命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
27 / 107

2-4 私の願い

しおりを挟む
「計画…?それは一体どういう計画ですか?」

私が尋ねるとアンリ王子が言った。

「いいかい、僕は本当は今回のテストで選ばれた女性を本当の妻にする気は毛頭無いんだよ。何故ななら愛する女性はただ1人、ジュリエッタだけだからね」

アンリ王子はジュリエッタの肩を抱き寄せた。

「はい…」

ええ、そんなことは分かり切っています。私は過去12回にも及ぶデスループを繰り返してきた。そこで何度も何度もアンリ王子に言われ続けてきた。君が婚約者に選ばれても僕は君を愛することは一生無い…と。

「君は僕の愛なんか望んではいないだろうし、たとえ王太子妃になったとしてもジュリエッタを追い出そうとする気は全くないだろう?」

「ええ、そうですね」

だって私は2人の恋に何の興味も無いから。ただ私が望むのはこれまでのデスループを断ち切って、運命の日…7月7日を乗り切って生き抜くことだけ。

「だから君には最後までテストに残ってもらいたい。」

「え?!そ、そんなっ!私はアンリ王子の婚約者に選ばれたくはないのですよ?!」

本人を前に随分失礼な事を言っているのは自覚があったが、私の命がかかっているのだ。それにアンリ王子は私に興味を持っていない。故に彼にどう思われようが、構わないと思った。

「プッ!」

その時、奇妙な方向から笑い声が聞こえた。え…?その笑い声の主は…?
見ると驚くべきことに笑っていたのはユベールだったのだ。あの冷血鉄仮面男が私の発言で口元を隠し、肩を小さく震わせて笑っている。

「まあ!あのユベールが笑っているわ!」

ジュリエッタが驚いたように声をあげる。

「ああ…全く驚きだ。あのユベールを笑わせるなど…」

アンリ王子は私の発言を気にするよりも、ユベールの笑いに驚いていた。けれど、私自身も驚いていた。今までずっとユベールを見てきたけれども彼は一度も笑ったことが無かったからだ。
するとコホンと咳ばらいをするとユベールは言った。

「うるさい、俺の事などどうでもいい。早く話を先に進めろ」

王子に対し、随分ぞんざいな口の利き方をするユベールを気にも留めることなくアンリ王子が言った。

「シルビア、勿論分かってるよ。君が俺の妻になる事を少しも望んでいないのは」

「だったら私をすぐに屋敷に返してください。私はこんな危険なゲームに参加したくありません。まさか最終的に私と形だけの結婚をして、ジュリエッタ様と夫婦になるおつもりですか?」

「そう考えていたんだけど…駄目かな?君と形だけの結婚をしても君は自由に暮らして構わないよ?どこの誰と恋愛しても構わない。君専用の離れの城を用意するから君はそこで誰にも干渉されずに恋人を作って暮らしても構わない。どうだい?悪い話ではないだろう?」

アンリ王子の話を聞いて納得した。何故私が過去12回のループで必ず最終テストに勝ち残ってきたのか…初めから私が選ばれることがシナリオに書かれていたのだ。ただ、今までの私はその事実を知らなかっただけ。そして今回初めて真実を聞かされたという事は…今までのループとは圧倒的に何かが変わったと言う事。だとしたら、このテストで私と同じようにアンリ王子に全く興味を持たない婚約者候補がいるかもしれない。

「アンリ王子…私はアンリ王子とはたとえ偽装だとしても結婚はしたくありません」

はっきり言った。

「どうしてもテストに出ろと言うのなら。出ますが…私も他の候補者と公平にテストを受けさせて下さい。そして適性が無いと認められれば、どうぞ落としてください」

「そんなことを言って、貴女わざとテストを落ちるつもりじゃないの?」

ジュリエッタが不満気に言う。

「そんなつもりはありません」

そう、最初は手抜きをして落ちようと思ったけれどもこれ程に私がアンリ王子たちにマークされているのであれば、手抜きをすればバレルだろう。

「手は抜きません。きちんとテストを受けまが‥他の令嬢たちの事もちゃんと評価してあげてください。そのうえで、愛が無くてもアンリ王子との結婚を望んでいる令嬢がいれば‥どうかその女性を選んでいただき、私を家に帰して下さい。お願いします」

私は深々と頭を下げた―。






しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

処理中です...