命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
73 / 107

4-12 キリアンの誘い

しおりを挟む
「では、お願いしてもよろしいでしょうか?魔石探しの期間の間…」

するとキリアンが怪訝そうに首を傾げた。

「え?ユベールと交代はしなくていいのか?多分旅行は半月程だって聞いていたんだけど?」

「ええ…そうなのですけど、ひょっとするともうユベール様はアンリ王子の護衛騎士に戻るかもしれませんので…」

「ユベールがそう言ったのか?」

「いいえ、違います。アンリ王子が言ったんです。私だからこそ、短い間だったけれどもユベール様を貸したのだと…なので恐らくアンリ王子はもうユベール様をご自分の護衛騎士に戻すのではないかと思います」

私は項垂れながら説明した。

「そうか…アンリ王子がそんな事を言ったのか。と言う事はやはりアンリ王子はもうユベールを君のパートナーに戻すつもりはないかもしれないな」

キリアンが腕組みしながら言う。

「あ、あの。魔石探しの間ずっと私のパートナーになるのが無理なら言って下さい。その時は…何とかしますので」

もし、その時が来たら…女性の傭兵を雇う事にしよう。

「何言ってるんだ?そんな事は気にしなくていいさ。言ってるだろう?俺は君が気に入ってる。シルビアの役に立てるなら喜んでずっとパートナーを務めさせてもらうよ」

「ありがとうございます」

一体私のどこが気に入ったのか分からないけれども協力してくれるなら助かる。

「あの…では早速ですがお願いがあります」

「何だい?」

「これを預かって貰えませんか?」

私はポケットから魔石を入れる袋を取出すとキリアンに渡した。

「え?これは…?」

「魔石を入れる袋です。ここに集めた魔石を入れると魔石から出る魔力を抑えられるので」

「へ~…でも何故魔力を抑える必要があるんだい?」

「あの、私は…魔石を見つける事が出来ても‥触れる事が出来ないので…」

「ああ、なるほどね。そう言う事か。いいよ、俺が預かろう」

「ありがとうございます」

キリアンは私に特に質問して来る事は無かった。詮索好きでない処は好感が持てた。

「それで?今日これからの予定は?」

「え?予定ですか?今日は魔石探しはありませんので1日部屋で休んでいようかと思っています。魔石探しは明日からなので、よろしくお願いします」

頭を下げて部屋へ戻りかけた時、キリアンに声を掛けられた。

「シルビア」

「はい。何でしょうか?」

「今夜、何か予定はあるかな?」

「え?今夜‥ですか?いいえ、何もありませんけど?」

「そうか、それなら良かった。俺達はパートナーになったんだ。2人で親睦会をしないか?」

「親睦会ですか?」

「ああ」

別に特に断る理由も無かったので受ける事にした。

「はい、大丈夫です」

「そうか、なら18時にここで待ち合わせをしよう。食事はしないでおくんだぞ?」

キリアンの言葉に頷くと、彼は笑顔で言った。

「それじゃ、又後で」

「はい。又後程」

頭を下げて、部屋に戻る為に元来た廊下を引き返しかけた時、城の扉の前で話し声が聞こえて来た。

「フフ‥今からオーロラを見るのがとても楽しみだわ」

その声はジュリエッタだった。

「そうだね。ジュリエッタ。僕も今からとても楽しみだよ」

次に聞こえてきたのはアンリ王子の声だった。身を隠すようにエントランスを覗き込むと、そこには思った通り、ジュリエッタとアンリ王子が楽し気に話をしている姿があった。ユベールは何所に‥?
少しの間そのまま見ていると、ユベールが奥の通路から現れた。手には本が握られている。

「ジュリエッタ、この本で良かったのか?」

「ええ。そうよ!ありがとう、よく分ったわね!」

ジュリエッタは嬉しそうにユベールから本をうけとった。

「ジュリエッが何の本を読んでいるか位、知ってるからな」

ユベールが笑みを浮かべてジュリエッタを見ている。やっぱりユベールは彼女の事を…

ズキリとした胸の痛みを抱えたまま、私はその場を後にした―。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

処理中です...