから。領民たちの貴重な税金を無駄にしないように言いつけられてきたので」
「ふ~ん・・そうか・・」
ユベールは少し思案するような顔をしたが、すぐにいつもの仏頂面になった。
「よし、なら行くぞ」
「はい、分りました」
そして私はユベールの護衛で馬車に乗り、森の中のコテージへと向かった―。
****
森の中にひっそりとたたずむコテージ。そこには既にアンリ王子とジュリエッタの姿があった。
「良く来てくれたね?僕の婚約者のシルビア」
「いらっしゃい、シルビアさん。まあ・・随分地味な姿でいらしたのね?」
ジュリエッタはレースをふんだんにあしらった、まるで水をまとったかのような豪華なドレスを着用していた。
「ええ・・私はこのワンピースで十分です」
一体あのドレス・・どれだけの血税が使われたのだろう・・?私は豪華なドレスの素晴らしさよりもそちらの方が気がかりだった。
「・・・。」
ユベールは黙ってジュリエッタを見つめている。
「さあ、それでは我々だけのパーティーを始めよう」
アンリ王子の言葉から、パーティーが始まったのだが、主役はもはやジュリエッタだった。
王宮の合奏団の曲に合わせてダンスを踊るアンリ王子とジュリエッタ。
私とアンリ王子は絶対に踊る事は無い。ユベールと2人のダンスをお茶を飲みながら眺めていた。私はチラリとユベールを見ると、彼は食い入るようにジュリエッタを熱い視線で見つめている。・・・気の毒なユベール。貴方はジュリエッタの事が好きなのね・・。
やがてダンスが終わり、ジュリエッタの提案で森の中で弓矢を使って小動物の獲物をアンリ王子とユベール、そして数人の従者たちと争う事になった。森の中へ入って行く彼らの後を何故か私とジュリエッタもついていく。
「ふふ・・誰が獲物を捕らえるかしらね?」
ジュリエッタが耳元で言う。
「さ、さあ・・?誰かしら?」
私はそんな事よりも残酷な事はやめてほしかった。
「シルビアさん。下手に動くと危ないから貴女はここにいたほうがいいわ」
「え、ええ・・・」
「私は向こうで見ているからね?」
ジュリエッタはいたずらっぽく笑うと、その場を去って行く。
「・・・。」
少しの間その場で立って待っていたその時・・
ヒュッ!!
風を切るような鋭い音と共にドスッ!と何かが突き刺さる音が聞こえた。それと同時に胸に激しい痛みが襲ってくる。
「え・・?」
その時、私は自分の胸元に深々と弓矢が刺さっていることに気が付いた。胸からは血がにじんでいる。そして口元からは鉄のような味が込み上げてくる。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
ああ・・鐘の音が聞こえる・・・・
ドサッ!
地面に倒れた私の意識が急激に薄れてゆく・・そして誰かがこちらへ駆けつけてくる姿が見えた。その人物は・・。
「ユ・・・ユベール・・・・」
ゴーン
ゴーン
ゴーン
そして私は・・・6度目の死を迎えた―。
<デスループ 6回目>
弓矢による射殺
前日に最終試験で私がアンリ王子の婚約者として選ばれた翌日だった。アンリ王子がジュリエッタと3人だけのささやかなお祝いをしたいと言う伝言を持ってユベールが朝食の席に現れたのだ。
ドサッ!
私はダイニングルームで朝食を食べていると、不意に目の前の椅子にユベールが音を立てて座って来た。そして彼は腕組みをして私を見ている。
「あの・・ユベール様。私に何か御用でしょうか・・?」
「お前に伝言を持ってきた。」
ユベールは愛想笑いする事も無く言った。
「伝言・・・?」
首を傾げるとユベールは続けた。
「昨日、お前がアンリ王子の婚約者に決定しただろう?その祝いとしてアンリ王子とジュリエッタがお前を森の中のコテージに招待したいそうなのだ。」
「え・・・?ジュリエッタ様もですか・・・?」
そんな・・ジュリエッタ嬢はアンリ王子と恋人同士。そんな彼女が私とアンリ王子の婚約決定の祝いの席に同席するだなんて・・普通に考えてみてもあり得ない行動だ。何だか嫌な予感がする・・それにどんな顔をして私は参加すればいいのだろう・・。
その時、ユベールが言った。
「何だ・・?その不満そうな顔は・・。」
「え・・?」
ユベールを見ると、彼の顔は明らかに怒りを込めて私を見つめている。
「お前はもしかしてジュリエッタが邪魔なのか?だからそんなに不満そうな顔をしているのか?」
「い、いえ。不満なんて、とんでもありません。ただ私は・・いえ、私みたいな人間がお2人の間に割って入っていいものかと思って・・・」
すると何故かますますユベールの顔は不機嫌になっていく。
「何故そんな言い方をする。お前はアンリ王子の正式な婚約者に選ばれた人間だ。何故そこで自分を卑下するような言い方をする?いや・・それ以前にお前のその言い方だとまるでアンリ王子とジュリエッタの仲を疑っているようなものではないかっ?!」
いやいや・・疑うも何も2人が恋人同士だと言う事を知らない候補生は誰もいなかった。
「す、すみません・・出過ぎた言い方をしてしまいました。分りました・・是非参加させて頂きます」
これ以上ユベールの機嫌を損ねる訳には行かないので、私は不承不承、承諾した。
「全く・・最初から素直に従っていれば良かったのだ。では11時にお前の部屋に迎えに行くから用意をして待っていろよ」
「はい・・分かりました・・」
項垂れて返事をするとユベールは機嫌が悪そうに立ち上がると去って行った。
「はあ・・・」
私は一気に食欲がなくなり、ほとんど口を付ける事無く席を立った―。
11時―
コンコン
ノックの音が聞こえ、私はドアを開けた。やはりそこに立っていたのはユベールだった。
「準備は出来ているか?」
ろくに挨拶も無しにユベールは尋ねた。
「はい、ご覧の通り出来ております」
しかし、何故かユベールは眉を潜める。
「お前・・そんな恰好で行くのか?」
「え?何か変ですか?」
私は自分の姿を見ると言った。今私が着ているのは外出用の半そでのワンピースだった。
「ドレスは無いのか?申請すれば支給されただろう?」
「ええ・・・特に必要としていませんし・・父からは贅沢をしないように言われていますから。領民たちの貴重な税金を無駄にしないように言いつけられてきたので」
「ふ~ん・・そうか・・」
ユベールは少し思案するような顔をしたが、すぐにいつもの仏頂面になった。
「よし、なら行くぞ」
「はい、分りました」
そして私はユベールの護衛で馬車に乗り、森の中のコテージへと向かった―。
****
森の中にひっそりとたたずむコテージ。そこには既にアンリ王子とジュリエッタの姿があった。
「良く来てくれたね?僕の婚約者のシルビア」
「いらっしゃい、シルビアさん。まあ・・随分地味な姿でいらしたのね?」
ジュリエッタはレースをふんだんにあしらった、まるで水をまとったかのような豪華なドレスを着用していた。
「ええ・・私はこのワンピースで十分です」
一体あのドレス・・どれだけの血税が使われたのだろう・・?私は豪華なドレスの素晴らしさよりもそちらの方が気がかりだった。
「・・・。」
ユベールは黙ってジュリエッタを見つめている。
「さあ、それでは我々だけのパーティーを始めよう」
アンリ王子の言葉から、パーティーが始まったのだが、主役はもはやジュリエッタだった。
王宮の合奏団の曲に合わせてダンスを踊るアンリ王子とジュリエッタ。
私とアンリ王子は絶対に踊る事は無い。ユベールと2人のダンスをお茶を飲みながら眺めていた。私はチラリとユベールを見ると、彼は食い入るようにジュリエッタを熱い視線で見つめている。・・・気の毒なユベール。貴方はジュリエッタの事が好きなのね・・。
やがてダンスが終わり、ジュリエッタの提案で森の中で弓矢を使って小動物の獲物をアンリ王子とユベール、そして数人の従者たちと争う事になった。森の中へ入って行く彼らの後を何故か私とジュリエッタもついていく。
「ふふ・・誰が獲物を捕らえるかしらね?」
ジュリエッタが耳元で言う。
「さ、さあ・・?誰かしら?」
私はそんな事よりも残酷な事はやめてほしかった。
「シルビアさん。下手に動くと危ないから貴女はここにいたほうがいいわ」
「え、ええ・・・」
「私は向こうで見ているからね?」
ジュリエッタはいたずらっぽく笑うと、その場を去って行く。
「・・・。」
少しの間その場で立って待っていたその時・・
ヒュッ!!
風を切るような鋭い音と共にドスッ!と何かが突き刺さる音が聞こえた。それと同時に胸に激しい痛みが襲ってくる。
「え・・?」
その時、私は自分の胸元に深々と弓矢が刺さっていることに気が付いた。胸からは血がにじんでいる。そして口元からは鉄のような味が込み上げてくる。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
ああ・・鐘の音が聞こえる・・・・
ドサッ!
地面に倒れた私の意識が急激に薄れてゆく・・そして誰かがこちらへ駆けつけてくる姿が見えた。その人物は・・。
「ユ・・・ユベール・・・・」
ゴーン
ゴーン
ゴーン
そして私は・・・6度目の死を迎えた―。
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